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笹下研究所・研究報告

レンチキュラー立体写真の撮影法

レンチキュラー立体写真の像反転問題を解決する

原理実験考察

1.はじめに

  インテグラルフォトグラフィとレンチキュラー立体写真は基本的に同じ原理に基づいたものであるから、前報に記したIPの撮影法は当然レンチキュラー立体写真にも利用できる。
  本報ではIPの撮影法を応用したレンチキュラー立体写真の撮影法について研究した結果を報告する。

2.原理

  レンチキュラー立体写真を撮影するためには、前報図6の装置において凹レンズシートの代わりにシリンドリカル凹レンズの並んだレンチキュラーレンズを置けばよい。
  撮影像は水平方向にのみ立体的な情報を含んだものとなり、シリンドリカル凸レンズの並んだレンチキュラーレンズを重ねることで立体像が再生される。

3.実験

  前報同様撮影したフィルムはイメージスキャナで読みとり所定の倍率で印刷した。使用した装置と使用条件も同じで以下の通りである。

  スキャナ: エプソンGT-8300UF 読み取り解像度1600dpi
  プリンタ: HPdeskjet5551 6色印刷

[実験1] ピッチの荒いレンチキュラーレンズを使った立体写真

Photo1   アクリサンデー押出整形板で幅4.5mmのシリンドリカル凹レンズが並んだものをレンズシートに使い、前報図6の装置を組み立て立体写真を撮影した。

  使用カメラ: キヤノンFTb(35mm) → 前報写真1
  レンズ:   引き伸ばし用 ELニッコール50mmf4
  レンチキュラーレンズとレンズの距離: L=230mm
  フィルム:  コニカ センチュリアスーパー100
  絞り:    f16
  露光時間:  1秒

  撮影した撮影像を写真3に示す。

写真1 撮影した立体像、被写体はひまわりの人形       ・

Photo2   表示用レンチキュラーレンズは撮影用アクリサンデー押出整形板を型に使い、透明シリコン樹脂GM-7000で作成した。
  これを写真1の撮影像に重ねたものを写真2に示す。

写真2 写真1に表示用レンチキュラーレンズを重ねたもの

[実験2] ピッチの細かいレンチキュラーレンズを使った立体写真

Photo3   40lpiレンチキュラーレンズを型に使い透明シリコン樹脂GM-7000でシリンドリカル凹レンズの並んだレンチキュラーレンズを作成、これをレンズシートに使い実験1と同様に前報図6の装置を組み立て立体写真を撮影した。

  使用カメラ: PENTAX645 → 前報写真4
  レンズ:   引き伸ばし用 HANSA75mmf3.5
  レンズシートとレンズの距離: L=225mm
  フィルム:  フジカラー スーパーG100(ブロニー)
  絞り:    f22
  露光時間:  2秒

  撮影した撮影像に40lpiレンチキュラーレンズを重ねたものを写真3に示す。

写真3 撮影像に40lpiレンチキュラーレンズを重ねたもの

4.考察

  写真2からピッチの荒いレンチキュラーレンズであってもピッチ以上に高い解像度を実現できることがわかる。また写真3と前報写真5の比較から、レンチキュラー立体写真の方が画質に関しては有利であることがわかる。
  いわゆる蠅の目レンズシートを使った立体写真(IP)はレンチキュラー立体写真に比べて実施例が極端に少ない。このため蠅の目レンズシートの入手も極めて困難であり、入手できたレンズシートが果たしてどれだけの画質を実現しうるものであるかさえも定かではない。
  一方レンチキュラーレンズの入手も決して容易ではなく、入手可能なレンチキュラーレンズも限られてはいるものの蠅の目レンズシートよりは種類も多く、実際に立体写真に使われる実績があるものを使うことができる点でIPに比べて遥かに有利である。
  ただより完全な立体像を実現できる点でIPは捨てがたく、今後良質なレンズシートが普及することに期待したい。

[特許出願済み]

はじめに原理実験

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