『花とアリス』 監督 岩井俊二 2004年


 『リリィシュシュのすべて』の、青く茂る田んぼの中に主人公がたたずむワンシーンで心をわしづかみにされたものからしてみれば、少女二人の妄想物語にはじめは軽い眩暈がおきそうだったが、そのノリになれて物語に身を任せられるようになったら、最後にこれぞ岩井という圧巻のシーンに出会えた。

 そのシーンとは蒼井優のバレエシーンなのだが、制服に紙コップで作ったトゥシューズで踊る姿にひやひやしたものを感じるのもつかのま、そのあまりの美しさ、彼女を包み込む光のやわらかさ、なによりもバレエを踊る蒼井の表情とその身体から発せられる清らかなオーラが心の中まで浸透し、その瞬間、その光景を目の当たりにできた幸せに身を震わせる自分がいたのだ。そして、こんなシーンを撮影することのできる岩井にちょっぴり嫉妬するのだった。

text by 山崎慎介

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