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LOW-Gには”ひやむぎ”を!?


1 はじめに

ウクレレをはじめて暫くすると、ウクレレの神様ことオオタサンにあこがれ、4弦をノーマルな音程から1オクターブ下げたLOW-Gチューニングにする人が多いと思います。
しかし、いざ、LOW-Gにしてみてビックリ!!
ウクレレのあの可愛らしい音がなくなり、すっかり大人のウクレレになってしまいます。
4弦のボヨ〜ンとした違和感に耐えきれず、ノーマルチューニングの戻してしまいます。

また、スタンダードのボディは3弦のC音で鳴るようになっていますので、LOW-G音はボディがうまく鳴ってくれません。
オオタサンはピックアップで音を拾い、電気の力を借りて、LOW-Gを響かせています。
しかし、まねをしてもダメでした。4弦のボヨ〜ンとした違和感は消えません。
オオタサンは4弦をうまくミュートさせながらテクニックでLOW-Gを克服しています。

そんな折り、NYLGUT弦の伝道師である日本ウクレレ協会の小林正巳さんから、面白い弦を手渡されました。
それは、なんと”ひやむぎ”でした(笑)


2 NYLGUT”ひやむぎ”弦

NYLGUT弦は、弦・今昔物語・3でご紹介しましたように、ガット弦の音質を極めて正確にシュミレートした、未来の弦です。
日本でも、ようやく、アキオ楽器さんで発売されましたので、ご使用の方も多くなってきていると思います。
しかし、今回、小林さんからいただいたのは、想像を超えた弦でした。

パッケージの中から出てきたのは、ゲージが1.12mmの極太の弦です。長さも200cmあります。
いったい、何の弦なのでしょうか?
通常ウクレレに張る、NYLGUTは白くて細い形状から、”そうめん”に例えられますが、これは、まさに、”ひやむぎ”です。


3 ”ひやむぎ”を食べてみましょう!!

”ひやむぎ”をいただいた日は、しっかりと飲んできたので、かなり酔っぱらっていました。
お陰様で、魂が体から抜けかかっていましたので、行動が大胆になります。
家に帰ると、おもむろに、VGのケースを開けて、4弦を取り外しました。

VGには、1弦から3弦にNYLGUT弦、4弦にオーガスチンのクラッシック・ギター4弦をLOW-Gに張っていました。
この、VGはコンサートタイプのウクレレで、スタンダードより若干ボディが大きいので、LOW-G弦も、そこそこ鳴っていてくれていました。

”ひやむぎ”は太くて硬いので、ブリッジの穴をなかなか通ってくれません。ようやく、通りましたが、なかなかうまく曲がりません。強引に、ブリッジに巻き付け、引っ張ると、どうにか固定できました。

そして、ペグの穴に通し、巻きはじめたら、ナットの溝に入ってくれません。
しらふだったら、ここで諦めるのですが、酒で魂が抜けているので、引き出しから、棒ヤスリを取り出しました。
ナットの溝を、グイグイと広げていきます。もう、後戻りはできません。この、”ひやむぎ”用に、広く、深く削っていきます。
注:少しずつ作業しましょう。削りすぎると、確実にビビります。
  各弦から指板までの距離が同じになるように削っていきます。
  なお、これらの作業は自己責任でお願いします。
  取りあえず弦が引っかかれば大丈夫ですから、音を試して気に入ったら、溝を広げるようにしてください。


棒ヤスリ

そして、”ひやむぎ”をようやく、ナットへ押し込み、ペグを巻いていきます。
ブリッジの方がしっかり巻き付いていないので、なかなか音程が安定しません。
その日は、眠たくなったのでVGをケースに入れて、寝てしまいました。

次の日、ケースを開けて、後悔が先に立ちました。
「とんでもないことをしてしまった。普通の弦戻したらビビるだろうな」
と思いながら、チューニングします。

一発Gのコードを弾いてみました。もう、驚きです!!
低音の効いた非常にゴージャスな響きです。しかも、4弦の嫌らしさがありません。
他の弦ときちんと共鳴しながら、LOW-G弦が鳴ってくれます。
改造が成功しました!!


4 巻弦との比較

通常、LOW-G弦として使われるのは、クラッシック・ギターの4弦です。
この、ギター弦は、細いナイロンの束を、極細の銅線で巻いた、いわゆる”巻弦”になっています。
それでは、なぜ、この巻弦を使うのでしょうか?

低い音を出すには、弦を重くしなくてはいけません。ウクレレの弦は、1弦から3弦へ、順に太くなってきているのはこのためです。
それでは、LOW-Gにするには、3弦より太くすれば良いのですが、太くすると弊害が出てきます。

弦は理論上、開放弦の場合、ナットとサドルに接したところを、振動の節としますが、実際の弦は太さがありますので、接した点より内側を節として振動します。このため、太い3弦は他の弦より、ピッチが甘くなります。
3弦ですら、ピッチが合いにくいのに、それより太くすると、まともな演奏は期待できません。

そこで、弦の太さを大きくしないで、重量を増やすために考えられたのが、巻弦です。
このため、従来は、この巻弦がLOW-G用に使われてきました。
しかし、1〜3弦と材質が異なるため、音質が異なります。
また、ボヨ〜ンとした間延びした音をコントロールするのが難しく、巻弦の上で指を滑らすと、キューという音が耳障りです。

それでは、なぜNYLGUTだと、巻弦にしなくても良いのでしょうか?
それは、NYLGUTがというナイロンとは全く異なるプラスチックでできているからです。
正確にはわかりませんが(企業秘密なので)、おそらく、材質は自動車の内装にも使われる「ポリアセタール」と想像しています。
ポリアセタールの密度は1.41でナイロンの1.14より20%強重いので、ナイロン弦より細くても、重量が得られます。

よって、1.12mmという細いゲージでもLOW-G弦として使用可能となります。これは、HiloStringsの3弦より若干太いだけです。
とはいえ、12フレットでのピッチのズレは+20セント程度あります。でも、私にとっては許容範囲です。

それより、1弦から4弦まで、すべて同じ種類の弦にしたメリットが大きく、コードを弾いても違和感は全くありませんし、巻弦独特のボヨ〜ンとした嫌な響きがなくなります。

ここで、”ひやむぎ”弦と巻弦の特徴をまとめてみます。

”ひやむぎ”弦と巻弦の比較

区 分

NYLGUT弦 クラシック・ギター用巻弦
メーカー Apuila AUGUSTINE
型番 NYLGUT "NGE" 200cm Normal
ゲージ 1.12mm(パッケージの表示) 0.75mm(ノギスでの実測値)
材質 NYLGUT ナイロン+銅線
値段 $6.20(ただし2本分とれる) 310円
ピッチ 12フレットで+20セント程度 12フレットで+5セント程度
テンション 1〜3弦より少し緩め 1〜3弦より強い
音の響き 自然な減衰 ボヨ〜ンとうねる
他の弦との親和性 自然 4弦だけが浮いて聞こえる
メンテナンス フリー 弾いた後拭かないと錆びる
寿命 長いと思う? 銅線が切れたら取り替え(3ヶ月程度)
指との摩擦音 気にならない 気になる
取り付け方 ナットやブリッジの溝を広げる必要の可能性大(ナットの溝に引っかかれば大丈夫です) ナットやブリッジの溝を広げる必要がある場合もある
総合評価

5 まとめ

今まで、巻弦のLOW-G弦に違和感を感じ、全てのウクレレをスタンダードチューニングにしていましたが、今回、NYLGUT”ひやむぎ”弦と出会い、再びLOW-Gの曲に挑戦しようと思うようになりました。

上の写真のとおり、一見、普通のチューニングに見えますが、弾いてみるとLOW-Gというのは、快感です(^^)

なお、今回は、コンサートで試してみましたが、スタンダードでは、ピッチがシビアになるので、ちょっと難しいかもしれません。反対に、テナーだと弦長が伸びるので、抜群の相性だと思います。

この”ひやむぎ”弦は、残念ながら日本では、まだ売っていないと思います。
Aquila社へ直接申し込むか、アキオ楽器さんで早く仕入れてもらえるよう、みんなで押し掛けるしかないですね!!
なお、アキオさんで”ひやむぎ”と言っても通じませんので、NYLGUT弦の太いやつとお伝えください(^^)

最後に、このような楽しい試みの機会を与えていただきました、小林正巳さんに感謝申し上げます。

■追記(2002/06/08)

コンサートに張っていた”ひやむぎ”弦を、テナーの4弦にLOW-Gチューニングで張ってみました。
テナーの大きなボディは、LOW-Gの音程が、よく鳴ってくれます。
また、弦長が長くなったので、テンションも上がり(コンサートではちょっと緩めでした)、12フレットでのピッチも改善されました。

どうやら、”ひやむぎ”弦テナーのLOW-Gに適しているようです。

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