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テンション High & Low


1 はじめに

パンチの効いたヌケの良い音が必要なときは、ハイテンションな黒弦(HiloやKamakaなど)を張りますが、ともすれば音がブチブチになってしまい、もう少し音に伸びがあればなぁと思うことがあります。

反対に、メローな柔らかい音や軽いサウンドが必要なときは、ローテンションな白弦(マーチン弦など)を張りますが、ともすればウクレレの胴が鳴らずにボコボコした音になってしまうことあり、もう少し音にパワーが欲しいなぁと思うことがあります。

このため、弾く曲にあわせて、様々な弦を張ったウクレレが必要になり、このことが、ウクレレを増殖させるひとつの原因となっています。

そんな折り、Worth Strings の生みの親である、Worth Creationの高橋社長から新しい弦のサンプルが届きました。
商品名はClear Extra-Gauge[CE]です。
どのような弦なのか、早速見ていきましょう!!


2 Worth Strings Clear Extra-Gauge

ご覧のとおり、見慣れたWorth Stringsのパッケージです。
中からは、見慣れたNewクリア弦が出てきました。
「今までのと同じだなあ〜」と思いながら、コアロハのスタンダード・ロングネックに張っていきました。

高橋さんのお話では、今回のClear Extra-Gauge[CE]は、コンサートサイズをターゲットにしたということで、このウクレレで試してみました。

コアロハのブリッジの横に着いているのは、EDMのウクレレ用マイクです。このマイクで音を拾います。(今うわさになっているマホの”コアロハもどき”ではなく、本物のコアロハです^^)

1弦から順番に張っていきます。なんだ、Clear Mediumといっしょだなあと思いながら、3弦まで張りました。最後に4弦を取り出して、「あれ!2弦と間違えたかな?」と思って弦の袋を見ると、0.0244インチと表記があります。Clear Mediumの4弦は0.0224インチですから、「あれ!同じじゃないか」、もう一度よく見ると、微妙に数字が違います。
そうです、このClear Extra-Gaugeは、4弦が太くなっています。

ここで、今までのクリアタイプのWorth Stringsと今回のClear Extra-Gaugeの仕様を比較してみます。

種類

1弦

2弦

3弦

4弦

Light 0.0185" 0.0260" 0.0291" 0.0205"
Medium 0.0205" 0.0260" 0.0291" 0.0224"
Extra 0.0205" 0.0260" 0.0291" 0.0244"
注:ラインナップはもっとありますが、スタンダードチューニングのスタンダード用及びコンサート用の弦で比較します。

LightとMediumを実際に使用された方は多いと思いますが、この2つのセットの音の差は歴然で、Lightは繊細でやさしい音、Mediumは力強いオールマイティーな音が特徴です。
ここで、両者の違いを見ると、なんと1弦と4弦が違うだけです。

さらに、Extraをみますと、2弦、3弦は三者に共通で、1弦はMediumといっしょで4弦のゲージだけが太くなっています。

ウクレレに実際に張った感じは、4弦のテンションがかなり強く感じられます。しかし、押さえられないテンションではなく、弦高の比較的高いコアロハのロングネックでも無理なくセーハできます。

早速、コードをいくつか鳴らしてみました。
音はパンチが効いてでかいです。ウクレレの胴の裏側から振動がビンビン伝わります。
にもかかわらず、軽やかで伸びのある音も聞こえてきます。

そこで、音の分析を行ってみました。


3 音の分析

このExtraの音を特徴付けているのが、4弦と1弦のテンションの差です。
弦はゲージ(直径)が太くなれば、ゲージの2乗にテンションが正比例します。
4弦と1弦はもともと音程が1音しか違わないので、たいていの弦のセットではほとんど同じゲージのものが使われています。
それに対してExtraでは、4弦はむしろ2弦に近いゲージとなっており、4弦が突出したテンションとなっています。

最初に音の周波数分析を行ってみました。これだけ、テンションが違えば、テンションの高い4弦は倍音が少なくなっているのではないかと予測しました。

結果はご覧のとおりで、上が4弦の開放の音G、下が1弦の開放の音Aとなっています。
なんと、まったく同じ周波数特性を示しています。どちらも、2次倍音、4次倍音、5次倍音が同じレベルで出ており、3次倍音が小さくなっています。

次に波形を計測してみました。

今度は明確な差が認められました。
テンションの高い4弦は発音後直ちに音が減衰するのに対し、テンションの低い1弦は音に伸びがあります。
(たいていのセット弦では、4弦、1弦とも下段のような波形を示します)

【おまけ】

4弦と1弦の分析に使用した音源をお聞きください。
4弦、1弦の順で3回繰り返しています。
容量の関係で、32kbpsに音質を落としています。


4 まとめ

Clear Extra-Gaugeは、性格のまったく異なる4弦と1弦をセッティングすることにより、4弦と1弦の音質を変えています。
コード弾きの場合、4弦と1弦は、ごく近い音程で鳴りますので、この2つの弦が全く異なる振る舞いをするので、パンチがあってヌケのよい伸びやかな繊細な音が聞こえてきます。

また、ダウンストロークとアップストロークを比べてみると、ダウン時の方を強く弾くことが多く、テンションの強い4弦が強いストロークをしっかりと受け止めてくれます。

ソロ弾きの時は、1弦がメロディーを受け持つことが多くなりますが、伸びの良いメロディーラインを得ることができます。

セット弦の場合、全ての弦を同じようなテンションに揃えることが多いですが、Clear Extra-Gaugeは敢えて4弦のテンションを上げることにより、新たな効果を生みだしています。

先に、この弦はコンサートを対象にしていると記述しましたが、高橋さんによると同じゲージの弦でもテンションがなかなか上がらず、かつ、造りがしっかりして鳴りのいまいちのスタンダードにも有効だということで、スタンダードKAMAKAにも張ってみました。

結果は、・・・いいです(^^)


5 おわりに

このClear Extra-Gaugeは、今までの常識にとらわれない発想から生み出された弦です。
既存の香りの素から調香師がまったく新たな香水を生み出すような仕事だと思います。
新しい次元のフロロカーボンの世界をお楽しみください。

Worth Stringsについては、
をご覧下さい。

ソフト・マロニー登場!!へ続く


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