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M’s CRAFT訪問記


1 はじめに

私が住んでいます、埼玉県西部に位置する飯能市は、江戸時代から続く西川林業地域の中心地であり、現在も林業や製材業が盛んに行われています。
そんな、林業と木材の街、飯能市に素晴らしいウクレレ工房があります。
それが、M’s CRAFTです。ここで、ウクレレを製作されているのが、森 孝之さんです。


森さんとの出会いは、1枚の新聞の折り込み広告でした。
「ウクレレ教室 初心者歓迎」
というチラシを見て、すぐに連絡をとり、教室へ出かけました。

教室に入ると、髭の長髪の優しそうな紳士が出迎えてくれました。
最初のレッスンの時、生徒は私だけだったので、二人で色々とウクレレの話をしていくうちに、森さんが、ウクレレ製作者であることが分かりました。


それまで、飯能市はウクレレとは無縁の辺境の地だと思っておりましたので、こんな近くに、プロのウクレレ製作者の方がいらっしゃるとは驚きでした。
それでは、M’s CRAFTの訪問記をお楽しみください。

2 工房の様子

飯能市の中心街から少し離れた閑静な住宅街の中に工房があります。
到着すると、森さんが笑顔で出迎えてくれました。

大きな機械類が庭の物置の中に置いてあります。

奥に見えるのが14インチ・バンドソー、大きな袋がついているのが集塵機、手前に見えるのが、16インチベルト・9インチディスクサンダーです。材のカットなどはここで行われます。
住宅地の中なので、夜や休日は大きな音が出せないそうです。

それでは、お宅へ上がらせていただきましょう。

最初に目に飛び込んできたのが、大量の木材のストックです。
中央部下の方に丸い円盤が見えますが、温湿度計です。やはり、温度・湿度の管理は大切ですね。

木材のストックの横にはKENWOODのハイコンポが置いてあります。
スピーカーからは、心地よいハワイアンの曲が流れてきます。
木材に音楽を聴かせてあげると、良い音のウクレレになるそうです。

それでは、反対側へ目を移しましょう。

窓際の明るいデスクには、塗料類が置いてあります。
森さんのウクレレは、すべて透明感あふれる高級ラッカー塗装です。
塗装作業は、晴れた日に外で行うそうです。

次に。目線を部屋中央に移します。

部屋の中央には作業台があり、現在、制作中のバリバリのカーリー・コアのボディが置いてあります。塗装前のスッピンですが、このコアの輝きはどうでしょうか!!
コアのグレードは最高級のAAAA(マスターグレード)です。
きれいに塗装されるとどんな模様が浮かび上がるのか、楽しみですね。

このボディを持つと、スピーカーの音を聴いて、心地よく振動しています。
ボディをひっくり返すと、見事な貝のインレイが施されています。

ハイ。メキシコ貝でshinfujiと刻み込まれています。私がオーダーしたウクレレでした(^^)
森さんの製作されるウクレレの特徴のひとつが、この見事な貝細工です。
普通は、薄く削った貝が使われますが、森さんは1.5mm厚の貝を使用されています。
ですから、輝きの深みが全く違います。

数種類の貝を使った、ハワイの動植物のインレイが森さんの最も得意とするところで、今までの作品も、オリジナリティーあふれるデザインとなっています。
私のオーダーしたウクレレにも、ビックリするような素晴らしいインレイが入っていますが、少しだけお見せしましょうか。



海中を気持ちよく泳ぐ人魚です。
完成しましたら、大きな画像でご紹介しますね。
3種類の貝を使用して、すべて、森さんが削りだした作品です。

おまけに、もうひとつご覧いただきましょう。

ネックです。
ヘッドの穴の部分に、4連のゴールドのマシーンヘッドが装備される予定です。

ネックの握りは、私の手の大きさに合わせて削っていただいています。ですから、演奏が上手くなるでしょう(たぶん^^)。
長さも、私の手に合わせた、特殊サイズでお願いしました。


続いて、部屋の奥へ目を移します。

こちらは、非売品です。
一番手前が、森さんがご子息のために製作されたカッタウェイ・テナーです。
次が、ロングネック・コンサートで、ウクレレ教室でよく使われています。

森さんのウクレレの特徴は、弾き込むほどに音が良くなります。
ボディを薄く作れば、誰が作ってもイヤでも鳴ります。しかし、それでは強度に心配があり、オーダーウクレレというものは、一生付き合っていくウクレレですから、ある程度の厚みをもたせ、強度を確保しています。
現に、この2本は、1年前に弾かせていただいた時と比べると、グンと音の深みが増してきています。

3番目のウクレレは、森さんがハワイでの修行時代に作られたファースト・ウクレレです。
4番目のウクレレは、森さんのウクレレの正規代理店である、大阪のOhanaさんのオーナーの方が作られたのをいただいたそうです。


3 森孝之さんのウクレレ製作の歴史

森さんは、もともとは、ウクレレとは全く関係ない、アパレルメーカーのサラリーマンでした。
ハワイアンは昔から好きだったのですが、会社を辞められる1年前にウクレレと出会い、趣味としてウクレレを弾いていました。
最初のウクレレが、アストリアスで、IWAOさんのウクレレ教室に入りました。
ですから、とても良いウクレレとの出会いだったと思います。

その後、趣味を仕事とするために、24年間勤められた会社を2001年に退社し、ウクレレ作りを始めようとしました。ウクレレ作りの経験がないため、最初に、個人でウクレレを製作されている方を訪ねて意見を伺ったところ、「大変だからやめた方がいいよ」とアドバイスを受けました。
しかし、会社は辞めているし、ウクレレ作りをマスターしないと、生きていけません。そこで、人づてでハワイでウクレレを作っている大工さんを紹介してもらい、単身、ハワイへ飛び、1ヶ月間ウクレレ作りの基礎を学びました。ここで作ったのが、上で紹介しました、ファースト・ウクレレです。

帰国後、ウクレレ製作を開始しましたが、どうしても思うような音が出ません。
そんな折り、ハワイの新進気鋭のウクレレメーカーの社長が日本でワークショップを開くことを知りました。知人を通じて社長と面会することがかない、工場見学に行くことの承諾をもらい、再び単身、ハワイへ飛びました。

ハワイでの工場見学が終わった後、「1ヶ月タダでいいから働かせてくれ」と熱心に頼んだところ、社長は森さんの熱心さにほだされて、1ヶ月間の修行を許してくれました。
最初は、ドット打ちばかりをしていましたが、そのうち、ライニング貼りへと仕事が変わりました。
ある日、きちんとした仕事が認められ、「終業後にウクレレを1台作ってみるか」と声を掛けられました。

その後、帰国し、自宅でM’s CRAFTを始めたのが2002年のことです。それ以降、様々なウクレレを製作され、私のオーダーがちょうど29本目になります。
また、2004年6月に、ギターのメジャー誌であるアコースティック・ギター・ブック19号(シンコー・ ミュージック・ムック)の「個人製作家が作るカスタム・ウクレレの世界」にM’s CRAFTが紹介されました。
ここには、5人の著名なウクレレ製作者が紹介されています。SHIMO GUITARSの志茂崇弘氏、アオキギター工房の青木薫氏、SONGBIRD GUITAR WORKSHOPの遠藤雅美氏、夢弦堂の西貝清氏、そして、M’s CRAFTの森孝之氏です。

M’s CRAFTのウクレレのブランド名はKai(海)です。オアフ島にLani kaiと呼ばれる所があり、天国の海と言う意味があります。言葉に言い表せないほど素敵なところだそうです。そこから、Kaiブランド名をつけたそうです。

森さんの作るウクレレは、ハワイを感じさせるウクレレです。メイドイン・ジャパンですが、ハワイの風を感じます。そんな、ハワイアン・テイストあふれる世界で1本だけのウクレレを製作しています。


4 オーダーの仕方

私は幸運なことに近所に住んでいるので、直接お会いして、「こんなウクレレが欲しのです」と伝えましたが、メールだけのやり取りでオーダーされる方も多いそうです。
森さんのホームページは、

です。このサイトには、森さんが今まで製作された、主なウクレレの画像があります。
また、オーダーウクレレはとても高いのではないだろうかという心配がありますが、森さんのウクレレは、非常に分かりやすい料金設定になっています。

基本は、スタンダ−ドのオ−ルマホガニ−製で9万円です(2004年10月現在)。
仕様は、ボディ(マホガニ−)、ネック(マホガニ−)、指板(ロ−ズウッド)、ブリッジ(ロ−ズウッド)、塗装(ラッカ−仕上げ)となっています。
そこに追加オプションで、コンサ−トサイズなら15,000円、テナ−サイズなら30,000円、コアならグレードに応じて15,000円〜30,000円という構成になっています。詳しくは、上記サイトをご覧ください。

また、関西方面にお住まいの方は、大阪岸和田の正規代理店Ohanaさんで、実際に森さんのウクレレに触れることができます。また、細かなオーダーについても、森さんへの取り次ぎを行ってくれます。

このサイトには、オーナーさんがご自分用にオーダーされたウクレレと販売用のウクレレの画像を見ることができます。Ohanaさんのオーナーさんも森さんのファンです(^^)


5 おわりに

今回、自分のオーダーしたウクレレの途中経過を知りたくて、森さんの工房を訪ねましたが、工房内は非常にきれいで、そんなところにも、森さんのお人柄が出ていました。
森さんが先生をされているウクレレ教室に私は通っていますが、教え方は非常に丁寧で、生徒の奥様方も「こんなに優しい先生はいない」と言っています。
実際、他の教室でついて行けなくなって、森さんの教室に来られた方も数人いらっしゃいますが、生徒の分からないこと、できないことを根気よく教えてくれます。
そして、昨年は、ウクレレを始めて1年に満たない方がほとんどであるにもかかわらず、地元の音楽祭に参加し、一番大きな拍手をいただきました。

そんな森さんと1年半ほどお付き合いさせていただき、この方なら絶対にいいウクレレを作っていただけると確信し、オーダーさせていただきました。
あと2週間ほどで完成しますが、待ち遠しくてしょうがありません。
完成しましたら、レポートを掲載いたします。お楽しみに!!

■ マーメイド・ウクレレのレポートができました(2004年11月4日)

マーメイド・レポート

 

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