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100%純フロロカーボン


1 はじめに

フロロカーボンと聞いて、「釣り糸だ!」と、すぐに思い浮かぶ方は、釣りバカです。
そして、「ウクレレに張っているよ!」という方は、マニアです(笑)。

フロロカーボンをウクレレに張る試みは、以前、釣り糸弦レポートで報告しましたが、その性能はウクレレの定番の弦である Martin M600 にまったくひけをとりません。
しかしながら、フロロカーボンの釣り糸は、一巻き50mで5,000円程度するので、ウクレレに張ろうとすると、4種類の太さを揃える必要があり、ちょっとしたウクレレが買える値段になってしまいます。

誰かが、4巻買ってきて細かく袋分けしてくれないかなぁ〜、と思っていたところに、神戸のワースクリエーションさんで純度100%のフロロカーボン弦を開発されたことを知りました。
そして、ワースクリエーションの高橋さんから、サンプルとして、フロロカーボン弦を送っていただきました。

はたして、どのような弦なのでしょうか・・・


2 Worth Strings

送っていただいた弦は、ブラウンフロロカーボン(Light Gauge)とクリアフロロカーボン(Medium Gauge)の2種類です。 

       

ブラウンフロロカーボン

クリアフロロカーボン

             


袋から出してみますと、名前のとおり、ブラウンは茶色、クリアは透明でした。

ここで、Worth Strings の仕様を示します。

Worth Strings

ブラウンフロロカーボン

クリアフロロカーボン

【参考】マーチンM600
Light Gauge Medium Gauge

1st:plain
0.0185 inch 0.47mm
1st:plain
0.0205 inch 0.52mm
1st:plain
0.021 inch 0.53mm
2nd:plain 
0.0260 inch 0.66mm
2nd:plain
0.0260 inch 0.66mm 
2nd:plain
0.032 inch 0.81mm
3rd:plain
0.0291 inch 0.74mm
3rd:plain
0.0291 inch 0.74mm
3rd:plain
0.036 inch 0.91mm
4th:plain 
0.0205 inch 0.52mm
4th:plain
0.0224 inch 0.57mm
4th:plain
0.025 inch 0.64mm
color:Brown color:Clear color:Clear
注:Light Gaugeのクリアもあるそうです

ここで、お気付きのように、ブラウンとクリアの差は色とゲージの太さの違いにあります。
ライトゲージのブラウンの1弦と4弦はミディアムゲージの1弦と4弦より細くなっています。
また、フロロカーボンはもともと透明の材質でありますので、着色するには色素を入れる必要があります。しかし、フロロカーボン100%とうたっているので、ブラウンは製造後に表面に染色をおこなっています。

高橋さんの話では、ウクレレの特性や好みに応じて使い分けていただきたいとのことで、高橋さんは、コンサートにはライトゲージ、スタンダードにはミディアムゲージを張っているそうです。

私は、Famous No.80(Nakanishi製)のスタンダードウクレレに、これらのWorth Stringsを張ってみました。

(1) ブラウンフロロカーボン

ライトゲージのブラウンは、音の伸びが良く、また、弦が細いため、押弦が非常に楽にできます。セーハを連続しても左手が疲れません。
音は、マーチン弦に非常によく似ており、また、弦のテンションもほぼ同じです。
細くて頼りない感じがしますが、ナイロン弦より比重が56%増しなので、しっかりと大きな音で鳴ります。

(2) クリアフロロカーボン

ミディアムゲージのクリアは、ウクレレに張った姿は、完全にマーチンと見間違うようです。1弦と4弦がブラウンより太くなりますので、力強くストロークを行っても、弦が指にまとわりつく感じはありません。
弾いた感じは、カマカ弦やHilo Stringsのようなしっかりとした手応えで、音はマーチンと同じ透明感あふれる音です。

両者に共通していえることは、3弦が細いので、オクターブピッチが非常に正確になります。


3 音の測定方法

ピックアップを内蔵したスタンダードウクレレ(FamousNo.80)に、弦を張り、12フレットの位置で弦を弾き音を出します。


ピックアップはモーリスのCP-3、表板の裏側にピエゾタイプのコンタクトマイクを貼ってある

ピックアップで拾った音を、シールドケーブルでRoland UA-100へ送り、AD変換を行い、パソコンのハードディスクへデジタル録音を行い、波形と周波数分析を行います。


上の黒い箱がRoland UA-100

なお、比較のために、Aquila社のNYLGUT弦、マーチン弦の音も分析を行いました。

NYLGUT弦 マーチン弦 Worth Strings弦

4 結果

まずは、3弦C音をお聴きください。
NYLGUT弦、マーチン弦、Worth Strings弦(ブラウンフロロカーボン)、Worth Strings弦(クリアフロロカーボン)の順番で鳴ります。

ほとんど、差が聞き取れませんが、後ろ2つのフロロカーボンが、若干抜けが良く聞こえます。
それでは、詳しく見ていきます。

(1) 波形


NYLGUT弦は発音直後に音が減衰しますが、すぐに減衰のカーブが緩やかになり、長い時間ある程度の音で鳴っています。すなわち、伸びのある音であるといえます。

マーチン弦は、発音直後になめらかなカーブで音が減衰します。

フロロカーボン弦は、ブラウン弦もクリア弦も、マーチン弦と同じカーブで減衰して行きますが、減衰後、微少な振動が長く続きます(3弦は、ブラウン弦もクリア弦も同じ太さなので、ほとんど同じ波形です)。


(2) 周波数分析

どの弦も、倍音が非常に多く出ており、透明できらびやかな音が出ています。

NYLGUT弦とマーチン弦の周波数成分は、画像を重ね合わすとほぼ同じです。
両者の違いは、波形の差によるものと思われます。

さて、フロロカーボン弦ですが、マーチン弦の画像と重ね合わせますと、2KHzまでは、ほぼ一致します。2KHz以上の高い成分は、フロロカーボンの方が、はるかに豊かに出ています。

よって、フロロカーボン弦は、波形と周波数成分から、基本的には、マーチン弦と同じ鳴りですが、高い成分が多い分、ヌケの良い音だと言えるでしょう。



5 おわりに

フロロカーボン弦は、大変優れた弦であることが分かりました。
また、値段は1セット1,200円と高いですが、1本の長さが105mmあり、スタンダードなら、無理なく2本取れますので、スタンダード1セットあたり600円とコストパフォーマンスも優れています。

この度は、(有)ワースクリエーションの高橋さんには、大変お世話になりました。
この場を借りまして、感謝申し上げます。

これらのフロロカーボン弦の詳細につきましては、

 をご覧下さい。


「最強のフロロカーボン」へつづく

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