ELMOSワーキンググループ設立提案書

* 2006年11月22日の第12回宇宙理学委員会で設置が承認されました。(第1回小型衛星WG提出アブストラクト

* 地震電磁気観測衛星国際ワークショップ&アジア域宇宙地象天気国際ワークショップは成功裏に終了しました。

* 地震が電離圏に及ぼす影響を「ひのとり」のデータで研究(ISASトピックス, 2008.12.4)
  論文「地震に伴う電離層電子温度低下」アメリカ地球物理学連合の学術誌に掲載

* 第1回衛星・地上観測による地震前兆検証(VESTO)に関する国際ワークショップは成功裏に終了しました。ありがとうございます。

* 2009年5月22日、第23回SEMS研究会総会を東京学芸大学で開催しました。

* 2009年11月2〜7日、IRI2009 Workshopが鹿児島大学で開催されました

ELMOSは衛星群によりGPS掩蔽・電子密度・電子温度観測を実施します

提案者:小山孝一郎(元宇宙科学研究所教授・現在國立成功大学研究教授)
メンバー(2012.3.1現在):中谷正生(地震研究所)、田中宏明(防衛大学)、大津山卓哉(電子航法研究所)、海老沼拓史(東京大学)、大西健夫(LATMOS/IPSL/CNRS)、古宇田亮一(産業総合技術研究所)、西橋政秀(気象研究所)、陣 英克、津川卓也(NiCT)、茂木透、渡部重十、日置幸介、柿並義宏(北海道大学)、山本真行(高知工科大学)、大塚雄一(名古屋大学)、湯元清文、Huixin Liu(九州大学)、早川正士、芳原容英(電気通信大学)、白澤秀剛、高橋隆男、田中 真、長尾年恭(東海大学)、服部克巳(千葉大学)、鴨川 仁(東京学芸大学)、小原隆博(東北大学)、鈴木 睦、五家建夫、松本晴久、児玉哲哉(JAXA)
アドバイザリーメンバー:上田誠也、劉正彦、Oleg Molchanov、Michel Parrot、Sergei Pulinets
Discovery Channel: 921 Earthquake Special New


ELMOSワーキンググループは研究メンバーを募集しています。参加希望者はこちらまで!

1.目標

 地球低軌道から地球の電磁気環境を測定する小型衛星ELMOSのプロジェクト化に向けたワーキンググループの設置を提案する。ELMOSの目的は、(1)電離層物理の研究(科学的観点)、(2)低軌道地球電磁環境モニター(工学的観点)及び(3)地震電磁気現象の立証(新しいパラダイムの確立の可能性)である。

2.現在の我々の到達点

(1)電離圏物理の研究(科学的観点)
 1981年、宇宙科学研究所の太陽観測衛星ひのとりは、地球低軌道の良質な電離圏プラズマデータを取得し、電離層標準モデルの構築に貢献した。(参考
 特にここ30年間、電離圏に関する知識は、中性大気、太陽放射及びそれから生じた荷電粒子分布、その組成と温度を同時に測定した結果、驚異的に増えた。これによって電離圏のふるまいを支配している物理、化学が総合的に研究されるようになった。(参考

(2)低軌道地球電磁環境モニター(工学的観点)
 地球低軌道の電磁環境は、人工衛星、スペースシャトル及び宇宙基地等の帯電及びその結果としての放電現象や、太陽電池、電子部品の劣化や寿命短縮等を招き、また宇宙飛行士の船外活動での安全性にも影響を及ぼす。また、電離圏電子密度の擾乱は、宇宙−地上間の通信障害の原因となる。衛星による電磁環境測定は、これらの広範な工学的分野への貢献が期待できる。
 従来の衛星観測では地球物理的視点による超高層物理やプラズマ波動の研究がほとんどであった。しかし、今後はこの空間を人類活動の場としてとらえた地球電磁環境の研究が必要不可欠である。(参考:九州大学宙空観測研究センター

(3)地震電磁気現象の立証(新しいパラダイムの確立の可能性)
 本テーマは全く新しい分野であり、1980年代より大地震の前に大気圏や電離圏が擾乱する可能性が報告がなされている。しかし、中程度の地震でさえほぼ同一箇所で起こるにはかなりの年数が必要とされるため、地震との関連性を統計的に確実にするには地上観測では時間がかかる。これを強固に示すには困難が伴い、これらの研究の進展はややゆっくりであった。だが、未だ因果ははっきりしないものの、近年興味深い関連性を示す結果が報告されている。(別添論文Kamogawa, 2006及び長尾ら、2006を参照)

 1994年、宇宙開発事業団(当時)の諮問委員会である地球環境観測委員会固体地球サイエンスチーム地球電磁場ミッション調査サブグループにおいて、地球電磁環境観測を目的とした小型衛星計画の提案(宇宙開発事業団特別報告NASDA-SPP-950002)が行われた。1995年の阪神・淡路大震災を契機として、電磁気学的アプローチによる短期地震予知研究を目的としたSEMS(Seismo ElectroMagnetic Signals)研究会が設立され、翌年から旧科学技術庁の主導による地震総合フロンティア研究が開始され、理化学研究所と宇宙開発事業団で地震電磁気現象の研究が実施された。その後、2003年にIUGGに地震・火山噴火に伴う電磁現象国際委員会(EMSEV)が設立され、地殻−大気圏−電離圏カップリング(LAI coupling)の解明に向けた研究が世界的に進展中である。
 2003年より宇宙開発事業団と宇宙科学研究所の協力により、地震に伴う電離圏擾乱の検証を目的としたひのとりのデータの解析を実施しており、マグニチュード6.5以上の大きな地震の数日前より電子温度が低下する現象を発見している。(成果はJGRに掲載
 しかしながらひのとりは、常時電離圏のプラズマデータを取得していたわけではなく、地震前兆電離圏擾乱の決定的な結論を導き出すことは困難であると思われる。
 マグニチュード7〜8級の巨大地震は年間10〜20回程度発生しており、これが世界各国で衛星観測が実施・提案されている大きな理由となっている。(参考:別添資料)

3.今後のロードマップ

 2004年にフランスが打ち上げたDEMETERマグニチュード4.8以上の2628個の地震の統計的解析により、地震前に電磁放射がみられることを報告している。
 しかしながらDEMETERのラングミールプローブは、電極汚染の影響を考慮しておらず、電子温度・密度のデータは信頼度は高いとはいい難い。地震の影響を検証するには、まず極めて良質な電離圏のモデルを構築する必要がある。そのためには日本のユニークな観測機器を搭載した小型衛星を打ち上げ、観測することは、日本の宇宙機関が実施すべきミッションとして極めて自然で相応しいものと思われる。(旧宇宙開発事業団の平成14年度研究レビュー会で、統合後のミッションに適しているとの評価を得ている)
 特に納得できる地震に伴う電離圏の影響を示すためには、日本の優秀な電離圏研究者の協力が必要不可欠である。
 今年、中国が地震電磁気観測衛星の打ち上げを表明し、インドも計画を検討しており、地震火山国の宇宙機関として、今から計画の検討を至急開始すべき時期に来ていると考えるものである。

4.具体的な10年間の計画

 平成19年度:ワーキンググループでミッション検討・衛星システム検討
        これと平行し、特にこのミッションで重要なてデータ解析グループを編成する。
 平成20年度:衛星概念設計
 平成21年度:衛星開発
 平成24年度:衛星打ち上げ・最初の1年でモデル作成。以後、1年ごとにモデル更新。
 平成25年以降:地震との関連を検証する。関連ワークショップの開催

参考リンク

  • 宇宙から地震見えた 電離層に異常観測(東京新聞 2006.5.30)
  • 地震の電離圏への影響 ―新しい研究分野―(小山孝一郎 ISASメールマガジン第30号)
  • SGEPSSグローバル地磁気観測分科会活動報告 (湯元清文 2005.5.24)
  • 地震の予測(Science@NASA)
  • 電磁気学的な地震予知研究の現状と課題(長尾年恭、地震学会なゐふる vol.41)
  • 地震に伴う電磁気現象のいろいろ[pdf](早川正士、電気通信大学紀要)
  • 特別セッション「宇宙からの地震探知」(第19回宇宙利用シンポジウム)
  • 地震火山国の宇宙機関として 実施すべき将来ミッションは何か?[pdf](児玉哲哉)
  • Earthquake Alarm (IEEE, 2005)

    Publications

  • K. -I. Oyama, Y. Kakinami, J. Y. Liu, T. Kodama and C. Y. Chen, Micro/Mini Satellites for Earthquake Studies -Toward International Collaboration-, Advances in GeoSciences, Vol. 21, 2010 New
  • Electromagnetic Phenomena Associated with Earthquakes, ISBN 978-81-7895-297-0, Editor(s) Masashi Hayakawa [Preface]
  • Liu, J.Y., Y. I. Chen, C.H. Chen, C. Y. Liu, C. Y. Chen, M. Nishihashi, J. Z. Li, Y. Q. Xia, K. I. Oyama, K. Hattori, and C. H. Lin (2009), Seismo-ionospheric GPS TEC Anomalies Observed before the 12 May 2008 Mw7.9 Wenchuan Earthquake, J. Geophys. Res., 114, A04320, doi:10.1029/2008JA013698
  • Uyeda, S., M. Kamogawa, and H. Tanaka (2009), Analysis of electrical activity and seismicity in the natural time-domain for the volcanic - seismic swarm activity in 2000 in the Izu Island Region, Japan, J. Geophys. Res., doi:10.1029/2007JB005332
  • 地球環境とノイズの意外な関係 〜地震、大気、宇宙の声をきく〜(早川正士著:技術評論社)
  • 地震に伴う電磁気現象の衛星観測 早川 正士(計測と制御Vol. 47, No. 12
  • Hayakawa, M., Horie, T., Yoshida, M., Kasahara, Y., Muto, F., Ohta, K., and Nakamura, T.: On the ionospheric perturbation associated with the 2007 Niigata Chuetsu-oki earthquake, as seen from subionospheric VLF/LF network observations, Nat. Hazards Earth Syst. Sci., 8, 573-576, 2008 (NHESS - Special Issue: Earthquakes precursors and seismic hazard)
  • Oyama, K.-I., Y. Kakinami, J.-Y. Liu, M. Kamogawa, and T. Kodama (2008), Reduction of electron temperature in low-latitude ionosphere at 600 km before and after large earthquakes, J. Geophys. Res., 113, A11317, doi:10.1029/2008JA013367
  • C.C. Hsiao, J.Y. Liu, K.-I. Oyama, N.L. Yen, Y.H. Wang, and J.J. Miau, Ionospheric electron density anomaly prior to the December 26, 2006 M7.0 Pingtung earthquake doublet observed by FORMOSAT-3/COSMIC, Phys. and Chem. of the Earth, doi:10.1016/j.pce.2008.06.058
  • Consteration of Micro Satellites for Earthquake Study -Toward International Collaboration- (ASC2008)
  • Uyeda, S., and M. Kamogawa (2008), The Prediction of Two Large Earthquakes in Greece, Eos, doi:10.1029/2008EO390002, 2008
  • Seiya Uyeda, Toshiyasu Nagao and Masashi Kamogawa, Short-term earthquake prediction: Current status of seismo-electromagnetics Tectonophysics, doi:10.1016/j.tecto.2008.07.019
  • Kodama, Current Status of Seismo-Electromagnetic Observation Satellite Missions, 26th ISTS, 2008
  • Behavior of ionosphere Te and Ne prior to earthquake - role of earthquake related electric field -(第22回大気圏シンポジウム)
  • Kodama, ELMOS: Electric and Magnetic field Observation Satellite (IAC 2007)
  • 衛星による地震の電離圏への影響の観測−ひのとり衛星により得られた電子温度の予備的解析−(第3回「宇宙環境シンポジウム」講演論文集)
  • 世界の地震電磁気観測衛星の現状(第3回「宇宙環境シンポジウム」講演論文集)
  • 台湾の宇宙科学を応援する(ISASニュース, 2007.10)| 台湾にすんで(子ども・宇宙・未来の会)
  • 地震電磁気シンポジウム(2006年12月)と地震電磁気現象の最新の成果について(電気通信大学紀要20巻1・2合併号pp.31-38(2007))
  • 「地震電磁気研究ステーション」の活動について(電気通信大学紀要19巻1・2合併号pp.211-215(2006))
  • Possible Earthquake Effect on Electron Temperature in the Afternoon Overshoot at 600km - Contribution of Space Plasma Chamber to the Accurate Measurement of Te -(2006年度宇宙関連プラズマ研究会講演集)
  • 地震に伴う太陽観測衛星「ひのとり」の電子温度データについて(宇宙・航行エレクトロニクス研究会)

    関連リンク

  • 東海大学地震予知研究センター
  • 國立中央大学太空科学研究所Publication
  • Seismo-Electromagnetics and Related Phenomena: History and latest results (Oleg A. Molchanov and Masashi Hayakawa)
  • 地震予知研究最前線 | リサーチャーズ 地震予知の探求者たち (仙台放送)
  • TECHNOLOGY RESOURCES FOR EARTHQUAKE MONITORING AND RESPONSE (TREMOR) (ISU SSP07)
  • Earthquakes influence ionosphere as evident from satellite plasma density-electric field data (ISSI)
  • International Workshop on Seismo Electromagnetics 2005
  • Ionospheric Precursors of Earthquakes (Sergey Pulinets, Kirill Boyarchuk)
  • International Workshop on Seismo Electromagnetics 2000
  • International Workshop on Seismo-Electromagnetics of NASDA | Abstracts (NASDA, 19970303)
  • 地球電磁場環境観測ミッション (NASDA-SPP-950002)

    宇宙理学委員会ホームページ (ISAS/JAXA)