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幻のレインボー弦レポート


2000年入梅のころ、ふるかわくんのうくれれ日記(ウクレレ奮闘記)でおなじみのふるかわさんから封書が届きました。
封を切るとこんな弦が入っていました。

KING
KAMANAWAPLAYAH
MULTICOLORED
FIBRE-CORE
SOPRANO UKULELE STRINGS

【直訳】
王様印(商標?)
カマナワプレイアハ(商品名?)

繊維の芯
ソプラノウクレレ弦


同封の手紙には岩本さんから研究用に面白い弦を分けてもらいました。送りますので音のレポートをしてください」とありました。

早速、弦を取り出すと、見事な虹色です。よってこの弦をと呼んでいきます。
また、弦を1本づつ入れてある紙のケースには、

WARNING! THIS IS A WOUND STRING! DO NOT CUT
【直訳】注意!これは巻弦です!切っちゃダメ

の注意書きがあります。よく見ると1弦から4弦まで全てプラスチックの巻弦(芯はナイロン繊維)です。
LOW-G弦の金属部分がプラスチックでできたような弦です。
そして、弦の両端は金属の素線でシールドされています。
途中で切ると巻いてあるプラスチックがホウセンカの実のようにバラバラになるのでしょう。

レポートに使用するウクレレはMAUIMUSIC SKです。
現在、MAUIMUSICにはダダリオの白弦を付けています。
よって、ダダリオ
を比較しながらレポートしていきます。


1 外観形状

それでは、を張った状態をご覧ください。

なんだか、弦がまだら模様ですね!
こんどはアップをご覧ください。
まずは、ブリッジ部分です。
ご覧のように先端部分は金属の素線でシールドされています。ブリッジの溝にはめるとき、先端部分を結びますが、意外と簡単に結ぶことが出来ました。
ネック部分です。
見事なレインボーです。
ヘッド部分です。
本来なら余分な弦はニッパーで切ってしまいますが、 DO NOT CUT の注意書きにしたがい、巻いてあります。
巻いてもすぐに戻ってしまうので、木綿糸でしばってあります。

2 弦の直径(太さ)の比較

ダダリオ弦の太さを計測しました。
計測方法はウクレレに張った状態で弦長の中心である12フレット部分の直径をノギスで測りました。ノギスの精度は0.05mmです。
また、比較のために現在手持ちのウクレレに付いている弦も計測しました。

直径の比較

区    分 1弦 2弦 3弦 4弦
ダダリオ・白弦 0.60mm 0.85mm 0.90mm 0.70mm
0.75mm 0.95mm 1.05mm 0.80mm
マーチン・白弦 0.53mm 0.81mm 0.91mm 0.64mm
ghs・黒弦 0.63mm 0.81mm 0.91mm 0.71mm
HiloStrings・黒弦 0.65mm 0.85mm 1.00mm 0.70mm
Kamaka・黒弦 0.60mm 0.85mm 0.95mm 0.65mm
HiloStrings・low-g 0.75mm
ダダリオ・low-g 0.75mm
ghs・テナー弦 0.75mm 0.80mm 0.95mm 0.85mm
ukuleleに張った状態でノギスにて測定(精度:0.05mm単位)
印はカタログ値 1inch=0.025399mで変換

以前、温度が弦のピッチに及ぼす影響を調べていたときに、bakaponさんから次のサジェスションをいただきました。

このまえ東京で「音のしくみ」という本を買ってきました。
この本には「弦の振動の周波数は、弦を引っ張る張力の平方根に比例し
弦の密度の平方根に反比例する。また、弦の長さには反比例する。」とあります。

このことを数式で表すと、

P=K・√(T/M)・(1/L)  P:振動周波数 K:定数項 T:テンション M:単位質量 L:弦長

となります。
同じウクレレに同じ弦を張った場合、P、Lは一定であり、Mは弦の直径Dの2乗に比例するので、

T:テンション K:定数項 D:弦の直径
すなわち、テンションは直径の2乗に比例することになります。
ここで、一番細いマーチン弦の各弦のテンションをとした場合のテンションを表すと、

弦のテンションの比較

区    分 1弦 2弦 3弦 4弦
ダダリオ・白弦 1.28 1.10 0.98 1.20
2.00 1.38 1.33 1.56
マーチン・白弦 1.00 1.00 1.00 1.00
ghs・黒弦 1.41 1.00 1.00 1.23
HiloStrings・黒弦 1.50 1.10 1.21 1.20
Kamaka・黒弦 1.28 1.10 1.09 1.03
LOW-G弦とテナー弦は除く
また、比較対象の
弦の密度は材質によって変化するのであくまでも参考値である

以上のことから、は突出したテンションがあることが分かりました。

3 音の伸びの比較

続いて音の伸びを計測しました。
計測方法は、ダダリオ及び
のそれぞれ開放弦を弾き、外付けピックアップによりハードディスクへ取り込み、波形ソフトTWE(YAMAHAフリーソフト)にて解析を行いました。
まず、各弦の波形を以下に示します。

 

波形データ(4弦)
(上:ダダリオ 下:レインボー)

波形データ(3弦)
(上:ダダリオ 下:レインボー)

波形データ(2弦)
(上:ダダリオ 下:レインボー)

波形データ(1弦)
(上:ダダリオ 下:レインボー)

以上から、アタックの後ダダリオと比較してすぐに音が小さくなることが分かります。
次に、アタックしてから完全に音が消えるまでの減衰時間を比較してみます。

減衰時間の比較

区    分 1弦 2弦 3弦 4弦
ダダリオ・白弦 1.61sec 1.66sec 1.70sec 1.49sec
レインボー弦 1.28sec 1.21sec 1.16sec 1.27sec

 

開放弦を弾いてから振動が止まるまでの時間

ダダリオ弦の7〜8割しか発音時間がないことが分かりました。
しかも、アタック直後の減衰が早いため、音の伸びはありません。

4 試奏結果

家の中では思い切って演奏することができないので、NUA(日本ウクレレ協会)の6月例会へ付きMAUIMUSIC SKを持ち込みました。ここなら、いくら大きな音で弾いても大丈夫です。
弾いてみてまず驚いたことは、音の大きさです。大勢で弾いていても、自分のウクレレの音がハッキリと聞き取れます。これで、ステージに立ったら、見た目の素晴らしさもありますが、良く通る歯切れの良い音で目立つこと請け合いです。

音の大きさは、弦の太さにあると考えられます。同じ振動をした場合、弦が太い方が振動エネルギーが大きくなり、その結果、大きな音がでます。
また、歯切れの良さは早い減衰時間によります。コロコロ感は抜群です。

しかし、困ったことが発生しました。強力なテンションにより右手人差し指の爪先が少し割れてしまいました。
いつもと同じ調子で弾いたのですが、強いテンションに負けてしまいました。
しかし、これは弾き方を調節すればすむことです。

もうひとつ困ったことは、スライド奏法のときに「キュ!!」と音が出ることです。
スライド奏法は1音弾いた後、指板から指をはなさないで違うフレットまで指を動かす奏法ですが、巻弦なので摩擦抵抗が発生します。
とりあえず、ギター用の潤滑スプレーを吹いたり、ロウを塗りましたが、摩擦音が発生します。

特筆すべきは、チューニングの安定性です。通常の弦は張ったばかりですと、チューニングが落ち着くまで約1週間はかかります。
しかし、
は張って2日目に、NUAで4時間弾いたにもかかわらず、練習前に1回合わせただけで済みました。驚きです!!


5 考察

今回の調査により、

  1. 弦が太い=テンションが強いと音量が大きくなる
  2. 弦が細い=テンションが弱いと音の伸びが良くなる

の結論が得られました。

ジャカジャカ系には太い弦()、しっとり系には細い弦(マーチン弦等)が似合うと思います。


6 おわりに
今回の試みは、
ふるかわさんと共同企画したもので、ふるかわさんが映像、私がを受け持ちました。
このような貴重な体験をさせていただきました
ふるかわさんと、素晴らしい弦を提供していただきました岩本さんに厚く御礼申し上げます。


7 おまけ

を張ったMAUIMUSIC SKをアキオ楽器のアキオさんに見ていただきました。

私:「珍しい弦を手に入れたのですが見てもらえますか」
ア:「これ、ナヘナヘの弦じゃない?すごく大きな音がでるでしょう」
私:「これはアメリカから直輸入の弦です。日本ではまだ売っていないそうです。しかし、よくご存じですね」
ア:「この弦は張力が強いから、マウイミュージックに張ったらダメだよ」
私:「何でですか?」
ア:「マウイミュージックは表板が薄いし、ナットの位置が高すぎるから変形しちゃうよ」

ちょっと怖くなったので、MAUIMUSICから外しました。今度は表板が頑丈でネックも太いYAMAHA YU-6に張ってみます。この強力な弦ならYAMAHAも鳴るかな?


 映像はこちらでお楽しみください。

ふるかわくんのうくれれ日記(ウクレレ奮闘記)

「魅惑のレインボー弦とはいかなるものなのか?」 の映像のページ
http://labnic.hp.infoseek.co.jp/2000_06/rainbow/rainbow.html


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