Vancouverにて1(Sept. 1998 - Apr. 1999)

Fairview Crescent

交換留学生(Exchange Student)だけでも、毎年100人以上がUBCを訪れているようです。ここまで多いと、事務手続きにミスが発生したりで、ちょっとした不都合が生じている学生を見かけたりしましたが、私に関して言えば特に問題は起きず、スムーズなものでした。住居も大学の寮が交換留学生には優先的に割り当てられるようで、Fairview Crescentというtown house形式の寮に入ることが出来ました。結局ここにUBCでの2年間ずっと住むことになるとは、来たときは想像していませんでした。ここでは一つのユニットを4人乃至6人が共有し、各人が自分の部屋(ベッドルーム)を持つという構成でした。キッチン、リビングルーム、バスルームを共有します。学校から返ってきて誰かいるというのは案外気が紛れるもので、1人になりたければ自分の部屋に入れば済む、というのは自分には快適な環境でした。部屋は決して広くはないものの、家賃も月にC$330程度で、水光熱費、ケーブルテレビの受信料まで込みというのは安価であったと思います。

最初の3人のルームメイトはTimと二人のJasonでした。TimはCommerceでAccountingを専攻する3年生、JasonはPhysiotherapyを専攻する3年生でこの二人は同じAbbostfordというVancouverから南東に車で1時間ぐらい走ったところにある町の出身で、気心が知れた者同士が同じunitになるようにFairviewに申し込んだそうです。こういったことは、ユニットを占拠しない限り認められるそうです。もう1人のJasonは既にUBCは卒業したものの、unclassified studentという身分で大学に残って、幾つか授業を取りつつmedical schoolを受験すべく準備中とのことでした。自分が後でunclassified studentになる事を思いつけたのは彼のおかげです。TimとphysioのJasonとは結局、彼らの卒業までの2年間同じユニットで暮らしました。一緒にどこかに遊びに行くことはあまりしませんでしたが、よい関係は保てたのではないかと思います。ルームメイトというのは留学生活を楽しくも苦痛にもするもので、途中で嫌になって、寮のユニットを換えてくれと大学に申し出たり、寮から出ていくというケースも珍しくはありませんでしたので、私はルームメイトには恵まれたと思っています。Fairview Crescentには21歳以上という制限があり、MasterやPh.D. programの学生が多い寮で、週末のバカ騒ぎとは縁の薄い寮でした。一方で若い学生の多い寮では周りがうるさくて、自分の部屋では勉強もやってられないということもあるそうなので、大学の寮に入る場合はそのあたりを注意した方がよいと思います。勿論、それはそれで楽しい留学生活になるでしょうから、目的次第ですね。

科目登録(course registration)

コースの登録は基本的に速い者勝ちになっています。定員に達すると締め切られてしまいます。日本の大学ではごく一部のPC等の機材を使う科目で、定員が設定されていることはありましたが、速い者勝ちシステムにはすこし驚きました。交換留学生は、空いてるところに入れてもらうという感じを抱かせるものでした。特に、commerceは独自の交換留学programを持っていることもあり、自分のような通常の交換留学生は直接学部事務と交渉して、科目を登録してもらうという手続きを取らなければなりませんでした。

いまから思えばバカなことをしたと後悔していますが、折角の機会だからと思って、前期から背伸びしたコースを取ってしまいました。自分の能力を過信するのはもってのほかであるということを思い知られました。途中で、一つwithdrawはしたものの、結果的には引くべき科目間違えていました。後期になってから、クラスメイトに聞いて分かったのですが、撃墜王として名高い教授の講義を残していました。残念ながら、時既に遅しでした。

Disaster

授業はきっちりとは分からんけど、大体分かったつもりだから、まぁなんとかなるさで試験に臨むと、なんとかなっていない結果が返ってきます。周りはきっちり勉強してきているのです。何とかなっていない成績即ち、Fをとってしまうと、これが後々まで尾を引きます。日本では不可は成績表には出てこないので、それほど気になりませんが、こちらでは力一杯、G.P.A.の足を引っ張ってくれます。こいつのacademicな能力はその程度なんだという風に判断されてしまいます。成績がその能力を知る上でもっとも信頼できる指標と見なされていますので。しかも、違う文化圏の大学成績の基準はよく分からないから困るけど、事情をよく知っている国の大学の成績があるなら、そっちを重視しようとになるようです。MBA programでAdmissionが得られなかった場合、求めれば落ちた理由を教えてくれます。その際に真っ先に言われるのが、UBCでの成績でした。評判の高いMBAには有力な応募者が集まります。admissionでは落とす理由を探すことが、拾う理由を見つけるのに優先しますので、このような汚点を作らないよう十分注意して下さい。留学生なんだから大目に見てくれても、と思わないでもありませんでしたが、今はFをくれた先生に感謝しています。少なくとも甘えた気持ちは断ち切ることが出来ましたので。

UBCでの勉強は来るべきMBAでの準備期間と位置づけていたのですが、その引き替えにadmissionを得る可能性を減らしてしまったことになります。MBAでより多くを学び取るためには、UBCで勉強したことは役に立ったと信じていますが、prestigiousな大学の看板を取り損ねたことになったと思っています。大事なものは看板ではなく実力と信じるのですが、prestigiousな看板のあるprogramでない限り、実力は養えないものなのでしょうか。MacのMBAでは役不足なのでしょうか。そうは思いたくないものです。

友人

日本人とはつるまないと心に決めてこちらに来たので、日本からの交換留学生とどこかに遊びに行くということは殆どしませんでした。まぁ世代もちがうしね。つき合いはPCのセットアップなどを頼まれたらやる程度でした。これも、一度やって安定したらお呼びも掛かりません。UBCにはInternational Houseというのがあって、ここがrecreationalな催しを主催してくれていました。特に交換留学生同士が知り合うのには良い機会でした。France, Norway, Germany, Sweden, China(Hong Kong), Australia, Mexico, Englandなどまとまった人数が来ている国だけでもたくさんありました。当時はカナダではまだ珍しかったデジカメを持っていていたのが幸いして、これで知り合いの輪が広がって、その中の何人かは友達といえるようになりました。デジカメなかりせば、私の留学生活はもっと味気ないものになっていたと断言できます。

Dictation Project part I

英語で授業を受けて、一番大変なのがnote takingという留学生は多いと思います。日本では板書をしてくれる先生は多く、取り敢えず何か書き写していると勉強した錯覚をすることが出来ましたが、こちらではtransparent sheetを使って(OHPがこの略語のままで通じたことはないです。和製略語か?)、口頭で説明を加えるのでなかなか追いつきません。録音できるMDは日本から持ち込んでいたので、録音してはみるけど、聞き直すぐらいだったら予習した方が良いだろうと思えてしまい、なかなか聞き直しません。そんな状態のところで、ふと目にしたのがVoiceDirectというソフトウェアのパッケージでした。たしかヘッドセット付き$40ぐらいの値段で、IBMのViaVoice engineを使用しているとのこと。音声認識ソフトか、、、もしかしてPCに録音したMDを聞かせてノートを起こさせつつ、自分は予習が出来るのでは?別に高い精度は期待していないから取り敢えずどこまで出来るかやってみようということで買ってしまいました。

先ず自分で使ってみることから始めてみました。programに話者の声を学習をさせることになります。VoiceDirectは単語5つと文が3つだけ、これならProf.にも頼みやすいなと思いつつ、マイクに向かって読んでみました。単語はともかく、2つ目の文で詰まってしまいました。どいせ俺の英語は訛っているさフン、と言うことで精度を下げて無理矢理先に進めました。これでいざ教科書の文を読んでみると、さっぱり駄目。コンピュータに、貴様の英語はどうしようもなく訛っていると宣告された気になって嫌気がさしてきたので自分のデーターは破棄。次にルームメイトのJasonに使ってもらいました。native English speakerでどの程度の精度がでるのか知っておく必要があると考えてのことでした。学習は精度を下げることなく、すんなりと済みました。やっぱり、nativeは違うなぁとと思わされました。Jasonも面白がって、本の文章を読んで聞かせてみてくれたところ、そこそこ認識しましたが、ちょくちょく変な単語を当ててくれます。一昔前のFEPが日本語の仮名漢字変換で誤変換をやって、妙に面白い文章が生成されていたときの感覚が蘇った感じでした。VoiceDirectは、私にはstress generatorでJasonにはjoke generatorでした。

使いものになるかどうかはちょっと難しいかなと思いながらも、Prof.に事情を説明して、単語と例文を授業後に読んで貰いました。MDで録った音声データで学習させるのは、データ数がさして多くないのでそれぼど手間は掛かりませんでした。次に講義の録音を聞かせてみました。頑張って文字に起こそうとしてはくれるのですが、如何せん喋る速さにPCが付いて行きません。実はこのときPCのCPUはIDTのWinchipという極めてマイナーなCPUを積んでいました。渡航前、先々のことを考えるとお金に余裕はなく、なるべく安く付けられるものはそうしたいと言う状況でした。Desktop PCの部品を買って持ち込んで、カナダでケースとモニタを買って組み立ててれば、NotePCを持ち込むよりずっと安くつくという算段で、渡航前に日本橋で一番安くつけることが出来るであろう組み合わせをとしてWinchipを選びました。RAMが64MBでHDDが4.3GB あればPentium166MHz程度のCPUでもワープロ、e-mail、表計算、webのbrowseには十分使えるとの判断に基づいたものでしたので、CPUパワーの必要なアプリを使うことは想定外でした。渡航後、性能が少し向上したWinchip2が出たとの話も聞いたので、日本にいる友人に頼んで送ってもらってup gradeもしましたが、結局大きな変化はなくVoiceDircetはお蔵入りとなりました。前期の期末試験も近づいてきて、こんな事に時間を費やしている余裕がなくなってきていました。VoiceDircetしばらくしてから、Jasonにあげました。Jasonも最初は物珍しいものの、すぐに飽きてしまったようでした。

Dictation Project part II

最初の失敗で、諦めればよいものの、PCによるnote takingというアイディアを気に入っていて、いつかCPUパワーを上げて再度トライしたいと思っていました。後期にはmother boardとCPUをupgradeして、Celeron 300MHzにしました。これはOverclockを前提にした組み合わせだったのですが、どうもハズレのCPUだったらしく100MHzのバスクロックでは電圧の喝入れをしても安定動作してくれませんでした。より精度の向上を期待してソフトも、IBMのViaVoice98を買いました。ところが、このViaVoiceを自分のPCにインストールすると、Wordが立ち上がらなくなってしまいました。ViaVoiceには出力をWordに直接送る機能があって、そのせいか日本語版のwindows上の日本語版のWordと何らかのconflictを起こしてしまったようでした。ViaVoiceはなくても生活に支障は出ませんが、Wordが動かないと生活に支障が出るので、ViaVoiceを一旦諦めることになりました。ViaVoiceはシステムの深いところまでいじっていたらしく、アンインストールしただけではWordを復活させることが出来ず、結局Windows98の再インストールをする羽目になってしまいました。

環境をもとに戻してからしばらくは忙しかったこともあって、ViaVoiceは放っておいたのですが、1999年の夏に取ったHistoryのコースが私を再びViaVoiceに向かわせることになりました。講義が全て口頭で行われてしまい、ノート取りが大変でした。先ほどの問題を避けるために、英語版Windowsとのdual-boot環境を用意することにしました。dual-bootのためだけに高いNTを買うのは馬鹿らしかったので、Partition Magicを買いました。これにはBoot Magicというソフトがバンドルされていて、これを使えばdual boot環境を簡単に作ることができました。ViaVoiceはVioceDircetと違って話者の学習に際して、50文以上を聞かせることを強く推奨していました。transcriptを探し出してプリントアウトしてMDを持ってoffice hourにProfessorのところに押し掛けました。快く引き受けてくれ「宝島」からの文を60ほど呼んでくれました。録ったデーターをPCに聞かせるのは骨が折れましたが、なんとか完了。講義の録音を聞かせましたが、結果は駄目でした。Prof.にBritish Accentがあったことと、officeと教室での声の調子の違い、録音状態の違い、ViaVoiceは256KB以上のL2 cashを求めている等、いろいろ原因は考えられますが、今は、打ち止めにしています。こんな事に時間を費やすなら、shorthandを習った方が効果的ですし、時ともに必要性は下がってくるものですしたから。ただ、Dictation Projectはいつの間にか、自分の気晴らしが主目的になっていましたので、また懲りずにやるかもしれません。でもMBA program中はその余裕はなさそうです。

UBC MBA Program出願

UBCに来る前は、これから先どうするか明確に決めていませんでした。他の交換留学生と同じように8ヶ月経ったら日本に帰って立命館大学を卒業するのか、或いは就職先を探すのか、それとも、北米に残ってMBA programに進むのか。考慮すべきファクターも多く、当時はどれに重きを置くべきかもはっきりと分かっていませんでしたし、相談したところで適切なアドバイスを貰えそうな相手もいませんでした。もっと早めに決断できていれば、失敗は防げたかもしれないとは思いつつも、その時点では、来てからでないと分からない不確定要素が多かったというのが自分に対する言い訳です。

UBCで勉強をしてみて、UBCのMBAに進んでもいいのではなかろうかと思うようになっていました。残念ながらカナダのMBAについては全然認識を持っておらず、USのBusiness Schoolに較べたらadmissionを得ることは大して難しくはないであろうと漠然と思っていました。全然準備せずGMATを初めて受けたのが12月でした返ってきたスコアは590、悪くはないではなか。TOEFLは形式の変更が影響して1月受験で247どまり。まぁ3pointの不足なら大目に見て貰えよう、という状態でした。多少は準備をした、2回目のGMATではVerbalが1point下がって、Quantitativeが1point上がっただけで、お金の無駄だった。

essayには苦労しました。学校の方もなかなか忙しく、Essayを書き終えたのは2月のreading break中でした。カナダの大学にはreading breakと呼ばれる1週間の休みが2月の中頃に設けられています。趣旨はどうやら、midterm examの準備しっかりやるようにとのことのようです。当時UBCではFaculty of Educationがspoken Englishに関するlessonを無料で一人あたり週に1回30分という条件で、提供してくれており、この学部のmaster以上の学生がVolunteerで教えていました。その頃には、自分の先生である学生にessayのproofreadを頼めるぐらいには知り合いになっていましたので、頼みました。UBCのMBAのapplicationではessayにprofessionalの助けを得ていないという旨を宣言するする必要があったので、少し気になりましたが、彼女は未だprofessionalではないとの解釈でこの点は誤魔化しました。その後の手直しもあって提出できたのは、締め切り丁度でした。

結果は×。駄目だった理由を聞きたければ、MBA programのacademic advisorにappointmentをとれば説明してあげるとのことでした。早速、appointmentを取って聞いてみました。以下記憶に基づいて内容再現。

Shuji:
何が問題だったのか?
AA:
お前のUBCでの前期の成績ではアカン、それからGMATのVerbalセクションがpercentileで50%に達していないのは問題。AWAも低い。
Shuji:
普通のInternational applicantはEnglish-speaking universityで勉強したことすらないのに、どうしてその経験を持っていることが、結果はどうあれ、どうしてnegativeに働くのか
AA:
UBCのMBAは極めてintensiveなので、カナダ人ですら付いていくのは大変である。しかし、われわれは脱落者を出したくない。UBCでの前期の成績は脱落する可能性を示唆していて、それを見過ごすことはできない。
Shuji:
自分の英語力が不十分であったことは認めるが、それはこの6ヶ月で大きく進歩した。後期の成績を見てほしい。
AA:
締め切りが2月末だからだめ
Shuji:
自分がUBCに来たのは間違いだったということか。
AA:
日本では英語の運用力は強く求められているから、今までUBCで身につけた能力で自身のキャリは拓けるのではないか。
Shuji:
再出願は可能か?
AA:
essayは良く書けているので、再出願時までに、今回挙げた問題点、GMATのVerbalのスコアとUBCでの成績を改善するようされたし。

さて、どうしたものか。確かに、自分が不十分だといわれれば認めざるをえません。少なくとも、自分でこうしたいと思っていたことはクラスで実現出来ていませんでした。意味のあるクラス参加は出来ていませんでしたし、勉強方法も見つけられていない状態でした。結局、英語力か。日本に帰ってしまったら、状況が良くなるとは思えない。生活費そのものは日本でもカナダでも大きくは変わらない、ひょっとしたら安いぐらいだからこっちに残ろう。USのBusiness Schoolは宝くじにでも当たらない限り、学費が準備できない。ここまできたら、なにか形に残るものを持って帰らないと日本に帰ってもどうしようもない。食うに困ることにはならないだろうが、自分が払った機会費用を回収するのは先ず不可能だ。カナダのMBAに行こう。でも、日本での認知度が心配だなぁ、、、。

Vancouverにて2
UBC in Vancouver