はじめに
「知人が入会してしまい連絡が取れず不安だが、どういう団体なのか」
「平和運動団体のメンバーが、オルターカレッジに関わっており、団体内で勧誘をしてトラブルになった」
「勧誘を受けたが、何だかおかしいので関わるのをやめた」
昨年、当サイト宛に相談が寄せられ、当サイト
相談・情報掲示板のほかネット上で話題になった
オルターカレッジ(株式会社オルタナティヴ・新宿区)。3年間で150万円という「コミュニケーションの学校」で、関連団体のNPO法人「
PBLS」を通じて平和運動方面にもネットワークを広げています。
ネットで批判を浴びたオルターカレッジは、今年初めから月1回程度の頻度で、「オルターカレッジ説明会」なるものを開催するようになりました。実は、当サイトの運営者・藤倉は、この第1回に参加してきました。1月18日に行われたもので、そのレポートをなんでいまになってという感じですが、正直、あんまり面白くなかったのでコンテンツ化するのを忘れていました。すいません。
でも、せっかく行ったので、記録に残しておきます。
潜入じゃないよ、普通の一般参加だよ
1月18日、午後2時からの説明会に参加すべく渋谷へ。会場は某雑居ビルの5階だ。部屋にはパイプ椅子が並べられているが、カーペット敷きで、靴を脱いで入る。専門学校などの説明会というよりも、ニューエイジか市民運動のワークショップのようなスタイルだ。着席すると、正面にはプロジェクター。脇のノートPCから、パワーポイントか何かでプレゼンをするらしい。
「客」は全部で10数人(20代前半、男女比2:3くらい)だった。オルターカレッジのサイトでは、この説明会について「予定数をオーバーし大盛況です!」と、写真つきで報告している。しかし写真に写ってる人の半分弱は、見るからにオルターカレッジの関係者だった(実習デモやプレゼン前後の歓談の態度から一目瞭然)。もっとも、関連団体PBLSの平和イベントなどに顔を出していながら、オルターカレッジにはまだ“入学”していないというパターンのなじみ客もいたので、客は見た目よりは多かったのかもしれない。みな、PBLSつながりか友人などからの勧誘で連れてこられていたようだ。ちなみに藤倉は、
「紹介者はいません。ピースルネッサンスの掲示板でガタガタやってんの見て、興味をもったので来ました」
と、正直に申告した。
世界を変えるのは個性だ!?
この説明会、「オルターカレッジ説明会」でありながら、実は“学校”そのものに関する具体的な説明がほとんどない。いまの世の中がいかにダメダメかということと、それを変える方法を学ぶのがオルターカレッジだという、抽象的な話ばかり。前に立ってプレゼンをするのは、オルターカレッジ講師のひとり、森明子さんだ。
「モノ作りの市場はすっかり縮んでしまっていて、もうダメです。厚さ10センチのテレビができたって、欲しいと思いますか? どうですか?」
そこで、藤倉が指される。プラズマテレビとか買うカネもないし、「いりません」と答えたら、
「そうですよね。別に厚さ30センチのだって使えるし、テレビなんかみんな持ってるんだから、薄くなったくらいでみんなが買うなんてことはありません。じゃぁ、どうやったら、縮んでしまった国内市場を活性化することができるんでしょう。とても真剣に聞いてくれるんで、ついつい指しちゃってごめんなさいね。どう思われますか?」
と、また藤倉をご指名。
「貧乏人にカネを配ればいい」
カネさえあれば、オレだってプラズマテレビでもHDDレコーダーでも欲しいさ。モノ作りが限界なんじゃなくて、カネがないから買わないんだよ。
「そ、そうですね(笑)。以前どこかの街で、ホームレスにお金を配ったら町の経済が活性化した、なんて話もあったと思います。これも答えのひとつなんですが、こうやって、アイデアで人を動かしていくこと。これが、これからの日本には必要なんですね」
話はとりあえず、そういう方向でまとめられた。パワーポイントの画面を映したスクリーンに、「アイデア」という文字が出て、続いてチャート式の図で説明が始まる。
いまの日本がダメなのは、記憶力重視の教育の限界にきているからだ。ピラミッド構造のトップ・ダウン式企業が多くて個性が発揮できないのがいかん。感性を豊かにしないまま、大脳だけを動かすロジック偏重の人間を作っちゃったのが、いまの世の中だ。で、オルターカレッジは企業と組み合わさった教育体制で、脳みその奥の方の何とかって部位(感性)を経由した上でロジックを作る、そんな思考を作るんだと。
「ですが、この辺の理論を説明すると何十時間もかかるんで、お話はこれくらいにして、オルターカレッジでやってるRMCというのを実際に体験してみましょう」
“RMC”でテレパシーの練習、藤倉は不発
RMCというのは、Real Mind Communication
の略で、自己啓発セミナーのダイアードのように2人1組で向かい合って行う実習だ。ただ、内容は自己啓発セミナーと少し違う。
(1) 1対1で向かい合って座る。
(2) 片方を「0さん」、もう一方を「∞さん」とする。
(3) 「∞さん」が、いまその場で思っていることをひたすら口に出す。
(4) 「0さん」は、ひたすら「うん、うん」「そうなんだぁ」と、聞きに徹する。
藤倉が「紹介者なしの飛び入り」だったからか、ソッコーでスタッフが近寄ってきて相手をしてくれた。30歳くらいの女性だ。
「初対面なんで緊張してますが、藤倉さんからは、なんだか暖かくてエネルギッシュなものを感じます。とても話しやすそうで、気分が安らぎます」
藤倉は「はい、はい、ふうん、そうっすかぁ」と、言われた通りに反応。なんだか相手をバカにしてるみたいで気分が悪い。
今度は、役回りを交代して、藤倉が喋る番。
「いやぁ、説明会は前から行ってみようと思ってたんだけど、今朝は寝坊しちゃって、慌てて家を飛び出してきたんです。たから、まだ眠いです。ぜんぜんエネルギッシュじゃないです。腹減りました。森さんが、熱心に聞いてくれてるとか言ってたけど、眠いのと目が悪いのとで、しかめっつらして聞いてただけなんす。今日は、ここに来て何しようとか、何のために行くのかとか、ホント何も考えないで来ちゃったんですよねぇ。てゆーか、いま思ってること喋れって言われても、何喋ったもんか困りますよね」
そんなことをダラダラとまくしたてても、相手はルールどおり「ふうん、ああ、そうなんだぁ」。
で、RMC第2弾。今度は、別の相手と組んで、目を閉じて同じことをする。
今度は、やはりスタッフっぽい別の人と組んだ。40歳半ばくらいの中年女性。
「今日は天気がいいから、代々木公園とかでのんびりしたいですよねぇ。だけど寒いかもですねぇ。目をつぶってると、なんかだんだん前のめりになっちゃいますよね」
とか。藤倉は藤倉で、
「いやぁ、眠かったんで、目を閉じるのが気持ちイイです」
とか、そんな調子。
で、RMCは、なんと“電波”な第3弾もあった。
目を閉じて互いに黙ったまま、「∞さん」が「0さん」にメッセージを送り、「0さん」がそれを感じ取る・・・というバージョン。
今度は、見た目20代の若い女性がお相手。藤倉は、まずは電波を受信する役だった。目を閉じて黙っていたせいか長く感じたが、“受信時間”は2〜3分程度か。これが終わると、自分がが受け取ったメッセージを相手に言ってみる。
「“誰にもナイショにしてたけど、実は、年末ジャンボ当てたんですよ”ってメッセージじゃないですか?」
電波を受信できなかった藤倉は、とりあえずあてずっぽう。そのとき、隣でやってた組の会話が聞こえてきた。
「なんかこう、明るくて暖かい雰囲気が伝わってきました・・・」
なるほど。そういう調子のことを言うのが、ニューエイジのワークの“作法”だった。忘れてた。
藤倉宛に送られてきていた電波も、「丸くて暖かいもの」だったそうだ。やっぱりRMCのテレパシー版は、そういう感じでやるらしい。「宝くじ」とは、これまたいろんな意味で大外しだ。
藤倉が電波を送る方になったときには、森さんから「いま、相手にあげたいものを念じてみてください」という指示が出た。そこで、先日「いぬたま・ねこたま」で見た、珍しいオスの三毛猫「福ちゃん」をはじめ、うちの飼い猫たちを思い浮かべてみる(別にあげたくなかったが)。相手の答えは、
「初め、滝か何か、水が落ちてるような風景が見えてから、雲の上に座っているような、柔らかくて暖かい気分になりました」
うーん、残念。ぶっさいくな猫でした。
「いやぁ、やっぱり難しいですね。でも、ネコだったら、最後の方だけちょっとかすってたかも。エネルギーとか波動を感じる能力の高い人だと、もっとハッキリわかるみたいですけどね」
波動っすか・・・。
やっぱり、よくわかりません
この後は質疑応答。ところがぜんぜん質問が出ず、「じゃぁ、質疑は終わりにしましょうか」となりそうだったので、藤倉が質問した。
「オルターカレッジの目指す理想は、イメージとしてはわかりました。でも、具体的なカリキュラムや、入学後の生活サイクルなどがぜんぜんわかりません。30 days program ってやつの説明が書類に書いてありますが、オルターカレッジの受講期間は“3年間”と書いてる箇所もあります。3年間の内容を知りたいです」
これが、今日、藤倉が唯一マジメだった瞬間。答えは、
「オルターカレッジでは全日制3年間と2部制3年間の2通りのコースがあり、どちらを選ぶかによっても変わるので一概には言えません。ですが、どちらのコースでも30daysが盛り込まれていて、あとは、様々なトレーニングや企業での研修、実践活動などになります」
うーん。2通りしかないんだから、一概には言えなくても二概くらいなら言えるのではないか? しょうがないので、追加で「30dayは、3年間のコースを受ける場合しか受けられないんですか?」と聞くと、「今年から単独でも受けられるようになりました」。じゃぁそれはいくらなの?と思ったが、しつこすぎるかなという気もて、質問はここまで。
この後、若い男性から、
「全日でも2部でも同じ3年間150万円ってのは、全日の方がお得ですね。それでも一括で払うのは難しいんですが、何か方法はありますか」
「最近は国が教育事業に力を入れていて、オルターカレッジも教育に貢献する認定校になっています。そのため、金融公庫からお金を借りることが出来ますので、個別の事情に応じてご相談ください」
ちょっとサクラっぽい質問だったが、質疑タイムでは「スタッフは全員席を立ち、ゲストのそばから離れる」という方法をとっていたので、この質問者もいちおう「スタッフじゃありません」ということにはなっている。
ネットで批判されて「ありがとう」?
質疑の後、5時まで、お茶とお菓子をつまみつつ立食い懇談会。
ネットで悪い噂を知った上で来たライターだと公言していた藤倉のところには、森さんも寄ってきて、いろいろ話してくれた。個別の会話は省くとして、とりあえずネット情報をめぐる部分について、彼らの言い分だけ書いおく。
「ネットで批判を浴びた時点では、まだオルターが始まったばかりで、別に閉鎖的だったり隠しごとをしてたりというわけではなかった。始まったのはまだ2年前のことだ」
「ある程度のクオリティを確立してから、大々的にアピールしたかった」
「批判を浴びたのは思いがけないことだったが、あれ以降、こうして説明会もやるようになり藤倉さんのようにネットを見て来てくれる人もいたわけだから、批判されたことがむしろ名前をアピールするきっかけになった。ありがとう、って感じ」
森さんのトーク面白かったですよ、と言ったら、
「いえ、あの、私、芸人じゃないんで、面白いと言われても・・・」
しまった。また外したか。
そのほか、懇談会で聞けた話を、大雑把に抜き出すと、こんな感じだ。
「(オルターカレッジがネットで批判されたのは)一部、熱心な勧誘をした人が誤解を生んだのかもしれない」
「(オルターカレッジでは)人の輪を広げることも、実践活動のひとつとして行っている」(←
ちなみに、別のところから漏れ聞いた話では、「2人勧誘したら、学費150万円のうち100万円を割り引く」と言われた生徒がいたという)
「全日制コースは全寮制。生活費も含まれているし、実践研修の際の移動費も支給される」
「実践研修では、最初は給料は出ないが、続けているうちに出るようになる」(←
それ、形態によっては労働基準監督署に摘発されますよ)
「入校する人はみな、学校や仕事をやめてから来る」(←
やっぱ、“2部制入学”の人はあまりいないんですね)
「生徒は単なる生徒ではなく、実践活動の中では適正に応じてリーダーにも講師にもなる」
「ノ・ジェスは忙しいので、もちろん講師をやることはあるが、それほどかかりっきりではない」
「黒木三郎は、まぁ、外部の人だから・・・」(← だからなんだというんだ?)
オルターカレッジは、清掃業者である関連会社(有)クリンピアと提携し、“生徒”に清掃業務をさせる。オルターカレッジは卒業生の起業支援もするとうたっている。しかし、具体的にどういう条件での労働なのかや、どの程度の起業支援なのかという説明はなかった。
オルターカレッジは3年間の“学校”で、開始が2年前。まだ“卒業生”はおらず、実績として示せるものはないのだそうだ。しかし、既に労働はさせているし、「起業支援」も説明会で言及するほどの「ピーアール要素」にしているわけだから、実績はなくても具体的な内容の保証は必要だろう。
結局、150万円も出すかどうかを判断するには、全く参考にならない説明会だった。