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笹下研究所・研究報告13

立体イメージスキャナ(追加実験)

蝿の目レンズNo.360

原理実験考察


1.はじめに

 第11報で使用した光洋の蝿の目レンズNo.360第5報の立体イメージスキャナにも利用することが出来る。実際に実験を行ったので、これについて報告する。




2.原理

 概要は第5報と同じなのでここでは説明を省略する。

 第11報と同様にNo.300に比べてレンズピッチが1.0mmと細かくなり、視域角が17.2°と小さくなることによって画質の向上が期待できる。加えてイメージスキャナの読み取り像には、一般のカメラに見られるバレル状の歪みがないことや読み取り解像度を上げられる分、さらに高画質を期待することができる。




3.実験

 使用したイメージスキャナEPSON GT-9700Fと立体像読み取り治具を写真13−1に表した。治具は第5報で使用したもので、凹レンズ板は第11報で製作したものを使っている。


写真13−1 イメージスキャナGT-9700F(左)と立体像読み取り治具(右)

 まずイメージスキャナの原稿台に凹レンズ板と照明装置を置いた状態を写真13−2に示す。イメージセンサの光源では凹レンズ板越しの照明となり、凹レンズ板表面での反射光が邪魔になるため好ましくない。そこで凹レンズ板より被写体側に白色LEDを並べて被写体を照らし、スキャナを透過原稿モードとしてイメージセンサの光源をOFFにする。

 

写真13−2 GT-9700Fの原稿台に凹レンズ板とLED照明装置を置く

 治具にはスキャナに付属するフィルムホルダーにあるのと同じ隙間(ここでは参照窓と称す)を作っておく。このスキャナは参照窓でバックライトの光をモニターし、これを読み取り感度の基準としているようである。当初はここに明るさを変えられる照明を設置して読み取り感度を調節するつもりだったが、今回は後に記したように簡易的な方法で間に合わせた。

 この上にサンプルボックスを置き、その中に被写体を入れた様子を写真13−3に掲げた。

 

写真13−3 サンプルボックスをセットし、中に被写体を入れた

 サンプルボックスの内部は照明効率を上げるため白色に塗装してあり、下部には透明アクリル板をはめて、被写体と凹レンズ板の距離を1cm程としてある。

 さらにサンプルボックスに蓋をのせたものが写真13−4である。

 

写真13−4 サンプルボックスに蓋をして、外した原稿押さえでバックライトの光を参照窓に導く

 原稿押さえのカバーは外してバックライトを露出させ、外したカバーは白い面をバックライト側に向けて写真のように置いた。これによってバックライトの光を程良く減じて参照窓に導くことができたが、これでは調整がきかないので、出来ればもう少し気の利いた方法を用いた方が好ましい。

 解像度800dpiで読み取ったイメージを写真13−5に掲げた。サンプルボックスの内壁が白く塗られているため、明るい背景に被写体が浮かぶ画になる。

 

写真13−5 読み取った立体イメージ(800dpi, 透過原稿モード)

 読み取った立体イメージはプリンター(Canon PIXUS 900PD)で写真用紙に印刷した。縮小光学系を使ったイメージスキャナでは、主走査方向と副走査方向の倍率が正確には一致しない。加えて主走査方向は所定の距離に視点を置いた像であるのに対し、副走査方向は無限遠視点に相当する平行視線であるなどの違いがあり、このため読み取りイメージは縦横で倍率を変えて印刷しなければならない。実際に試行錯誤して調整した結果、横793dpi×縦800dpiで印刷して良い結果が得られた。

 この倍率で印刷したものに、1.4mm厚の透明アクリル板と蝿の目レンズNo.360重ねて立体像を表示したものを写真13−6に掲げる。

 

写真13−6 撮影例にアクリル板1.4mmと蝿の目レンズNo.360を重ねた

 十分とは言えないまでも、かなり明瞭な像を見ることが出来る。さらにこれを上下左右にずらした四視点から見たものを写真13−7に掲げた。

左上から見たもの 右上から見たもの
左下から見たもの 右下から見たもの

写真13−7 撮影例にアクリル板1.4mmと蝿の目レンズNo.360を重ね、四つの視点から見た

 このように視差のある立体像がきちんと再生されていることが確認できる。




4.考察

 第11報のカメラに較べ、イメージスキャナでは解像度に余裕がある点や像の歪みが小さい点など有利な点が多い。被写体の置き方や照明方法などうまく設計すれば、実用的な立体イメージスキャナを実現することはそう難しくないように思われる。

 ここで撮影した立体像の画像データはyahoo!フォトに公開されており、自由にダウンロードすることができる。



[特許出願済み]

はじめに原理実験

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