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スチールギターをつくろう


1 はじめに

ハワイ生まれのウクレレには、やはりハワイアンがよく似合います。
ハワイアンを聴いていて、誰もが魅せられるのが、華麗で甘美なスチールギターです。
ウクレレだけでもハワイアンは楽しめますが、スチールギターが入るだけで演奏はよりゴージャスになります。

しかし、スチールギターは高価で、しかも、滅多に売っていません。
そこで、自分で手持ちのギターを改造してみました。


2 用意するもの

■エレキギター
マグネット式のピックアップが付いていればOK。
安いエレキギターで十分です。

ただし、ネックの内部に金属の棒(トラスロッド)が入っていることを確かめてください。弦の張力が強いので、トラスロッドが入っていないと、ネックが曲がります。

また、ストラトキャスターのようにトレモロアームが付いているギターはブリッジの構造上強い張力には耐えられませんので、単純な構造のテレキャスタータイプをおすすめします。

左の写真は今回の改造に用いたFender Japan TELECASTER TL-40 BLD/Mです。
■「への字」金具
商品名はExtension Nut
金属板に6本の溝が掘ってあり、への字に曲げてあります。

アキオ楽器さんで購入しましたが、アキオさんは
「今、これを置いているのはウチぐらいだろう」とおっしゃっていました。

¥800円
■弦
スチールギター用の弦は当然スチール(鋼鉄)です。
サイズは1弦から015 018 022 026 032 038
1から3弦はプレーン(素線)、4から6弦がワウンド(巻弦)。
ちなみにエレキギター用のサイズは
009 011 016 024 032 042 です。
スチールギター用のセット弦がない場合は、
バラ売りで、サイズをそろえましょう。
¥1,200円/1セット
■バー
左手に持ち、弦をスライドさせる道具。
ステンレス製でずっしりと重い。7.5oz(213g)

スチールギターの弦の本数によって長さが違います。
今回は6弦スチールなので、6弦用を用意します。
径7/8”(2.22cm)×長さ2-7/8”(7.30cm)

¥4,000
■爪(ピック)
左側の金属製の爪は人差し指、中指に使用。
右側下のプラスチック製の爪は親指に使用。
¥150〜200円/個

■教則本
Modern STEEL GUITAR Method 第1巻
小林潔 編著 龍吟社/リズム・エコーズ

8弦用の教則本ですが、6弦Am7用の楽譜の付録がついています。


¥3,800円


3 改造工程

エレキギターの指板及びフレットは緩やかなカーブ(アール)が付いているのが普通です。
このため、弦も同一平面上にないため、バーを当てたとき、全ての弦を押さえることができなくなります。
よって、改造のポイントは、すべての弦を同一平面へ収めることとなります。

 

1 弦の張り替え
弦をAm7用の015 018 022 026 032 038に張り替えます。このとき、ごく軽く張って次の作業へ移ります。

2 ナットの改造
アールのついたナットを水平にしなくてはいけません。ナットを削って水平にする方法もありますが、弦高が下がり、フレットに接するためビビりが生じます。
このため、ナットを高くするへの字金具をナットへ乗せます。

改造前 改造後


また、Fenderタイプのヘッドの場合、通常1弦と2弦はテンション・ガイドを通しますが、への字金具を付けた場合は通してはいけません。
テンション・ガイドはナットから弦がはずれるのを防止するのが役目ですが、への字を付けた場合は、弦高が上がるため必要がなくなります。

 

赤線が通常の張り方。
青線が改造後の張り方。


3 ブリッジの調整
ブリッジの高さも揃える必要があります。

まず、ブリッジの水平方向の位置を揃えます。この場合、ブリッジの位置は
「への字金具−12フレット間長」=「12フレット−ブリッジ間長」にしてください。


次にブリッジの高さを水平にします。

このあと、オクターブチューニング、すなわち12フレットの実音とハーモニクスをあわせるため、ブリッジの水平方向の位置を微調整します。しかし、バーではきちんと正確にフレットにあわせて押さえることはできないので、特に音程がおかしい場合を除いては必要ないでしょう。

4 チューニング
最後にチューニングを行います。
スチールギターのチューニング方法はプレイヤーの好みによって何十種類とあります。
ここでは、日本でもっとも広く使用されている、Am7のチューニングを行います。

6弦からCEGACEに合わせます。ここで、「ウクレレと同じではないか!」とお気付きになられるでしょう。順番は違っていても、ウクレレのGCEAと同じです。
と、いうことはウクレレ用のチューナーが使えます

5 検査
最後にバーをスライドさせて、全ての弦が水平になっているかを確かめます。

6 完成
これで、スチールギターの完成です!!
今日から、あなたも憧れのスチールギター・プレイヤーです。


4 メンテナンス

ウクレレの弦はナイロン(人によっては釣り糸)ですから、特にメンテナンスは必要ありませんが、スチール弦は鋼鉄ですので錆びます。
使ったあとは、クロスでよく拭き、水分を取り、防錆効果のあるギター用のスプレーを吹きかけてからクロスで磨いてください。
弦は錆びたら取り替えます。

また、通常のエレキギターはネコでも押さえられるほどテンションが低いですが、スチールギター仕様ではより強いテンションで弦を張るため、ネックへの負担は大きいものがあります。
このため、練習後は必ず弦を緩めてください。


見えにくいですが、ネックが若干曲がっています

弦を巻いたり緩めることが多くなりますので、ワインダーの使用をおすすめします。
ワインダーを使えば、一気に巻くことができます。


5 おわりに

以上、スチールギターの作成方法を述べてまいりましたが、非常に簡単に既製のエレキギターを改造できます。
費用は約9,000円+エレキギター代ですみます。エレキギターもお茶の水界隈では1万円以下でも売っていますので、合わせて約2万円でスチールギターが手に入ります。
ぜひ、挑戦してみてください!!

最後に、今回の改造に際して、MATTさんから貴重なご意見をたくさんいただきました。
この場をお借りして、御礼申し上げます。


6 追 記

岡山のわーぼさんからメールで教えていただきましたが、かつて、ハワイアン全盛の頃はFitting-Set という便利なものがあったそうです。
Fitting-Setとは、「へ」の字金具、スチールバー、ピック(3枚)が文字とおりSETされたものです。

その後、神戸の岩本さんから40年前のFitting-Setを送っていただきましたので、ご紹介します。岩本さん、ありがとうございました。

こちらが外箱です。保存状態が大変良いです。
箱の表面には

Fittings FOR HAWAIIAN MADE IN JAPAN

と表記されています。

大きさは縦6.0cm×横9.8cm×厚2.3cmです。
KINGサイズのたばこ箱くらいです。
外箱の裏には150の文字が。
当時150円だったのでしょう。

物価指数を比較すると、昭和35年と現在では17倍の差がありますので、現在の価格に換算すると、2,550円です。
外箱を開けると中から黒いビニールケースが現れます。

ビニールケースも当時のまま、全く劣化が認められません。
小さいケースなのでポケットに入ります。
ビニールケースを開けると、スチールバーが現れます。
本来はバーの他にピック3枚とへの字金具が入っていたと思われます。
ピックを3枚入れてみました。
右下のフックにはへの字金具を入れたと思われます。

コンパクトに収納でき、いつでもどこでも、ギターさえあればスチール演奏ができたと思われます。
現在のバーと比較してみました。

上(現  在):径2.22cm×長さ7.30cm
下(40年前):径1.40cm×長さ7.93cm

材質は現在がステンレスなのに対し、40年前は鉄にクロームメッキのようです。

 
形状は現在が円筒+半球なのに対し、40年前は先が尖っています。
この違いは、現在と当時では演奏スタイルが異なることによると思われます。

このような便利なSETは是非復活してもらいたいです。
そのためにも、スチールギター人口が増えることを期待します。

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