訴 状
2008年(平成20年)5月28日
福岡地方裁判所 八女支部 御中
原告代理人弁護士 江上武幸
同 馬 奈 木 昭 雄
同 紫藤拓也
同 迫 田 登 紀 子
同 高 峰 真
同 椛 島 隆
同 市 橋 康 之
同 岩 元 理 恵
当事者の表示 別紙当事者目録のとおり
損害賠償請求事件
訴訟物の価額 金9269万8940円也
貼用印紙額 金29万9000円也
予納郵券額 金2万4000円也
第1 請求の趣旨
1 被告らは,原告に対し,連帯して金8719万8940円及びこれに対する訴状送達日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
2 被告株式会社読売新聞西部本社は,原告に対し,金550万円及びこれに対する訴状送達の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え
3 訴訟費用は被告らの負担とする
との判決、並びに第1項、第2項について仮執行宣言を求める。
第2 請求の原因
1 当事者等
(1) 原告
原告は,読売新聞販売店YC広川(以下「広川店」という。)を経営する者である。
(2) 被告株式会社読売新聞西部本社(以下「被告会社」という。)
ア 被告会社は,読売新聞の名称で,日刊新聞紙の発行等を業とする新聞社である(甲1)。
イ I光男(以下「I担当」という。)は,被告会社の従業員であり,販売局販売第2部に所属し,平成13年1月から筑後地区の読売新聞販売店を担当していた者である。
販売担当員の業務内容は,@毎月2回の各販売店の訪問,A販売店が作成する業務報告書等の閲覧と販売状況の把握,B販売店に本社の販売方針を伝え,販売への努力を促すこと,C販売店からの販売に関する相談に応じ,あるいは営業不振の原因を指摘して努力を求めること,D販売店からのセールス業者の要請を,被告会社または被告筑後読売会に伝達することなどである。
ウ 米満國満(以下「米満部長」という。)は,平成12年6月から平成14年6月まで被告会社販売局第2部長の地位にあった者である。
(3) 被告会社取締役ら(以下「被告取締役ら」という。/甲1)
ア 被告小島敦は、平成18年6月13日、被告会社の代表取締役に就任し、現在もその地位にある者である。
イ 被告池田孜は、平成14年7月1日から平成18年6月13日まで代表取締役の地位にあった者である。
ウ 被告水上健也、被告渡邉恒雄は、平成14年7月1日、被告会社の取締役に就任し、現在もその地位にある者である。
エ 被告内山斉は、就任時期は不明であるが、平成16年6月17日、被告会社の取締役に重任され、現在もその地位にある者である。
オ 被告吉谷正人は、平成18年6月13日、被告会社の取締役に就任し、現在もその地位にある者である。
カ 被告楢崎憲二、被告和田泰生は、平成19年6月12日、被告会社の取締役に就任し、現在もその地位にある者である。
(4) 被告筑後読売会(以下「被告会」という。)
被告会は,筑後地区において,読売新聞販売店を経営する店主をもって組織される団体である(会則第2条)。元来被告会は読売新聞販売店店主の強制加入団体であって,単なる親睦会ではなく,加入した店主の営業活動を補助する立場にある会である(甲2の1、2の2)。
被告会に加入した店主は,筑後地区全ての販売店店主によって構成される所長会議と,筑後地区を複数のブロックに分けそのブロック内の販売店店主により構成されるブロック会議の構成メンバーとなる。
被告会の具体的な活動内容としては以下のとおりである。
ア 新聞拡張員の効率的な派遣
新聞販売店の営業活動においては,セールスを専門とするスタッフ(新聞拡張員)を利用することが必要不可欠である。そこで,被告会は,加盟店主の団体として,加盟店主が効率的な営業活動を行えるよう,セールス業者(通常,複数のセールススタッフを保有し,セールス団とよばれる)の派遣につき各店舗とセールス団との調整を行っている(甲3)。
具体的には以下のとおりである。
すなわち,店主がセールスの派遣を受けたい場合,まず店主は被告会社の販売担当員が訪店した際にセールス派遣の要請を出す。これを受けて担当員は各店主の派遣要請を取り纏めて被告会にその日程等調整を依頼する。そして被告会が具体的な派遣の日程や人員の調整を行い,セールス団に具体的にスタッフの派遣を依頼するのである。なお,被告会社はセールス団に対しその実績に応じて補助金を出すことにより,店主の営業活動を援助している。
また,被告会は,依頼したセールス団と加盟店主との精算を,被告会が取り纏めて処理する仕組み(「統一精算会」という)をとり,セールスに関する精算手続を簡易・迅速に行えるようにしている。
イ 新聞中入れ(赤ちゃん新聞・休刊日お知らせチラシ等)の配布
被告会は,現購読者を維持するためのサービスとして,赤ちゃん新聞(購読者の依頼に基づきその希望する赤ちゃん等の写真を掲載した新聞)や,休刊日お知らせチラシ等を購読者に対し適宜無料で配布している。
これらのサービスは,被告会が,各販売店主の必要部数を集計したうえで,被告会社に製作・配布を委託する。このように被告会がまとめて製作を委託することにより各販売店の負担が軽減されることになる。
ウ 各種イベントチケットの配布
被告会社は,現購読者を維持するために,野球観戦チケットや行楽地・遊園地等の優待券や割引券を配布することがある。特に野球観戦チケットは,購読契約時に購読者に求められることが多いものである。
これらのチケットも,被告会が被告会社から配布を受けたうえ,各販売店に配っている。
エ 拡張材料の共同購入
各販売店は,新規購読者獲得や現購読者を維持するために,拡張材料と呼ばれる景品(洗剤やコーヒーメーカー等)を適宜用いる。
これらは纏めて大量一括購入する方が,単価が下がり,各販売店の経費削減に資することになる。そこで,適宜被告会が,各販売店の必要個数をまとめたうえ共同購入を決めている。
(5) 被告会と被告会社の関係
被告会は被告会社から完全に独立しているわけではなく,被告会社が被告会の運営に深く関わっている(甲2の1、2の2)。
例えば被告会の会則には,役員は読売本社と協同して会務を司ること(6条),会長を読売本社と役員が協議し,会員の承認を得て決めること(9条),除名についても,読売本社と会員が協議して除名する旨が規定されている(附則/甲2の2)。
また,被告会社は,前記のとおり被告会(統一精算会)を通じてセールス業者に補助金をだしたり新聞中入れを製作したりするなどしており,被告会が被告会社から販売店主への各種支援の窓口となって販売店の営業活動を補助するという関係にもなっている。
2 事実関係の概要(紛争の発生とその後の経緯)
(1) 新聞販売店契約と被告会への入会
原告は,平成2年11月1日,被告会社との間で,原告が被告会社の発行する読売新聞その他の刊行物(以下併せて「新聞等」という。)を,被告会社の販売店として,福岡県八女郡広川町付近の所定の特定区域(以下「広川地区」という。)において販売する旨の新聞販売店契約を締結した(甲4)。
また当時の被告会会則には,読売新聞専売所長は同会に必ず入会しなければならないとの条項があったことから(16条),原告は同日被告会に入会となった。
上記新聞販売店契約は,自動更新条項により平成13年まで契約が更新され続けてきた。
(2) 被告会からの排除とセールススタッフ派遣の拒否・妨害
被告会社は,平成13年5月中旬頃,I担当を通じて,原告に対し,原告の販売区域である広川地区世帯数5100世帯のうち,約1500世帯に相当する区域を原告の新聞販売店から切り離して被告会社に返還し,同区域内の購読者名簿及び配達順路表を引き渡すよう申し入れた。
原告は,一旦はこれに同意したが,同年5月29日に,被告会社に対し,上記申入れを拒否する旨回答した。すると被告会社のI担当は,同年6月1日,原告に対し,以後所長会議へは出席しないよう通告した。
所長会議は前述の被告会の活動の中核であったことから,その通告は実質的には被告会からの排除を意味した。そして、新聞拡張員の効率的な派遣等の利益が得られなくなるから,原告の営業活動に多大なる打撃を与えることを意味した。
このため,原告は,同月18日,25日及び7月16日の3度にわたり,I担当訪店の際,新聞拡張員の派遣を要請した。しかしいずれも派遣を受けることができなかった。
その後,業を煮やした原告が,以前から特別に親交のあったセールススタッフに直接セールスを依頼したことがあった。この依頼に基づき当該スタッフが1度だけ営業活動にきたが,その直後当該スタッフから委託契約を解除された。その理由として当該スタッフは,(被告会社から)「広川店には営業入店してはならない,ときつく言われたため今後は入店できない」などと言ったのである。
(3) 新聞販売店契約の更新拒絶と仮処分申立て
被告会社は,6月28日,原告に対し,広川地区の世帯数に対する普及率が低く原告の努力不足が認められることや,部数実態報告に虚偽があることなどを理由に,広川店の担当区域から一部区域を返還し,同地域の読者台帳を同月末日までに引き渡すべきことを申し入れた。そして,原告がこれに応じない場合には,新聞販売店契約は同年7月末日をもって期間満了とし,更新しない旨を通知した。
原告は,同年7月25日,福岡地裁小倉支部に対し,新聞販売店の地位を仮に定めることを求める仮処分の申立てを行った。
上記仮処分申立てについては,同年10月29日,原告が被告会社に対し,同年8月1日から本案第1審判決言渡しの日までの間,広川地区において,新聞等販売店契約上の地位にあることを仮に定める旨の決定がなされた(甲5)。
(4) 被告会社による「死に店」扱い
上記決定を受け,被告会社は同年11月,I担当を原告の販売店に訪問させた。I担当は被告会社販売局宛の第1期増紙計画表及び被告会社宛の誓約書を持参して,原告に対しこれらへの署名を求めた。
第1期増紙計画表は,同年12月から平成14年7月まで8か月間で合計110部(月平均約14部)の増紙を目標とする増紙計画を記載したものである(甲6)。
また、誓約書の内容は,業務報告書の記載事項の明記,帳票類の完備・提示等,販売部数の透明性を厳守すること,上記計画表のとおり8か月計画を達成し,回収率目標150%以上を継続的に達成すること(当月で購読契約期間が満了する購読者数の1,5倍以上の新規購読者を次月に確保すること)などのほか,これらにつき不履行があった場合取引を中止されても異議を申し立てないというものであった(甲7)。
8か月計画は客観的にも無謀で実現不可能な内容であったため,当然原告は,これらに対する署名を拒否した。
すると同年12月7日,I担当は,原告に対し,今後新聞供給は注文部数自由増減の下で継続するが,増紙業務は依頼しないこと,被告会の活動(所長会議,ブロック会議,統一精算会等)には不参画とすること,業務報告は不要であるし,Iら担当員も訪店しないこと,平成14年1月から増紙支援をしないこと,所長年金積立は中止し,従業員退職金の補助等をしないこと,セールス団関係は原告が直接処理すべきこと,特別景品等は辞退されたいこと,などを申し渡した(「Iメモ」/甲8)。なお被告会社の販売店に対する上記扱いをいわゆる「死に店」扱いという。
こうして,原告は,被告会社からの支援も,被告会からの支援をも,完全に受けられない状態が確定したのである。
(5) 越境販売の放置
さらに平成14年7月頃から,原告は近隣他店により越境販売の被害を受けた。通常新聞販売店契約は,テリトリー制という特徴があり,テリトリーにおける営業,販売,配達活動は販売店が独占しており,新聞社は第三者にこれを行わせてはならないこととなっている。このため,原告は他店による越境販売につきこれを被告会社に訴えその調整方を申し入れた。しかし原告の再三の申し入れにもかかわらず,被告会社はその訴えを放置し続け,あるいは効果的な対策を何らとることがなかった(甲9の1、9の2)。
(6) 地位確認等の訴え
原告は平成14年9月25日,地位確認及び不当な更新拒絶による慰謝料の支払を求め本案を提訴した。そして平成18年9月22日,被告会社の原告に対する前記更新拒絶には正当理由がなく更新拒絶は無効であるとの第1審判決が下され(福岡地裁久留米支部平成14年(ワ)第276号/甲10の1),平成19年6月19日には上記判断に加え同更新拒絶が原告に対する不法行為を構成することを認める控訴審判決が下された(福岡高裁平成18年(ネ)第868号/甲10の2)。これに対し被告会社は上告受理申立てを行ったが,同年12月25日不受理決定(甲10の3)により上記判決は確定した。
(7) 被告らによる原告の法的地位の侵害の継続状況
上記判決により原告の新聞販売店契約上の地位が確定してもなお、現在においても原告が被告会社及び被告会からの支援を受けられない状態は続いている。
すなわち,原告は,上記判決後である平成20年1月のI担当訪店の際に,セールスの派遣や被告会への復帰について要求したところ,I担当は意味不明な言動をとるだけで結局原告の要求は聞き入れられることはなかった。
また,他店による越境販売について調整方を申し入れたところ,I担当は「店と店との問題」と言ってとりあわなかった。なお,被告会社は前訴では更新拒絶の理由として原告の越境販売をあげていた。被告会社が越境販売を行っていた第三者にそれを禁じる処置をとったのは,わずかに上記判決後新たに判明した1件の越境販売についてのみである。
このような被告会社に対し,原告は,今後の交渉を円滑に進めるべく,新たな販売店の団体として「新筑後読売会」を設立しようとしたが,被告会社はこれを認めないばかりか,「読売」商標の無許諾使用禁止警告を発するなどしている。
被告会社の原告に対する「死に店」扱いは,このように現在も続いているのである。
3 被告らの責任
(1) 越境販売の放置の債務不履行責任ないし不法行為責任
原告と被告会社とが締結した契約では,原告のテリトリーにおける営業,販売,配達活動は原告が独占しており,被告会社は,第三者に原告のテリトリーにおける営業,販売,配達活動を許してはならない。
ところが,原告が第三者の越境を確認して被告会社に訴えたのちも,被告会社は「店と店の問題」などと言って,第三者を排除するための具体的な処置を講じなかった。
これは,被告会社による契約上の義務違反行為ないし法的利益の侵害であるから,被告会社は,民法415条ないし709条に基づき原告の損害を賠償すべき責任がある。
(2) 被告会社および被告会による原告の被告会員としての法的地位の侵害(継続的な不法行為責任)
ア 原告は,被告会の会員として,被告会及び被告会社から販売店の発展向上を目的とした支援諸施策の実施を受けうる法的地位を有している。
イ かかる原告に対して,被告らは,2001(平成13)年6月1日,所長会議に出席しないように通告し,上記第1・3の(1)乃至(4)に列挙した被告会の活動への参加を妨げた。
ウ また,同年6月18日,25日及び7月16日の3度にわたり,原告が拡張販売員の派遣を要請したにもかかわらず,これに一切応じなかった。
エ 被告らは,原告の新聞等販売店契約上の地位にあることを仮に定める旨の決定が出た後である同年12月7日にも,被告会の活動に参加しないように改めて申し渡して,原告が被告会の活動がなしえないようにした。
オ 2001(平成13)年9月ころ,原告が被告会を通じることなく直接にセールススタッフと委託契約を締結した。これに対して,被告会社は,当該セールススタッフに,原告との委託契約を解消するように強要した。その結果,原告は,当該セールススタッフから委託契約を一方的に解消され,新聞拡張員による営業を行なうことができなくなった。
カ 2002(平成14)年2月以降は,担当者の訪店も中止された。
キ 更に,原告の被告会社販売店としての地位が確定した平成19年12月25日以降も,被告らは,被告会の活動の全てから原告を排除し続けている。
ク すなわち,被告らは,原告が被告会の会員として被告会及び被告会社から販売店の発展向上を目的とした支援諸施策の実施を受けうる法的地位を有しているにもかかわらず,2001(平成13)年以降継続して各種支援策の実施を拒絶・妨害し、前記法的地位を侵害し続けているのであるから,民法709条、719に基づき,原告の損害を連帯して賠償すべき義務がある。
(3) 被告取締役らの任務懈怠責任(会社法429条第1項)
被告取締役らは、その職務上、被告会社が、原告の被告会及び被告会社から販売店の発展向上を目的とした支援諸施策の実施を受ける法的地位を侵害しないように注意すべき義務があったのにこれを怠り、被告会社が上記法的地位の侵害を行うのを漫然と放置していたのであるから、被告取締役らには、少なくとも任務懈怠につき重大な過失があった。
4 因果関係の存在
新聞販売においては,他紙との熾烈な競争の下,セールス専門の販売拡張員による協力は必要不可欠である。かかる支援策なしには購読者の拡大ができないどころか,容易に他紙販売店からの切り崩しを受けてしまう。
また,赤ちゃん新聞やチケット等のサービス供給拒絶によっても,その配布において他地区との差別的扱いとなってしまい,購読者の信頼を喪失し,購読中止・購読継続拒否となったケースが現に生じている。
新聞購読契約においては,購読者との信頼関係は些細なことで容易に喪失し,購読中止・購読継続拒否につながるのであるが,他方,それを回復すること,あるいは他紙から自紙へ購読者の拡大を図ることは極めて困難であり,多大な資力・労力を必要とする。
かかる新聞販売の実情の下,被告会及び被告会社の前記違法行為および被告取締役らの任務懈怠は、原告らに対し,後記5の損害を与えるに至ったものである。
5 損害
上記被告らの行為によって,原告には以下の損害が生じた。
(1) 営業損害
原告が,被告らから援助を拒絶されるようになった2001(平成13)年の以前である1997(平成9)年から2000(平成12)年までの4年間の原告の所得平均金額は,金728万4615円(以下「A」とする)である(甲11の1ないし11の4)。
原告が被告らから援助を拒絶されるようになった2001(平成13)年以降の各年の所得金額と,Aとの差額は以下の通りであり,その合計金額は金935万1764円となる(甲11の5ないし11の11)。
2001(平成13)年 818万9123円 0円
2002(平成14)年 648万0733円 80万3882円
2003(平成15)年 813万2693円 0円
2004(平成16)年 704万7328円 23万7287円
2005(平成17)年 708万4139円 20万0476円
2006(平成18)年 384万1377円 344万3238円
2007(平成19)年 261万7734円 466万6881円
(2) 販売店の価値の減少
2000(平成12)年12月に原告販売店を被告会社に売却した場合の価値は、約930万円である。
ところが、2008(平成20)年4月時点での価値は、約195万である。
すなわち,販売店そのものの価値が約735万円減少した。
(3) 被告会社の債務不履行による被害
被告の義務違反により,第三者が原告のテリトリーを侵した結果,本来原告に帰属すべき利益が第三者の手に渡った金額は,少なく見積もっても500万円を下らない。
(4) 慰謝料
ア 費用相当分
2000(平成12)年12月時点で1589部であった原告の実配数は,2008(平成20)年4月時点で534部まで落ち込んでいる。
これを元通り回復するためには,そのための費用だけでも,約2057万円が必要である。なぜならば,契約が切れる顧客のうち止押ができるのはどんなに多くても50%であるから,実際に1055部(1589部−534部)をのばすためには最低でもこの1.5倍の契約を取らなければならない。そして,1年間の購読契約を1件結ぶことに成功した場合のセールススタッフの報酬は約1万円、拡材費は約3000円である。これを元に計算をすると
(計算式)1055×1.5×1万3000円≒2057万円
イ 本来得られた利益
また,1992(平成4)年から1998(平成10)年までの間に(各年12月実績で比較),原告が実際に増やすことができた購読契約は,年間平均77件である。
インターネットの普及などで新聞を購読しない人が増えている現代において,新聞各社が激しい購読者競争を行っている中,購読契約を増やすことができるのは,どれほど頑張っても1年間に60件が限度である。
とすれば,1055部を回復するためには,約18年が必要である。
これを前提に、現時点で261万7734円の所得を,A(728万4615円)まで回復する18年の間に,本来であれば原告が取得することができたはずの利益は次の計算のとおりとなる。
(728万4615円−261万7734円)×18÷2≒4200万円
ウ 小括
こうした事情からすれば,原告が受けた精神的損害を慰謝するためには,少なくとも金6257万円は下らない。
(5) 上記損害額合計
被告会及び被告会社の債務不履行により(連帯債務),原告が被った損害は金7927万1764円である。
加えて、被告会社の債務不履行ないしは不法行為により原告が被った損害は金500万円である。
(6) 弁護士費用
原告は,本件訴訟遂行を弁護士に依頼し、その費用を負担した。
そのうち,被告らに連帯させて負わせるべき費用としては,被告らに対し連帯して請求する金額の1割にあたる金792万7176円が相当である。
更に,これに加えて被告会社に負わせるべき費用としては,被告会社に対する請求金額の1割にあたる金50万円が相当である。
6 まとめ
よって,請求の趣旨記載の請求をするものである。
証 拠 方 法
1 甲第1号証 履歴事項全部証明書 1通
2 甲第2号証の1 筑後読売会会則(平成9年5月13日より実施分) 1通
3 甲第2号証の2 筑後読売会会則(平成14年4月1日より実施分) 1通
4 甲第3号証 読売新聞統一カード料制度協約書 1通
5 甲第4号証 契約書 1通
6 甲第5号証 決定
(福岡地裁小倉支部平成13年(ヨ)第182号) 1通
7 甲第6号証 第1期増紙計画表 1通
8 甲第7号証 誓約書 1通
9 甲第8号証 Iメモ 1通
10 甲第9号証の1 ご連絡(2003年9月26日付) 1通
11 甲第9号証の2 申入書(2008年1月17日付) 1通
12 甲第10号証の1
判決(福岡地裁久留米支部平成14年(ワ)第276号 1通
13 甲第10号証の2
判決(福岡高裁平成18年(ネ)第868号 1通
14 甲第10号証の3
調書(最高裁第3小法廷平成19年(受)第1463号 1通
15 甲第11号証の1〜11
平成9年分〜平成19年分所得税青色申告決算書 各1通
添 付 書 類
1 甲号証 各1通
2 資格証明書 1通
3 訴訟委任状 1通
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