.ナスカの地上絵は小さい
 昔読んだ少年雑誌の特集で、そこを通過した 飛行機のパイロットが偶然発見して驚いた話が ありましたが、(御丁寧にそのパイロットの表 情再現イラスト入り)実のところ、そう簡単に 見つかるものではない、というのが正直な印象 でした。実際、遊覧セスナに乗って現場を飛ん でも、ガイド兼任のパイロットから、その場所 を指摘されない限り見過ごしてしまうほど。

鯨:約63メートル。頭部には角か?潮吹きか?ひょっと したら、全く関係ない別の線がそう見せているのか? 花:ちょっと大きめ80メートル。 大変良くできました、丸って感じです。

 そのほとんどが100メートルを超えない大きさだから、高速移動する飛行機からすれば、 あっという間。(この距離感は実際に飛行機に乗らないとなかなか理解されませんが…) 今回掲載した写真のほとんどは、望遠で撮影したので確認しやすいのですが、肉眼で見る 限りでは、下の写真のように広い視野の中で、かろうじて存在している感じなのです。

鯨:肉眼の画角としてはこんな感じ。他の線が目立って 見過ごしてしまいそう。 ハチドリ:96メートル、周りに余計な線が無いので、 割と見やすかった。

 有名な「ハチドリ」や「宇宙飛行士」は、まだ見やすい場所にあり、「おお、見たぞ!」 という感動も多少は沸き上がりますが、「コンドル」なんかは線も細く、うっすらとして いるので、とにかく眼を凝らして必死に見つけるしかありません。 しかも当時のモノか、後につけられてしまったのか、周りには余計な線が交錯しています。 見る角度をちょっとでも外せば、そのまま見過ごしてしまうこともあり得えます。 (現に全く見る事ができなくて大騒ぎした、哀れな観光客もいたそうです:現地ガイド談)

ハチドリ:望遠レンズで迫ってみれば迫力の地上絵、線もはっきりしていて 形も良く分ります。
宇宙飛行士:今風の感覚で見れば… あるいはフクロウ人間。
コンドル:これもナスカ地上絵の代表的な絵ですが、実際はちょいと影の薄い存在です。長い方向で136メートル。 そして容赦なく横切る線の数々。作った時代が違うのか、気付かないでそのまま線を描いたか、はたまた知ってて わざと作ったか、どちらが先か後かも分らない。右端の二重線は、明らかに車のわだちでしょう。

 大きな三角形や直線などの幾何形態は、その大きさ故、遠くからでもすぐに発見するこ とができます。(こちらは数キロから数十キロメートル単位の規模になります) これだけはいやでも視界に入りましたから、少なからずも感動!

三角と滑走路?:これはいやでも眼に入る地球規模の落書き? この時はパイロットの説明もありません。 水平飛行でも十分に見つけることができました。これって、やっぱりすごい事だったりして!

2.神秘の感動どころではない…
 とにかく、感動的な発見とは程遠い体験でした。 さらに付け加えれば、飛行機が旋回して傾いた時にしか見ることができない!
 窓は機体 の真横にありますが、地上絵は真下。航空撮影専用の胴体真下に穴のあいた機体ならとも かく、遊覧飛行用のセスナの場合、斜にしないと良く見えないのです。しかも相手は小さ いですから、そこを中心に旋回しなければならない。もう乗物に弱い人にとっては拷問み たいなもの。それで見られなかったら私でも怒りますよ。感動に浸る余裕なんてありませ ん、死にものぐるいで地上絵を観察。(少しでも気を抜いたら、ゲー!ですから…)

セスナの旋回:目標を中心にして小さく旋回。 ヘリコプターと違い、常に回って飛んでいないと墜落し てしまいます。 オウムかとんぼ:200メートルもある比較的大きな絵。 これくらいだと、容易に見つけることができる。 (手前の黒い部分はセスナの窓枠)

3.ロマンもいいけど…
 こんなに愚痴めいたことをしつこく書いたのは、あまりに期待した感動とは程遠かった から。現地に赴いて感じたのは、日本の出版物や放送等のメディアを見ただけでは、真実 は分からないって事。やたらドラマチックに演出されたイメージ(映像)を、そのまま鵜呑 みにしてはまずいのです。
 そんな夢もロマンもないこと言うなって指摘されそうですが、事実は事実ですから。 (そもそもロマンをかみしめる余裕のある旅行が出来なかったことが悲しいのですが) っていうか、私も仕事がら似たような事をしているので、今まで以上に割切って、心では さめたスタンスをとりつつも、オーバーに脚色・演出した作品づくりに心掛けようと決心 したのであります。実際そこまで演出してやらないと、地味すぎて分からない、客が喜ば ないってこともありますから。(以上、自己流現代メディア論でした)

さる:長いところで110メートル。ナスカ地上絵研究で 有名な、マリア・ライヘ女史の説では、星座の12宮を 示しており、さるはサソリ座に相当する。 来年の干支はこれで決まり? 蜘蛛:こちらは46メートル。 星座にたとえると乙女座に相当する。

4.どうやって作ったの、何故消えないの?
 紀元前100年以上前のモノらしいので、よく消えないなあと思う。 写真には、そこらじゅうに水の流れた跡があることから、水の侵食作用で平面に削られ、 広大な平原になったのでしょうか。それがいつから乾燥砂漠地帯となったのか? 地理ロマンに思いを巡らせ頭の中がグルグルしそうです。

水の流れた跡:広大な範囲をところ狭しと流れたであろ う川の跡。そんなこともお構い無しに、直線が走る。 三角州:こちらの川の跡は、地上絵の前にできたものか、 あるいは後か?(現地に立てば分かったかも…)

 作り方としては、地表を数センチ掘り下げただけのこと。地層の関係で、数センチ掘り 下げると違う色の層が現れるらしい。(これは現地に立って確かめたかったのだが…) だから規模的には運動場に白線を引くのと同じようなものと考えればいいのでしょう。
 地質的には石こうと同じ成分が含まれており、それなりに硬質だとか。 しかも強く吹く風のおかげで掘り下げた溝に土砂が溜まらない、といった条件が、地上絵 の消えない理由です。(ガイドブックの受売りです)
 ただ、地上絵の存在を知らずに作ったパンアメリカン・ハイウェイや、心無い観光客の 走らせた車のわだちなど、別な意味で消滅する要因はたくさんあります。

地上絵を分断するパンアメリカン・ハイウェイ:左上の 絵が見事に分断されている。ちょっと見にくいですが… イヌかキツネ:(逆さまです)51メートルほどのこの 絵にも、脚の部分を車のわだちが横切っています。

5.そもそも地上絵って何なのでしょうか?

 結論から言えば、「んなもん、古代人が描いた落書きじゃねえか」ですかね。本当はちゃんと意味があるんでしょうが、私には分からないのでとりあえず落書きということで… 今回は旅行ツアーのスケジュールの関係で、上空から地上絵を眺めただけなので、直接自 身の脚で立って確かめる事はできませんでした。でも、絵の中に立ってしまうと、おそら く図形として認識することは無理じゃないでしょうか。小さい動物などの絵柄は、近くの 高台から見れば何となく分かるような気もしますが、広大な幾何学図形は上空からでない と認識できません。しかも小高い丘や谷を乗り越えて、図形や直線として成立させている のには正直驚かされます。

丘を乗り越えて続く形:なんと強引な…  描かれた線が、丘よりも遥かに尊い神聖なものであるこ との現れでしょうか。 空母の滑走路?:いたるところにこんな感じの図形が あります。個人的には動物の絵よりもこちらの方が興 味を引く。

 どうやって描いたんだろう?… 動物図形なら、なんとなく描けそうな気がします。 子供の頃、整地した運動場をつま先で地面を掘りながら走り回リ、後で先生に怒られたっ て経験ありませんか。それでも一応絵にはなっていました、大きさも。

ペリカン:長いところで280メートル。画面では切れていますが、左のくちばしはもっと長い。 (写真はその内の200メートル位の部分)50メートル走の約5倍…、何となく描けそうな気もしますが。 くねくねした首の部分は、コの字型の道具を使えば描けないこともないですね。

 でも直線や幾何形態はどうでしょう? メジャーで計ったのか? まさか…、厳密には、 ところどころ微妙に曲がっているところもあるので、やっぱり人間の手作りかなって感じ はするのですが、アレだけの距離(短いのでも数十メートル、長いのだと数十キロメート ル)を描くとなると、微調整も大変でしょうに… 指示する人と描く人との連絡は?、携帯なんてあるわけないし。よっぽど眼がいいのでし ょうか、普通あれだけの距離を管理するには望遠鏡が必要ですが…  聞いた話では、当時の人々の感覚は現代人とは異なり、空間認識の基準が全く違うとか、 だから我々がびっくりするような描画行為も、当たり前的な感覚だったというのです。 全体は見えなくても、移動するだけで頭の中に図形が成立している。分るような分らない ような、知覚・図形認識学の世界!
 考え様によっては新人類、ニュータイプってことでしょうかネ。宇宙人用の滑走路って いう仮説もロマンチックで面白い。(ガンダム、いきまーす!)

滑走路?:いきなり見せられたら疑う事なく納得してし まいます。ここに管制塔や飛行機、格納庫などを配置し たら、「ナスカ国際空港」の完成です。 まるで空母の甲板?:小高い丘というより、ちょっとし た山の上にあります。右側には何か花のような模様も感 じられますが…これはもう事実として認めざるをえない。


6.結論
 結局は謎とロマン。でも、感慨にふける余裕は無かった、ただただ、見たって感じです。
 「神秘のナスカ地上絵、いつかその謎が解明される日が訪れるかもしれない。   その時まで、人類の遺産を後世に残さなくてはならない!」(特番風ナレーション)                 オワリ…

資料出典は「ナスカの地上絵」イポカンポ出版S.A.C.(ペルー)より

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