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純ガット弦&やわらかいナイロン弦
昔の弦の帰還


1 はじめに

2006年2月の半ば、NUA(日本ウクレレ協会)のMATTさんから1通の手紙が届きました。MATTさんは男ですから、まさかチョコレートではないでしょう(笑)

中から現れたのは、2組の弦でした。添え状には、「キワヤさんで純ガット弦やわらかいナイロン弦を扱っているとのことで入手しました。お時間のある時にでもチェックしていただけますと嬉しいです」とありました。

キワヤさんとは、FamousでおなじみのKIWAYAさんです。

「ガット弦」は、ukuleleな研究の「弦・今昔物語・1,2,3」でMATTさんのご協力によりレポートさせていただいております。素晴らしい音質の弦ですが、海外から個人で購入しなくてはならず、気軽に試すことのできる弦ではありませんでした。

そして、「やわらかいナイロン弦」とは、いかなる物なのでしょうか?
期待が高まります。


2 純ガット弦(real gut Strings)

まずは、パッケージをご覧ください。

中央にKIWAYAさんのマークが入っています。
その下にreal gut Stringsの文字が。直訳すると純ガット弦です。

ガットとは、動物の腸のことです。ナイロンが出てくるまでは、ウクレレの弦にはガットが使われていました。
ガットは音質的には優れた材質なのですが、湿気に弱く、また切れやすいので、丈夫なナイロン弦の登場後は自然と消えてしまいました。

それでは、パッケージの中を出してみましょう。

透明の小袋に分けられ、手書きで1A、2E、3C、4Gとシールが貼ってあります。これなら、1弦はAで張るということが分かりますので、大変親切なことです。

1弦:0.500mm、2弦:0.650mm、3弦:0.825mm、4弦:0.575mmと、通常のナイロン弦よりワンランク細くなっています。WorthStringsのミディアム・ゲージとほぼ同じ太さです。
色は乳白色で表面はワックスが塗られているのかツルツルとしています。匂いはありません。

サイズ的にスタンダード用かなと思い、NakanishiのNo.80に張ってみました。普通のナイロン弦と比較すると硬い感じがしたので、切らないように少しずつペグを回していきます。そして、半日かけて、弾いてはこまめにチューニングを合わせたところ、だいたい安定してきました。

弾いてみたところ、「Nylgutだ!」と感じました。華やかや煌めくような音色です。
弦・今昔物語・3」でレポートしましたように、Nylgut弦は、かつてのガット弦を新素材で再現した弦です。
テンションも適度にあり弾きやすく、また音量も大きいです。

次に音を計測してみました。

横方向は時間、縦方向が周波数、色の明るさが音の大きさを表しています。
これは、開放弦を4弦からGCEAと弾いたときのスペクトログラムです。
どの弦も基音がしっかりと出ていて、倍音も豊かに出ています。

それでは、実際の音をお聴きください。GCEAに続いてクレイジーGを弾いてみました。

演奏の腕前は悪いですが、音の素晴らしさはご理解いただけると思います。


3 やわらかい弦(Wyres)

Wyresについては、全く知識がなかったので、ネットで調べてみると、ギター弦の会社で、テフロンコーティングをスチール弦に施したり、巻き弦の製作にハンドメイド製法を取り入れているようです。

まずは、パッケージをご覧ください。

右肩の「HU」は「ハンドワウンド(手巻き)・ウクレレ用」という意味でしょう。Wyresのロゴがあって、テナーらしきウクレレが載っています。ですから、この弦はテナー用なのでしょう。一番下の数字は弦の直径をインチで表しています。

1弦から0.023 0.032 0.025W 0.028インチ。0.025Wの「W」は「巻き弦」を表しています。これをmm単位に直しますと、1弦から、0.58mm 0.81mm 0.63mm(巻き弦) 0.71mmとなります。これは、巻き弦を除き、スタンダード用のナイロン弦とほぼ同じ太さです。

また、裏側には、

Wyres strings are wound by hand.This technique,used by artisans for hundreds of years,reduces the bending,stretching and flattening that causes metal fatigue in other brands made by machine.

Combine this with Wyres thinner core and massive windings and you get a superior strings that has longer sustain and superior tone.Try them,and you'll experience the difference!!

の説明書きがあります。私は英語が分からないので、いつもExciteの翻訳を使っています。

【直訳】
Wyresストリングは何百年間も職人によって使用された傷のby hand.Thisのテクニックが曲がりを減少させます、ストレッチングということです、そして、それを平らにすると、マシンによって作られた他のブランドの金属疲労は引き起こされます。
これをWyresの、より薄いコアと大規模な巻線に結合してください。そうすれば、あなたがそれが、より長い間持っている優れたストリングを手に入れる、支え、優れたtone.Try、それら、あなたは違いを経験するでしょう。

要は、「Wyresの弦はハンドメイドで作られていて、長いサスティーンと豊かな音質なんだ。」というところでしょうか(汗)
よく分からないので、MATTさんに訳していただきました。

Wyresの巻弦は手で巻かれています。何百年にもわたって職人たちに用いられていたこの手法(で作った弦)は、他社の機械巻きの弦の場合に金属疲労を起こす原因である「曲げ」「伸び」「つぶれ」の発生を減らします。

Wyresの「細い芯と重量のある巻き弦の組み合わせ」によってあなたは長いサステインと優れた音色を持つすばらしい弦を入手できます。是非試してみてください。そうすれば貴方は違いを経験することになります。

ようやく、意味が分かりましたね!

これは、3弦の巻き弦のことです。なぜこの弦が「やわらかい弦」なのでしょうか?
それは、手巻きの場合、機械巻きとは違って巻きの間に、ある程度の隙間ができるため、曲げやすくなるということが考えられます。
しかも、機械巻きの場合生じる金属疲労を押さえるため、寿命も長くなりそうです。

また、「細い芯と重量のある巻き弦の組み合わせ」とは、機械巻きだとつぶれやすいナイロンの芯材を手巻きの場合はやさしく巻くので細くすることができ、相対的に金属の部分を増やすことが可能となり、その結果、細い弦(=曲げやすい弦)で所定の質量を得ることができるということです。

それではPupukeaのテナーUF-T60に張ってみましょう。パッケージを開けると、ロゴのついた模様のついた小袋に入った弦が現れました。

3弦は分かるとして、他の弦が何弦用なのか分かりません。太さで判断して張ってみました。

3弦は確かに「やわらかい」です。テナーウクレレに無理なくスタンダード・チューニング(GCEA)で張れました。感覚的には、ghsのスタンダード用黒弦をテナーに張った感じです(ghsの弦は長いのでテナーにも張れます)。

以前、このテナーにghsスタンダード用黒弦を張ったときは、ビビリを生じたのですが、このWyres弦はビビリはありません。しかも、やわらかいので、これならセーハも楽にできます。

音は説明書きのとおり、サスティーンが長く豊かな音質です。GCEAのスペクトログラムをご覧ください。

それでは、実際の音をお聴きください。先ほどと同様にGCEAに続いてクレイジーGを弾いてみました。

巻き弦である3弦の響きが他の弦と異なり、また、3弦のフレットノイズが聴こえると思います。


4 まとめ

このサイトをご覧いただいている方は、相当のウクレレ・ファンの方が多いと思います。ご自分のウクレレで昔のウクレレの響きを再現したいと考えていらっしゃる方は多いと思います。
ようやく、日本でもウクレレ用のガット弦が手に入るようになりました。

また、テナーは持っているが、今までのナイロン弦だとテンションが強すぎてGCEAに張れなかった方も、Wyresなら無理なく張れるようになりました。

最後に、いつも貴重な弦を探していただいているMATTさんに感謝申し上げます。

 

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