KDDI延岡大貫訴訟:荻野晃也氏の証人尋問
証人氏名 荻 野 晃 也
【原告ら代理人(佐々木)】
乙第52号証の2(意見書「携帯電話による電磁波被害について」)を示す
1 これは,先生が2002年に作成され裁判所に提出された意見書ですね。
はい,そうです。
2 先生の経歴は, 1ページロの【1】に記載されているとおりですね。
はい,そうです。
3 研究者としては,放射線の研究からスタートされたということになるわけで
すか。
はい。私自身は原子核物理学ですから,放射線計測が中心です。
4 原子力発電所に関する裁判にも関わったことがおありだということですね。
ええ,そうです。70年代の初めですけど。
5 例えば,どういった関わりをお持ちでしょうか。
伊方原発訴訟で特別補佐人をいたしました。 1977年には地震の証人を伊方原発訴訟でやっております。
6 その際には,どういう証言をなさったんでしょうか。
その頃は,まだ日本の地震の原因が活断層説じゃなかったんですけれども,私は活断層説が正しいと確信しまして,伊方原発訴訟で伊方原発の近くにある活断層が問題であるという証言をいたしました。
7 電磁波については,いつ頃から研究なさっているんでしょうか。
私は,学生のときから京大の理学部の物理で原子核物理学を研究してましたから,加速器の中の一種であるサイクロトロンというものをよく使って実験をやっておりました。サイクロトロンというのは,高周波をかけますので,高周波を大変よく使うんですね。そういう意味で,高周波の問題はその頃からずっと関心を持っておりまして,ですから,例えば,身の回りの放射線をお話ししてくださいという講演の依頼があるときは,電磁波も問題ですよということは70年代から言っております。
8 先生は,本訴訟でも提出されているような電磁波に関するヨーロッパの論文等についての翻訳も監修なさってますね。
そうです。そういぅ翻訳もしてますし,本も書いたりしております。
[甲第34号証(報告書「延岡市大貫町・KDDI基地局」の「電力束密度」について)を示す]
9 これは,先生が2010年7月26日に延岡市の本件基地局周辺での電磁波強度を測定された結果をまとめたものということですね。
はい,そうです。
10 この報告書には資料が添付されていますね。
はい。
11添付資料No. 4というものなんですけれども,これは,被告が平成19年に原告の岡田澄太さん宅で電力束密度を測定した結果についての報告書ということですね。
はい,そうです。
12この報告書が添付されているというのは,そもそも先生が大貫地区というところで測定を行おうと考えたきっかけになったものということで添付されているということなんでしょぅか。
はい,そのとおりです。
[乙第27号証の1(延岡大貫町局電力密度測定結果について(ご報告))を示す]
13 これは,先ほど示した甲第34号証添付資料No4と同一のものです。2枚目の表についてお伺いしますけれども,表1というのが電波発射時の全帯域の測定結果であり,表2が2GHz帯域の測定結果というふうになつてますね。
はい。
14 表1の「岡田澄太様3F」の1回日と2回日のところの一番右端の欄,「全帯域に占める2GHz帯の割合」が,1回目は97 90%,2回目は98.04%となっています。これはどういうことを意味するんでしょうか。
岡田さん宅の3階の1回目, 2回日とも大体98%前後を示してるということは,これは岡田さんのところの3階の部屋で測定されたんだと思いますけれども,そこで測定された電磁波強度は全てKDDIから来る2GHz帯の電磁波が占めているということを示しています。
[乙第25号証(無線局事項書及び工事)を示す]
15 「無線局インターネット申請」ということで,本件基地局の無線局インターネット申請の際に被告が提出したものですけれども, 6枚目の中段に「周波数情報(1カというところがありまして,その中に「電波の型式等情報(1拍,
更にそこの「周波数詳fIB(1拍といぅところの「周波数」という欄に「2116.25MHz〜 2128.75MHz」というふうにあります。これを見ると,先生が今説明されたように,本件基地局が2GHz帯域の電波を発射しているということが分かるわけですね。
はい,そうです。KDDIはいろんな周波数を使ってますから,私も測定の最初に確かめましたら,確かにこの周波数帯がKDDIのアンテナから出てるということは確かめて測定をしております。
16 乙第27号証の1の2枚日の表3と表4ですけれども,これは停波時,電波を止めたときの測定結果ですけれども, これから分かることというのは何でしようか。
幾つもありますけれども,典型的なのは,表4の停波時の2GHz帯の測定値が0.00014μ W/cm2と大変低い値になっているということと,電波が強いときは,例えば,表2を見ましても4.428ありますから,大体数万倍高くなっているということを示してます。
17表4の「停波時の2GHz帯域測定」というところですけれども,これは本件基地局の操業前のこの辺りの2GHz帯域の電磁波の強さを示してるというふうに理解することは間違いないでしょうか。
はい,そういうことになりますね。
18次に表2の電波発射時の2GHz帯域の測定値についてお伺いしますけれども,最も注目すべきポイントは,やはり3階の2回日の4.428μ W/cm2という値ですね。
そうです。
19先生がこの結果を最初に御覧になつたのは,いつのことになるんでしょうか。
先ほど私が添付したのを見せていただいたんですから,たしか19年の秋かそこらじゃないでしょうか。
20そうすると,先ほどの甲第34号証添付資料M6の御領基地局の報告書,これを作成する前辺りということになるわけですね。
ええ,そうですね。
21初めて御覧になつたときまでに,このような値というのは先生は見たことはあつたんでしょうか。
こういう値を私はそれまで見たことは全くありませんでした。
22そうすると, この値を見たときに先生は,ちょっと信じられないとかそういうようなお考えを持つたということでしょうか。
まず,余りにも高い値だつたので,多分私の知ってる限りこういう値が出るのが発表されたのが初めてだと思つて,私は大変驚いて,その後,岡田さんに連れていってもらって,岡田さんの家のどこで測つたのか案内してもらいました。
23今の点とちょっと関係することになるかもしれませんが,表1と表2ですけれども,いずれも基本的には2回の測定で終わつているのに,電波発射時の2GHz帯域の岡田澄太さん方の3階の測定は3度行われているわけですが,これはどういうことなんでしょうか。
表1で2回測った値が大体lμ W/cm2前後, 1回目が0.9535,2回目が1 .049となっているんですけれども,その後,測られた表2の岡田さん宅の3階の1回目が2.589,これを測って余りにも前よりも高いので,多分測定された方は,もう1度測ったら下がるだろうと思って測られたんだと思います。そうしますと,かえって4.428というふうに高くなったので,
これはちょっと困ると思われて3回目を測られたら1.289というので1ぐらいに下がったから,そこでやめられたんじゃないかと。これは私の推定ですけれども,そんな気がしますね。
24先生からすると,測定に当たった担当者も驚いて,これは何かの間違いじゃないかというような値だったと,そぅいぅことなわけですね。
ええ,そう思います。
25表2の「岡田澄太様3F」については, 3度の測定で,最高が4.428,最低は1.289ということで, 4倍近くの差があるということになるんですが, こういうような差というのは生じるものなんでしょうか。
携帯電話のタワーから出る電波というのは,利用者の数,利用者がどういう距離で使ってるかとか,そういうのと全部関連しておりますので,
日本ではタヮーからの電波がどれぐらい強弱があるかというデータはありませんけれども,外国なんかの例で見ますと,やっばり数十倍の強度の変化があるので,ですから,こういう値が出ても私は別におかしいことはないと思ってます。
263度の測定でこれだけの差が開くというのは,全然不思議なことではないということですか。
はい,そうです。
27 先生は,延岡以外にも電力束密度の測定を行っていらっしゃるようですが,大体合計で何箇所ぐらい経験されてますか。
私はいろんな機械で測っておりますけれども,それから,第2世代,第3世代というので電波の形状が違いますけれども,大体10回くらいは測ってると思います。
28 その中で,先生が大貫地区を計測するまでの段階で,最高の値というのはど
れぐらいだったか覚えていらっしゃいますか。
どんな最高値でもlμ W/cm2を超えることはなかったと思います。
29 そうすると,やはり4.428という値は,非常に高いというものなわけですね。
ええ,驚きました。
30 表2なんですけれども, 1階と2階と3階のそれぞれ測定されてますが,こ
れを比較して何か分かることはありますか。
1階は弱くて,上へ上がるほど強くなっていってるということが出て
おります。
[乙第27号証の3(延岡大貫町局電力密度測定結果について(ご報告))を示す]
31 これは,同じく被告が平成19年2月27日にカットハウスビッグベンというところで電力束密度を測定したものです。2枚目の表1の一番右端ですけれども,同じように2GHz帯域の占める割合が書いてありますね。
はい。
32 1階では7%というふうになっていますが, 2階では75%, これは相当な違いがあるように思えるんですが,理由は何なんでしょうか。
カットハウスビッグベンというのは,多分岡田さんのところから横に行ったところだと思うんですけれども, 1階の割合が弱くて, 2階が強くなるというのは,やっばリタワーからの2GHzの電磁波が,
2階へ行けば行くほど強く受けるようになってるという証拠だと思います。
33 表2のほうなんですけれども, 1階と2階では, 2階の値が0 1.754μW/cm2, 1階は0.02378ということで,約8倍ぐらい2階のほうが高いということになってますね。
はい。
34 仮に,更に上の階で測っていたらどういうことが言えたでしょうか。これで6倍ぐらいになってますから,上の階があれば,あるかどうか知りませんけれども,例えば, 3階を測ったとしたら,かなり強い1を超えてた可能性はあると思います。
[甲第68号証(平成19年2月27日KDDI測定値(強度順))を示す]
35 これは,先ほど来お示ししている平成19年2月27日に被告が測定した測定結果について,電波発射時の2GHz帯域の電力束密度を値が高い順に一覧にしたものです。1階での測定については黄色で塗り潰してあります。今,先生が御指摘になった岡田さん宅の2階,
3階とか,カットハウスビッグベンの2階が高いということでしたが,全体の傾向で見てもそういうことが言えるでしょうか。
はい,言えます。
36 4番の甲斐さんの事務所ですけれども,これは1階なんですが,ちょっと高いように思われるんですけれども,仮にこの事務所の2階でこのとき測定していた場合には,どういうことが言えたでしょうか。
多分2階で測定すれば,間違いなく高い値を示したと思います。
37 要するに,先生は,高いところで測定したほうが値は高くなるというふうに思うわけですね。
はい,それは間違いありません。
38 そのことは,先生が既に今回の甲第34号証添付資料NQ 6として御領の携帯電話基地局の測定結果の評価もなさってますけれども,そこで,上の階のほうが値が高いという傾向が認められるというふうに御指摘をなさっているということなんですね。
はい,そうです。
39 一般的に基地局周辺では,地上よりも上の階のほうが値が高くなるというお話ですけれども, どうして上の階のほうが高くなるということになるんでしょうか。
携帯電話のアンテナというのは,独立した場合でも高いところにありますし,今度の場合は屋根の上にありますから,それが1つと,タワーからのアンテナというのは,そのまま一様に広がるんじゃなくて,だ円形といいますか,方向によって絞られた状態で広がっていきます。それでタヮーのアンテナというのはちょっと下を向いてますから,どうしてもその向いた方向に強い電波が集中的に行くということになってますから,高いところほど強い値になるということです。
40 甲第34号証の38ベージの添付資料NQ 8を見てください。 1枚めくっていただくと図があります。今,先生がおっしゃった,だ円形に広がるというの
は,この上の図ということになるわけでしょうか。
この上の図と下の図の両方です。ですから,上の図は上から見た場合,下の図は横から見た場合ですけれども,こういう具合に細長いだ円の状態でアンテナの向きのほうは電波が強く行きます。
[甲第3号証(ザルツプルグ国際会議議事録(日本語訳))を示す]
41 これは, 2000年に開催されたザルツプルグ国際会議の議事録ですが,表紙にもあるように,先生はこの議事録の翻訳を監修なさってますね。
はい。
42 -番最後の126ページを見てください。これが決議ということになるわけですが, 4項の下から4行日の一番最後ですけれども,「公衆の健康を防護する予防策としてCSM基地局から発せられるような低周波パルスに変調された高周波被曝のすべての合計総量について予防原則的なガイドラインとしてlmW/cm2(0.1μ W/cm2)が勧告された」というふうにあります。そのGSM基地局というのは,携帯電話基地局ということでよろしいですね。
そうです。ヨーロッパで使われている携帯電話の基地局です。
43 つまり携帯電話基地局から放出される電磁波の上限として0.1μ w/cm2とせよと,そういうことなんですね。
はい,そういうことです。
[甲第14号証の1(バイオイニシェィティブ報告:「電磁波(ELFとRF)の生物学的影響に基づいた公衆被曝基準の論理的根拠」)を示す]
44 これは,2007年8月31日に発表された「バイオイニシエイティブ報告」というものですが,先生は当然この報告についてもよく御存じですね。
はい,知ってます。
45 26ページの一番下の段落ですけれども,「屋外の累積的なRF被曝について, 0.1μ W/cm2(約0.614V/m)の予防的限度値が採用されるべきだ」というふうにありますけれども,このRFというのは何のことでしょうか。
RFというのは,RadiO Frequencyですから,ラジオ周波数,高周波の電波のことを言つております。
46 高周波ということは,ぃゎゅる携帯電話で利用される電磁波も含むということですね。
はい,そういうことです。
47 そうすると, 2007年の段階でもやはり0.1μ w/cm2を基準とすべきだという報告がヨーロッパではなされているというわけですね。
はい,そうです。
48 そこで,最近の2007年以降のコーロッパにおける規制の情勢についてお伺いしたいんですが, どのような情勢なんでしょうか。
0. 1をかなり中心的に主張してるのはEU議会関係者で,それを受けて,多分私の推定では,幾つかの国は,これから0.1を具体的に携帯タワーなんかに取ろうとする国が増えていくだろうと私は思ってます。現在のところ,国としては0.1は取つておりませんけれども,幾つかの国では大体数μW/cm2以上ぐらいは取り始めてるというのが現状です。
49 先生御自身の御見解なんですけれども, この0.1μ W/cm2という値は十分なものとお考えなんでしょうか。
0.1μ W/cm2というのは,それでもかなり高いと私自身は思っております。例えば,私はザルツプルグ州が屋外0.001,室内0.0001μ
W/cm2をある意味じゃ勧告値にしてるわけですけれども,できるのであれば,それのほうがいいと私自身は思っております。
50 今,ザルップルグの屋内で0.0001という値が出ましたけれども,これで携帯電話の使用というのは全く差し支えないんでしょうか。
もちろん使えます。
51 全然差し支えないということですか。
多分大丈夫だと思います。
52 今,確認した基準値を前提として,甲第68号証の一覧表についてもう一度見ていきたいんですが,先生は高過ぎるとおっしゃるんですけれども, 0.lμ
W/cm2によったとした場合,上から5番目の「カットハウスビッグベン2F」までが超えてしまうということになるわけですね。
はい,そうです。
[乙第51号証(延岡大貫町局測定結果報告書)を示す]
53 これは,平成22年8月24日, 25日にKDDIが本件基地局周辺の電波強度を測定したものですけれども,先生は,この報告書についてももちろん御覧になっていますね。
はい,知ってます。
54このときの測定の高さなんですが,いずれも地上1.5メートルであったということも御存じでしょうか。
はい,知ってます。
553ページですが,これは1日目, 8月24日の測定値ですけれども,これを見ていくと,最高値というのはNo1 3の0.0003796mW/cm2
ということですね。この値をμW/cm2に換算すると, 0.3796ということになりますね。
はい,そうです。
56それから,この測定結果全体について,先ほどから参照しているザルツプルグ国際会議の制限値である0.1μ w/cm2を超える地点を数えてみますと,Nol,No2,No7,No
8,No13, ということで, 5地点ありますね。
はい。
57この5地点について, どのようなことが言えるでしょうか。
この5地点で言えるのは,やはり100メートル以内は0.1を超えてるということですね。それが一番特徴的じゃないでしょうか。
58先ほど,今回の測定というのは地上1 5メートルで行われたといぅことを確認しましたが,その高さであっても100メートル以内であれば,やはり高い値が測定されるんだといぅことになるわけですね。
はい,そうです。
59今の平成22年の被告の測定と比較するために,甲第68号証の1階のみついて参照してはしいんですけれども,黄色に塗り潰してる部分です。これを見ると,
0.1μ w/cm2を超えているのは,黄色の部分では, 4番の甲斐さん宅だけといぅことになりますね。
はい,そうです。
60先ほど,乙第51号証の平成22年の最高値は地点13の0.3796という値だったわけですが,それと比較すると,甲斐さん宅の値というのは約2分の1ということですね。
はい。
61平成22年に被告が測定した地点1というのがあるんですが, これについては,カットハウスビッグベンと非常に近接してる場所なんですけれども,平成19年と比較すると,平成22年のほうがl0倍高い値になっているんですが,このように見てくると,平成22年の被告の測定値と平成19年の測定値を1階だけで比較すると,平成22年のほうが高いのではないかなというふうに思われるんですが,どぅでしょぅか。
全体に比較すると, 19年よりも22年のほうが明らかに高い値を示してますね。
62そういうふうに高くなる根拠としては,どぅぃぅことが考えられますか。
測定器は一緒だと思いますので,やはリタワーからの電波が強くなったということが考えられますね。それで,強くなる理由というのは幾つもあるんですけれども,
1つは,やっぱリユーザーが増えたこと。それとユーザーの多くがかなり離れたところで使う人が増えたこと。それから携帯電話自身がいろんな機能が増えてきたことによって発信電波が長くなるということ。要するに,それは使用時間が長くなることになるんですけれども,そういうのを考えると,そういうタヮーからの電波が強くなった影響ではないかと私は思います。
63確認なんですけれども,遠方のユーザーが増えるということで基地局からの出力が上がる,又は強度が強くなるということをちょっと説明していただけますか。
携帯電話が広がるようになった理由は,そうぃう技術が開発されたことなんです。携帯電話のタワーからの電波というのは,遠方にいるユーザーが使った場合はタヮーからの電波を強くします。近くにいる場合は弱くて済むんですけれども,そういう機能を持っているわけです。ですから,先ほどちょっと言いましたけれども,真夜中の誰も使わないときのタワーから出る電波というのは携帯電話の信号だけになりますけど,使う人が多くなるとどんどん強くなると。ですから,それがどれぐらいの割合で変化するかというのは日本では発表されてないんですけれども,欧米ではそういうのが発表されて,それですと,たしか何十倍という具合に差が出るんだということから考えて,タヮーからの電波は大変強くなることを示してると思います。
[甲第67号証(測定結果比較表)を示す]
64 この表の真ん中の「荻野測定(甲34)」というのは,先生の測定結果のうち,基地局アンテナから100メートル以内のものについて私がまとめたというものなんですが, この比較表についても先生は既に御覧になっていますね。
はい,知っております。
65 これを見ると,西本さん宅の寝室を除いて,そのほかはいずれも先ほど来参照している0.1μ w/cm2以上ということになっていますね。
はい,そうです。
66 西本さん宅の寝室が0.00594と飛び抜けて低くなっているのはどうし
てでしょうか。
私ももちろん測定したんで行ってますから分かりますけれども,壁にアルミの板が巡らされております。それをやりますと,こうぃぅ具合に電波がアルミには大変吸収されやすいですから,がたっと減ってるのでこうなっているわけです。
67 先日我々も5月30日に現地見分と称して西本さん宅寝室を見たわけですけれども,その際に携帯電話の電波状況は,いわゅる携帯電話の画面上で言うアンテナが3本立っているという状態が確認されたようなんです。0.00594という値でアンテナが3本立つと,これはあり得ることでしょうか。
先ほども言いましたけれども,ザルツプルグでも使えるというのは0.001ですから,これくらいの強度だったら十分3本立つと思います。
68同じ表の「蓑田宅」の「入口」というところの欄ですが,今回の先生の測定によると,この地点での値は0.272μ W/cm2 です。この裁判で現地見分でも問題にしたんですけれども,被告が平成22年に行った測定の地点13,これは右側に地点13というのを書いておりますけれども,この値を見ると,8月24日は0
.37960. 2日目は0.24840, これはほぼ同一になっているように思えるんですが,それでいいんでしょうか。
この場所は,アンテナが見えて,アンテナの前に広い駐車場があった場所だったと思います。KDDIさんの測定と私の測定で比較できるような場所というのはほとんどなくて,この13番だけなんですよね。それで13番のKDDIさんのデータを調べると,私の値と平均値はほとんどびったりと合ってるんで,大変よく合ってると私は思ってます。
69被告のほうは盛んに先生の測定とか校正値3.56といったものが科学的根拠がないんじゃないかというようなことを言っているわけですけれども,我々は,この測定結果が符合するということの1点をもって先生の測定に問題がないことは明らかなんじゃないかといぅふぅに考えているんですが,それでよろしいでしょうか。
少なくとも比較できるのはこの点しかないもんですから,この点を見る限りは大変私の測定値とよく合ってると思って,私自身ほっとしました。
70同じ表の「岡田宅」の「3F(室内)」と「2F(室内)」というところをそれぞれ見ていただきたいんですけれども, 2階は1.138, 3階は0.719というふうになっていて,これは上の階に行くほど高くなるというのと若干矛盾してるように思われるんですが,これはどういうことでしょうか。
同じ室内としか書いてないから矛盾してるように見えるんですけれども, 2階の室内というのは, 2階の窓際で測りました。3階に関しては,先ほどありましたけれども,
4.48という高い値が出たところが,窓じゃなくてかなり真ん中なので,同じKDDIさんが測った値の場所で測ったと。それはかなり部屋の真ん中だったので,それでこういう差が出たんだと私は思ってます。
71今の点を確認しますけれども,甲第34号証の7ページの表3を見ると,左から「@ 3階ベランダ」,その次が「@ 3階室内」,その次が「@ 2階窓際」,最後に「@
l階玄関前Jというふうに,確かに先生がここで窓際で測定されてるというのが記されていて,実は甲第67号証で「2F(室内)」というふうに書いてしまったのは私の誤りということになるわけですが,要するに,このときに2階の窓際でなくて中央で測定していたら,こういうような逆転現象はないかもしれないと,そういうことになるわけですか。
それは間違いないんじゃないでしょうか。ベランダと室内の間は窓際になりますから,そうすると,多分ベランダと室内との中間ぐらいの値になったと思いますから,高い値になったと思います。
72現実に3階ベランダというのは, 15.967という値も出ているしということですね。
はい,そうです。
73測定器について確認をしておきたいんですけれども,甲第34号証の13ページの添付資料No lを見てください。先生が使用した測定器というのは,このハンドヘルドスペクトラムアナライザMS271lD,アンリツ製で間違いないですか。
はい,同じものです。
74アンテナについてなんですけれども,甲第34号証の2ページの【3】の(1)というところに,今の測定器のほかにアンテナが2つほど記載されています。ここに記載されてるとおりで間違いないですね。
はい,そうです。
75 これらの機器というのは,先生が所有されてるものですか。
スペクトラムアナライザMS271lDとアンテナの両方とも,オリックスさんから同じようにレンタルしたものです。
76 このMS271lDという測定器と今のアンテナを使用するのは何回目ぐらいになりますか。
先ほど,今まで測定したのは10回ぐらいと言いましたけれども,最初はこれは使ってないんで,オリックスさんから借りて測定したのは多分8回ぐらいじゃないでしょうか。
77 その測定結果を裁判所に提出したようなことも当然おありだということですね。
裁判所に報告書として出したのは,そのうちの5回ぐらいあるかもしれません。
78 そうすると,余りにも当然のことを聞くようで恐縮なんですけれども,使用
方法についても十分把握していらっしゃるということになりますね。
はい。使用方法,それから,どういう具合に最終的な電力束密度になったかということも含めて,洗いざらい報告書にはきちっと書いてあります。
79 被告からは,先生の測定結果報告に対して,スペアナの校正がなされてない
のではないかというような指摘もあるんですけれども, これについてはどう
なんでしょうか。
私も一番最初にオリックスさんから借りたときに,その点が大変心配だったので,京大のそういう校正機器を持っているところへ行きまして校正しましたら,大変いい値だったのでほっとして,その次のときに念のために校正のそういう書類も取り寄せました。そうしましたら,送ってこられまして,オリックスさんが言うには,
レンタルするときは必ず校正が済んで合致してるということを確認した上でなければレンタルしませんと言われたので,その後はそういうことはしておりません。
【裁 判 長】
80 コウセィといぅのは,どういう字でしょうか。
校正と書きます。値が正しいかどうか調べるということです。
【原告ら代理人(佐々木)】
81 較正ではないんですか。
較正でもいいです。
82 オリックス社が有料でレンタルするのに,そのような校正の有効期限が切れたようなものを貸し出すことはあり得ないですね。
そういうことはないと言っておられました。
83 甲第34号証の3ベージの表1を見てください。測定地点について確認しますけれども,先生が測定された地点,更に測定時刻のいずれもここに記載されてるとおりということになりますね。
はい。
84 3ベージから4ページにかけての@から@ということですね。
はい。
85 岡田さん宅については,@,Dの2回ありますけれども,これはどういう理由からでしょうか。
まず,岡田さんのところで何MHzの電波が来てるかとかいろいる調べましたんで,それで岡田さんのところを測ったわけです。それが@です。その後,岡田さんにKDDIさんが測定された時間を開きましたら,
14時半前後でしたと言われたので,先ほども言いましたけれども,時刻によって電波が変動しますので,測定されたのと同じ時刻に測る必要があると思って,
14時21分に3階へ行って3階だけ測つたのがDです。
86 今おっしゃった岡田さんから教えてもらった時間というのは,平成19年に被告が測定した時間帯ということになりますか。
はい,そういぅことです。
87 甲第34号証の15ベージの添付資料NQ 3を見てください。今の@からIを地図上に表すと,この図のとおりということになりますね。
はい。
88 この地点の選定根拠というのは何かあったんでしょうか。
選定根拠というのは,まず,岡田さんに測定する場所を調べていただきました。というのは,家の2階とか家の中に入るのに勝手に入るわけにはいきませんので。それで,岡田さんがこの家を測ってくださいという場所があったんですけれども,そこを測って,それ以外は,私が現地へ行って,あそこを測ってみたいと思うようなところが何点かありましたので,そういうので測ったといぅことです。
89 岡田さんに,こことここといぅふうに指示されたというのは,健康被害がある方の自宅を中心にということになるわけでしょうか。
それは岡田さんにお任せしました。私は,この人がどういぅ人なのでというのはあんまり知らないですから,岡田さんに選んでいただいた場所を測ったということです。
90 測定方法について若千お伺いしたいんですけれども,スペアナを用いて測定する際に先生が一番注意されたこととぃうのは何でしょうか。
スペアナで測定するときに,スペアナを立ててアンテナが上に立ちますから,そのアンテナを持ってスペアナを振動させると値が変わると困るので,ノイズが入りますから,アンテナが見える方向にスペアナを固定して,できるだけ動かないようにして,台があるときは台の上に置いたりしますけれども,そうやってスペアナで測定します。
91 甲第34号証の18ページの添付資料NQ 5を見てください。今おっしゃった測定の状況を写真に示したのが,この2つの写真ということになりますか。
はい,そうです。
92 実際にこのようにして測定されたということですね。
はい。
93 甲第34号証の37ページの添付資料NQ 7を見てください。測定すると,スペアナの画面に写真のような画像が出てくるということになるわけですが,この写真から電界強度の読み取り方というのを確認すると,
3本のピークがあって,それぞれのセンターの位置にカーソルを合わせると,その周波数での電界強度が得られるということですね。
はい,そうです。
94 甲第34号証の7ページの表2を見てください。今のようにして得られた値が表2に記載されているA値ということになるわけですね。
はい,そうです。先ほどの写真で,読みにくいんですけれども,周波数2123.75MHzで,-28.36dBmというのがA値で,下のほうに薄く見えるはずです。
95 先ほどの写真というのは,添付資料NQ 7の@の写真ということですね。
はい。
96 ここから電力束密度を得るためには,計算をするということになるわけですね。
はい。
97 甲第34号証の4ページの「【5】計算手順について」ですが,ここに計算の手順は記載してあるとおりということになりますか。
はい。
98このような具体的な計算方法というのは,決まった公式のようなものがあるわけですよね。
ええ。大体こういうときにスペアナでA値を測った後,それをいわゆる電力束密度に直すやり方として, この手順でやっていけばそのまま
いけるということです。
99 2点だけ被告から問題点を指摘されてるわけですが,周波数の幅が広い場合に,先生は,それをRBW値というもので割っているということになるわけですけれども,
こういぅやり方については問題はないんでしょうか。
RBW値の範囲内で計測したやつがそれぞれ幅に出てくるんですけれども,CDMA方式という電磁波は幅が大変広いので,測定データをRBW値で割って,それで掛けるということをする,原理的にはそれでいいはずなんです。先ほど言いましたけれども, 5回ぐらいこれで報告書を出したりしてたんですけれども,それでいいはずだと思ってたんですが,どうもそれじゃちょっとまずいんじゃないかと思うようになったのが,先ほどの岡田さんのところで4 48という値が出て,私はあちこちでもそういう経験がなかったもんですから,それで見直す必要が生じたといぅことです。
100今,まずいんじゃないかとおっしゃぃましたけれども,要するに,荻野先生の計算方法が,より値を大きくしてしまうというんじゃなくて,逆に値が小さくなっているんじゃないかといぅ方向でおかしいなということでしょぅか。
いや,そのときは,値がでかくなるんであればおかしぃし,大きくなろうが小さくなろうが,やはりきちっとした値を出さないと駄目だというので,この測定の前にSRM300oとぃうKDDIさんが使っておられる装置を,私の友人に同志社大学の先生がおられたので,その先生のところが持ってるというのをメーカーが教えてくれたので,そこの先生のところへ行ってSRM300oをお借りして,熊本へ私のアンリッの方法と両方持っていきまして,同じ時間,同じ場所で測定して比較するということをやって,その結果,例えば,RBWで割るのが大きく出過ぎるんであれば,例えば,掛ける0.5にするとかそういう結果が出てくると思って比較したんです。比較しましたら,3.56と,かえって私の値が低かったんだということが分かって,それで私自身が今までlμ
w/cm2 以下しかなかったといぅものの誤りに気付いたということです。
101 要するに, 2点目の問題ですけれども,校正値3.56というものの算出というのは,先生が今おっしゃったょぅに,きちんと2つの測定器を用いて厳密に測定をしてその比較をした結果,算出した値ということで,正確性に問題はないといぅことになるわけですね。
はい,そういうことです。
102 甲第67号証の「荻野測定」という欄の一番上,「岡田宅」「3F(ベランダ)」について確認しますが, これは15.976ということで,先生が最初に驚かれた4.428よりも更に高い値というのが得られているわけですが,これはおょそ先生の測定値がおかしぃとぃぅことにはならないわけですよね。
おかしいとぃぅょりも, この値が出てきて,率直に言って,私はこんな値が出るとは思ってなかったです。先ほど言いましたょぅに, 3.56というのもその根拠は私の報告書には添付資料になっていますけれども,私が出した根拠は全部私の報告書に書いてありますから,そのとおりで計算しましたらこういう値になったと。ですから,おかしな値とは私は思っておりません。
[乙第2号証の1(電波と安心な暮らし)を示す]
103 これは「電波と安心な暮らし」という総務省が作成したバンフレットです。この6ベージの一番下の図なんですけれども,「デジタル携帯電話基地局のアンテナから発射される電波の地上での電力密度の例Jということで,一番太い青の矢印が向いてるところが「200(地上)」,これはアンテナからの距離が200メートルだということですが,このときの電力密度の値は0.0008mW/cm2
ということで,マイクロに換算すると0.8μ W/cm2 とぃうことになっていますね。
はい。
104 これから,例えば, l00メートルの地点での電力束密度というのを計算すると, どういうょぅな計算が必要になってくるんでしょぅか。
青い太い線になっているところに「200mの位置が指向方向となる場合での一般的な計算例ですJと書いてあります。指向方向というのは,だ円状の指向,一番向いてる方向です。それで200メートルの地点の地上で0.8μ
W/cm2 になると。この計算はちゃんと決まってまして, sィコール4 0 πR2分のPG掛けるKというのが決まっているんですけれども,それによりますと,R2に反比例することになりますから,
looメートルは200メートルの2分の1ですから,R2ですから, 4倍になります。そぅすると, 0. 8掛ける4ですから3 .2μ W/cm2
になります。
105 更にその半分の50メートルということですと, どぅなりますか。
50メートルですと,先ほど3.2ですから,3.2の4倍で12.8,ざっと13μ W/cm2 になります。
106 更にその半分の場合はどうなりますか。
更に半分ですと25メートルですから,先ほど13と言いましたから,4倍にしますと, 52μ W/cm2 ということになります。
107 岡田さん宅といぅのは,先生の計測によると,基地局から44メートルとい
うことですね。
そうですね。
108先ほど, 50メートルでの値というのが12 8ということですね。
12.8ですね。それから考えたら,岡田さんの44メートルのところですと,ちょっと計算は無理ですけれども,十五,六μw/cm2とぃう値に相当するんじゃないでしょぅか。
109そうすると,総務省が規定しているパンフレット上の計算だと,今回の岡田さん宅3階ベランダの値と同じような値が計算上は出てきてしまうと,そういうことになるわけですね。
そうです。この式を使ってこのデータから逆算して,岡田さんのところがちょぅど指向方向にあると,もちろん仮定ですけれども,それで逆に計算していけばそうなります。
110今,示しているパンフレットの一番下に「基準値の何倍」というのがありますが,ここで言う基準値というのは何なんでしょぅか。
ここに言う基準値というのは,要するに,総務省の電波防護指針で言うloooμ w/cm2の値ですね。ただ,ちょっと言いますけれども,ここはアンテナ入力電力が32Wとなってますけれども,KDDIさんの資料では30Wですから,さっき言ったのよりも,
1割まではいきませんけれども,ちょっと低いということです。大きな違いじゃぁりませんけど。
111いずれにしても,総務省は,安全ですよということを報告するためのパンフレットでこぅぃぅ設定を用いているわけですが,その安全ですよというのは,実は,先生が今おっしゃった電波防護指針で言うlmw/cm2ょりも低いですよという意味しかないといぅことで,決して健康被害がないですよという意味ではないといぅことになるわけですね。
はい,そういうことです。
112もう1点お伺いしますけれども,平成19年の被告の測定のときに,岡田さん宅3階の室内で4.428という値が得られていますが, このときに仮にベランダで測定していたら,どれぐらいの値になったでしょぅか。
岡田さんのところの室内が0.7か0.8で, l0倍以上高かったゎけですから,ベランダでもし測られたとしたら, 4.48よりももっと強かったことは間違いないんで,ひょっとしたら,そうぃぅ意味じや,岡田さんのところの部屋の中に,先ほど言った指向方向がちょぅど部屋を向いてた可能性が高いですね。そうとしか言えないですね。
113今回の裁判に提出されている測定値のうちで,第二者機関と称する財団法人テレコムエンジニアリングセンターの測定結果についてぉ伺いしてぃきます。
はい。
[ 乙第50号証(試験成績書)を示す]
114 乙第50号証は先生は当然御覧になってぃますね。
はい。
115 今回の測定値の中で,唯-6分間平均値といぅのを取っているわけですが,これはいゎゅる郵政省告示300号に基づいてぃるものですょね。
はい,そうです。
116 それで, 6分間の平均値を出せと定められている根拠は何なんでしょぅか。
6分間の平均値というのは, これは電磁波を浴びてますと,体が,熱が発生するんですけれども,浴びたらすぐ熱になるわけではなくて,体の組織,その他がゅっくりと温度が上がってぃくと。それで,
6分間くらいで大体熱の上昇が安定になるだろうといぅ前提で,その電磁波の強度が6分間ずっと続く平均データを出すといぅことになってぃるといぅことです。
117 要するに,電磁波の熱作用を見るために必要十分な時間ということになるんでしょうか。
はい,そういうことです。こぅぃぅのは全部,電磁波の影響は熱の効果しかないというのと,これは,もう日本の法律も国際非電離放射線防護委員会も,発熟作用と短期影響しかないという大前提でできていることを示して,そのためにそういうことになっているわけです。
118先ほどもちょっと出ました電磁波防護指針というのがありますけれども,この基準値, lmw/cm2,これについても,同じような根拠に基づいているということになるわけでしょうか。
はい,そうです。
119電磁波の人体への影響としては,熱作用だけしかないということではないですよね。
ですから,今問題になっているのは熱作用だけじゃなくて,非熱作用というのが大変問題になっているんですけれども,それに関しては古い,以前からの経過で,熱作用,短期影響しかないという前提でこういう法律ができているということです。
120先ほどヨーロッパの情勢として,EUの委員会が基準値を0 1μ W/cm2にしているというお話がありましたけれども,現在,携帯電話の電磁波を巡る議論というのは大きく進展しようとしているということになりますね。
はい。だから,そういう値を言い始めてきたのは熱だけじゃなくて,非熱作用があるんだと。それと,短期影響じゃなくて長期影響も考えなくてはならないということで,私は熱作用に基づくような測定じゃなくて,私は最初から1分間の最大値,要するに一番強い電磁波を人間が浴びるのが問題であるというので1分間の最大値を中心にずっと測っております。6分間は測っておりません。
121最後に,本件で原告の皆さんが訴えているのは,本件基地局が我が国の法令の基準に違反した電磁波を出しているということではなくて,健康被害があるんだということなんですけれども,そのような健康被害が出ているという訴えに対して,国の基準値内ですから安全ですよという回答は,原発訴訟にも関わった先生,科学者としてはどういうふうにお考えになるでしょうか。
これは, 日本の公害裁判とかそういうのを見てもらったら分かるんですけれども,原発の訴訟でも,伊方原発訴訟というのは,多分日本で最初の行政訴訟だったわけで,同じことでした。5月の初めに水俣で,今度の福島の原発事故の講演を熊本学園大学の公開講座で頼まれて,その後,原田正純さんとお話をしましたら,水俣の初期と同じであると。大丈夫,大丈夫と,同じことを言われて,それと同じことを私も電磁波問題では感じております。ですから,一番重要なのは,国の基準じゃなくて,そこに住んでいる人たちへの影響をどう裁判所が早くキヤッチするかということが大変重要なんじゃないかと私自身は思っております。
【原告ら代理人(徳田)】
[乙第20号証の3(電波関係告示集(抜粋)「平成11年4月27日郵政省告示第
300号)を示す]
122 2枚目を見てください。これは国が総務省の告示として出している無線設備から発射される電波の強度の算定方法に関する文書なんですけれども,2枚目の真ん中よりやや下にSイコール40π
R2分のPC掛けるKという値がありますね。
はい。
123 この公式が,先ほど言われた電力束密度は距離の2乗に反比例すると言われた根拠ですね。
はい,そうです。
[乙第2号証の1(電波と安心な暮らし)を示す]
124 そこで,少し先ほどのことをお伺いしたいんですが,乙第2号証の1のパンフレットの6ページの一番下の図を見てください。先ほどこの図を示しながら,
l00メートルの地点では0.0008の4倍になるという説明をしていただいたんですが,これは,ちょぅど,この図で言う青い線の位置におけるアンテナからの距離が100メートルの地点という意味ですね。
はい,そういう意味です。
125そうすると,岡田さんのところが,この青い線の携帯基地局から44メートルという位置に相当するとすれば, 16μ W/cm2の値が出てもおかしくないということになるわけですね。
はい,そういぅことです。
126そのことは,本件の基地局と岡田さんの3階のベランダの高さが,ちょうどこの青い線に大体相当する位置関係と伺ってよろしいでしょうか。
ではないかと。実際測って,写真がありますけれども,携帯タヮーのアンテナの,凹角といって,ちょっと下を向いているんですけれども,その角度によって変わるんですけれども,だから,大変高い値が出るときはその角度がちょうどうまく部屋に入るような値だと,
この左右も向きを変えれるんですけれども,そうなっているんじゃないかと。これは,前は,タヮーのそれは板で見えたんです。最近は筒の中にあつて,会社のほうが自由に変えれるんですけれども,我々は向きが分からないんで何とも言えませんけれども,多分私はそういうので,ちようど向いているんじゃないかということを言ったわけです。
127そのことを分かりやすく裁判所や被告にも理解していただくために後で計算式等を提出していただくことは可能ですか。
先ほどここで概略言いましたから,ですから,44メートルのときに,この式を使ったらどれだけになるか,先ほどのは32Wですけれども,実際何Wなのか,それは是非,今も申請は30Wになっているようですけれども,今も30Wなのかどうか,それも私は分かりませんけれども,少なくとも,
このパンフレットの32Wというのを信用した上で計算するということは可能です。計算はすぐできます。普通の計算機でやれますし,裁判官さんでも簡単に計算できると思います。
128要するに,総務省が安全ですといぅょぅに宣伝する際に使ったバンフレットによっても, この位置によっては, 16μ W/cm2のような高い値が出るんだということですょね。
そうです。これをそのまま使えばそうなるはずです。
129そうしますと,先ほど明確に数字をおっしゃらなかったんですけれども,平成19年にKDDIが岡田さん宅の3階の真ん中辺りで測定した値が4.4というような値を示している,
このときに,もし3階ベランダで電力束密度を測定していたとすれば,どれぐらいになったというふうに具体的に予測されますか。
それはなかなか難しいんですけれども,私はこのデータを最初に見たときに,岡田さんの家へすぐ一緒に連れていってもらって,測定した場所を開いて,部屋の真ん中だというので,ここですと言われたときに,私は部屋の中で測るということはしません。家の外,ベランダなり外で測ります。部屋の中は低くなるのが普通なんです。かなり落ちるのが普通なので,部屋の外では異常に高い値が出るだろうというのは知っているので,KDDIさんは部屋の中を選んだんだなと私自身は思いました。ですから,そのときに,すぐ行けぱベランダなんですから,そこで測っていただいたら,もっと高い値が間違いなく出たと思います。
130具体的には, どの程度の値というょぅなことは。
どれぐらいの値かといぅのはちょっと分かりませんけれども,私は,4 48で,ちょぅど,そこに指向方向が部屋の中にビッと入っているとしたら,やっばり,どれぐらいなのかというのは,距離だけだったら10ぐらいかもしれませんけれども,多分ベランダで測ったら,かなり20とかそこら出てもおかしくなかったのかもしれません。それは,距離だけだったらRの2乗の反比例ですから,4
48のもうちょっと, l0くらいかもしれませんし,それはちょっと計算してみないと分かりませんね。
[平成23年2月7日付け被告準備書面4末尾添付別紙-1を示す]
131 先生が行った測定方法について,被告のほうでは別紙-1の図1を例に取っ
て,中心位置の値を測って,これに50倍とか10o倍するという方法では,測定対象になっている周波数帯域の電波の強度を正確に判定できないというふうに批判されているんですが,その批判に対して先生はどのようにお考えになりますか。
これは測定値の波形が台形でなだらかになっているのですけれども,私は,もう矩形波で計算しております。それで計算しておりますから,それは,私の報告書の写真を見てもらったら分かるんですけれども,きれいに台形になっているのが分かります。こうぃぅ変形しているわけじゃなくて,きれいな台形,私が言っているように,台形じゃなくて四角になっているのが分かります。それは,先ほどの私の報告書の電波の波形を見てもらったら分かるんです。
[甲第34号証(報告書「延岡市大貫町・KDDI基地局」の「電力束密度」について)を示す」
132 37ページの添付資料NQ7 Aで説明してください。
No 7 @よりNQ7 Aのほうがきれいですね。 2回目のほうが真っ暗なところで撮ったのできれいに出ています。こうぃぅ具合に,これは対数日盛ですから,大変きれいな波形になっているのが分かりますから,ですから,私の言っているような長方形で,台形じゃないというほうが正しいと私は思っています。
133 先ほど台形と言われたのは矩形というか,長方形という意味ですね。
はい,ちょっと間違えました。向こうが,左のほうに台形でと言っているのがおかしいと思います。
134被告の準備書面4の別紙-1を見てください。ここで誤りを論証するために被告が使っている図というのは,極めて極端なぎざぎざの形で,ピークの値があたかもばらばらだということを想定した,
こういう図面になっているわけですね。
はい,そうですね。だから,私は,そういうのも含めて,実際の測定した波形から全部,代表的なのは皆報告書には載せたんですけれども,なんでこういうことを言われるのかちょっと解せないですね。
135もし被告が批判するように, このようなやり方だと過大な評価になるんだということであれば,先生が行った測定結果のほうが被告が行っているSRM3000の測定値より大きくならなければおかしいですょね。
そうです。それと,私はRBWで幅を割って,その数字で最初は報告書を書いてたのは,どぅも間違っているようだといぅので,SRM3000と両方同時に同じ場所で測りながらやって,被告の言っているようであれば,それも掛けるファクター,私は3.56というのを掛ける結果を得ましたけれども,
0.5とか低い値になるなら分かるんですけれども,そうじゃなくて高い値になったんで,ちょっとこれを言われるのは解せないですね。
136同じく被告準備書面4の別紙-2を示します。それで,被告のほうでは,先生が,今回の測定で使用されたスペァナには「シェィプ・ファクタ」がぁって,スカート特性というふぅに表現がされているんですけれども,要するに外形上の斜めになった部分が重複して計算されたんじゃないかと。その結果,数値が過大になるという批判をしているんですけれども,こういぅ批判に対してはどのようにお考えですか。
ですから,その批判も当たらないのは,そういう計算をして,今度SRMとの比較をやって, sRM300oが正しいかどうか,それは間題があるかもしれませんけれども,KDDIさんはSRM3000を使っておられるので,それのほうが,SRM3000は50万近くて高くて買えませんし,
レンタル業者も全くありませんので,それでそういうので校正をするという比較をして3.56になったので,ですから,こういう問題があろうがなかろうが全部込みで校正値が3.56になったので,全くピント外れの主張だと私は思います。
137校正の問題は後でちょっとお尋ねしますけれども,このスカート特性というのが,被告が言われるように今回の測定であるのかどうかというのを確認したいんですけれども。
いや,そういうことにはならないと私自身は思いますけれども,スカート特性があるとしても,比較で校正すればそれでいいんです。ですから,私はこの意味が全然分からないんでちょっと答えに窮します。
138甲第34号証の添付資料M7のA,本件で測定された波形なんですけれども,これを見ると,このピークの波形ですけれども,両端はいずれもほぼ垂直線で,被告が主張されるようなスカート特性が顕著にあるということはないですよね。
スカート特性と言っておられるのは,それぞれのRBWに対応する測定のことを言っておられるので,そういうのが集積して測定していくので,
RBWで割った状態で数値を出して,そういう数値を出した値を,今度はSRMで比較して校正値を出したんで,それは,私の報告書は全くありのままに書いてありますから,おかしなことはないと私は確信しております。
139いずれにしても, このような別紙-1,別紙-2で批判されているようなものが事実だとすると,スペアナでの測定値のほうが著しく過大でないとおかしいわけで,本件はむしろ過小になって, 3.5倍ぐらいの校正値を掛けなければいけないという結果でしたよね。
はい,そういぅことです。
140先生が言われるRBWで割るということについての説明をしていただきたいんですが,被告準備書面4の別紙-1を見てください。先生がRBWで割るというのは,この別紙-1の図1で言うと,各電波ごとの柱が出ているんですが, この数を割り出すために割り算をするということなんですか。
そうです。RBWとぃぅのは,私の先ほどの写真の上のほうに「RBW30KHz」と書いてあります。ですから,測定をするときに,どれだけの幅の値,電波の強度を取り込むかというのがRBWなので,それで割るというので,原則的にはそれでいいはずなんですけれども,そのRBWを,電波を取り込む,スペアナというのに電波強度を取り込む,スキャンするんですけど,取り込むときに,それが落ちるというので校正するのが必要なんで,それがSRM300oとぃうやつは,それをコンピューターで膨大に計算しながら出しているという,そういう測定器なものですから,ですから,要するに校正を比較して,アンリツの私の測定値が正しいかどうかをSRM3000で測定するということを試みたわけです。それで,
SRM3000とぃうのは京大にもないんです。それで,京都では同志社大学しか最近買ってないと業者から聞いたんで,何とか頼んで1週間だけ借り出して,測定しました。それ以上はちょっと貸せませんというので,最初だけ貸し出していただいて,それで校正を熊本でやって,
3.56倍という校正値を出して,それではかに使えるようになったと。今度の延岡でも測定ができるようになったといぅことです。
141そこで御説明していただきたいのは,なぜスペアナによる測定値は,KDDIが使っているような測定値に比べて, 3 5倍ほどの校正値を掛けなきゃいけないほど低い値になるのだろうかという,その理由なんですけど,それは先生はどうお考えでしょうか。′
低い値なのは,そういうデータの取り込みが私のスペアナでは不足だつたということで,そういうコンピューターコードを使って,そういうのをやろうと思いますと,コンピューターコードもレンタル料が高いようだし,コンピューターとかそぅぃうのを皆持っていかなければいけないんですね。それ,できないんです。
142要するに,取り込む電波の数が,多分どこかで落ちてしまっていると。
そうなんです。落ちてしまっているということなんです。
143強度を計算する積分をする際に,取り込む周波数がどこかで除外されているのではないかと, こういうことですね。
はい,そういうことです。不十分だったということです。
144スペアナには,この電力束密度の自動測定ソフトがあると被告が主張しているんですが,そのことは先生も御存じですか。
ですから,それのソフトも大変高いし,そのソフトを使ってコンピューターコード,パソコンなり,いろんなものを持っていかないといけないので,私はあちこちに持っていくのに,先ほどのスペアナだけかばんの中に入れて持っていけますので,それでやると。それで原則的にはRBWで割ればいいはずだとずっと思っていたんですけれども,それがどうも落として小さい値になっている可能性があるということを岡田さんのところのデータ4.48で感じたので比較をしたということです。
145本件で,もし,スペアナの電力束密度の自動測定ソフトを使っていると,校正値を掛けなくてもいいデータになった可能性はあるんですか。
それは,そうです。その可能性はあります。SRM3000が使えればそれでよかったんですけれどもね。
146最後に,つい最近ということなんですが, IARCが先日携帯電話から発せられる電磁波について発癌性を2Bにランクするという結果を公表したんですが,この点について先生はどのように評価しておられますか。
2Bというのは癌の可能性があると。2は2段階に分かれていまして,2Aと2Bがあって, 2Aは英語で言えばプロバブル, 2Bはポシプル,
3は研究がまだないと, 4は多分発癌性はないと,分類が5つに分かれています。それで2Bというのは可能性があると。可能性があるというのと, 2Aはプロバプリーですから大体割合で言いますと,日本では両方とも可能性があるになるんですけれども,
2Aは大体7割ぐらいは可能性があると。2Bは二,三割ぐらいはあると。可能性でも上下に分かれております。2Bになったというのは大変重要な意味があります。なぜかと言いますと,発癌というので,携帯電話なんかは明らかに非熱効果です。熱効果があるようなものじゃないんです。非熱効果の電磁波。それで,発癌というのは長期影響の現象です。ですから,
2Bになったということは一番重要な意味は,長期影響と非熱効果の可能性があるということをIARCが認めたということです。可能性です。確定じゃありませんけれども。ですから,今までの日本の法体系,国際非電離放射線防護委員会の基準値,そういうものを全部覆す可能性を発表した。ですから,大問題なわけですね。ですから,私が先ほど言いましたように,これからEU諸国は2Bになったことで,
もうEUの議会でもかなりこれに関しては意見が出ております。インターネットで調べたら分かりますけれども, 2Bというのは,テレビではせいぜいコーヒーや漬物と一緒で心配要らんなんて言っている人がいますけれども,そんな問題じゃないんです。本質的な問題を提起してきた。ですから,今までの安全だ安全だというのを根底から崩すのをIARCが発表したという意味で,携帯電話に関しては,まだ根拠になった携帯電話使用者の聴神経腫瘍のまとまったデータは発表されておりませんけれども,多分聴神経腫瘍に関しては,かなり高い増加率のデータがこれから出てくるだろうと私は思ってます。
147 たばこだとかアスペスト,あるいはじん肺の原因となるシリカ,これは今では誰もが認める発癌物質で, IARCでは1位にランクされていますけれども,一番最初にIARCがランキングを発表したときは,たばこもアスペストもじん肺もみんな2Bですよね。
そうです。2Bから始まるんです。
148 それが2Aになり1になる。アスベストは2Bから1に一挙になったようですが,そういうことを考えると,携帯電話の電磁波が将来的には2A,あるいは1にランクアップされる可能性は十分あると,こう伺っていいでしょうか。
私は今までの研究経過から見ましたら,やはり2Bの次は2Aに上がって, 1に行く可能性は大変高いような気持ちを持っております。ですから,EU諸国に関しては,特に環境問題は予防原則を根拠にするというのがかなり強いですから,そういうのと2Bになっただけで,これからかなり厳しい基準値を多分EUは作るんじゃないかと私は思っております。