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 笑顔

 昔は、冬になると園芸雑誌に冬のツバキの特集があったが、現在ではツバキの記事はほとんど雑誌からなくなった。しかし、冬に大型の花が咲く花木はほとんどないので、ツバキが冬に咲く貴重な花木であることは変わりがない筈である。
 恐らくは、ツバキ園芸関係のオピニオン・リーダーがそうした熱意を失ったのかもしれない。

 冬のツバキといえば、カンツバキの勘次郎が有名であるが、勘次郎の花期は12月から1月初旬であり、1月下旬には終わってしまう。
 冬に一番花が長い品種は笑顔である。笑顔はハルサザンカである。ツバキ愛好家はサザンカをやや別種扱いするが、ハルサザンカは、サザンカとツバキの交雑種とされ、広い意味ではツバキの品種となる。
 ツバキの多くの品種を発表している米国のヌチオ社も、また多くのサザンカ品種を販売しており、ユーレタイドは有名な品種である。ユーレタイドは花も多く優れた品種であるが、サザンカであるので花期は初冬までである。
 
 庭に早春咲の花は多くは必要がないので、1本か2本あれば、冬の庭はにぎわうのである。笑顔は1月初旬から3月まで咲く、優れた品種であり、お奨めの品種である。
 他のハルサザンカより多花性で、大輪のピンクの鮮やかな花色は見事である。寒さで花弁が痛むことも少なく、花は咲き終わると落花するので、咲き終わった花が茶色く残ることはない。
 
 ハルサザンカ類は、冬季の花木として再認識されてよいと思われる品種である。

 追記
   笑顔の挿木は、異なる株からの2度の結果では、1は挿木3年生で4/5が着花、2は2年生で3/6で開花した。花径は成木より小さいが、株により冬季開花鉢苗として利用が可能かもしれない。



 太平楽

 Taiheiraku_2a.JPG肥後ツバキは一般に早咲きの性質がある。

 太平楽は、品種では出羽大輪と同一とされる大輪の肥後ツバキである。
 太平楽は鮮やかな淡紅色であり、花数を制限すると極大輪のサイズとなり見事である。
 太平楽は、11月初旬から咲く場合もあり、初冬咲では多くの花心が旗弁化して唐子咲のような咲振りを見せ、見応えがある。

 太平楽もその斑入りの万歳楽も葉も大柄で大きく成長するので、庭に何本も植えるわけには行かないが、冬のツバキとしてはお奨めのツバキである。

 肥後ツバキは、わが国では成功した唯一の品種群と評価してもよい。梅芯一重というストイックな品種育成の志向は、ツバキの品種改良史に残るものである。


 朝顔

 朝顔は、肥後ツバキでもあまり有名でない品種である。
 私は肥後ツバキの代表種は、長楽 (恐らく、おさらく)であろうと思っている。長楽の端正な花形と見事な梅芯は肥後ツバキの感性を象徴的に現している。長楽は樹性が這い性であり、盆栽としても鉢植えとしても扱い易い。
 しかし、長楽の見事な花姿は長くて2日であり、やがては花弁が反転して、平坦な姿となってしまう。長楽の芸は瞬時の芸なのである。
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 朝顔の評価は、長楽より低いようである。この「一輪大輪の銘花」と記述される品種は、大輪の肥後である。
 朝顔は大輪の品種であり葉も大きい、樹性は這い性で高くはならないが、枝が太く、盆栽には不向きのようである。こうした点が長楽より評価が低いのであろう。
 しかし、庭木としては花付きもよく優れた品種のようである。
 
 朝顔は、成木では春に太い新梢を出す。この太い新梢は挿木が容易であり、多くは翌年には蕾が付く特性がある。
 一年苗の蕾は1月中旬には大きくなるので、室内に移すと一週間ほどで開花する。
 朝顔はいわゆる厚みのある花で、見事に大きな梅芯と淡い桃色の花は花弁が反転することもなく見事な花姿が鑑賞できる。
 
 冬季の鉢物としての園芸化は、ツバキの展開の一つの方向と思われるので、挿木苗で翌年に開花する品種の探索は意味のあることと思っている。
 

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 サザンカの参考資料 


 笑顔を紹介しましたので、サザンカ・ハルサザンカのWebページを紹介します。

 ハルサザンカの品種分化 藤枝 國光
          ハルサザンカの品種形成の研究成果の紹介
          http://chikushi-tsubaki.com/kurumetubaki/siryou/tubaki/harusazanka/hinsyubunka.htm

今月の花 サザンカ 箱田直紀
          箱田先生のサザンカの紹介
          http://www.ntv.co.jp/engei/hana/sazan/sazan.html

yoshiiさん
    サザンカ品種、全272品種中257品種の写真が掲載されている恐ろしいページです。
         http://www5e.biglobe.ne.jp/~yoshii/index.htm