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温度がウクレレ弦に及ぼす影響に関する実験


はじめに

マーチン弦に変えてからFamousFU-250は音量並びに音質が大幅にUPしました。
しかしながら、いつまでたっても弦が安定しません。普通なら弦は1週間ぐらいで伸びきり、その後はチューニングが安定してきます。

冷えた所で弾こうとすると低い方へチューニングがずれています
暖かい所へ持っていくと今度は高い方へチューニングがずれていきます

冬季、前の日に暖かいところで、きちんとチューニングをして、次の朝はチューニングが低い方へずれていてもそのままにしておくと、部屋が暖まるにつれてチューニングが合って来ることが分かりました。

当サイトのゲストブックにも、bakaponさんからこのような書き込みをいただきました。

ウクレレの弦って部屋が暖かくなると高く、冷えると低いほうに音くるいません? とくに黒弦より白弦のほうがそうでないですか? ウクレレ教室でK森先生が暖房のスイッチを入れると(先生、暑すぎ)、私のFU-250は他の3名より高い音になっていきます。私以外は黒弦です。
bakaponさんも私と同じく、FamousFU-250にマーチン弦です。

また、わーぼさんからの書き込みで、

私は、特別な弦(カマカは、10年位前の買い置きの弦だから、特別??;苦笑)は使ってないのですが、現在出入りしてる教室が立派な施設で暖房も完備していて、我が家で、チューニングして出かけると同じように音が高くなってきます。(YAMAHAのメータとKORGの組み合わせでの測定)
カマカもマウイ(弦はマウイオリジナル)も同じように感じます。
常識と逆な感じがしていて、メータとマイク自体に誤差が出るのか実際に音が高くなるのか疑問に感じています。
一度リサーチしてみていただけませんか?
と調査依頼(笑)がありました。
そこで、この謎を解明するために、実験を行いました。
温度がウクレレ弦に及ぼす影響に関する実験

■実験方法

  1. 冷たいところで1時間置いたウクレレをチューニングする。
  2. 暖かいところへウクレレを移動し、チューニングのずれを経過時間ごとに観測する

■実験器具

  1. チューナー:YAMAHA YT-220
  2. コンタクトマイク:KORG CM-100
  3. 温湿度計:TANITA製
  4. 時計:CITIZEN製

■実験用ウクレレ

名 称 備 考
YAMAHA YU-6 Hilo Strings(黒弦) HIGH-G
MAUIMUSIC SK オリジナル(黒弦) HIGH-G
Famous FU-250 Martin(白弦) LOW-G(Famous弦)
Famous No.80 旧Martin(白弦) LOW-G(D'Addario弦)

■温度設定

  1. 冷たいところ:気温摂氏11度、湿度71
  2. 暖かいところ:気温摂氏19度、湿度72

■実験結果

  • 経過時間ごとの各ウクレレの各弦のチューニングのずれを表示(単位:セント)します
     overの表示は、ずれが50セント以上でYAMAHA YT-220での測定が不可能であることを表します

ukulele/経過時間

0分 5分 10分 15分 20分 30分 40分 50分 60分

YAMAHA YU-6
(Hilo Strings黒弦)

1弦 0 5 5 5 5 5 10 10 10
2弦 0 0 0 5 5 5 5 5 5
3弦 0 25 25 25 25 25 25 25 25
4弦 0 20 20 20 20 20 20 20 20

MAUIMUSIC SK
(オリジナル黒弦)

1弦 0 10 10 10 15 15 15 20 20
2弦 0 5 5 10 10 10 15 25 20
3弦 0 5 10 25 25 25 25 25 25
4弦 0 5 5 10 15 15 15 15 15

Famous FU-250
(Martin白弦)

4弦はLOW-G弦

1弦 0 35 40 40 40 40 40 40 40
2弦 0 40 45 45 over over 50 50 over
3弦 0 50 over over over over over over over
4弦 0 0 0 5 5 5 5 5 5

Famous No.80
(旧Martin白弦)

4弦はLOW-G弦

1弦 0 0 0 5 5 5 10 5 5
2弦 0 15 15 20 20 20 20 20 20
3弦 0 20 25 25 25 25 30 30 30
4弦 0 0 0 5 5 5 5 5 5
  • 次にグラフで表示します
YAMAHA YU-6(Hilo Strings黒弦 MAUIMUSIC SK(オリジナル黒弦
   
Famous FU-250(Martin白弦4弦はLOW-G弦 Famous No.80(旧Martin白弦4弦はLOW-G弦
■考 察

1 弦の太さによる影響

グラフを見ると、3弦が最も温度の影響を受けていることが分かる。
Hilo Stringsの黒弦以外は、次に2弦が影響を受けている。
すなわち、ウクレレ弦は太いほど温度の影響を受けやすい

2 弦の材質による影響

グラフの下の2つを見ると、LOW-Gの4弦がほとんど温度の影響を受けていないことが分かる。
すなわち、LOW-G弦はナイロン弦より温度の影響を受けにくい
注:LOW-G弦はナイロン繊維の周りに金属の糸を巻き付けたもの

3 弦の色による影響

左下のMartin白弦は極端であるとしても、右下の旧Martin白弦と上の黒弦を比較しても、黒弦の方がずれが少なくなっている。
黒弦は白弦より温度の影響を受けにくい

4 テンションによる影響

マーチン弦は通常のGCEA(はなこさん)チューニングでなく、ADF#Bのアメリカンチューニング用に設計されている。すなわち、GCEA(はなこさん)でチューニングすることは、マーチン社が意図する設計張力(テンション)が得られないこととなる。
実験前は、張力が足りないからマーチン弦は狂うと仮説を立てたが、下側の2つのグラフから、旧マーチン弦は黒弦より若干狂いが多いが、新マーチン弦は、測定不能になるまで、チューニングがずれていることから、
張力(テンション)と温度の影響はあまり関係がない
注:旧マーチン弦は半透明で表面が少しザラついた白弦
(新)マーチン弦は透明で表面がツルツルの白弦
注2:FamousFU-250とFamousNo.80のサドルの高さ及びネックの角度はほぼ同じであるため、ウクレレの形態によるテンションの差はほとんどないものと考えられる

5 影響を受ける時間

温度による影響は概ね15分で収束してくる。弦を弾いて、弦の分子運動を高めると、さらに安定までの時間は短縮すると推定される。

■まとめ

マーチン弦搭載のFamousFU-250が温度によって、チューニングがずれることから、今回の実験を行いましたが、最初は、温度によってFamousFU-250のネックが曲がることによって、チューニングがずれているのではないかと心配しましたが、LOW-Gがほとんどずれないことから、ネックの曲がりの心配はなくなりました。

結論:マーチン弦は温度の影響を思いっきり受ける

しかし、マーチン弦の卓越した音質並びに音量は、この欠点をすべて帳消しにしてくれます。
15分待てばずれは落ち着いてくることが分かりましたので、待つこととしました。

教訓 ずれるなら 十五分待とう マーチン弦!!


■おわりに

なぜ、温度が上がると高い方に、温度が下がれば低い方にチューニングがずれるのかは、測定器具等の不備により解明することはできませんでした。

この実験にあたり、貴重なご意見をいただいた、bakaponさん、わーぼさんに御礼申し上げます。

以上、shinfujiがレポートしました。
最後に
shinfujiは決して弦マニアではないことを申し添えます(笑)。

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