実験動物学

動物実験の定義…科学上の目的に動物を供すること。動物から生物情報を入手する手続き。目的として、動物からの良質な生物情報の入手→いつでもどこでも同じ結果が得られることが基本。そのためには、処置しやすく、観察しやすく、解析しやすい、できるだけ単純な実験系(ラットなど)が理想である。

動物実験の根拠…なぜ同種動物からの情報を最上としないのか?

地球上に存在している生物は、おそらく共通の祖先から分化したものであるから、全ての生物種には共通性があり、そのことが動物実験が成立する理由である。

R=A+B+C+D+E

R=生物反応、B=種差、C=個体差、D=環境の影響、E=実験誤差

ヒトとマウスの遺伝子は85%も同じであるので、種差を無視出来ることも少なくない。

個体差は実験動物遺伝学、環境については実験動物環境生理学、実験誤差については動物実験技術の主題である。

動物実験の最終目的は、動物実験のデータからヒトのデータを外挿することである。精度や再現性の高い動物実験のためには、厳しい遺伝統御と微生物を含む環境制御が必要である。

実験動物学は、遺伝的に適正な実験動物を維持、生産する実験動物育種学、疾患などのない健康な実験動物を維持するための実験動物衛生学、実験動物を適正な環境で扱う実験動物生態学、ヒトを含む実験動物の特性を明らかにする比較生物学と各種実験動物の技術開発により構成されている。

 

適正な動物実験とは?

研究目的、意義が明確であり、かつ普遍性に富む実験であることが要求される。これらに加えて、動物実験には動物福祉への配慮が求められるのである。その配慮には4Rと呼ばれるものがある。

ReductionReplacementRefinementResponsibility

 

第三章

 

種とは?

互いに交配可能でかつ繁殖能力のある子孫を作り得る同じ種類の動物全てを指す。

品種とは?

種の中の小分類であるが、生物分類学上での単位ではなく、家畜において、産業上の必要から生まれた便宜的な分類である。

系統…計画的な交配によって維持されている、元祖の明らかな動物群。何らかの特徴を備えている。

近交系…近親交配を20世代以上にわたって続けられた系統のこと。一般には兄妹交配(親子交配でもよい)で行われる。20世代目で血縁関係は99.6%ととなり、クローン動物として考えることができる。突然変異と人為的交配ミスにより近交系は保てなくなる。

リコンビナント近交系…相互に血縁関係のない2つの近交系の交配によって得られたF2の中で雌雄の交配の組をいくつか作り、以後はそれぞれ独立に近親交配を20世代以上継続することによって育成された一群の系統である。

セグリゲイティング近交系…特定の遺伝子座のみを強制的にヘテロに保ちながら近親交配を継続することにより育成された系統。

コアイソジェニック近交系…既存の近交系において起こった突然変異保持する為に、元の系統から分系して維持される系統。

    コンジェニック系…突然変異遺伝子を持つ動物を、既存の近交系と交配することにより、突然変異遺伝子以外の遺伝子組成を既存の近交系と同一にさせた系統。

    クローズドコロニー…5年以上外部からの種動物を導入すること無く、一定の集団内で繁殖を続ける群の事である。近交系と非近交系の二種に区別される。

ミュータント系…遺伝性の異常な形質をもつ系統のことである。多くのものは近交系として育成されるか、または既存の近交系にミュータント遺伝子を導入したコンジェニック系として育成されていることが多い。

クローン動物…一個体から無性生殖によって生じた個体群。すべての個体、あるいは細胞の遺伝子型が同じである。

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