『子猫をお願い』 監督 チョン・ジェウン 2004年



涙がこぼれる映画がある

涙があふれる映画がある

涙がとまらぬ映画がある



卒業という名目で

学校を放り出された


子猫と携帯でつながる五人は

それぞれの道を

あてもなく歩む


家庭に、職場に、社会に、

居場所がみつからない


心に芽生える狂気は

ナイフのように鈍く

自分の心をえぐる


吹きつける風は強く、冷たい


疾走する乗り物は

どこかへ連れて行ってくれそうだ


バスの窓には

錆びた工場、どこまでも続く電線、赤に染まる夕空

街は人であふれ

夜に瞬くビルのネオンが囁きかける


ふとした瞬間

暗闇につつまれる

そんなとき

友人とつながるメールの文字に

ほっとする


小さな光


時は誰も待たず、ただ流れる

変わるもの

そして

変わらないもの


心の中をみつめたとき


引きずり続けた足かせに

精一杯の

別れを告げて


新たな一歩を

歩んでみる

 

text by 山崎慎介

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