ポートフォリオ評価
                                     

1 はじめに

   総合学習でよく活用されている「ポートフォリオ評価」は、子ども自身が自分の学習の流れをつか
  むことができ、自己評価力や相互評価力が身につく点で効果を発揮している評価方法であると考えま
  す。また、教師からの評価をあわせることにより、学習意欲にもつながるものとして効果的であると
  考えています。
   その「ポートフォリオ評価」の利点を生かして、算数の指導のなかにも活用できないかという思い
  で始めた実践です。
   評価というものを、単なる「評定」としてだけではなく、子どもの学びの努力や成果が示されるも
  のとして、更には教師の評価という意味でもより良いものとなることを願い実践を試みてみました。


2 ポートフォリオとは・・・

   学習ファイルづくり(自分自身の学習プリントの記録を機械的にとじてゆく)のみを行っていても
  ポートフォリオとはならない。ということは、それをもとに評価をしていくことはできず、単なる学
  習の記録にすぎない。
   学習ファイルをポートフォリオとしてゆくためには、次のことが必要であると考える。

  ○自己評価活動
  ○相互評価活動
  ○子ども自身による作品の選択と、それを再編成する活動

   このように、選択と編集の活動を通し、ポートフォリオには学習の目的やめあてのもとに統合化さ
  れ、子どもたちのワークが集められ、子どもの学びの努力や成果が示される。
   その収集されたものは、子どもたちが何に関心を焦点づけていったのか、どのように内容の選択や
  価値判断などを行ったかについて、その時々の子どもの判断が示されるものである。
   また、ポートフォリオ評価に必要な点としては、次の2点があげられると思います。

  @評価基準

   ポートフォリオは、評価のためのデータであり、それをどのように判断し活用していくかが重要に
  なる。
   よって、ポートフォリオを単なるファイルづくりに終わらせないため必要なことの1つは評価基準
  であるといえる。

  A評価活動の時間の位置づけ

   子どもの思いや願い、学びの姿をとらえるために、教師の目で直観的に見取る活動とともに、具体
  的な判断の根拠となるデータが必要である。そのデータの基礎となるのがポートフォリオの作成であ
  り、それを活用したポートフォリオ評価である。ただし、単なるデータという性格のものではなく、
  学習を進めていく媒介物ともなる。
   このような子どもの思い、調べたこと、疑問、まとめ、自己評価(相互評価)などの作品からなる
  ポートフォリオを媒介として、それをはさんで、教師からのアドバイスや子どもどうしで互いに話合
  う活動の機会をもつためには、十分な時間が必要である。
   そのため、調べたこと、疑問、まとめ、自己評価(相互評価)などの時間を学習の時間に位置づけ
  計画的に行っていくことも必要である。また、自己評価や子どもたちどうしの話し合い、交流につい
  ては時には計画から外れ、特別に時間の設定をしていく必要も生まれてくることも考えておく必要が
  ある。





3 評価基準との関連    単元名 6年「分数のかけ算」

   評価基準については、展開編にのっている評価基準にあわせ、学習プリントを作成して取り組ませ
  更に、ふりかえりカードによって自己評価と教師による評価を行ってみました。


【関心・意欲】 について

【関】真分数×真分数の計算のしかたを、図を用いて既習の分数×整数、分数÷整数の計算と関連づけて
   考えようとしている。
【関】いろいろな数の組み合わせを考えようとする。

 学習の理解度を直接見ることができる学習プリントとは違い、学習プリントやふりかえりカードの
中からは、はっきりとした「関心・意欲」というものは判断しずらい。
 市販のペーパーテストの裏面のような「関心・意欲」を計るようなカードを作成して評価すること
も考えられる。
 実際は、授業態度や理解度などから判断せざるえない。
 ただし、「ふりかえりカード」の中での感想や自分の次時間の課題設定の内容を見ると、自分の考
えや友達の考えに対する評価を行っている児童も若干名いるため、その部分で評価は可能だと考える




【考え方】 について

【考】真分数×真分数の計算のしかたは、図を用いて既習の分数×整数、分数÷整数の計算をもとにして
   考えることができる。
【考】計算の途中で約分すると、簡単に処理できることのよさに気づく。
【考】既習の整数、小数の計算法則をもとにして分数の場合も計算法則が成り立つことを説明できる。

 問題に対する児童一人ひとりの考え方は、「ポートフォリオ」にファイル化したプリントの内容か
ら、ある程度評価できるものと思われる。
 さらに、学習を進めていく上で、多様な考え方を知ったり、気づいたりした児童一人ひとりの考え
の変化などについて、学習の経過全体を見直した時に、ある程度判断ができるものと考える。
 この点が、「ポートフォリオ」の有効な点であると考える。




【表現・処理】【知識・理解】 について

【表】真分数×真分数の計算ができる。
【表】途中で約分できる計算、整数×分数の計算ができる。
【表】分数の乗法計算ができる。

【知】分数の場合も、面積公式が適用できることや、交換、結合、分配の法則が成り立つことがわかる。

 「ポートフォリオ評価」の場合、各時間ごとに学習の理解度を学習プリントでたしかめるため、児
童一人ひとりのつまづきなどに教師も児童本人も気づくことができる。
 特に、「表現」(処理)の評価については、理解できているかどうかがはっきりと判断でき。
 また、全体的に理解が不十分な点が見えた場合、指導計画について検討して直ちに補った指導を入
れることも可能であると考える。
 自己評価により自分のウイークポイントに気づくことも比較的容易である。




4 ポートフォリオ評価の実践内容

  @自己評価カード(ふりかえりカード)の活用

  ・指導書の目標と指導内容をもとに、指導計画をたてる。
  ・評価観点は、指導書の目標にあわせ、各時間ごとに自己評価を行う。
  ・学習時間の目標を教師側で設定し、自己評価する。
  (前時のふりかえりをもとに、児童個人による課題・目標設定もある。)
  ・ふりかえりをもとに、次時における個人の目標を設定する。
  ・学習感想により、自分の理解度やウイークポイントを見つめるとともに、自身や意欲につなげてい
   けるようにする。
   そのため、教師側での評価を書き込む。


      (指導計画)
         〜
      (学習プリント@)
         〜
      (ふりかえりカード@)
         〜
      (学習プリントA)
         〜
      (ふりかえりカードA)
         ・
         ・
         ・
2003 評価に関する研究委員会
北広島市立東部小学校
   新  井   希