多田正敏(香川県食品試験場)

「白*粉」を原料とする手延べそうめんの食味

(目的)

 近年の手延べそうめんは昔に比し、食味での粘弾性に欠け、コツコツ(ボソボソ)した感があり、関係者の一部から品質改善の必要性が指摘されている。
 この原因が原料粉によるものか製法の機械化によるものか判別しがたいため、今回手打ちうどんの高級粉である「白*粉」を原料として手延べそうめんを作った。
一方、製法の改善策として昨年に従来の手延べそうめん用小麦粉(製麺所使用)での圧延機による複合回数を変えたそうめんについても今回同時に食味を行い比較した。
(方法)
 
 麺の情報    約35番線(1mm弱)
 製麺年月日  平成4年12月製(手延べそうめん用小麦粉)と同6年1月製N社(白*粉)
 製麺所     小豆郡土庄町  **製麺所(私が製麺して持ち込み依頼致しました。)
 麺食味試験  平成6年5月30日
 試料       6検体
           圧延回数1回、2回、3回
           平成6年1月製 (白*粉)
           平成4年12月製 (手延べそうめん用小麦粉)
 茹で方     6検体の試料を3検体宛3分画した網かごに入れ、
           1釜分として2釜同時に2基のガスコンロで3.5分茹でた。
(結果)

 平成6年1月製の白*粉は平成4年12月製の手延べそうめん用小麦粉に比し、
     1,色調が白すぎる。
     2,形状は軟化傾向を示し、べたついた感がある。
     3,硬さが小で柔らかく、歯ごたえに欠けた。
     4,軟化のため粘弾性がない。
     5,上記の結果、総合的に茹で延びの感を与え物足りない食感を呈し、
       平成4年ものがややしっかりとした歯ごたえで好みは優った。
 
 圧延回数の差による比較
     1,平成6年製の麺は3検体とも軟化のため差を認めなかった。
     2,平成4年製の麺では、3回圧延はやや硬く、2回圧延が適当な食感であった。
(備考)

 平成6年製の白*粉は厄現象をしていないため、平成4年製との比較は不可であるため、厄終了後に比較する必要がある。
 なお、同一時期に白*粉と手延べそうめん用小麦粉で製麺したものを比較しなければならない。

以上が多田先生にやっていただいた食味試験です。
当寺何度か食品試験場に通いお話を伺ったのですが、その中でいろいろご教授いただきました。
改めて御礼申し上げます。
さて、この複合回数による食味食感の試験(官能テスト)は手延べそうめん用小麦粉で平成5年にもやっており、「手打ちうどん用の高級粉」で手延べそうめんを作ると食感はどのようになるのかという研究であります。
手延べそうめん用小麦粉では、2回複合が多くの人に受け入れられておりました。
(注: 製麺における複合は単に合わせるというものではなく最大限正確に重ね合わせるということが大事である。)
この手打ちうどん用高級粉「白*粉」による官能試験は先生にお願いすると共に私も独自で18名に行いました。
 茹で方   先生と同様に同時に茹でました。
 茹で時間  3分
(結果)
     1,形状は軟化傾向を示し、べたついた感がある。
     2,硬さが小で柔らかく、歯ごたえに欠けた。
     3,軟化のため粘弾性がない。
     4,上記の結果、総合的に茹で延びの感を与え物足りない食感を呈した。
     5,どれが好みであるかという問いには「2回複合」が多かった。
     
茹で時間は30秒短い訳であるが同様の結果を得られた。
また「白*粉」と手延べそうめん用小麦粉で作った手延べそうめん(同時期製造のもの)を比較して、「白*粉」を用いて手延べそうめんを作るメリットは感じられなかった。
ただし、いくつか反省点がある。

 1,麺線が細すぎた。(30〜32番線程度であればもっと食感は変わったと推察される。)
 2,茹で時間が通常では2分程度であり、「白*粉」の性質を考え、
   1分程度にすべきだったのではないかと推察された。
 3,蛋白質の量が少ない訳で、そうめんにするには絶対量がたりないと推察され、
   うどんなど”ふともの”にはモチモチ感が出て食感がよくなるものと推察された。
最後に官能試験の結果を載せておきます。
それぞれ7段階に分類し、「4」を普通としました。
1,茹で麺の外観について

複合回数 黄色 やや黄色 普通 やや白色 白色
1   2   3   4   5   6   7
4.55
3.72
3.94
表面
複合回数 荒れている やや 普通 やや 滑らか
1   2   3   4   5   6   7
3.63
4.05
4.44
2,食感について
弾力
複合回数 小さい やや 普通 やや 大きい
1   2   3   4   5   6   7
4.44
4.33
4.44
固さ
複合回数 柔らかい やや 普通 やや 固い
1   2   3   4   5   6   7
5.22
4.22
3.94
滑らかさ
複合回数 ざらざら やや 普通 やや つるつる
1   2   3   4   5   6   7
3.77
4.05
4.5
粘り
複合回数 小さい やや 普通 やや 大きい
1   2   3   4   5   6   7
4.16
4.33
4.11
茹で麺の「表面」「滑らかさ」は複合回数の多いものほど滑らかであると出ている。
「弾力性」「粘り」については差は出ていない。
「色」「固さ」については検査結果に疑問を持つ。
この結果については官能試験について初めてで正確な判定ができなかったと思われる。
ただし、「食べてどれが美味しく感じましたか?」という問いには、はっきりとした数字が出たように思います。
どの順にうまいと感じましたか?
複合回数 一番うまいと感じた人数 2番目だと感じた人数 3番目だと感じた人数
4名 7名 7名
12名 5名 1名
2名 6名 10名
官能試験結果は別として、大半と言っていい人が「複合2回」のそうめんをうまいと感じており、反対に「複合3回」のそうめんは美味しくないと出ています。これは「手延べそうめん用粉」を用いて製麺したときと同じであった。
この結果からどのような種類の小麦粉を使おうとも「複合回数2回」が一番手延べそうめんを作るのに向いている製法であるといえる。
ただし、太さによって食感は変わるので注意してください。

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