先物市場の怪−単なる博打なら閉鎖してしまえ− 
(2008/09/24)


【要旨】「金融工学」はコンピューターを使用した新種の博打である

 世界中が原油高で、単にガソリンだけでなく石油を使って工場を動かして作るもの(イコールほとんどのもの)が値上がりして、世界中が困っている。 

 BRICsと呼ばれる新興国の需要拡大による部分もあるが、3分の2は「先物市場に投機マネー」が流入したことによる、実体のない相場高騰だそうだ。

 アメリカはどうか知らないが、日本では公営で認められている博打は、競馬・競輪・競艇・オート(2輪)ぐらいである。パチンコは認められていないが警察が天下り先として目こぼししている。それ以外は「裏カジノ」などと呼ばれ、よく摘発されている。

 日本にも「株式市場」「外国為替市場」「先物市場」などがあるにはあるがそれぞれ事情は異なる。「株式市場」は現実に「株式会社東京証券取引所」というところがあってここで実際に株が売買されている。投機だろうがなんだろうが、ここで株式を買った人は売らない限り実際に株主になって、「株券」を引き取るのである。(もちろん今は「株主リスト」上だけの話であるが、ちゃんと株主優待券も株式総会の案内も届く)

 外国為替市場には東京証券取引所のような現実の機関はない。国内に無数にある金融機関が現実に為替を売買しており、その総体を「市場」と呼んでいる。そこには投機マネーもあるが、実際に輸入のために外国為替(例えばドル)が必要な会社が為替を引き取って、(もちろん紙幣ではない、口座に記入されるコンピュータ上の数字である)貿易相手先に「支払」を行うのである。

 商品先物市場は全くの仮想市場である。反対語は「現物取引」である。スパゲティの会社が小麦粉を買う、のが現物取引である。なぜ先物市場があるかというと、本来はリスクヘッジのために開設された。小麦やとうもろこしのように、天候に左右されるものを実際に商品作りに使用する企業が、価格安定のために先物を売買するのである。仮想の売買であるから損得はゼロサムである。お金に余裕のある人(機関)が現実に必要な企業なために保険会社の役割をするわけである。うまく取引をすれば保険を受ける側は儲けることができる。現物を必要とするXX製粉とか、YY食品は、安定した価格で製品を作ることができる。(保険を受ける側が得するということは、現物を売買する側はもっと安く替えたのに高く買ってしまったということになるが、逆のことを考えればそれで良しとするわけである。これをリスクヘッジ(危険の回避)という)

 かつてJALがドルが170円の頃に10年も先物予約して、実際にはその後円高が進みドルが安くなったので、航空燃料を買うためのドルで大損をしたのは有名な話である。1ドルを120円で替えるときにも、1ドルを170円で買っていたということは1ドルにつき50円も余分に払っていたという事である。1-2年程度の先物なら「ヨミがはずれましたごめんなさい」で済むかもしれないが、10年予約してしまったというのは、経営上の危機管理がまるで機能していなかった、または経営陣がよほどの馬鹿ということである。

 さて石油先物である。これも全くの仮想の市場である。どうなるかわからないものに投機するのだから、要は博打・賭博である。博打もやくざがやれば摘発の対象だが、東大を出た金融機関の皆さんがやる分には摘発の対象ではないらしい。花札やサイコロを使ったわかりやすいものではなく、「デリバティブ」「金融工学」を使って目に見えないコンピュータの中でやるからわかりにくいだけで、やっていることは煎じ詰めれば丁半博打となんら変わらない。こんなものを行政が放任しておくから、「石油相場」が高騰して世界中が迷惑をするのである。もちろんゼロサムであるから、設けたやつもいる。「金融機関」のやくざみたいな「ファンド」とかいう連中であろう。ファンドがいかにあだ花みたいな、浮世離れしたモノであるかは、日本の皆さんはムラカミ・ホリエモンで十分学習したはずである。

 先物市場などというものを博打・賭博として「禁止」してしまえば、仮に3分の2が投機マネーによる高騰であるならば、120ドルの原油も半分くらいの値段にはなるはずである。現物取引だけを容認して、先物を買った人は本当にドラム缶を倉庫に抱えなければいけないことにすれば、「投機マネーによる相場の高騰」なんてなくなるんじゃないか。あるいは、商社や製造業のみに資格を与えて、実業を伴わないファンドの投機を禁止してはどうか。保険は保険として別立てにすればよい。実需以上の投機は起こらなくなるのではないか。

 エリートが勝手に作った仮想市場の博打が取り締まられないのはなぜか、不思議に思うのである。
 



yusei.jpg
表紙へ

新たな疑問はこちらへ
Counter