禁煙外来のご案内  ひよしクリニック(山口県防府市)

  禁煙外来について(保険適用)

 はじめに  禁煙外来にかかる費用・料金
 タバコ1本の値段と価値  禁煙補助薬の比較
 たばこ税は安い? 高い?   チャンピックス(飲み薬)の薬価・特徴
 家計に与える経済効果   ニコチネル(貼り薬)の薬価・特徴
 喫煙による疾患死亡危険度の変化  喫煙本数と肺癌・虚血性心疾患
   タバコをやめると太る?

   平成18年4月1日からの診療報酬改定を受け、禁煙外来を設置される
   医療機関が増加しています。ここでは禁煙外来について基本的な項目をまとめて
   みました。禁煙外来では禁煙を目標とする方々に対して、積極的に医療サポートを
   行っていきます。

   健康増進や受動喫煙の問題、あるいはタバコの値上げ(増税)のために
   職場など数名のグループで受診を希望される方も増加しています。
   初診時には説明等で20~30分かかりますが、お時間のない場合には
   一般的な説明をグループで行うことも可能です(※ 診察は個別です)。



  はじめに
   病気・結婚・出産などの強いきっかけがあり、薬剤などの補助もなく禁煙ができる
   方もいらっしゃいますが、多くの喫煙者の方々は、自分の意思だけで禁煙することは
   大変難しいようです。健康に害があるとはわかっていてもやめられない、人間ならではの
   ジレンマがここにあります。

   喫煙者の大半は、何かのきっかけで一生涯のうちに何度か禁煙を志すことがあるそうです。
   しかし、一度どっぷりと喫煙の「うまさ」に浸かってしまうと、そう簡単には禁煙できない
   のが現状です。この原因には、タバコの持つ精神的依存性だけではなく、タバコに含まれて
   いるニコチンによる肉体的依存の影響があると考えられます。

   禁煙外来で処方される禁煙補助剤の1つは、このニコチンを含んだ製剤です。
   禁煙によって、体内のニコチンが急激に減少することで発生するイライラ感など、
   ニコチン依存による症状を抑えて、少しずつ補助剤を減量していくことでスムースに
   禁煙を達成することを目的として使用されます。現在では内服薬による「治療」も
   行われます。禁煙に失敗するのは、「意志の弱さ」がすべての原因とは限りません。

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  お尋ねします、タバコ1本の価値は・・・?
   タバコ1本の値段はいくらですか? 15~30円ぐらいでしょうか。
   それでは、1本の‘価値‘はいくらですか・・・?

   喫煙が健康に害を与えることは周知の事実であり、どなたでも良くご存知と思います。
   高血圧・各種癌・脳卒中による寝たきり、慢性閉塞性肺疾患などによる呼吸不全
   (いつも息が苦しくてならない)、狭心症・急性心筋梗塞による突然死など、妊婦さん
   の場合は胎児への影響と、例を挙げると推挙に暇がありませんが、ご本人がそれらの
   疾患のリスクを理解された上で喫煙を続けることは個人の自由ですから、無理に止める
   ことは必要ありません。

    ただし、喫煙で悪くなった健康を治療で完全にもどして欲しい、とのご要望には
    お答えすることはできませんし、高血圧などを平行して治療されていたとしても
    喫煙により合併症を生じる危険性があります(それまでの治療の意義がなくなって
    しまう可能性があります)。

   注意しなくてはならないのは、非喫煙者にとっては周囲でタバコを吸って欲しくないと
   いう嫌煙権のみならず、周囲でタバコを吸われること(受動喫煙)による健康被害から
   自分を守る権利があるということです。肺癌などについても、ご本人がまったくタバコを
   吸ったことがないのに癌になってしまった、もしかしたら家族がずっと吸っていたから
   かもしれない・・・、という方も増加しています。

   このようなことを考えていくと、タバコというのは健康に与える被害、関連疾患にかかる
   医療費、労働力を割かれることでの損失など、単に購入した値段だけで1本いくらですと
   言うことは難しいのではないでしょうか?

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  たばこ税が廃止されると、税金が上がる?
   海外ではタバコ1箱が1,000円ぐらいという国もあります。日本でも、たばこ税を
   めぐっては、医療費高騰の一因であるので増税すべき、あるいは、喫煙者だけが
   負担を強いられるのか、といった論議があります。
   すこし古いのですが、データを1つご紹介します。

  喫煙による経済的損失(厚生科学審議会などのデータを参照、平成14~15年の推定)
   (※ 算出法によって数値は異なりますので、1つの説としてお考えください。)
   喫煙をしなければ必要でない医療費の年間総額(超過医療費と呼びます)が
   約1兆3000億円、喫煙による通院・入院・死亡などによる労働力の損失額は
   約5兆8000億円とされる統計があります。タバコによる税金収入が
   約2兆2800億円ですから、差し引き約4兆8200億円が国民負担となります。
   人口を約1億2000万人として単純に計算すると、喫煙者・非喫煙者に関わらず
   国民1人あたり年間約4万円の喫煙による負担が生じていることになります。

   更に考えていただきたいのですが、喫煙者の方は喫煙によって生じた病気の医療費
  (自己負担分)も発生します。ご自身が健康を損ねるだけでなく、入院・後遺障害の
   残った場合など、家族へも負担がかかることを忘れてはいけません。
   たばこ税、安いと思うか高いと思うか、感じ方は人それぞれかもしれませんが・・・
   それでもタバコを吸いたいと思いますか? 家計に与える経済効果もご覧ください。

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  タバコをためると太る?
   多くの方が気になさるのがこの問題です。タバコをやめると太りますか・・・?
   答えは「はい」です。担当している患者さんからも、多くの方が数か月で2~3kg
   ぐらい体重が増えたという声がありました(もちろん、体重が変わらない、あるいは
   反対にやせました、という方もいらっしゃいます)。ただし、禁煙によって代謝が
   改善されることもあってか、食事・運動などに注意することで、半年から一年内に
   減量に成功されることも多いです。

   タバコをやめたことで「太る(かもしれない)」、「喫煙による健康への影響」、
   どちらを優先すべきかということについては、このページをご覧になって
   いらっしゃるほとんどの方は、後者の重要性をすでにご理解いただいているのでは
   ないでしょうか。また、
   「タバコによって、これまでの体重は無理に抑えられていただけ。禁煙した
    ことで本来の体重になった。」
   と考えるのは行きすぎでしょうか・・・?

   どうしてもご心配な場合には、同時に担当していますダイエット外来で食事療法などを
   並行して行うことも可能です(禁煙外来と同時にダイエット外来の診療を行う場合、
   薬剤を用いる場合の処方料はかかりますが、診察料は禁煙外来の料金だけです)。

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  禁煙外来にかかる具体的な費用・料金(医療費)

   平成18年4月より生活習慣病の重症化予防にかかる評価の見直しの1つとして、
   ニコチン依存症管理に関する項目が新設されました。禁煙を目指す方へのサポートを
   行うことで、将来的な喫煙関連疾患の予防・ひいては医療費の抑制につながることが
   考えられています。

   3割負担額の治療費の目安は、15,740円(8週間)~21,130円(12週間)です。
   (以下に詳細を示します)

   また、よくある誤解ですが、禁煙外来では受診回数が5回分のみ保険適応となる
   のではありません。禁煙指導料が発生するのが5回まで、ということであって
   初診から12週間までであれば、6回目からは一般的な再診扱いでの保険診療と
   なります。受診回数が多いほど禁煙成功率も高まるというデータもありますし、
   内服・貼付のいずれかの薬剤を用いて副作用などで継続が困難な場合には、
   もう一方へ変更することも可能です。禁煙を継続することが不安な場合には、
   何度でも担当医に相談することも成功率を高めるポイントです。


   ちなみに、タバコ1箱を300円として、1日20本(1箱)吸う人のタバコ代は
     8週間で・・・16,800円
     12週間で・・・25,200円

   もうじき、タバコの値段も更に上がるとか・・・禁煙を始めるなら、早いに越したことは
   ありません。

    以下の表は禁煙外来で禁煙治療を行った場合にかかる医療費の目安です。
    1回ごとの受診料はこちらを参考にしてください。
     (内服薬:チャンピックス    貼付薬:ニコチネルTTS
    なお、2週間毎に受診(最も費用がかかる場合)をした場合を示していますので、
    実際にはこれよりも安くなることもあります。薬剤の処方については、
    最長期間(※)使用した場合と仮定しています。(医療従事者向けの詳細

    ※ 薬剤の最長投与期間は、ニコチネルTTSは10週間、チャンピックスは12週間です。
     体調や禁煙の状況によって、投与期間を短縮することや、薬剤の量を加減することが
     あります。

      禁煙指導料:保険制度上の正式名称は「ニコチン依存症管理料」といいます。
            計画的に禁煙を指導し、禁煙指導の一環として呼気中一酸化炭素濃度を
            測定、当該医療機関での禁煙達成率をまとめることなど、一定の条件を
            満たす場合に算定することになっています。

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内服薬(チャンピックス錠)と貼付薬(ニコチネルTTS)の比較
  禁煙開始時期 標準治療期間  料金   成功率 特徴的な副作用 
 ニコチネルTTS
(貼り薬)
処方開始日 8週間 12,150円 2倍 皮膚のかぶれ
 チャンピックス
(飲み薬)
8日目~
(1週間の猶予期間)
 12週間 18,190円 3倍 自殺企図
(特徴を参照)
  結論から言えば、一概にどちらの薬剤が優れているということはできません。
  一般的には、「薬剤を使用せずに禁煙を目指す場合」と、それぞれの薬剤を使用する場合を
  比較すると、貼付薬は成功率を2倍に、内服薬は3倍程度に引き上げると言われています。
  成功率だけに着目すると、内服薬のほうが優れているようにも思われますが、内服薬は
  治療期間も長く、必然的に受診回数も多くなることから、禁煙指導(禁煙の監視)によって
  成功率が上昇しているという可能性もあります。

  なお、禁煙の成績は病院ごとに異なりますが、当科では初診時に同意を得たうえで
  診療開始から6ヶ月後、12ヶ月後に電話あるいは葉書によって調査を行っています。

  それぞれの薬剤の特徴(イメージを理解していただくための私見です)
   チャンピックス(内服薬・のみぐすり)
   ニコチネルTTS(貼付薬・はりぐすり)

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 内服薬を用いた場合(チャンピックス錠:ファイザー製薬)
  12週間の標準治療、3割負担額の場合の合計金額・・・・・・18,190円
受診回数
・投薬日数
受診時期 外来受診料
禁煙指導料
合計(3割負担額)
薬剤(院外処方)
(3割負担額)
受診ごとの小計
(3割負担額)
初回
(14日分)
1日目
(第1週)
1,700円 1,900円 3,600円
2回目
(14日分)
15日目
(第3週)
1,120円 2,450円 3,570円
3回目
(28日分)
29日目
(第5週)
1,120円 4,480円 5,600円
4回目
(28日分)
57日目
(第9週)
570円 4,480円 5,050円
5回目
(確認のみ)
85日目
(第13週)
370円 370円
負担額小計 
4,880円 13,310円 合計
18,190円
 チャンピックスの特徴
  ニコチンを含まないが、脳のタバコ(ニコチン)を感受する受容体に結合し、常にタバコを
  吸っているという感覚にすることができる医薬品。服用開始後、およそ1週間で効果が出現。
  この状態でタバコを吸うと「マズイ(おいしくない)」

  効果が表れるまで時間がかかるため、実際の禁煙開始まで1週間の猶予期間がある。
  不整脈を含む心臓疾患の持病がある場合には服用に注意が必要。
  また、うつ傾向のある人では「死にたい」という気持ちになることがあるので注意(自殺企図)。
  標準的な治療期間は12週間と、貼付薬よりやや長く、治療費もやや高くなるが、タバコを
  購入し続けるよりは安い。
  また、服用中に交通事故を起こした例のあることから、原則として車の運転は避けなければ
  ならない。


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 貼付薬を用いた場合(ニコチネルTTS:ノバルティス)
  8週間の標準治療、3割負担額の場合の合計金額・・・・・・12,150円
  (貼付薬の処方可能な期間は10週間までです。)
受診回数
・投薬日数
受診時期 外来受診料
禁煙指導料
合計(3割負担額)
薬剤(院外処方)
(3割負担額)
受診ごとの小計
(3割負担額)
初回
(14日分)
1日目
(第1週)
1,700円 1,940円 3,640円
2回目
(14日分)
15日目
(第3週)
1,120円 1,940円 3,060円
3回目
(28日分)
29日目
(第5週)
1,120円 3,590円 4,710円
4回目
(確認・追加)
57日目
(第9週)
570円 追加薬要否 370円±α
5回目
(確認のみ)
85日目
(第13週)
370円 370円
負担額小計 
4,880円 7,470円 合計(標準治療)
12,150円
 ニコチネルTTSの特徴
  ニコチンを外部から補うことで、タバコへの欲求を減弱する(ニコチン代替療法・
  ニコチン置換療法とも呼ばれる)。数週間単位で徐々に減量し、最終的には
  「ニコチネルを使用しなくとも、喫煙したいと思わない」ことがゴール。
  1日1回貼り替えることで体内のニコチンを一定の濃度に保つことができる。
  ニコチンガムのような即効性はない。

  タバコが200~300種以上の有害物質を含むといわれるのに対して、ニコチネルは
  その中のニコチンのみしか含んでいないということが、タバコとの違い。
  (正確には、ニコチン1種類と、体に貼りつけるための「のり」の成分)。

  使用直後から禁煙を開始する必要がある(この薬剤を使用しつつ、喫煙した場合には
  体内のニコチンの不必要な上昇によって、狭心症・心筋梗塞を併発する危険性がある。)
  (30)、(20)、(10)の3つの大きさがあり、徐々に減量する。
  (30)の製剤が、生体にとってタバコ20本分のニコチン量に相当する(52.5mg)とされる。
    → ニコチン量は、箱に記載してある数値ではなく、生体への影響。
  上半身に貼るため、汗をかく部位ではかぶれることもしばしば。
  この場合のかぶれは、接触性皮膚炎であることが多く、予防策としては貼付部位を1日毎に
  変更すること(その他の有効な方法は少ない)。時に便秘などの消化管への影響もみられる。

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  家計に与える経済効果
   薬剤についても保険が適用されたため、禁煙外来にかかる医療費は以前と比較して
   自己負担額は半分以下となりました。それでも高いことには変わりありませんが、
   喫煙を継続する場合にかかる費用と比べると、いかがでしょうか?

    例:1日20本喫煙をされる場合:1箱300円で計算
      1年間禁煙が守れた場合は・・・? 
       300円×1年間(365日)=年間109,500円の節約
                +将来の合併症にかかる超過医療費の節約
               +喫煙関連疾患による家族へかかる介護負担の減少

                     →プライスレス

     所得税や保険料をひかれた後、税抜き後の所得(毎月のお小遣い)からタバコを
     購入していると考えると、300円のタバコを買うためには、300円分の労働では
     足りません。単純計算するとタバコ代だけで10年間で100万円、何日分の労働に
     あたるでしょう? まして、たばこ税が更に高くなると・・・顔をそむけずに
     考えてみましょう。まずはご自身でも禁煙する努力を・・・!

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         喫煙による疾患死亡危険度の変化
    (平山 雄先生著「治療」「最新医学」などの医学雑誌より)

       非喫煙者の危険性を1としたときに、タバコを吸う人では・・・
       (2倍以上の危険性がある場合を赤字で表しています。)

         頭・頸部疾患
          くも膜下出血   1.8倍
          口腔・咽頭癌   3.0倍
          喉頭癌     32.5倍
          食道癌      2.2倍

         胸部疾患
          COPD       2.2倍・・・COPDとは?
          (肺気腫・慢性気管支炎)
          肺癌       4.5倍
          虚血性心疾患   1.7倍
          (狭心症・心筋梗塞)

         腹部疾患
          胃潰瘍      1.9倍
          胃癌       1.4倍
          肝臓癌      3.1倍
          膵臓癌(すいぞう)1.6倍
          膀胱癌(ぼうこう)1.6倍

         女性
          子宮癌      1.6倍


    ちなみに、夫が1日20本以上喫煙するときの妻が肺癌により死亡する危険性は・・・

           1.91倍(夫が非喫煙者である場合を1.0とした時)





      喫煙本数別にみた肺癌による死亡危険度(本数は1日あたり)
        非喫煙者       1.0倍(基準)
        時々喫煙       1.8倍
          1~9本     2.2倍
        10~14本     3.7倍
        15~19本     4.8倍
        20~29本     4.9倍
        30~39本     6.1倍
        40~49本     7.4倍
        50本以上      15.3倍

      禁煙後の年数と肺癌による死亡率の変化
        非喫煙者       1.0倍(基準)
        毎日喫煙       4.5倍
        禁煙4年以下     2.0倍
          5~9年     1.6倍
          10年以上    1.4倍

      禁煙期間の長いほど、肺がんの死亡率が低下します。



      喫煙本数別にみた虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)による死亡危険度(本数は1日あたり)
        非喫煙者       1.0倍(基準)
        時々喫煙       1.3倍
        以前喫煙       1.4倍
         1~14本     1.6倍
        15~24本     1.8倍
        25~49本     2.1倍
        50本以上      3.0倍

      禁煙後の年数と虚血性心疾患による死亡率の変化
        非喫煙者       1.00倍(基準)
        毎日喫煙       1.76倍
        禁煙1~4年     1.47倍
          5年以上     1.31倍


      虚血性心疾患も肺癌と同様に、禁煙によって死亡率が少しずつ低下します。


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2012.1.11 update
                  ひよしクリニック(山口県防府市)
筆者:白鯨の健康日記 吉國友和