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木ペグの力学
こんなペグで大丈夫なの?


1 はじめに


ボディを研磨したMartin#0、まるで、ア○アのウクレレそっくり!!

念願のマーチンを手に入れました。塗装が曇っていたので思い切ってボディを研磨して、上の写真のように鏡面仕上げにしました。
ハードケースに入れると、Yahoo!のオークションでよく見かける、ア○アのウクレレそっくりになってしまいました(^^)

これを持って、NUAに出かけたところ、
「shinfujiさん、えらく安っぽいウクレレを買ったのですね!!ペグなんて木じゃないですか?」
と声をかけられました。

ハイ!木ペグです。
軽いので、ヘッドのバランスがとても良くなります。そして、強くヘッドの穴に押し込むと絶対に緩みません。
しかし、チューニングが難しく、穴から浮かしてチューナーの針を合わせて押し込むと、絶対に音程がずれます。強く押し込んだままだと、キッと音がして、一気に音程が狂います。

こんなに合わせにくいのなら、グローバーに替えてしまった方がいいな、と思いは募ります。


2 木ペグのしくみ

(1)くさびの威力

それでは、木ペグとはどのようなものなのでしょうか。まずは、写真をご覧ください。

バイオリンのペグと大きさは異なりますが形はそっくりです。
材質は、ハードウッドということですが、黒檀のようです。
形状は、円柱に見えますが、先に行くに連れて少しずつ細くなっています。
実は、ここに秘密があります。

ただ単に、穴に円柱を押し込んだだけなら、絶対に糸は巻けません。
なぜなら、弦の強力なテンションに対抗しうる強力な摩擦力が発生しないからです。

それでは、なぜ円柱に角度を付けると強力な摩擦力が発生するのでしょうか?
大きな石を割ったりするときに、くさび(楔)を使います。石の目に沿ってくさびを打ち込んでいくと、石はきれいに割れます。
また、大きな木を倒すときには、チェーンソーで切りながら、切れ目に沿ってくさびを幹に打ち込んで行きます。
くさびには大きな力を発生させる仕組みがあります。

くさびを打ち込むと、打ち込む力の数倍の力が側面に発生します。そして、その力はくさびの角度が鋭いほど大きくなります。
これは、重たい荷物を持ち上げるとき、坂を転がすと楽に持ち上がることと同じ原理です。

それでは、木ペグに話を戻します。
木ペグは、円柱にわずかな角度を付けた、いわばくさびの一種です。

木ペグをヘッドの穴に押し込むとき、このくさび構造によって、穴の側面を強力に押す力が発生します。そして、側面を押す力は、そこに生じる摩擦力に正比例します。
この、摩擦力により、弦のテンションに対抗しますので、摩擦力がテンションと釣り合えば、弦が緩むことはありません。

(2)摩擦力を増やすには

摩擦力は、物質同士を押す力と擦れ合う面の性質(摩擦係数)によって決定します。
いくら押す力が強くても、間に油が塗ってあれば、摩擦力は小さくなります。
よく、木ペグが滑るときは、チョークの粉をつけるといいと言われていますが、これは、重たい機関車が坂を登るとき、砂を線路と車輪の間にまくのと同じことです(でも、こんなことを知っている人は少ないですね!)。

しかし、この方法は危険があります。チョークの粉というのは微少ですが、大変硬い粒子です。使っているうちにサンドペーパーをかけたのと同じ状態になります。
また、ざらざらな状態は、一見、ペグとヘッドの穴が良くかみ合うと思いますが、点と点がかみ合うだけですので、そんなに大きな摩擦力は発生しません。

それでは、どのような状態が良いのでしょうか。
理想的には、ペグとヘッドの穴が、空気も入らない状態でピタリと合う状態です。
ただ、完全にピタリと合わせるには、精密工学の技術が必要ですし、木は空気中の水分を吸ったり吐いたりしていますので、常に膨張と収縮を繰り返していますので非常に困難です。
よって、なるだけ、表面をツルツルにして、摩擦面を増やすことが必要になります。

(3)回しながら押し込むべし!!

木ペグのチューニングが難しいと、BBSで質問したところ、日本ウクレレ協会のMATTさんから、次のようなアドバイスをいただきました。

フリクション・ペグは廻しながらですと結構深く押し込めますので、音を目的の高さより僅か低いところまで追い込んだら、目的の高さに要する回転角度を見当つけて廻しながら強く押し込みますと、そこで停止して緩まない筈です。でもこの為には結構練習が必要で、角度対ピッ
チの変化具合を体得するまで何度も何度も失敗するかもしれません。バイオリンのような金属
弦でさえしっかり保持してくれるのですからウクレレの弦などははるかにラクだと思います。

回しながら押し込むというのは、くさびの力にネジの力を合わせた技です。
しかし、非常に難しい技です。見当を付けて押し込んでも、ピタリとチューナーの針が0になりません。熟練が必要です。

(4)ペグコンポジション

続いて、ちいさきものたちへの<直>さんから、アドバイスをいただきました。

ペグワックスあるいはペグソープ、時にペグチョークですが、チョークというよりはクレヨンに近いです。或いは口紅か・・?
真っ赤な口紅を塗ったら色っぽい音鳴ってくれそうな気も・・・
でも嫁さんの口紅をそんなところに使ったのがバレたら二度とウクレレを買えなくなるかも・・。

本定価1,000円。グラム単価で言えば松坂肉より高いです。弦はもっと高いけど・・。
マ、ウッドペグには必携の一本だと思いますよ。めちゃスムーズになります。
なにせ A COMPOSITION FOR PEGS WHICH HAVE CEASED TO TURN SMOOTHLYって書いてありますから。
(滑らかに回転するのを中止した釘のための構成 byエキサイト)

早速、大きな楽器店のバイオリンコーナーへ出かけました。ペグに塗る口紅のようなものが欲しいと告げると、品切れなので取り寄せになりました。1日後に届いたのが、この、ペグコンポジションです。

これを、木ペグのヘッド穴に接する部分に塗って、穴に押し込んで回して馴染ませてから、弦を巻いていきました。
今までの、止まるか緩むかの2通りの動きしかしなかった木ペグが、ねっとりとした感覚で回っていきます。
最後は、MATTさんに教わった、「回しながら押し込むべし!!」の技で押し込みます。
滑らかに動くので、回しながら・・・もスムーズに行えます。


3 おわりに

ぎこちない動きで、チューニングに苦労した木ペグは、ペグコンポジション回しながら押し込むべしの技で、グローバー並みの能力を取り戻しました(ちょっと言い過ぎですが・・・)。
スムーズで確実なチューニングが可能になりました。
オールドのウクレレを手に入れて、木ペグを交換しようと思っている方は、交換の前にこの方法をお試しください。
きっと、木ペグが好きになりますから(^^)

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