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最強のフロロカーボン


1 はじめに

前節の「100%純フロロカーボン」でWorth Stringsのフロロカーボン弦の性質について述べましたが、とても優れたウクレレ弦で豪華な響きが心地よいです。
現在、私はマーチンにブラウンのライトケージ、カマカにクリアのミディアムゲージを張っていますが、いずれの弦もウクレレの鳴りを十分に引き出してくれます。

Worth Stringsは、ブラウンのライトゲージ、クリアのライトゲージ&ミディアムゲージの3種類のラインナップでしたが、今回、クリアのヘビーゲージが開発され、発売元のワースクリエーションの高橋社長さんから、このヘビーゲージを送っていただきました。

はたして、ヘビーゲージとは、どのような弦なのでしょうか?
それでは、見てまいりましょう。


2 ヘビーゲージ(Heavy Gauge) 弦

パッケージはライトゲージとミディアムゲージと全く同じで、ヴィンテージウクレレの写真です。
ここで、Worth Stringsのラインナップを見てみましょう。

Worth Strings

ブラウン

クリア

Light Gauge
弦長:116mm
Light Gauge
弦長:116mm
Medium Gauge
弦長:116mm
Heavy Gauge
弦長:160mm
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0.47mm
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0.47mm
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0.52mm
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0.57mm
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0.66mm
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0.66mm
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0.66mm
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0.74mm
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0.74mm
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0.74mm
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0.74mm
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0.81mm
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0.52mm
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0.52mm
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0.57mm
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0.66mm

                  


ここで、お気付きのように、ヘビーゲージの1,2,4弦は、ミディアムゲージの4,3,2弦と同じ太さになっています。これは、生産コストの削減のためだと思われます。
ヘビーゲージの3弦は、従来のWorth Stringsより硬い材質を用いているそうです。

さて、どのウクレレに張ってみましょうか?
弦長が長いので、テナーでも十分に2本分取れます。

高橋さんによると、テナー用ではなく、あえてHeavy Gaugeと唄ったのは

1. もっと太いゲージが欲しい。
2. テナー用が欲しい。

の2つ要望に応えるためだそうです。
そこで、Pupukeaのテナーに張ってみました。

このテナーのブリッジは、弦を巻き付けてとめるタイプです。Worth Stringsは表面がツルツルなので、しっかりと巻き付けないとテンションをかけると外れてしまいますので注意してください。


3 他のテナー弦との比較

テナーのセット弦で、比較的手に入りやすいマーチンM 620と比較してみます。

区  分

1弦 2弦 3弦 4弦
Worth Strings 0.57mm 0.74mm 0.81mm 0.66mm
Martin M 620 0.69mm 0.97mm 0.97mm 0.81mm
マーチン弦の3弦はアルミの巻弦

ここで、一目瞭然、Worth Stringsのヘビーゲージの方が断然細くなっています。
一番太い3弦でもマーチンの4弦と同じ太さです。

通常、弦が太くなるとピッチ(音程)が合いにくくなります。弦は理論的にはサドルとナット(またはフレット)を節として振動しますが、現実には弦には太さがあり、理論上の節の所より内側を節にして振動しています。そして、その節の移動量は太くなればなるほど大きくなります。

このため、太い3弦はフレットが正しく打ってあっても、ピッチが悪くなります。
そこで、考えられたのが巻弦です。ナイロン弦の周りに細い金属の素線を巻くことにより、単位長当たりの質量をかせぎ、太くなったのと同じ効果がでます。
ですから、テナー弦の3弦は金属の巻弦が使われることが多くなっています。

しかし、1本だけ巻弦が入りますと、弾いていて違和感があります。すべて同じ種類の弦の方が音の親和が良いと思いますし、巻弦上を指が動くと、キュっというノイズが気になります。
ですから、すべてプレーン弦で揃えた、Worth Stringsは、画期的なことだと思います。
これは、Worth Stringsの材質が100%フロロカーボンであり、ナイロンより比重の重い材質であるから、細い弦にすることができました。

Worth Stringsの3弦の0.81mmという数字は、マーチンのスタンダード弦の3弦が0.91mmであることと比較しても、驚異的な細さであることが分かります。

また、値段ですが、Worth Stringsは1セット1,400円と高価ですが、2本分とれるので、1本あたり700円となります。マーチンのテナー弦セットは実売価格が1,000円ぐらいですので、Worth Stringsのコストパフォーマンスは高いと思います。


4 音

Worth Stringsのヘビーゲージ弦はどのような音なのでしょうか。
テナーにスタンダードチューニングであるGCEAで張ってみました。

長い弦長のテナーですから、当然、テンションは上がります。
今まで、NYLGUTの極細弦(スタンダードウクレレと同じテンション)を張っていましたので、弦を押さえるのに力が必要です。
しかし、マーチンのテナー弦よりテンションは低く、また、弦が細いのでセーハも難しくありません。

テンションを測る装置を持っていないので、はっきりした数字は出せませんが、1フレットでセーハした感触は、ナイロン弦のクラッシックギターより強く、スチール弦のアコースティックギターより弱い感触です。

この強いテンションのWorth Stringsを思いっきり弾いてみました。弦は細いのですが、指にまとわりつくこともなく、しっかりとストロークを受け止めてくれます。
当然ながら、エネルギッシュな音が得られますが、澄んだ透明感の高いウクレレらしい音が出ます。
今度は、小さく弾いてみます。伸びのある繊細なクリアな音です。

それでは、音の測定結果をご覧ください。

(1)波形

3弦C音の波形を測定しました。


ヘビーゲージ(テナー・ウクレレ)

ミディアムゲージ・クリア(スタンダード・ウクレレ)

比較のために、ミディアムゲージとライトゲージをのせましたが、ヘビーゲージは圧倒的な音のエネルギーです。
ちなみに、縦軸・横軸は同じスケールです。

ヘビーゲージは、発音後、きれいに減衰し、ロングサスティーンが得られます。
これは、テナーの弦長が長いことによると思われます。


ライトゲージ・ブラウン(スタンダード・ウクレレ)

(2)周波数分析

次に周波数分析を行ってみました。


ヘビーゲージ(テナー・ウクレレ)
ヘビーゲージをミディアムゲージとライトゲージと比較すると倍音のピークが異なっています。
これは、ヘビーゲージの3弦の材質が硬くなったことが影響していると思われます。

一見、ヘビーゲージの方が高音部の倍音が少ないかな、と思われますが、ヘビーゲージのテナーは外付けのピックアップで音を録音したため、高音部分にノイズが入ってしまい、その中に高次成分が隠れていると思われます(ミディアムゲージとライトゲージは内蔵ピックアップで録音)。

いずれの弦も、倍音成分の多い豪華な音質が得られます。


ミディアムゲージ・クリア(スタンダード・ウクレレ)

ライトゲージ・ブラウン(スタンダード・ウクレレ)

5 おわりに

今回のヘビーゲージはテナーにGCDAで張って、ガンガン大きな音で弾く人にとって、ピッタリな弦だと思います。テンションも通常のテナー弦より低く、また、弦が細いので、非常に扱いやすいと思います。

また、4度下げたDGBEチューニングでも魅力的なふくよかな音で鳴ってくれます。
ということは、テナー4弦に、ヘビーゲージ3弦をLOW-Gで張り、ミディアムゲージの1,2,3弦を張れば、ソロ向きのオールプレーンLOW-Gチューニングにできます。

さらに、このヘビーゲージをスタンダードに張ったら、どんな音になるのでしょうか。
Worth Stringsは、色々な組み合わせで、プレイヤーの好みに応えてくれます。

この度も、(有)ワースクリエーションの高橋さんには、大変お世話になりました。
ありがとうございます。

これらのフロロカーボン弦の詳細につきましては、

 をご覧下さい。

コードネームは”マロニー”?!へ続く


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