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MAUIMUSIC SK 改造レポート


1 はじめに
MAUIMUSIC SKはハワイ生まれのウクレレです。
1999年8月にうちに来ましたが、4ヶ月後の12月にブリッジが浮いてきました。
保証期間中だったので、購入店で無料で修理をしてもらいました。
しかし、その後2000年の9月に突然「ピシッ!」という嫌な音がしました。
接着したブリッジが再び浮いてしまいました。

この可哀想なウクレレを抱えて、アキオ楽器の渡辺さんを訪ねました。
アキオ楽器さんで買ったウクレレではありませんが、快くリペアに応じてくれました。
この際、ブリッジのリペアだけでなく、不満点を徹底的に改造してもらいました。

依頼した改造内容は次の通りです。

1 浮いたブリッジの付け直し
2 歪んだ表板を平らに補修し、表板の裏側に力木を挿入
3 曲がったネックをまっすぐに補修
4 不均一なフレットをすべて打ち直し
5 サドルを加工し弦高を下げる
6 1弦が5フレット以上で落ちやすいのでナットの交換
7 重たいシャーラー製のペグを高性能で軽いグローバー製ペグに交換

おことわり
なお、予めお断りしておきますが、
これらの不都合な点はすべてのMAUIMUSIC SKで発生するということではありません私のMAUIMUSIC SKがたまたま不運に見舞われただけです
ウクレレは1本1本、職人さんによる手作業で製作されています。ですから、工業製品のように均一性を持たせることは非常に困難です。また、使用される木材も1本1本違います。
ですから、以下のレポートは私のMAUIMUSIC SKにおいて有効だった改造方法であるとご理解いただき、参考にしていただければ幸いです。


2 ブリッジの補修
MAUIMUSIC SKのブリッジはサドルが高いため、弦のテンションにより、大きな力がブリッジの接着面に生じます。これはテコの原理です。
ですから、接着の具合が悪い場合や強いテンションの弦を張った場合は接着面がはがれる危険性があります。

ブリッジは一度完全に取り外して、糊付けしました。もう二度と浮いてこないことを祈っています。


3 表板の補修
MAUIMUSIC SKの表板は薄く削ったコア単板でできています。
厚みは約1.4mm。他のウクレレと比較すると圧倒的に薄く削ってあります。
このため、ヌケの良い大音量を出すことができます。

また、通常のウクレレには表板の強度を増やすためにサウンドホール内側のすぐ下側に力木(ブレーシング)がありますが、MAUIMUSIC SKにはありません。
これは、表板をよりよく振動させるためであると思われます。

これらの特徴はいわば「諸刃の剣」であり、表板の剛性が弱くなります。
このため、高い弦高と相まって、表板が歪んでしまう可能性を秘めています。

下に表板が歪む様子を図解しました。茶色の横線が表板です。

1 表板に接着されたブリッジは常に弦の高いテンションを受けています
2 表板が弦のテンションに耐えきれずに浮き上がってきます
3 それに対応し、ブリッジのサウンドホール側の表板が沈み込みます

これを防ぐのが力木です。今回の改造では表板の歪みを修正し、力木を挿入しました。

上左側の写真:サウンドホール下側に力木を確認できます
上右側の写真:表板は平らにリペアされました

リペア後、気になるのは音です。幸いなことに以前と変わらぬ高音に張りのあるサウンドで鳴ってくれています。


4 ネックの補修
高い弦高とテンションにより、ネックが曲がってきました。
これは材の乾燥が不十分だったことも考えられます。
ネックが曲がるとハイポジションの弦高が非常にに高くなり、演奏が困難になります。
また、フレットの位置が微妙に変わるため、正確な音程が得られなくなります。

さて、補修方法はどうすればよろしいのでしょうか?
曲がりと逆方向に力をかける方法もありますが、今回は指板を削る方法を採用しました。
オリジナルな状態のフレットは若干音程が甘く、また打ち込み方も不均一だったので、フレットをすべて外して指板のナット寄りを削りました。

写真では分かりづらいですが、ボディ側の指板の厚みに比べて、ナット側は薄くなっています。
MAUIMUSIC SKの指板はアールがついているため、削る作業は非常に困難であると思います。


5 フレットの打ち直し
ネックの補修に合わせて、フレットもすべて交換しました。
オリジナルのフレットは弦高に合わせて若干高めで、角張っていました。
今回付け直したフレットワイヤーは山が低く丸みを帯びているため、スムーズにフレット間を移動できるようになりました。
端も丁寧に角を落としてあるので、手がひっかかりません。

また、位置も適切で、音程も正確さが向上しました。


6 サドルの加工
MAUIMUSIC SKのサドルは非常に高いため、今まで述べてきたように様々な不都合の原因となっています。
しかし、なぜこんなに高いのでしょうか?
想像するに、これだけ高いとどんなにガンガン弾いても弦はビビりません。
しかし、指が短く力も弱い私には左手での押弦がチョットきついものがあります。

そこでサドルを削って高さを下げることとしました。
それでは、写真をご覧ください。少しビックリされますよ。

はい、1弦から4弦に向かって傾斜があります。
これには訳があります。すべての弦を下げてしまったら、太い3弦はビビります。

また、この形には意味があります。
セーハをするとき、人差し指の先(4弦)はテコの原理で強く押さえられますが、付け根(1弦)はなかなか押さえられません。
このため、この形は理にかなっていると思います。

ネックの断面図と弦の位置を以下に示します。

アールのついた指板と変則的な弦の高さにより、ハイコードの押弦が非常に容易になりました。


7 ナットの交換
オリジナルのナットは背が高く1フレットでのセーハが少し困難でした。
そこで、背の低いナットに交換しました。

また、オリジナルのナットの1弦、4弦の溝は少し外側にあったので、1弦は5フレットあたりから上ではすぐにフレットから落ちてしまいました。
そこで改造ナットの溝は内側へ寄せました。

低い弦高と相まって、ハイポジションでも1弦が落ちなくなりました。


8 ペグの交換
オリジナルの状態ではでかいシャーラー製のペグがついていました。
これは見た目は立派なのですが、強いバネが内蔵されているため、微妙なチューニングができす、あと少しで合うときに「キッ!」と音を立てて、一気に音程がずれます。

また、重量があり、もともと大きくて重いMAUIMUSICのヘッドが余計重くなり、バランスが悪い状態でした。
さらに、MAUIMUSICのペグ穴はナットに近く、シャーラー製のペグは首が長いため、Ddimを押さえると左手の甲がペグに当たってしまいます。

このため、少し高価ですがグローバー製のペグ(型番4B)に交換しました。

オリジナルのシャーラー製

交換したグローバー製

グローバー製のペグの回転は非常にスムースで、指に入れた力のとおりにチューナーの針が動きます。もう、感動的です!!

また、ヘッドが軽くなったのでバランスが良くなりました。


9 まとめ
今回の改造は外見上はペグの交換だけしか分かりません。
しかし、見えないところでの性能が著しく向上しました。

リペア期間は約60日間。費用はFamousFU-250+ハードケース(どちらも定価ベース)です。
アキオさんでは不都合な箇所を紙に書いてウクレレといっしょに送れば、リペアに応じてくれるそうです。
できあがったら、丁寧に緩衝材を入れた箱で郵送してもらえます。
代金は私の場合、郵便振替にしてもらいました。

今回の改造でMAUIMUSIC SKは生まれ変わりました。
これから、私のメインウクレレとして長くつきあっていきたいです。


取り外した部品

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