〜プロローグ:ただいま、逃走中!〜
A Biginning Of A Great Story?





街は闇に包まれ、人の気配はしない。時折聞こえる犬の遠ぼえが
あたりの静けさを一層際立たせていた。
繁華街から少し離れたこの場所では、丑三つ時と言われるこの時刻に
人が出歩いている事など普通はありえない。
が、例外もあるようだ。

「はぁはぁ.....。」

黒づくめのコートを着、闇に溶け込むように歩く人物は何かから逃げる
様に歩調を早めている。点在している街灯を壁にやもりの如くはってまで
避けて歩く彼の姿は、誰の目からみても怪しかった。

「何で、この俺様が、こんな目に.....。」

言い忘れていたが、ここはある街に幾つか存在する住宅街の一つだ。
全ての通路は塀と塀の間に挟まれていて狭い。お世辞にも整っているとは
言えず、全ての道は複雑に入り組んでいて馴染みのない人が来たならば、
たちまち迷子になっても不思議ではない。

「.....こっちでいいんだよな。」

黒コートの男は自分の手首に着いている腕時計大のモニターを覗き込むと、
そうつぶやいた。画面には入り組んだ道と赤い点が映し出されていた。
その地域の地図と、さしずめ赤い点は現在所在地といった所か。
どうやら、衛星からデータを受信しているらしい。
と、男の目の前にこれまた黒づくめのスーツを着た三人の男が立ちはだかった。

「キーザ・カガマ博士でいらっしゃいますね。上からの御命令です。
一緒に来ていただきます。」

代表らしき男が一人、ずいと前に出てコートの男と向かい合った。
丁寧な口調だが、その声はぞっとする程冷たい。

「ひぇ〜、俺様一人にこんな奴ら使うなよ。ま、その気持ちは
分からんでもないが.....。」

緊張のかけらも感じられない言葉を漏らすと、先程のモニターを見る。
赤い点の他に青い点が36個。カガマの口からため息がもれる。
この時刻から言って、この点が民間人という事はありえない。
という事は目の前に立つ三人の仲間だろうと予想がつく。

「Dr.キーザ、こちらへ。」

右の男がカガマを連行しようと近づく。瞬間、わずかだがカガマの眉が動いた。

「邪魔だ、このうすらとんかち。俺様の前に立つな雑魚が。」
「なっ。」

男達の手が懐に、同時にカガマもポケットからパラボナアンテナが先に付いた
銃を取り出す。

「消えろっ。」

一瞬の輝きの後、場のは溶けたアイスクリームの様な物体が三つ残っていた。
カガマは走っている。モニターには青い点が33個。

「くそっ。無駄な時間くっちまった。」

コートが風にあおられ、ばたばたと音がする。

「ちっ、まずいな。.....目標まで、最短300か。どうする。」

モニターに映る目の前の敵の数は11、多少とは言いがたい数である。
(細かい事は気にしてられん。)
自分にそう言い聞かせると、ポケットから先程の銃を取り出す。

目の前に黒服が現れた。戦闘開始だ。黒服が銃を構える。
何事か叫んでいるが、カガマはそれをすべて無視した。
黒服の男の額に汗が浮かぶ。刹那、周りが三度輝いた。勝負は圧倒的だった。
後には暖かいクリームが11個。カガマは無傷である。
そして、数分後。

「はぁはぁ、やっと着いたぜ。運動不足かね、最近。」

彼は空き地の前に立っていた。雑草が自由気ままに伸び、背の低い木と
それに絡み付く蔦は思うがままにうねりながら立っている。
カガマは草をかき分けながら奥へ奥へと進んでいった。

「あったあった、俺様のかわい子ちゃん。」

湿気をふんだんに含んだ土の上、一人がやっと乗り込む事できるであろう
シャトルが半ば埋もれた形で横たわっている。カガマはにやにやしながら
慣れた手付きでコックピットのハッチを開くと、体を滑り込ませた。

「よしよし、燃料OK。酸素OK。システム異常なし。噴射口は少しつまってるが、
んなこたぁどうでもいい。よし、それじゃ行くか。」

赤いボタンを押す。すると機体が激しく揺れだした。
突如ハッチが開く、と同時にシャトルの中から赤く発光する球体幾つも
出て来て一つの線を夜空に構成した。どうやら航路確保するための誘導灯のようだ。
しかも、一つ一つに球体から光が行き来している所から推測するに、
現在の気候や宇宙の状態などを伝達する能力も備わっているらしい。

「おし、航路上に敵機、および障害物全くなし。オートパイロットに移行。」
『OK』

着々と準備を進めていくカガマ。作業終了の確認をしたシャトルのメイン
コンピューターが、オートパイロットへの移行を許可、そして確認した。

『発射マデ、アト十五秒、カウントダウンスタートシマス博士。
ヨロシイデスカ。Y/N』
「Yes.というかさっさとしろ、人が来る。あぁそれと、宇宙に出た後
研究所のメインコンピューターにアクセスするから回線開いとけ。
あと...ハッキングの心配はないが、外部からの通信は全部拒否。」
『了解。カウントダウン始メマス。』
『5、4、3、2、1、.....。』

黒服達が駆け付けた時、シャトルは既に空高く飛び立っていた。
夜の空に輝く噴射口の火を睨みながら、黒い影は誰からともなく闇に
溶け込んでいく。にわかに周りが騒がしくなる。シャトルの音で目が覚めた
人々が窓から顔を覗かせていた。しかし、そんな人々も一人また一人と
床にもどっていった。
夜も折り返し点まで来たようだ。
空には三つの月が、穏やかに地上を見下ろしている。
空に光っていた赤い点がみえない。多分飛ぶ最中回収していったのであろう。

それは追っ手から逃げる為なのか、それとも、ただの省エネなのだろうか.....。







次回予告:

カガマ:は〜っはっはっは!俺様の活躍をみろ!敵をばったばったと倒して逃げる!
    まさに芸術!
勝七:いや、てかね。あんた主人公じゃないのよ。それに今から始まるのが
    実は単に本スト−リ−を読む上で知っておいて欲しいことをつらつら
    述べていくだけのものなのよね。
カガマ:なに〜!?じゃあ、俺様の活躍は!?
勝七:あ〜、あることにはあるよ。ただ、主人公にはなれないけど。
    ま〜、そのうちに短編でも書いてやるよ。
カガマ:はっはっは!いまから戦いの準備だ〜!
勝七:なんか、違う。ま〜、いいか。なるようになるわな。
    さて、これはオリジナル小説の方のメインになる予定です。
    下手すると、世界核より更新はやいです。んでもって、次回から第一部
    が始まります。お楽しみに〜!(ちなみにこのストーリーは長いっぽい。)







掲示板
第一話へ

この本を棚へ返す。