ホームうちのukuleleたち>(番外編2)ノクターン レポート


(番外編2)ノクターン レポート
”夜想曲”という名のギター


1 はじめに

前回、Martin D-15Sをご紹介しましたが、圧倒的な音量と力強い低音に魅了され、毎日弾いていたところ、困ったことが生じました。

ご案内のとおり、Martin D-15Sは、アコースティックギターの中でも最大級の大きさを持っています。
それに対し、私は日本人の中でも小柄な方なので、Martin D-15Sを弾いていると、両肩、両ひじに無理がかかり、毎晩、湿布薬を貼らないと痛みが取れなくなりました。特に右肩は四十肩を患ったことがあるので、痛みが抜けなくなりました。
また、無理な体勢でセーハを行っていた左人差し指が腱鞘炎になり、この大きなギターを長時間弾けなくなりました。

さらに、このギターの醍醐味は、ピックで思いっきり、かき鳴らすことですが、あまりの音量の大きさに家族から批判の声が上がり、休日の昼間の限られた時間しか弾けなくなりました。

そこで、小さくて取り扱いが楽で、大音量は出なくても音質の良いギターを探すことにしました。
早速、御茶ノ水の楽器街へ出向き、
見た瞬間、可愛いノクターンに一目ぼれしてしまい、すぐに家へ連れて帰りました。


2 全体

実に可愛らしい形をしています。
一番の特徴は、サウンドホールがボディの真ん中でなく、左肩に空いている点です。
これだけでは、大きさが分らないと仰る貴兄のために、Martin D-15Sと比べてみました。

ボディの大きさは、正面から見ると、ノクターンは二周り以上小さなボディです。厚みは約1/2で、感覚的にドレッドノートの1/4の体積に感じます。
弦長は、コンパクトギターとしては長く、570mmあり、きちんとレギュラーチューニングで張れます。

マーチンのドレッドノートよりずっと小さいのは分ったけど、ウクレレみたいなギターなのか?と疑問を持たれる貴兄も多いと思いますので、ウクレレと比べてみました。

スタンダードのウクレレと比べたところ、ノクターンは約2倍の長さがあり、はるかに大きいことがお分かりだと思います。


2 ボディ

続いて、ノクターンのボディをご覧ください。

表板は、2ピースのスプルース単板で、ギブソンのようなサンバーストの塗装が施してあります。
(他に、ナチュラル、ヴィンテージ、レッドサンバースト、ブラックのバリェーションがあります。)

裏板と側板は2ピースのマホガニー単板です。
(2004年に初めて発売された時は、アカシアの単板が使われていましたが、現在はマホガニーに変更されています。)

塗装は、非常に薄く、きれいなスプルースの柾目を見ることができます。
仕上げは、高級感のある艶消しで、滑らかな肌触りが心地良いです。

表板の右下に傷が・・・?それでは、拡大してみます。

K.Yairiの焼印が押されています。

次にヒールをご覧ください。

マホガニーのネックのヒール部分には、きちんとお化粧がしてあります。また、黒のバインディングがボディのサイドビューを引き締めています。

続いて、サウンドホールの中をご覧ください。

ラベルには、Nocturneの製品名と直筆のサイン(社長さんのサイン?)とシリアル番号(画像はモザイク処理しています)が記載されています。
ネック・ブロックには、HAND CRAFTED K.YAIRI GIFU JAPANのスタンプが押されています。
内部も非常にきれいで、接着剤のはみ出しなどはありません。

次にブリッジをご覧ください。

ブリッジの材はローズウッドです。弦の振動をしっかりとボディへ伝えます。
サドルはプラスチックだと思われますが、弦毎に微妙なセットバックがあり、オクターブ・ピッチの正確さを向上させています。
ブリッジ・ピンは、シンプルな黒のプラスチックですが、穴の工作精度が高く、指で抜ける軽さですが、しっかりと弦を止めています。

最後にお尻をご覧ください。

金色のエンドピンが、しっかりと留められています。


3 ヘッド

ヘッドの表側には、マホガニーのきれいな突き板が貼ってあります。ロゴ、マーク、ペグは金色ですが、落ち着いた渋みを醸し出しています。
トラスロッドの蓋も木が使われています。

また、ナットのすぐ下に0フレットが見えます。
ショートスケールのため、ピッチがシビアになるための措置だと思いますが、ローポジションでの弦高が下がるので、押弦が容易になります。

ペグは、GOTOHのオープンバックタイプのものが採用されています。
昔のギターは、このタイプのものが多く、動きがスムーズでなかったので、ちょっと残念と思っていたら、このペグは極めてスムーズに回ります。
また、チューニングの際、程度の悪いギターだと、ナットの溝やサドルで弦がひっかかり、ピッ、ピッと鳴きますが、ノクターンは工作精度が高いので、スムーズなチューニングを行うことができます。


4 ネック

ネックはマホガニーで、厚みは結構あり、形状はローポジションではV字、ハイポジションではU字になっています。
ネックだけを握ったら、これがコンパクト・ギターとは気付かないほど立派なものです。

指板はローズウッドで、1〜3弦は19フレットまで打ってあります。ボディとのジョイントは14フレットです。
指板上には、何の飾りもなく、側面の3,5,7,9,12,15フレット部分に白いドットのポジションマークが入っています。

弦高は、デフォルトの状態で、12フレットの位置で6弦側約2.5mm、1弦側約1.5mmと大変弾きやすい高さに調整してあります。


5 ケース

ノクターンには、K.Yairiのロゴ入りのソフトケースがおまけで付いてきます。

緩衝材が入っていて、ある程度の衝撃からノクターンを守ってくれます。
特にお尻の部分には、分厚い緩衝材が使われています。

軽いし肩から下げられるので便利です。また、表側のネックの付け根あたりの手提げを持つとギターを立ててホールドできるので、人ごみの多いところを歩くのに重宝します。

でも本当はハードケースが欲しいところです。


6 音

音については、正直、そんなに期待はしていませんでした。
この小さなボディと、短いスケールのテンションの低い弦だと、ドレッドノートのような迫力のある低音は構造上無理があり、実際、ピックで強く弾くと低音弦の振動をボディが吸収できずに、弦の振動が直接耳に届きます。

しかし、このボディの許容内の音量なら、低音から高音まで、実にバランス良く鳴ってくれます。
そして、低音が意外と伸びるのが驚きです。

力を少しセーブして弾いた場合、ボディの裏側が心地よく振動して腹に響き、ネックから左手に振動が伝わります。
この小さなギターは全身を使って、一所懸命に音を産み出しています。
これは、オール単板ボディの威力だと思います。

また、夜間に静かに爪弾く時、このギターの真価が発揮します。
プレイヤーの耳に近いサウンドホールからは、明瞭なサスティーンの効いた音が出てきます。
ノクターン”夜想曲”とは、よくぞ、この名前をつけられました。


7 おわりに

K.Yairiというギターメーカーをネットで調べたところ、30人ぐらいの職人方が、すべて手作業で、純国産にこだわり、少数のギターを作っている会社だと知りました。

今回、このノクターンを購入して、決して高級なギターではないにもかかわらず、材が吟味されていて、高い工作精度と丁寧な仕上げに感動しました。
また、ギターは永く使えば使うほど良くなっていくという信念から、永久保障システムをとっていることも、K.Yairiのプライドがなせる業だと思います。

このノクターンは小さいので、ウクレレ奏者もあまり違和感なく弾けるギターだと思います。
それから、K.Yairiはウクレレも作っているということで、そちらが非常に気になっております。


■追記

ギターに添付のはがきをK.YAIRIさんへ送ったところ、このような物が届きました。

永久保障された旨の通知文とステッカー、オリジナルピックと木製ワインダーです。
こういうサービスは嬉しいもので、次もK.YAIRIという気持ちになります。

 

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