海、山、平地





これはちょっとしたホラーのようでそうでありません。
みなさんも、こうならないように気をつけましょう。
ふひぇひぇひぇひぇっ。
それではお楽しみ下さい。





僕は生まれた頃から海の傍に住んでいた。
おじいちゃんは漁師、お父さんはサラリーマン。
お母さんは、いつも家にいて僕の相手をしてくれた。
でもある日、癌がもとで死んでしまった。

私は生まれた頃から山の傍に住んでいた。
だからといってお父さんはきこりじゃない。
おじいちゃんもお父さんも一般のサラリーマンだった。
お母さんは私を産むのと同時に死んでしまったらしい。

小学校の高学年の頃、ぼくはおじいちゃんと海に良く出かけた。
実は僕には小さい頃から不思議な力があって、
何故かよく海で魚人や人魚を見かけることがあるんだ。
力って言うのもおかしいかもしれないけど、偶然ではないんだ。
それは毎日のように見えるから。
そういえばおかあさんが死んだ時、浜辺で一晩中泣き明かした時
から見えるようになった気がする。思えば、人魚はよく歌で僕を
慰めてくれたっけ。でも魚人はいつも僕に悪戯ばかりしてきたな。
でも、お陰で気がまぎれたのも事実だった。

小学校時代、山登りが好きなお父さんと私はよく登山に出かけた。
まるでそれが当たり前のように、私は毎週山に出かけていたっけ。
そして、私は気が付いた。みんなには見えないものが、私には
見える事に。ぬり壁、人面樹、他にも何かいた様な気がする。
そういえば、母親がいない事に無性に寂しくなって一人、
いつも登っている山の林でひっそりと泣いた日から見える様に
なった気がする。あの時はいきなり話しかけて来た人面樹に、
思わず蹴りを入れてしまったっけ。でも、そんな私を優しく
慰めてくれたな。ぬり壁は私の行く道を邪魔ばかりしていたけど、
それでも寂しさはなくなった気がする。うざかったのは事実だけれど。

僕が高校、大学と大人になるにつれて、見える化け物の種類も
どんどん増えて来た気がする。昔からの馴染みはよかったけど、
さすがに海坊主や大ダコが現れた時は勘弁してほしかった。
あまりの恐さに一瞬たこ焼きにしてやろうかどうか迷ってしまった。
どうやら僕には漁師の血がしっかりと流れているらしい。
大ダコを捕まえるのには全く抵抗を覚えなかった。ただ、失敗して
全治三ヶ月の骨折を負う事になったけれども。
そんな事があって、僕は海を離れる事に決めた。人魚や他の友だちと
別れるのは辛かったけど、さすがにふな幽霊があらわれる前には
海から身を遠ざけておきたかった。僕はまだ死にたくはないんでね。

私が高校、大学と大人に近づくに連れ、山で見かける化け物が
だんだんと凶暴になって来た。危害は加えてこなかったけれども、
さすがに山姥(やまんば)や子泣きじじいと一緒に世間話しをするのは
抵抗があった。それに二人とも説教くさかったし。いい加減山から
離れたいと思い始めたのはその頃かな。あれ以上うるさいのが増えたら、
いくら私でも気が気でなくなってしまう。砂かけばばあに会うのは
ちょっと勘弁してほしかった。なんかさらに説教くさそうだし。
人面樹にお別れを言うのは辛かったけど、私が私を保てなくなる前に
山から離れる必要があった。ま、親離れじゃなくて、山離れってとこかな。

僕は都会に出て、職を探す事に決めた。目ざすは東京だ。

私は、都会にでもでて仕事を探そうと思った。東京あたりが無難かな。

東京に来て、求人センターみたいな所で手ごろな職を探そうとした時、
僕は自分に似た匂いを持つ女の人を見つけた。格好からして同じくらいだ。
ちなみにこの匂いってのは海の連中とつき合っていくうちに自然に
身に付いたものだ。この力でその人の人間性がなんとなく分かるのだ。
でも僕には職の方が大事だったため、顔をちらと見ただけで、後は係りの人
とずっと喋っていた。...ちょっと、好みだったかな。

私は親戚が働いているという会社で既にアポはとっておいたものの、
もしもの時を考えて他の仕事の事も調べておこうと思い、求人センターで
資料を貰う事にした。そこで私は自分と同じ匂いを持つ男性を見つけた。
ちょっと好みの顔だ。好奇心も手伝い、声をかけようとした時、私は自分の
番を呼ばれた。別にそんなに重要でもなかったので、私はさっさと資料を
貰うと泊まっている宿に戻った。ちなみに先程言った匂いのことだけど、
何時の間にか身に付いていた私の能力だ。上辺だけの男なんてこれですぐに
分かる。百発百中。ちょっとした私の自慢だった。
...でも、あの人の匂いは初めてだな。興味あるなぁ...。

次の日、僕は職探しに行く為朝早くから起きて宿を出た。
冷たい空気、気持ちいい風。そんな中、僕は昨日の彼女を見つけた。
早起きは三文の得。ここで会ったのも何かの運命か。とにかく、
彼女に話し掛けてみよう。

次の日、何故か緊張で早く目が覚めた私は朝の散歩に出かけようと思った。
まだひんやりとした空気がただよう街中。と、後ろの玄関が開く。
出て来たのは昨日の男性。思ったより年は若いようだ。私と同じかな。
早起きは三文の得、ここで会ったのも何かの縁、話してみよう。

「「あのぅ...」」

二人が話し掛けたのは同時だった。驚く二人。お互いの目をじっと見つめ合う。
と、二人同時に自分達の状態に気が付き、慌てて謝る。またどんぴしゃ。
もう二人は笑うしかなかった。そして弾む会話。まるでお互いが昔からの
知り合いかの様に仲良くなった二人。似通った男女は運命を感じ、
ほどなくして結ばれる。子供を一人もうけ、二人で働いて稼いだ金で夢の
マイホームを買う事を決意した二人。が、そこで問題がおきる。

僕は一度でいいから山の傍に住んでみたかった。さすがに海に戻る気は
ない。だが彼女は海に住みたいようだ。今まで意見が食い違う事が
なかっただけに、どうすればいいのか見当もつかない。さて、困った。

私は一度でいいから海の傍に住んでみたかった。だって周りは山ばかり、
海は私の憧れの場所なのよ。でも、こまったな。彼、海は駄目なのよね。
でも私も山は嫌。この年になって老人達の説教をくらうのはごめんだわ。
どうすればいいのかしら、困ったな。

解決策のないまま過ぎる時間、その間に十ニ分にも資金はたまっていた。
そしてある日曜日。久々に一家三人揃ったこともあって、彼等は公園へと
遊びに来ていた。二人の間でよちよち歩く子供。まだ足取りがしっかりして
いないものの、両手を大好きな両親に繋いでもらって幸せいっぱい一杯の
ようである。それにくらべて隣の二人は気難しい顔をしている。
いまだにあのことを悩んでいるようだ...。と、不意に子供が手を話し先の
方に向かって両手を突き出した。驚く二人。子供が言う。

「わんわん、わんわんさん。」

ああ犬か。二人はそう思うと、優しい声でどこにいるのかを尋ねる。
笑顔で教える子供。が、次の瞬間両親の顔が緊張に引きつる。
首をかしげる子供。そして犬の方を振り向いた。
左右にふられているしっぽ。四本の足に支えられている胴体。
そして人懐っこく笑っているおじさんの顔。
.....そう、人面犬であった。

僕は、結局.....

私は、結局.....

そして二人の声は重なる。

「「何処へいっても、無駄なのね(か).....。」」

青々と広がる空。響く蝉の泣き声。
結局、二人は山と海に挟まれた平地の街に家を建てることに決めた。
山、海、平地。
ちなみに去り際に人面犬が残していった言葉。

「そんなに煮詰めるなよ兄ちゃん、姉ちゃん。もっと人生は気楽にいこうぜ。」

犬に説教を食う二人。
手を振る子供に対し、親は酷い頭痛に悩まされていた.....。

『山、海、平地〜。
 山、海、平地〜。
 どこへ行っても逃げられぬ〜。
 山、海、平地〜。
 山、海、平地〜..........』

何処からか嫌な歌が聞こえてくる。しかも合唱だ。
そして、この日を境に二人はかなり開き直った性格になったという。
ちゃんちゃん。





.....みなさんも、目の前にある真実から逃げてはいけませんよ。
ちゃんと受け入れてこそ、ハッピーエンドというものは来るものです。
ところでこの二人の子、両親のお陰で何処でも化け物が見れるようです。
そんな彼が思春期を苦労して乗り越えていくお話は、また別の機会にでも
いたしましょう。






後書き:

あう、もっと面白くする予定だったのに.....。
何か中途半端な内容になってしまった。駄目だなぁ、俺も。
もうちょっと文章能力つけなきゃなぁ。
でもこれを書き直す気はないのであしからず。だって、面倒ですもの。
次回はもっと面白いものをかきます!お楽しみに!
あ、感想くださいな♪やっぱ、だめだめでしょうか?

第一版<7/25/00>




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