釜山

プサンへ・・!



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ちょっとしたご縁があり、韓国は釜山で THE DOMESTIC BAND が招聘されることになった。

経緯、詳細は省くが、スーパースターでもないし、ボランティア精神に薄弱な私はこのような
きっちりとした仕事としての海外経験は今後もあまり体験する事はないであろうから、今回の
釜山公演のデイリーな記録を作ってみることにした。
実労時間以外に、意外と時間がある筈なのだ。


12月8日

海外は年に三~四回、それも徹底した「遊び」或いは真剣な「音楽研修」で行くことはあるが、
ありがたい事に自分なぞを招聘して下さるというきっかけで海を渡るのは今回で二回目に過ぎ
ない。

さて、上記のように「仕事」として出国するわけだが、当然の事、感謝の意の反面、感情的
にはあまり楽しくもないのは残念至極。基本的に真面目?であろう己の性格がたたり、
「完璧」に仕事をこなそうとする自分と向き合うのみである。出来れば行きたくな~い!と、
子供の心情。お馬鹿な私はこれがリゾートで昼ビール、夕方ビール、夜ビール、海を眺めて
ボッケボケー ならわくわくするのだが・・・。と、言いつつも十二分に「やりがい」は
ありそうなので、普段対象の不元気な学生相手よりは良いかもしれない。

12月9日

と、機内で書いていたら、着陸態勢に入った。その後は忙殺、過労だったため、ここからの
作文は二日目の晩です。

注:今回は先に私ひとりが渡韓し、本番の12日にメンバーが入国し、合流するというプラン。

昨日は90分弱(しかも到着時間より数十分早く到着!)のフライトで、関西圏と釜山が至近
であることを実感した。
大韓航空を利用するのは我が人生で今回が初めてであったが、丁度20年前のこの時期に起きた
爆破事件や一頃のイメージとは違い、洗練された客室乗務員に始まり、旅客は時間通りに
きっちり揃って定刻前にプッシュバックされるわ、機内はとても静かだわ、安定飛行だわと、
機材が少々古い事以外は大いに結構でした。
でも、出されたサンドウィッチはこの世の物とは思えない代物でした・・・。

因みに関西空港は13番ゲート、我々のバンドも現時点で13年目と、なかなか不吉・・・。
因みにシートは31のC・・・って、関係無いか・・・・。

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KE732 A330-300


無事到着しイミグレーションも難なく通過。荷物を受け取り通関し、迎えに来てくれた@さん
と出会った。早速プサン市内の練習場に向かう。道は大渋滞・・・道路事情は決して良いとは
言えない。高速道路でそんなに凹凸があって良いのか? しかも暑い。12月の始めなのに
韓国も暑いのだ。

一時間程して会場に到着し、迎えに来てくれたその@さんのグループのレッスン。
そして私を招いて下さったアンサンブルのレッスン。今回はこのグループの定期公演にゲスト
招聘されたのだが、皆さんのお稽古もしなければならない。私は韓国語はさっぱりなため英語
での指導になるものの、互いに第三国語なため、例えば日本で行うレッスンよりは少なからず
苦労する。また皆さんが真面目がゆえに私の指示をひとつひとつきっちりときっちり書き込む
ために、どんどん次に行こうとするもペースが少し合わない時もあるのだ。

とはいえ、とにかくひたむきで素敵な姿勢である。専門家に対する尊敬の念というものを感じる
貴重な体験と思う。(ただし携帯電話はバンバン鳴り、しかも応答する・・・)

上記のように韓国の愛好家のひたむきな姿勢には頭が下がる思いだが、リコーダーをボーボーと
思い切り吹くのは世界的傾向で理解はするが、逆に一生懸命過ぎるためにリコーダーの本来の
美しい音色を忘れている傾向にあるようだ。しかしながらレスポンスは悪くないので、指示を
するとちゃんと甘い音色が出て来るのは素晴らしい。感情表現については我々よりも
ダイナミックレンジが広い筈だ。

レッスンの途中にメンバー全員で夕食に行く。そこで鍋をつつくのだが、激辛!で汗が噴出し
皆さんに笑われる始末・・・。ちょっとおかしいのと違うか!という程辛い・・・。真っ赤な
色の鍋の中。直ちに胃が痛くなりました。

その後再びレッスンを行い十時前に終了。本日は泊めて頂く方の高層高級マンションに向かい、
数名の団員が歓迎会を開いてくれた。マンションに到着、みんなでお買い物へ。24時間オープン
の大型スーパーは夜の十時でも超満員。日本よりはかなり活気がある。
結局午前一時過ぎまで宴会。とにかく言葉の問題があるが、私に構わず韓国語の会話が
楽しそうに行われている。
たまに英語で質問される時に会話をしていたが、確かに不思議と打ち解けてくるのでこういう
会も必要なのだと思った。

翌日はまた異なるグループのレッスンをしてから昼食へ。韓国で中国料理を食べると中国料理は
辛くないと思ってしまいます。高級なレストランでとても美味しかった。

その後これから五夜滞在するコンドミニアム型ホテルにチェックイン。私は22階で窓からは海、橋、市内の絶景↓。
ただし、浴槽は無し、ベッドは無し、ドライヤーは無し、石鹸&シャンプー&リンスは無し、
「起こさないで下さい」の札は無し、バスタオルは無し、当然かネット回線は無し・・・・

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部屋から見える広安大橋

四時半から再びレッスン。七時から皆さんで夕食。今日は辛いのは苦手な旨伝えたので大丈夫な
筈だ。
メニューは「うどん」だそうだ。これなら胃に優しい。昨夜もそうだが大変合理的で全員
(十数名)で同じものを食す。
しかし、さすが韓国であった。おかしいぞ・・何だかとても熱い・・暖かいうどんだからか? 
なぜ・・・聞いてみた・・・何と「わさび」!!熱いうどんにわさびがガツンと溶かしてある
ようだ・・・また異なる激辛に惨敗・・・辛いのは辛い(からいのはつらい)。

12月10日

三日目の朝。とにかく疲労していたため長時間の睡眠。今日は皆さんは仕事のため夜の練習。
昼間は暇だ。
朝、持参したコーヒーを飲んで少し途方にくれる。取り敢えずこの近辺(海雲台)を歩いて
みようと出掛けた。

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冬椿公園より海雲台のビーチを臨む

ここら辺は海雲台のマリーナシティという地区らしく、整備されていて歩きやすい。
冬椿公園という場所を一周し、海雲台海水浴場に出て、大型のスーパーで水や糖分を確保して
部屋に戻った。

ドジというか何と言うかデジカメを持参したものの、うっかりメモリーをパソコンに挿した
ままにしていたので、カメラ本体のメモリーでしか記録出来ないため、せいぜい5枚しか記録
を残せなかった。最近このようなトホホが多い・・・。

街中を歩くと三菱みたいな、トヨタみたいな、本田みたいな、ベンツみたいな車が沢山走って
いる。日本の自動車史を振り返れば、一頃は日本も確かにアメリカ車のコピーであったし今も
欧州寄りなのはのは確かだが、まるっきりコピーな車には逆に関心してしまう。特にパジェロ
みたいな車↓↓はナイスだ。本物と比して全体のバランスが悪い・・・。

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今日は午後七時から三時間のレッスン。六時にお迎えがある。
本日の夕食はサムゲタン(参鶏湯)をごちそうになりました。日本で食すのとは違い、
ドッカンと大きな鳥が大きな鍋に入っていて、中にこんもりもち米が・・・。
スープも美味しく胃に優しい食事となった。そういえば胃が痛むので今日のお昼は抜いたし、
優しいサムゲタンだしで少し体調が戻った気がする。こちらの人はニンニクを生のままガブリ
と食べるのですね・・・驚きだ。

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練習は順調に進む。三日目ともなると意思の疎通も良好になった気がする。互いに慣れてきた
とでも言おうか。
ただ、皆さんは連日であり、かつ仕事の後の練習時間なため、疲労感は否めない。
全員のテンションを上げ、それをいかにキープして良い練習を続けるかはこちらの腕にかかって
くる。ジョークも必要だし、適度な緩和もそうだ。
幸い程良い緊張感と安心感、信頼感のおかげか以前より確実に腕は上がっているようであり、
きっと素敵なコンサートになるだろうと確信する。

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広安大橋夕景



明日は完全フリー。メンバーは仕事と自己練習。私も自分の演奏があるし、合同の際に指揮を
しなければならないしでしっかりシュミレーションをしてテンションを上げなければならない。
詳細は省くが、コンサートはこちらのアンサンブルが第1部の前半、後半に我々の演奏。


第2部冒頭が私のソロ、その後アンサンブル、合同という流れ。
企画はこちらのアンサンブルで、ゲストで我々を招いたくれたのだ。
その代わり全ての曲の指導とコンサートのイニシアティブが私に掛かるため、責任は大きい。
少なくとも絶対に成功させなければならない。


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12月11日

毎日見事に快晴で大変結構。今日は完全フリーで聴覚的にも精神的にも休むことが出来る。
私の滞在している部屋のテレビではNHKのワールド放送を観ることが出来る。
しかし、優等生というか、どちらかというと暗い話題が多い。地球温暖化、ワーキングプア、
サブプライム問題、年金問題、薬害訴訟、地方格差のドキュメントばかりで正直うっとうしい。
かと言って他の番組は韓国語なわけで・・・。しかしながら美しい女優さんは韓国圧勝!

昼間四時間ほど出掛けて来た。明日は本番なので、はしゃぐのはご法度だ。
今日は物凄く暖かく、結局コートを着ることなく過ごした。セーターでも汗が出るほどだ。
大丈夫なのか・・・地球。
海雲台の禁煙のビーチ?を端から端まで歩いてみた。
澄んでいれば海の向こうには対馬が見える。日本海を南に見ているわけだ。



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あまりに暑いのでスターバックスに入って普通のアイスコーヒーを注文するも~→ない!!
今は豆が無いとの事。アメリカンのアイスコーヒーならある・・・らしい。
普通のコーヒーがありません~って凄いなぁ。まぁ仕方がない・・・
疲労回復のため糖分を摂取しよか、ならば、アイスモカをオーダーし、お茶をにごした・・・。
その後部屋に戻るも西から差し込む太陽とちょびっとしか開かない窓で室内はまるで真夏の
サウナ状態。退屈しのぎのNHKワールドでは東証、先物取引、株の話をしている。

今夜の食事は地下にある大型のコンビ二で買った韓国の内容物解読不能のおにぎりと
インスタント(しかし生麺)のうどんだ。
このような大変粗末な、しかし体験しておいても良い食事方法は決して嫌いではない。
その国で仮にしばらく個人で生活するとなると、やはりスーパーとコンビニは重要だ。
何より購入品目の分量が予めわかっているので、例えば欧米でのレストラン体験のような
多過ぎて「残す」という崇高なる日本文化の罪悪感からは開放される。

しかしだ・・・まずい・・・まず過ぎる。
思うにおにぎりなり、インスタント食品に関しては日本は恐らく間違いなく世界一だな。
サンドウィッチや弁当などは売り場自体が無かった。


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思えばロンドンで暮らしていた際も簡素な食事をしていた。イギリスは特に食べ物がまずい。

しかしひとつだけ美味な物があった。ローストビーフ?~いえいえあれは牛肉の焼き豚で、
しかもBSEの時代・・・そう、サンドウィッチである。
ロンドンを訪れる機会があればランチはサンドとコーラを公園で食してみて下さい。
池でゆったり浮かんでいる鴨を眺めつつチキンサンド等をつついていると妙な気分になりますよ。

旅のポイント① 
ここのスーパーやコンビニでは必ず~「袋はいるか?」と素早い韓国語で聞かれる。
要するに予め袋を持って来いという習慣のようで、マイバッグ思想が定着しているよう。
韓国語で聞かれるがさっぱりわからないので、袋をチラつかせながらレジを通り、会計済みの
品物はどんどん自身で持参した袋に入れましょう。
韓国の方は英語のバッグをネイティブに「ベェッグ」と発音しはる。

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広安大橋の夜景

明日は本番を迎える。メンバーも日本から合流し、久しぶりに日本語を喋り、聞く事が出来る
だろう。
そういえば、今のところ日本人と思しき観光客等は見当たらない。飛行機も確認出来たのは
二人だけだった。

昨夜、対岸で照明弾が数十発上がった。軍の施設でもあるのだろうか。
まぁ地味な花火と思えば良いかも知れないが、あまり良い気持ちではない。
花火もクリスマスイルミネーションも照明弾も二酸化炭素の排出量は相当なものだろうが、
綺麗だ・・・。
この時期の海雲台のホテルのクリスマスイルミネーションは圧巻でした。



12月12日

生憎今朝は雨だ。
三時からリハーサルが始まるが、打ち上げ等も含めて戻ってくるのは相当遅くなるだろう。
ここからは多分後日に記すと思う。

やはり何かが起こる・・・12時半頃だった。部屋の電話が鳴る。フロントからだ。
曰く~「チェックアウトは12時だ」・・・
おかしいなぁ、私は金曜日まで滞在する筈だ。
さては今日まで~と、メンバーが来る今日から~が、別に予約されているのだな。
電話では埒が明かないし、一応早急に荷物をまとめてフロントに降りた。
日本語で交渉しようと臨んだが、「少し」らしい。
ならばと英語であと二夜滞在の筈だが、という旨。
割合丁寧に対応され、こちらの団の方に連絡をとってくれて解決。
しかし、旅先にてわざわざややこしい事が起きるのが私の人生のようで、少し悲しい・・・。


携帯電話での注意点を伝授:
私の携帯はグローバル仕様の電話機で二方式、世界各国で使うことが出来る。
既にそういう機種を持っている人も多いだろう。
て、メールをしようとしたら「しばらくお待ち下さい」という表示が出る事がある。
その際は一度電源を入れ直しましょう。たいてい使えるようになります。


詳細省略。

コンサートは成功。日本では経験したことのない声援が飛んで来る。
狂喜して身体全体で音楽を受け止め、我々演奏家に賛美を惜しまない。
ホール全体が一体化した空気感というのが適切か。
こういうシチュエーションでは例えば演奏するブルースのアドリブがなぜかどんどん湧き出して
来る。
結果、自身でもあまり経験の無い音楽体験をしたことは一音楽家として幸運な体験となった。
メンバーもそれをモチベーションに、いつにも増してテンションの高い演奏をしてくれた。
素敵な結成13年目。今後も更に発展出来る筈だ。


12月13日&14日

コンサート終了の後、出演者全員でお食事会に行き歓談。宿泊先に戻りメンバーで適度な宴。
コンサート翌日はアンサンブルメンバーの方々三名が我々を慶州へ連れて行ってくれた。
日本で言うところの京都、奈良に充たるらしい。


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仏国寺、古墳群や国立慶州博物館を見学の後に釜山市内の国際市場、チャガルチ市場に連れて
行ってもらう。
その後夕食にはある町にカニ料理を食べに。ここが凄かった。
とにかく店の前にある水槽にはカニだけ。凄まじい数である。
中に入ってテーブルでオードブルが出てくる。
数分後、蒸した状態のかつ食べやすく完璧に処理を施されたカニがお盆に載ってドカンっと
置かれる。6人で7キロだったか・・・カニのみで満腹などは初体験。

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夕食後はスーパーに連れて行ってもらい買い物。ホテルに戻ったのは十時を回っていた。
こんなに手厚い接待を受けるとさすがにとても嬉しい。
半日以上をしかも(有給をとって)三名の方々で案内をしてくれたのだ。
親切この上ないことこの上ない。

部屋に戻り、深夜に帰国の荷造りを敢行するが、蓄積した疲労で長年慣れている筈の荷造りの
手筈がスムーズにいかないのには閉口した。完了してスーツケースを立てた瞬間にフタが開いて
グチャグチャになったりするのだ。

帰国日の朝は六時起床、ホテル前から七時二十分発のリムジンバスに乗車。
他のホテルをだらだらと回りつつ渋滞にはまりつつ、70分強かけて金海国際空港に到着。
日本と違い、運転手が荷物のフォローをしたり、車内は3列シートで広々だったりと、
やはり異国だ。何より料金が500円弱と安い。日本の3分の1の感覚だ。

空港はつい最近になって新しいターミナルが始業したばかりなため合理的で、かつ美しい。
二月の訪韓時は体育館のような仮ターミナルだったが、やはり爽快で気分が良い。
少し並んで無事にチェックイン。小さな空港だし時間に余裕があるしで、朝食にと空港の
レストランで冷麺を食した。
日本で日常に朝食自体を食す事がないが、朝麺なんてさすが旅先ならではである。

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Jin Mitsuda & Shigeru Akiyama with morning 冷麺

その後イミグレーションを通過し一番ゲートから機内へ。10時55分発のフライト。
出てきた食事はカニサンド・・・。60分で関空に到着した。しかし近いし早い。

関空でのイミグレーションでは圧倒的に日本人以外の乗客が多いようで、私はほぼ並ばないで
再入国。それだけ日本に入る外国人が多いという事ですね。欧米からの便ではあまりこのような
現象は見かけない。

程なくして自宅に戻るとフニャフニャになる。徹底休養しなければいけません。
さすがにハードな一週間であった。


今回貴重な経験をさせて下さった釜山の皆さんに深い深い感謝をしつつ、
以上でダイアリーを終わります。