豆相人車鉄道――熱海〜湯河原〜真鶴
 足湯「独歩の湯」で、味楽庵という和菓子屋が軽便鉄道の模型を展示してある、と聞いた。店主が軽便鉄道のマニアで、自費で模型を作り店の前に展示、イベントなどに貸し出しもしているという。当地で軽便鉄道といえば、あの芥川龍之介の『トロッコ』に登場するあの鉄道だろう。大いに興味をそそられて翌日早速行ってみた。なるほど玩具のような車体が展示している。
 味楽庵は老舗の和菓子屋で繁盛していた。老主人に『トロッコ』の舞台のことなど質問しようとしたが、地図やメモを広げた若い夫婦にしきりに何か説明していた。「くずきり」を注文して待ったが、なかなか終わらなかった。やっと終わったところで軽便鉄道のことを尋ねたら、「だったらこの人たちに連れて行ってもらうといい」と、先程の夫婦を紹介された。どうぞと言われて、ためらったが思い切って車に乗せてもらうことにした。
 ご主人は運転しながら、廃線となった鉄道や人車鉄道に興味があって、その写真を撮っていること、今回は豆相(ずそう)人車鉄道の跡を訪ねに来たのだ、と話して、まず熱海まで直行、そこから伊豆山、湯河原、真鶴と人車鉄道の駅跡を尋ねて車を走らせた。奥さんは助手席を空けてくれたりして、まったくのお邪魔虫だったが、「構いません、どうぞ、どうぞ」の好意に甘えて、真鶴まで乗せてもらってそこで別れた。お礼代わりに近著を進呈したいからと、無理にアドレスを記してもらって、帰宅後御礼の気持ちを、メール便で近著『読んで、行きたい 名作のふるさと』とビール券と一緒に送ったが、返送されてきた。住所が不完全だったらしい。
豆相人車鉄道の模型(湯河原町 味楽庵)
老舗和菓子店味楽庵の店主が、ご自慢の人車鉄道模型の前でポーズをとってくれた
豆相人車鉄道熱海駅跡  熱海の南明ホテル前に記念碑が建っている
豆相人車鉄道記念館と説明版 熱海、南明ホテル
伊豆山神社への階段  このすぐ近くに「伊豆山駅跡」のプレートがあったが、公共施設の建物の下の方にあって、分かりにくかった。しかし、車を遠くに停めて小走りに探すHさんは慣れているらしく、あっというまに小さなプレートを見つけ出した
豆相人車鉄道伊豆山液跡のプレート 「人が客車を押すという珍しい鉄道"豆相人車鉄道"が熱海小田原間を走ったのは明治29年のことです」とある
豆相人車鉄道門川駅跡(看板の前) 地面にはめ込まれていて、ここも分かりにくかったが、Hさんはすぐに探し出してカメラに収めていた
門川駅跡  「中島モータースのところが豆相人車鉄道の門川駅跡です。ここは湯河原温泉への下車駅で、駅前は温泉場行きの人力車や馬車で賑わっていました」と記されている
豆相人車鉄道歴史街道 城口駅跡  ここはJR真鶴駅前で分かりやすかった。標識も大きい
豆相人車鉄道城口駅跡標識 「現真鶴駅の駐輪場付近に城口駅があったと思われます」と記され、地図の他に当時の写真もプリントしてある
現JR東海道線真鶴駅
小林古径邸