Vol.19

Back Home Next

2004年 10月 特別号

現在までのダイビング本数 139

  

 【特集】 サンガラキ島の海がめ君。

 

 

前回号でお知らせしたように、今回は特別号したてで8月に行ったサンガラキ島の『海ガメ君』 のお話です。

 

さてサンガラキ島とは、インドネシアの5大島のひとつカリマンタン島の東に位置する小島で、8月中旬に SeaDragon の中遠征で、この島のロッジに3泊し、ダイビングを楽しんだのでした。 ここの名物マンタについては8月28・29日の挑戦記でご紹介しました。今回はこの島のもう一つの名物、島に産卵にくる海ガメについてご紹介します。 海カメはダイビング中に比較的よく出会う生き物ですが、陸上で海ガメにあったのは今回が初めてでした。
 

まずこの島に上陸して奇妙に思えるのは、砂浜の少し内側に建ったロッジの周りの砂地が、ボコボコに穴が掘られていることです。これは海ガメが産卵した跡だということでした。 この島は海ガメの産卵場所として有名で、その保護のためにNGOの人たちが監視小屋を作り、24時間監視しているのだそうです。
 

さて、島に到着して2日目の夕方、砂浜を散策していますと何人かの人が群がって地面を見ていました。 砂の中になにやら直径1cmくらいの丸っこい小さな黒いものがいくつか見えています。 赤ちゃんカメだということですが、動かないので、よくわかりません。 ある人が砂をつまんで、その黒いものの上にパラパラとかけました。すると、あれっ、その黒いものがちょっと動きました。 さらに砂をかけるとまた動きます、そして動きが大きくなってきました。 そのうち黒いものが砂から出てきました。 ああ、これは赤ちゃんカメの頭だったのです !!!  手も、甲羅も出てきました。手をパタパタと動かしています。全身が現れると、甲羅の長さが5〜6cm、手足は長く3cmほどあります。こうしてみているうちに、数がどんどん増えてきました。ひぇー、何匹いるんだよ〜。すごい数になりました。 
 

そこにいたNGOのメンバーのお話では、・・・・海ガメの産卵シーズンは3ヶ月程度であり、その間に1匹のカメが3回ほど産卵する。1回の産卵で約100個の卵を生む。卵は約50日で孵化し、赤ちゃんカメはひとりで海に帰っていく。鳥に捕まって食べられてしまわないように夕方から夜にかけて孵化する。外敵から生き残って大きく成長するのは1000匹の赤ちゃんカメのうち1匹である…ということでした。

というわけで、この地面の下に100個程度の卵が産卵され、それが今孵化しているのです。ということは約100匹の赤ちゃんカメがいるわけです。 話している間に、どんどん数が増えてきました。 たしかにそれくらいいそうです。 彼らは砂からでてくると次々に波打ち際に向かっていきます。手足をちょこちょこちょこちょこ動かして進んでいくのがたいへんかわいく見えます。 結構早く動くものです。人の足跡などで、深く沈みこんだ所に入ったりするとそこから抜け出すのに苦労しています。 木の枝などが落ちているとそれを乗り越えるのが大変です。 なかには波打ち際と反対の方向に向かっていくのもいます。ナベたちはそんなカメさんの進む方向を変えてあげました。 彼らを見ていると、ほんとうに応援したくなるのです。 このようにして、波打ち際にたどりつくと、やってきた波にさらわれるような形で海に入っていきました。海に入ったときは思わず拍手をしてしまいました。

 

卵から孵ってすぐに、なぜ海の方向が分かるのでしょうか、なぜすぐに歩け、泳げるのでしょうか。不思議でなりません。このように大量に孵化してもそのなかで生き残るのは千分の1、長生きといわれるカメですが、それは生き残った個体についてのものなのです。
 

次の日の夜です。食事が終わって仲間と談笑していますと、近くでカメが産卵しているという知らせがありました。 さっそく外にとびだすと、食堂から30m程離れたところで甲羅長80cmくらいの1匹のカメが産卵しています。 カメが驚いて産卵できなくなるため、産卵中はライトなどで照らすことは禁じられるので、そっと近くに寄って見守ります。 先にきていた人によるともうほぼ産卵し終わったということでした。後ろに回って、ライトの光を絞ってかめの尻尾の部分だけが見えるようにして当ててみました。後ろ足の間から、その下に穿った穴に卵があるのが見えます。 ほー、これが海ガメの卵なんだ、と思ってみておりますと、NGOの人がやってきたので少しお話をしました。

 

産卵できるようになるのは30歳以上、いま目の前にいるかめは35歳程度である。(なるほど頭にフジツボが貼り付いています。)産卵後、すぐに海に帰るのではなく、捕食者を欺くために、産卵跡に見せかけたダミーの穴を近くに掘る。これを専門用語でカメフラージュと呼ぶウソです)。産卵を始めて海に帰るまで4時間ほどかかる、いうことでした。

その後、目のまえのカメは卵を生んだ穴に砂をかけ始めました。というより手足を動かして、移動したいのだけど、腹がつかえて抵抗となり、砂だけを蹴るのだけれど、体が進まないというように見えました。 4〜5回手足を動かして砂を後ろに掻きます、そしてしばらく休んでまたそれを繰り返します。同じ場所でその動作を繰り返しているようですが、実は少しずつ進んでいるのです。ナベたちはいつ終わるのか見守りますが、いっこうにやめません。もう帰ろうかと思ったものの、せっかくのチャンスなので最後まで見ようと思い直し、さらに待ちました。
 

2時間もたつと最初産卵した場所から3mほど離れた場所まで移動していました。最初に産卵した場所はすっかり平らになって、カメがいたようには見えません。カメのいる場所は少し掘られたようになっていますが、砂掻きとともにその凹みもいっしょに移動するのです。このようにして、産卵場所から数m離れた場所に、産卵したようにみせかける穴が残るのでした。                   

このようにして見ていますと、近くをなにか小さなものが動いていきました。赤ちゃんカメの一群です。NGOの人たちがバケツから放ったようです。暗い砂浜を小さなカメが動いていくものだから、しっかりみて注意していないと、踏み潰してしまいそうです。 

さきほど産卵していたカメもやっと進み出しました。 海のほうに進んでいきます。もう午後10:00過ぎになってしまいました。この時刻は干潮でした。ロッジ前の海はサンゴ礁によって遠浅になっているので、この時、波打ち際までは400mほどあります。母カメ、赤ちゃんカメともにはたしてたどり着けるのでしょうか心配です。でも大自然のなせる技、このあたりは心配不要なのでしょう。

 

ふと頭上を見ると、海の上に銀河とおおきなさそり座が見えました。ああ、自然の摂理の中で生かされているんだなあという思いを感じました。生命の神秘や貴さを感じた一時でした

 

翌日、砂浜にカメがとおった跡と思われる筋がいくつもついていました。なにかちょっと違うものもありました。へえー、なぜ違うのかなと思いつつも気にも止めずにいましたが、あとでそれは、ダイビングロッジのスタッフが体の左右の手でタンクの首を持って、砂浜を引きずった跡であることがわかったのはお笑いでありました。

サンガラキ島への行き方など

 

ジャカルタのスカルノハッタ空港より、ガルーダインドネシア航空にてカリマンタンのバリクパパンへ(所用2時間+時差1時間)、そこでカルスター航空(ちっこい飛行機であります)に乗り換えブラウへ(所用1時間)。 ブラウは内陸の、大きな河ぞいの町です。 他のインドネシアの川と同様に、土砂の色のため茶色くにごっています。カリマンタンには多くの大河が流れており、昔からこれが主要交通路となっています。ブラウの川沿いの船乗り場から、スピードボートに乗り1時間半程度で、河口に出ます。河口近くは河幅が500m以上はありそうです。海に出ても、数kmは川の水ため、海が茶色に見えます。さらに1時間半ほどで、サンガラキ島に到着します。

ロッジの前の海は400mほど沖合いまでが非常に浅いインナーリーフとなっており、干潮時には、ボートを沖の方に停泊させてここを歩いてロッジに向かわなければありません。写真はの引いたインナーリーフで SeaDragonの仲間と撮った写真です。 たのしそうでしょ !!!


サンガラキ島にはダイビング用のロッジがあり、宿泊できます。近くには、島の中に隔離された湖を抱えるカカバン島(この湖には無数の無害のクラゲがいて有名です。)や、少しにぎやかなデラワン島(ここのダイブロッジは豪華?だということです。)などがあり、ダイビングスポットが多くある地域となっています。

 

SeaDragonでは、11月中旬のレバラン(イスラム断食月明け大祭)の時に、またこの地への遠征を計画しており、ナベは大変楽しみにしています。
 

 

 

    今日の一言: 赤ちゃんカメ、無事に育てよっ! そして元気に Kame Back !

 

 

写真加工 by Studio SeaDragon

 

SeaDragon - 海龍亭 -