第6回研究部会

題目:サプライチェーン(SCM)ネットワーク最適化の課題:最適化技術の適用性とシステムの動的安定性
講師:野末尚次(株式会社数理モデリング研究所 代表取締役)

日時:2005年10月14日(金)18:00〜20:00
場所:青山学院 青山キャンパス 総研ビル 9階16会議室

講演要旨:
1)最適化技術の現状と計画システムの開発の実態について:
 最適化技術の実問題への適用では、適切な技術を適切な対象に対して採用することが必須条件である。誤った技術の採用によって計画システムの開発に失敗するケースも多い。
 ここでは、整数計画法、制約プログラミング、遺伝子アルゴリズム等をはじめとする最適化技術の特徴を解説するとともに、企業の業務を類別化して、各最適化技術の適用可否を論じる。
2)システムの動的安定性とコントロール:
 サプライチェーンは従来の静的な計画対象と異なり、動的な計画対象である。このため動的安定性が重要な問題となる。すなわち、需要の変動等に対応して動的な計画変更がネットワークの下流から上流に向けて伝播する。このコントロールを適切に行わないとネットワーク全体が非常に不安定となる。ここではCPFRを例にとり動的安定性の問題と今後の課題を明らかにする。
3)鉄道のSCN:
 鉄道は、企業内に大規模なサプライチェーンを抱えて営業が行われている。鉄道で発生している各種の問題は、多くのSCNにも潜在していると言えよう。そこで、鉄道のSCN的な取組みの可能性とそれに伴う問題を述べ、今後のSCN開発の課題への示唆とする。

ご講演予定資料は下記に格納しております。http://www.geocities.jp/scn_rf/file2005/20051014_SCN_nozue.pdf

ご講演資料の最終版を野末様から提供いただきましたので掲載します。内容別の3部構成になります。
http://www.geocities.jp/scn_rf/file2005/20051104_SCN_nozue1.pdf
http://www.geocities.jp/scn_rf/file2005/20051104_SCN_nozue2.pdf
http://www.geocities.jp/scn_rf/file2005/20051104_SCN_nozue3.pdf

<事務局から>
発足以来、サプライチェーンをめぐる実務的環境と実態という実務面の話が続きましたので、今回は部会のテーマの一つである、サプライチェーンに関する数理的な研究の側面を取り上げて講演していただきました。25名にご参加いただきました。事務局からの連絡内容はこちら、また事務局からの当日配布資料はこちらです。

はじめに、サプライチェーンネットワークの動的安定性の視点から見たCPFRの解説があり、人間の限定合理性というキーワードからの分析もありました。Wal-Matの"EveryDay Law Price"について、「システムへの入力の安定性」の面からの解説があり、SCNの動的安定性の側面が明瞭になりました。次に、計画システムについては、限定合理性を考慮した意思決定支援システム(DSS)として開発することの重要性が示されました。

最後に、最適化に関して、制約プログラミングを中心に解説をしていただきました。基礎となる制約充足理論について、4個のQueen配置問題で具体的かつ丁寧にご説明いただき、制約伝播の役割を明確にしていただいています。同時に、実際の問題を解く場合の、大域的制約を利用した定式化の重要性についても言及いただいています。講演の最後に、ILOG社のSolver(制約プログラミングエンジン)を用いて、Queen配置問題を会場にてデモンストレーションしていただき、探索方式(First Fail)がどのように実行性能に影響するのかを示していただきました。

CPFRのイメージの解説、ORではまだまだ馴染み薄い制約プログラミングの伝達に熱が入り、当初予定していた、整数計画法、最適化技術の適用性、鉄道のSCMについては、次回第7回にお話していただくことになっております。