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Tenor-Stick とフロロカーボン
Worth Stringsのテナー弦を張ってみました


1 はじめに

Tenor-Stickは、テナースケールの弦長を持ち、高性能なピックアップを装備した、本格的エレキウクレレです。
オリジナルのghsのテナー弦とのマッチングも良く、きれいに鳴ってくれます。
ただ、この弦は3弦にアルミの巻弦が使われています。
低い音を出すには、弦を太くしないといけません。しかし、弦が太くなるとピッチが悪くなるので、細いナイロン弦に金属の素線を巻き付けて、単位質量を稼ぐ必要があります。これが、巻弦を用いる理由です。

巻弦は、弦の上で指を滑らすとノイズが発生し、また、長く使っているとフレットに当たる部分が摩耗して素線が切れてしまうなど、不都合な点があります。

そこで、ワースクリエーションのフロロカーボン弦をTenor-Stickに張ってみました。
今回、選びましたのは、新製品のWorth Strings Tenor弦(型番CT)です。


2 Worth Strings Tenor弦

ご存じのようにWorth Stringsの弦は全てフロロカーボン製です。フロロカーボンはナイロンより比重が重く(ナイロン:1.16、フロロ:1.78)、ナイロン弦より細いゲージで同じ音程を出すことが可能になりました。
このため、通常は巻弦を使用する3弦も、プレーンの弦になっています。

 

Worth Strings Tenor弦の仕様

弦長

1弦 2弦 3弦 4弦
160cm 0.57mm 0.66mm 0.74mm 0.62mm

63 inch

0.0224 inch 0.0260 inch 0.0291 inch 0.0244 inch

一番太い3弦ですら、ghsテナー弦の1弦とほぼ同じ太さです。
また、嬉しいことに弦長が160cmもあります。
Tenor-Stickは、ヘッドのない特殊な構造であるため、余裕を持って張るには第1弦は80cmほど必要になります。
Worth Stringsなら、2本分が十分に取れます。

3 Worth Strings と ghs の比較

それぞれの弦の開放弦(GCEA)を弾き、Tenor-Stickの出力端子からパソコンへ音を取り込み、分析してみました。 




左側がWorth Strings弦、右側がghs弦、上から1弦、2弦、3弦、4弦の周波数分析結果です。

左右を見比べてみると、ほとんど同じです
はじめは、分析するデータを間違えたのではないかと思いました。

そこで、一番音程の高い1弦のデータを重ね合わせてみました。

青色がWorth Strings弦、灰色がghs弦です。どちらとも、倍音がきれいに出ており、また、各倍音ごとのレベルもほぼ同じ強さです。
これだと、全く同じ音と言ってよいでしょう。

次に、一番音程の低い3弦のデータを重ね合わせてみました。Worth Strings弦フロロカーボン、ghs弦は金属巻弦ですから、今度は差が見つかるでしょう。

あきれたことに、今度も倍音のピークがピタリと合います。同じ音です。
と、いうことは、Tenor-Stickには、どんな弦を張っても同じ音が出るのではないだろうか!
という仮説が成り立ちます。

しかし、実際に聞いてみると音には差があります。
それでは、なんでだろ〜?

で、思いついたのが、「音の時間的変化はどうなっているのだろうか?」でした。
両弦の1弦の音を0.50秒ごとずらして計測してみました。









両方の弦とも、高い成分から先に減衰していきますが、ghs弦の方が若干はやく減衰しています。

今回の実験では、客観的な差を見つけることが難しかったです。これは、Tenor-Stickのピックアップが優秀で、倍音をもれなく拾っているからです。

これが、ボディのあるウクレレですと、ボディの木材が弦の振動に共鳴する部分と吸収する部分が出てきますので、そのウクレレ独特の音色が生まれます。

Pupukeaのテナーウクレレに、Worth Stringsのテナー弦を張ってみましたので、その音のデータをご覧ください。


1弦の音を対比してみました。
通常のテナーウクレレである左側のPupukeaの倍音は、10KHz以上が出ていません。
反面、第3次の倍音は、Tenor-Stickよりはるかに多く出ています。
これが、ウクレレの個性だと思います。

左右のデータを重ね合わせてみました。

両者とも、倍音が一致しています。しかし、第3次倍音以外は、すべて、青のTenor-Stickの方がレベルが高くなっています。

実際に聞いた感じでは、Pupukeaテナーの方が落ち着いた音で鳴ります。


4 実際に弾いてみて

上で述べましたように、音に関して、Worth Strings弦とghs弦の根本的な差はありませんでした。これは、ピックアップの性能によるところが大きいと思います。
若干、Worth Strings弦の方が派手な音です。

弾きやすさに関しては、Worth Strings弦はゲージが細いので非常に押さえやすく、セーハも楽にできます。
しかも、テンションはghs弦とほとんど差がなく、しっかりとした手応えを得られます。

最後にWorth Strings弦による、サンプルをお聞きください。

Worth Strings弦(MP3、93K)   ghs弦(MP3、53K)


5 おわりに

Worth Strings弦にした、もう一つの効果は、なんと、アンプを通さなくても、鳴るようになったことです。

サイレントとはいえ、ある程度の音で鳴ってくれませんとつまらないです。フロロカーボンの強力な音は、Tenor-Stickのソリッドのボディを強引に鳴らしてくれます。

Uke-Stickには、同じくWorth Stringsのハード弦を張っています。ハードはミディアムと同じ太さで、テンションがより強い弦です。こちらも相性が抜群です。

今回もテナー弦とハード弦では、ワースクリエーションの高橋さんに、大変お世話になりました。ありがとうございます。

【参考HP】 


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