不明の死





明るさがみなぎる青い空。雲さえもよせつけないその熱気。

スモッグはお休みらしくまさに晴天といえた。ここはある東京のアパート。

建築から十年もたっているにもかかわらずその白さは当時とかわらぬ輝きをみせていた。

ここの管理人Nは相当神経質だといえよう。少なくとも鈍感ではないことは確かだ。

そういう彼のことだ。

毎日新聞をみては一生懸命社会の流行、政治の流れ、気候にいたるまでなんども読み、理解しようとした。

しかし最近、彼自信が理解できないようなことが新聞の一面をかざっている。

それはたいてい『不明の死因、三十の死骸をのこす』などどいうものだ。

なんでもこの病気がうつると確実に死にいたる。しかも死因が不明ときている。

いままでの調査でわかったことといえば人が死ぬ時にいつも二人同時という事だけだ。

ある意味完璧主義者の彼はいらいらしながらこのわけのわからない病気のことを知りたいとおもった。

しかしへたに街に出てもその病気にかかってしまうし、第一今日は暑い。

こういう日はなにもしないほうがいいのだ。

その時ノックの音がした。彼は不信に思った。このアパートの管理人室は屋上にあるのだ。

用があるのなら電話ですむのだが..........。

しかしせっかくの来室者を無視できずドアをあけた。しかし心配する必要はなかった。

そこにいたのは彼の友人Sだったのだ。Sは入ってくると同時に

『みずを一杯くれ。』

といった。たぶん暑さのためだろう。可哀想にとおもいながらNはみずをあたえた。

『ふう。ありがとう。この暑さだ、仕事も手につかないので帰ろうかとおもったら途中で倒れそうになってね。そこで君のことをおもいだしここにきたのだ。』

『だいじょうぶか。この頃、東京で妙な病気がはやっているそうじゃないか。なんでもなんのまえぶれもなく死んでしまうとか.......。』

『勝手にそんなデマを流しやがって。マスコミめ。だいたいそんなことが本当にありえると思うか?考えてみたまえ?』

『え?なぜデマだとわかるんだい?』Nが驚いたのも無理はない。

Sの人格が一気にかわったのだ。

『いま俺がやっている仕事がなにかわかるか?』Nはくびをふった。

『この病気の研究だ。そしてやっとこの謎の病気の正体をしることができたのだ。』

『だが誰にも教えていないのだろう?なんせまだニュースにでていないもんな。』

『なに。明日になればすべてわかるが、君になら今教えてやってもいいぜ。明日まで楽しみをとっておくか、今知るか、どちらか選ぶといい。』

『今教えてくれ。おれはこの病気のことが知りたくていらいらしていたのだ。』

『だろうな。たいていのひとはそうだ。では教えよう。この病気の原因はウィルスだ。しかも普通のものとは違う。このウィルスは人間の脳を刺激し、あることをすると気管の働きを停止させてしまうのだ。それで死んでしまう。』

Sは一息ついて残りの水を飲んだ。

『ううむ。』そういうことだったのかと思いながら、Nはおそるおそる質問してみた。

『そのあることをするとのあることとはいったい......』

『いいたくないのだが........。』Sはしばらく黙った後ようやく話し出した。

『それはしりとりだ。しりとりでまけるとしんでしまう。まったくバカげたはなしだ』

『だとするとそれは意識的にやっているんだな。』

『なぜそう思うかはわからないが、このウィルスの恐いところは無意識のうちにしりとりをしていることなのだ。』

『だがなんでそんなことが...........。』Nはあることにきがついてしまったのだ。

『おい。もしかして俺達しりとりをしてないか?』

『かりにそうだとしても.........。』Sは口を手でおおった。彼もこの最悪の状態に気がついたのだ。

『もうだめだ。俺は死んでしまう。しりとりなんてずっとできるものじゃない。』

『いいか。できるだけ長生きできるようになるべくつづけよう。』

『うん。』それと同時にNは倒れた。たぶん死んでしまったのだろう。

『”ん”、だと!おまえがしりとりでまけたのか。まてよ。すると俺はしりとりをする相手がいないではないか。』

そういいながらSも息をひきとった。そして今も日本のかくちで死因不明、もしくはしりとり病の死人はたえない。





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