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フジゲン・テナー レポート
Pupukeaの後継機です


1 はじめに

日本を代表するウクレレのひとつとして、Pupukea(ププケア)というウクレレブランドがありました。
私もテナーを1本持っているのですが、真面目で丁寧な造りのウクレレでした。
作っていたのは、FUJIGEN(フジゲン)という長野県に拠点を置くギターメーカーで、様々なブランドへ優れたエレキギターをOEM提供しているメーカーとしてギターの世界では超有名な会社です。

最近、ギターばかり増殖していたので、何か良いウクレレはないかと、デジマートを観ていたら、Martinの2KのテナーやKAMAKAのテナーが気になりだし、次はテナーと決めてウクレレを探していたら、気になるウクレレが見つかりました。

なになに、フジゲンがFGN Acousticというブランドを立ち上げウクレレを作っているのか。直営店が池袋にあるぞ。翌日、早速、東京へ出かけました。
直営店のFUJIGEN CUSTOMHOUSEは池袋のちょっと分かりにくい所にありましたが、スマホのGPSを見ながら歩くと約10分で迷わずにたどり着けました。

店に入ると、エレキばかりで、入る店を間違えたと思いましたが、すぐに目的のウクレレコーナーが見つかりました。
フジゲンのウクレレはPREMIUM TRADITIONAL STYLEとSTANDARD TRADITIONAL STYLEの大きく2種類のシリーズがあり、それぞれにソプラノ、コンサート、テナーがあり、合計6種類のウクレレがラインナップされています。

店には、その6本が並んでいました。目的のテナーはすぐに分かりました。
スタンダードとプレミアムの大きな差は、使われている材の違いです。スタンダードは普通のハワイアンコアであるのに対し、プレミアムはカーリー・ハワイアンコアが使われています。
スタンダードの方のテナーも弾いてみましたが、音的には大きな差はありませんでしたが、プレミアムの方がより深みのある音を奏ていました。
それより、第一印象でプレミアムに惚れてしまっているので、迷うことなくプレミアムのテナー(FUP-TT)をお持ち帰りにしました。


2 全体

まずは、全身の姿から御覧ください。

なんともセクシーなヒップラインです。ボディのカーリーが美しいです。
オーソドックスな形ですが、ブリッジやヘッドに気になるものが・・・。


3 ボディ

ヒップの張り出しがセクシーなボディです。
表板、裏板、側板はともに、2ピースのカーリー・ハワイアンコアで、その杢の出方が美しいです。
オールド・カマカの様な規則正しい細かいカーリーではありませんが、立体感あふれる大胆な模様です。

バインディングも美しく、ウエンジという固い材でサイドを引き締めています。
上側は黒白黒の3層になっています。
塗装は、ウレタンですが非常に薄く塗られていて、材の導管に目止めを行わないオ−プンポアとなっています。

また、表板のブリッジからお尻の部分と裏板には微妙なアーチがかけられていて、材に程よいテンションを与えています。
これが、指の動きへの反応の良さを生み出しているのかと思われます。


4 サウンドホール

サウンドホールの周は、ウッドとメキシコアワビ貝のロゼットがあります。
シンプルですが上品な印象を与えています。

サウンドホールから中を覗くと、FGN Acousticのラベルがあり、製作者の方のサインが入っています。
でも、達筆すぎて読めません。

内部もきれいにしてあり、接着剤のはみ出しもなく、丁寧な仕事ぶりがうかがえます。


5 ネック

フレット数は全18で14フレットでボディとジョイントしています。
指板はローズウッドです。

特徴的なのは、裏側です。
マホガニーとローズウッドが5層に積層されています。
これは、標準弦であるワースのCF(クリア・ファット)の強い張力に対抗するため、ネック自体の強度を確保しています。

また、指板上に散りばめたターコイズ(トルコ石)のポジションマークが鮮やかな水色で、濃茶の指板との色の対比が面白いです。

側面には通常の白いポジションマークが入っています。

また、このウクレレの細部までのこだわりとして、指板の横に材が貼ってあります。
これは、フレットの端を隠すためで、フレットのバリによる手への刺激を防いでいます。
このため、ローポジションからハイポジションへ一気に手を移動させても、フレットに引っ掛かりません。

ネックの形状は半円形で、厚みは結構あります。

細かいこだわりとして、ネックのかかとが斜めにカットされています。
12フレット以上の箇所を押さえるとき、このカットの意味が実感できます。


6 ヘッド

なんという特徴的なヘッドでしょうか。
カーリー・メイプルの上には青いバラが、今、咲こうとしています。
この花弁は、京セラが開発した「京都オパール」がはめ込まれています。

この京都オパールは見る角度により、表情を変化させます。

ヘッドの周囲は、ボディと同様のバインディングがあり、ヘッドの表情を引き締めています。

ペグはオープンバック式のギアペグです。
GOTOHのUK700ですが、ネットで調べたら4本セットで1万円弱の製品です。
こんなにコストのかかる部品をあえて使っていることで、このウクレレへのフジゲンさんのこだわりが窺えます。

非常にスムーズに動き、かつ、軽量なのでウクレレのバランスも崩しません。
つまみには、細かな横縞があり、まるでアイボリーの様です。

ナットは牛骨です。極限まで溝を深くしてあり、1フレットの押弦がとても楽になっています。


6 ブリッジ

ブリッジは、ローズウッドです。
メイプルとマホガニーの細かいリーフのインレイが施され、ターコイズもはめ込まれています。
フジゲンのHPによると、「一粒の水滴」、「大地から伸びる蔓と葉」をモチーフにしているとのことです。

塗装はないので、お店の方から定期的にレモンオイルを塗ってくださいと教えてもらいました。

サドルをアップにしてみました。
通常のウクレレより太いです。材質は牛骨で、弦の接する位置を微妙にセットバックしています。
このため、オクターブチューニングが非常に正確になっています。


7 弦について

先にも述べましたが、このウクレレにはWorthStringsのCFが標準で張ってあります。
サドルのセットバックもナットの溝も、CFに最適化されています。

このCFは、当サイトの「ウクレレな研究」の「ちょっと太めに魅せられて」でレポートしていますが、ワースのフロロカーボン弦の中で最も太い弦で、本来、スタンダード(ソプラノ)用の弦です。
こんな太い強力な弦をテナーに張るとなると、よほどボディが堅牢でネックが強靭でないと弦のテンションに負けてしまいます。
このウクレレを購入するとき、ネックの曲がりと表板のサウンドホール下の凹みを何度も確認しましたが、全く変位はありませんでした。

弦を弾くと、適度な抵抗感はあるものの弾きやすく、また、弦高調整が丁寧に行われているため押弦も楽に行えます。
これって凄いことだと思います。自らのウクレレに100%の自信がないと張れない弦です。

とはいえ、当サイトで弦の研究をメインとしている私にとって、新しいウクレレを買ったときはすぐに弦の交換をしています。
このとき、指板の清掃を兼ねて潤いを与えるため、レモンオイルを薄く塗布します。

手元にある弦の中で次の2セットに当たりをつけて張ってみました。

まず、左側のAquila NYLGUT弦です。ソプラノ用ですが長いのでテナーでも張れます。
チューニングをしている最中は、なかなか良い響きです。
張り終わり、一発Gを決めると・・・いけません。
鳴りは良いのですが、ソプラノ用のため弦が細いので音にエネルギーがありません。

次にWorthStringsのIWAO弦のLOW-GセットCI-LGを張ってみました。
4弦がナットの溝にはまるか不安でしたが、もともと柔らかい材料なので、どうにか溝に入りました。

このウクレレは、買ったときのサービスとしてLow-G用にナットの溝とサドルをカスタマイズしてくれる無料サービスがあります。
しかし、工場へ出すため3週間程度時間がかかるとのことでした。
また、自分でナットの溝を広げる等の改造を行うと、保証が効かなくなりますので御注意下さい。

4弦はオクターブピッチが少々シャープしますが、実際の演奏にはほとんど影響はありません。
他の弦は、オクターブピッチは正確なままです。

Low-Gの響きが胴を震わせ心地よいです。
他の弦は、CFより音に丸みが出て、私には心地よく感じました。
弦の跳ね返りも適度にあり、音にエネルギーが満ち溢れています。

しばらくは、このIWAO弦で行こうと思います。


8 ケース

このウクレレには、このような素敵なケースがついてきます。
FUP-TTに合わせたサイズで、ウクレレがピタリと収まります。
別に購入すると16,590円の品です。
また、購入時のサービスで色は10色の中から選べますが、3週間程度かかるので私は標準の黒にしました。

ストラップ用のエンドピンを付けた場合でも内装が邪魔にならないように、お尻の部分に溝があります。


9 おまけ

おまけとして、以前購入したPupukeaのテナーとの比較写真をご覧ください。

やはり、同じ会社のウクレレです。
大きさや形は、全く同じです。

ついでに、ソプラノ、コンサートとの比較をご覧ください。

テナーはでかいですよ。


10 おわりに

フジゲンの新たなウクレレは、取扱店も限られているので、なかなか触れる機会はないと思います。
しかし、非常に良くできた美しいウクレレですので、多くのウクレレファンの方に知っていただきたいと思います。

純国産ウクレレのこだわりが、少しでも伝えられたら幸いです。

 

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