ホームうちのukuleleたち>ベース・ウクレレ レポート


ベース・ウクレレ レポート
ウクレレでベースを楽しみましょう


1 はじめに

今から5〜6年前のことだったと思いますが(最近、めっきり記憶が薄れかけてきています)、神戸の岩本さんが、珍しいウクレレを持って東京に来られました。
コンサートのロングネックのカーリーがバリバリに入ったそのウクレレには、うどんのような極太の弦が張ってありました。
「実はこれ、ベースなんです。ハワイのゴメスさんに作ってもらいました」と仰って、アンプへシールドをつなぎ出てきた音には驚きました。
まさに、ベース、しかもウッドベースの音です。

その後、アキオ楽器さんでもオリジナルのウクレレベースが発売されましたが、如何せん高額で、とても気軽に購入できる品物ではありませんでした。

私は現在、地元のウクレレサークルに所属していて、毎年、地元の音楽祭へ出ています。今回の曲はベースが必要ということで、昔弾いていたエレキベースを引っ張り出して練習に出かけましたが、くたびれた体には、でか過ぎて重過ぎです。

何か軽くて小さいベースはないかとネットを調べたら、MATTさんのブログのこの記事が見つかりました。

なんと、普通の勤め人が自分のヘソクリで購入できる、中国製の安いベース・ウクレレが世に出ているではないですか。しかも、楽器として十分に使えるとなれば買うしかない、と思い立ち、ネットで検索をかけました。
しかし、どのショップも品切れ状態。そうなれば、オークションです。ラッキーなことに1本見つかり、オークションの会員手続きをして、即決価格で落札しました。

それでは、どのようなウクレレなのかご覧ください。


2 KALA U-BASS

ご覧のように、形はウクレレです。
でも、異常にでかいウクレレで、スタンダードと比較すると、こんなに違います。


注:弦の色が黒ですが、これがオリジナル状態での弦です。

バリトンという、ウクレレの仲間の中では一番大きなサイズです。
それじゃ、エレキベースの様に持ち運びが大変なのでは?と思われる貴兄も多いと思いますので、エレキベースと比べてみました。

大きさは、エレキベースの約半分です。こんなに小さくて、ベース本来の音程が果たしてとれるのでしょうか。
ここで、ウクレレとベースの音程について、ご説明します。五線譜にウクレレ、ギター、ベースの開放弦の音程を置いてみました。


注:通常、ギターとベースの楽譜は読みやすいように、1オクターブ上げて書かれています。

ウクレレのLow-G弦ですら、ベースの1弦より1オクターブも高いです。
バリトンサイズとはいえ、ウクレレの短いスケールで本当にベース音が出るのか不安です。
音のことは、後述させていただきますので、まず、外観からご覧ください。


3 ボディ

ボディのトップ材は単板のスプルースです。サイドとバックは合板のマホガニーです。
どうせ、ピックアップで音を拾うのですから、どんな材でも良いかと思っていましたが、このボディが意外と鳴ってくれます。
一人で夜弾くには、ちょうど良い音量が出ます。さすがにウッドベースのような音ではありませんが、アンプにつながなくても練習ができるというのは、大きなメリットです。

中国製のウクレレということで、品質には全く期待していませんでしたが、このスプルースは、目が詰まった割と良い材が使われています。

また、トップの周りとサイドの両側にバインディングが入っていて、安っぽさは感じられません。

さらに、トップの裏側には、フォークギターと同じような「Xブレイシング」が入っています。クラッシックギターのようなブレイシングを想像していましたが、強度にも配慮された設計だと思います。


注:弦交換用の裏蓋から撮っていますがピンボケですみません。

次にラベルをご覧ください。

「KA-UBASS-2-FS」というのが型番です。「KALAのウクレレベースの2号機でフレット有り」とうい意味でしょうか。

ボディのお尻には、シールドのプラグを挿すようになっています。ストラップピンの役目もあるのですが、径が大きいので、ごく普通のエレキギター・ベース用のストラップは付けられません。エレアコ用のストラップを探してみます。


■追記(2010.7.10)

せっかく買ったストラップなので、どうにか付けられないかと思い、ストラップの穴をはさみと爪切りで大きくしたら、どうにか入りました。

切り口が汚いので、そのうちにボロボロになるかもしれません。

ストラップのもう片方は、ヘッドにひもで結んでもいいのですが、やはりロックベースのようにボディに付けるのがカッコイイので、ストラップピンを買ってきました。

一番丈夫そうな、ヒールの踵に、まず細いキリで穴を開けてから、ねじ込みました。
いきなりねじ込むと、材が割れる危険があります。

付けてから分ったのですが、この部分が出っ張っているので、ケースに入れたときに、ネックが上手く収まらなくなりました(とほほ・・・)。

でも、これで、立って弾く時もツーフィンガーで弾けるようになりました。


4 ヘッド

次に、ウクレレの顔とも言えるヘッドをご覧ください。

ヘッドの表面にはマホガニーの薄い化粧材が貼ってあり美しいです。
「KALA」のロゴは、シールではなく木材が埋め込んであるようです。

また、ヘッド真ん中の貝のような素材でできた模様は、のびた蛙です。

この蛙が、KALAがRoad Toad社の協力を得ているという証しです。
ウクレレサークルの講師の方は、このマークを見て、「これってRoad Toadのウクレレ?!」と驚かれました。

ペグは馬鹿でかいのが付いています。このツマミがでか過ぎて、ワインダーが使えないのが残念ですが、スムーズに回ってくれます。


5 ネック

ネックはマホガニー、指板はローズウッド、フレット数は16で12フレットでボディに接続しています。
ネックの幅はエレキベースより広く、ギターのネックとほぼ同じ感触です。
指板の上と横にポジションマークが入っていますが、5,7,9,12フレットにマークがあります。
通常、ウクレレは、5,7,10,12なので、9フレと10フレを間違いやすいです。

今までのベース・ウクレレがフレットレスだったのに対し、このU-BASSにはフレットが打ってあります。
弦が太いのでビビリが心配されましたが、大丈夫でした。
このフレットがあることも、今回、このU-BASSを購入する決め手となりました。フレットレスだとまともな音程を出す自身がありませんので。

また、指板表面が、エレキベースのようにワウンドしています。これに合わせてサドルも段差がつけられています。


6 ブリッジ

ブリッジは大型でしっかりしています。サドルは各弦ごとに独立していて、1個1個にShadowのピエゾタイプのピックアップが入っています。また。弦の太さに応じてセットバックが施され音程の正確さに努めています。

弦は、ブリッジの穴から表板の下まで入っていますので、ブリッジが吹っ飛ぶ恐れはなさそうです。


7 弦

ウクレレにとって、本体と同等以上に重要なのが「弦」です。

岩本さんのベース・ウクレレには、最初、シリコンラバーの弦が張ってありましたが、滑りが悪いので、岩本さんは布の指サックをつけて、さらに、あやしい白い粉(シッカロールのような粉ですのでご安心ください)をまぶして、演奏されていらっしゃいました。

その後、ワースクリエーションの高橋さんと相談され、高橋さんは、丈夫で滑りの良いポリウレタン製のベース・ウクレレ専用弦を開発されました。
私も、是非、ワースのベース弦を使ってみたいと思い、購入のメールを高橋さん宛てに送信しました。

ワース弦が届く前の間、もともと張られている弦で演奏をしたところ、次の点で大きな不満がありました。

  1. 指が滑りにくく、弾いた後、指の表面がヒリヒリする
  2. 押弦したときに、指と弦の間でノイズが発生し、アンプを通したときに非常に気になる
  3. 弦の場所によって、ピッチが狂う
  4. 際限なく伸びるので、何度も弦を引っぱり直さないといけない

1については、シッカロールをつければ改善されますが、指板が化粧の取れかかった御姐さんのようになり、薄汚くなりました。
2については、アンプのトーンコントロールで高音を絞れば気にならなくなりますが、音が篭ります。
3については、弦の品質の問題で、工業用のベルトを流用していると思われるので、ある程度は我慢すべきなのでしょうか。
4については、しょっちゅう、弦を外しては、引っぱり上げなくてはいけないので、かなり面倒です。

そして、ワース弦が届きました。

そうそう、このオレンジ色が良いんです。ステージで絶対に目立ちますから。
まず4弦を袋から出しました。手触りはKALAのオリジナル弦よりツルツルしているので、期待が持てます。

端末の処理もガッチリしてあり、これなら、穴から抜ける心配はありません。
少し引っぱってみたところ、オリジナルの弦より伸びないので、際限なく伸びるのもなくなるのではないかと期待が高まります。

しかし、重大なことが分りました。オリジナルの4弦を外して、ワース弦の4弦をブリッジの穴に通そうとしたところ、どうしても通りません。
弦の太さが違うのです。

ワース弦は、ゴメスさんのベース・ウクレレ用に開発された経緯があり、コンサートサイズのベース・ウクレレに最適に作られています。その後、発売されたベース・ウクレレはワース弦に合わせて作られているようです。

一方、KALAのバリトンサイズのベース・ウクレレは、Road Toad社の技術で作られていますので、当然ながらワース弦のことは考慮されていません。

各々の弦の径を表に表します。

区分

1弦

2弦

3弦

4弦

ワース弦 3.5mm 4.0mm 5.0mm 6.0mm
KALA弦 2.4mm 3.3mm 4.3mm 5.0mm

注:KALAオリジナル弦は、伸びていない端っこをノギスで測定しました

なんと、ちょうど1弦づつずれています。止むを得ないので、ワース弦の3弦をウクレレの4弦に、2弦を3弦に、1弦を2弦に張り、1弦はKALAのオリジナル弦をそのまま張ります。

続きまして、弦の張り方をご紹介します。

■弦の張り方

1 裏板の弦交換用の蓋を止めているネジを外します。
この時、ネジを失くさないことも大切ですが、各ネジがどこに入っていたのかも覚えておきましょう。
ネジの位置が変わると、入らない可能性があります。
2 裏板を外したら、交換する弦の端を持って、引き抜きます。
ペグの方を先に外しておきます。
この時、ピックアップのコードを切らないように注意してください。
3 裏側の穴に弦を通します。
作業箇所が狭いので苦労します。
4 表側に弦を引っぱります。
5 ペグの溝に弦を入れます。入らない場合、弦を強く引っぱれば、細くなりますので入りやすくなります。
6 溝に入ったら、思いっきり上へ弦を引っぱります。
7 引っぱりながらペグを巻いていき、手前の弦の下側を通します。
8 さらに巻き、手前の弦で締め付けて弦が戻るのを防ぎます。
9 後は順次、下側に巻いていきます。
10 余分な弦は切りますが、5cmぐらい残しておいた方がいいです。次回、巻き直すときに、少しでも長い方が引っぱりやすいです。
11 このように、ペグの首に巻けなくなったら、5からの作業に戻ります。
太い4弦や3弦は、あまり伸びませんが、2弦と1弦は、最初良く伸びますので、何度か弦を引っぱり上げる作業が必要になります。

一気に弦を引っぱり上げるより、面倒でも上の作業を繰り返したほうが、安全に徐々に伸ばすことができます。

また、弦を替える時、ナットの溝にヤスリを軽くかけましょう。溝の仕上げがあまり良くないので、ペグを回してもスムーズに弦が伸びない場合があります。

さらに、手が大きくて、裏側からうまく弦を穴に通せない場合、弦の端にセロテープを巻きつけて、先端をネジってから通すとやりやすいです。


■ワースクリエーションさんから新しい弦が。

今回、KALAのU-BASSにワースのベース弦がうまく張れなかったことをワースクリエーションの高橋さんへ伝えました。

まあ、私は主に4〜2弦を使うし、1弦がKALA弦のままでも細いので上に述べたデメリットは少ないので、しばらくはこのままで使っていこうと決めました。
でも、KALA弦が切れた時は、どうしようかと心配でたまりません。

今日現在、KALAのオリジナル弦は、ネット上では、唯一取り扱っている1軒のショップで品切れになっています。
そんな折、高橋さんから、宅急便のメール便が届きました。

なんと、1週間で、KALA用の1弦を試作していただきました。径は3.0mmです。

早速、張ってみると、全ての弦がオレンジになり、とても美しいです。そして、同じ材質で揃えることで、音の調和が良くなりました。

さて、KALAの弦の問題点をもう一度述べます。

  1. 指が滑りにくく、弾いた後、指の表面がヒリヒリする
  2. 押弦したときに、指と弦の間でノイズが発生し、アンプを通したときに非常に気になる
  3. 弦の場所によって、ピッチが狂う
  4. 際限なく伸びるので、何度も弦を引っぱり直さないといけない

これに対し、ワース弦の特徴は以下のとおりです。

  1. 摩擦係数が少なく、気持ちよく指が滑る
  2. 押弦時のノイズが、ほとんど気にならない
  3. 弦の品質が高く、弦のどの場所でも音程が安定している
  4. 2〜3日で際限なく伸びる感覚はなくなり、弦を引っぱり上げる作業が激減する

また、アンプを通さないときの生音は、ワース弦の方が大きく、聞きやすいです。

高橋さんから、今回、KALAの1弦用に試作した弦は、商品化を考えていらっしゃるとのことですで、近いうちにワースクリエーションさんのHPにも掲載されると思います(2010.7.4)。


■追記(2010.7.16)

ワースクリエーションさんから、KALA U-BASS用のベース弦が発売されました(2010.7.16)。

今までのベース弦と比較して、ワンランク細く、バリトン等の大きなサイズのベース・ウクレレにも張れるようになりました。
製品名は、WORTH STRINGS FOR BASS<LIGHT> 型番OP-L です。

従来のベース弦はレギュラー弦となり、型番はOP-Rとなりました。

区分 1弦 2弦 3弦 4弦
ライト OP-L 3.0mm 3.5mm 4.0mm 5.0mm
レギュラー OL-R 3.5mm 4.0mm 5.0mm 6.0mm


8 音

はたして、本当にこの小さなベース・ウクレレで、ベースの音が出るのかと思っていらっしゃる貴兄も多いかと思います。

つたない演奏ですが、KALA U-BASSとPCを直結して取り込んだ音をお聞きください。

です。リンクをクリックしてください。


9 おわりに

今回、入手したベース・ウクレレは、様々な可能性を秘めています。
ウクレレだけのバンドにベース・ウクレレが1台入ると、低域が充実するとともに、ウクレレの煌びやかな音がより強調され、バンドの音に幅が出てきます。

このレポートを書くにあたり、ハワイから掲示板へ色々とアドバイスをいただいたMATTさんと、無理なお願いを聞いていただいたワースクリエーションの高橋さんに感謝申し上げます。

Worth Strings

 

上へ戻る


ホーム/うちのukuleleたち/ukuleleの小物たち/ukuleleな研究
/ukulele伝説/ukuleleなゲストブック/ukuleleなリンク