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ステレオ写真4

プリズムフィルターを使った接写A(応用編1)

簡単な応用例

標準レンズ+テレプラス(2×)の例2CHINON GENESIS


1.標準レンズ+テレプラス(2×)の例1

 一眼レフの標準レンズには、マクロを称していなくても撮影距離が短く十分接写が可能であるものが少なくない。であれば50mmの標準レンズにテレプラス(2×)を加えて100mm相当とし、2セクションやバリミラージュを使ったステレオ写真が撮影できる可能性がある。
 キヤノンFL50mm F1.4は古いレンズであるが、最短撮影距離は40cm程で十分な接写機能がある。一方テレプラス(2×)は撮影距離を変えない性質があるため、これをつないで焦点距離を100mmとしても接写機能はそのままである。写真4−1に使ったパーツ一式と組み上げた様子を示した。ボディーはFTbで2セクションの取り付けにはステップダウンリングを使用する。
 単焦点レンズはズームレンズと異なり、一般にピントリングを回してもフィルターが回転することがない。このためプリズムフィルターは一度向きを合わせれば再調整する必要が無く、この点は便利である。

テレプラスMC4(ケンコー)
CANON FTb + FL50mm 1.4
58→55ステップダウンリングと2セクション
組み上げた様子

写真4−1 キヤノンFL50mmとテレプラス(2×)を使った接写カメラ

 撮影例を写真4−2に示す。100mmのレンズではトーインが強くなりすぎる可能性が高いことは前回すでに指摘したが、この写真では被写体が外側に離れて写る傾向がでており、まさに予想通りである。



写真4−2 2セクションを使って撮影した写真。

 写真4−3はトリミングして整えた左右像である。トーインが強い分だけ中央の捨てる部分が多く、縦に細長い画になってしまったが、この程度であれば十分使えるといって良いだろう。
 前回説明した方法でステレオベースを測ると約9mmであり、撮影距離が最短の40cmでもやや遠目である。確かに奥行き感が少な目と言う感はあるが、許せる範囲ではないかと思う。


写真4−3 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 次に2セクションをバリミラージュに変えた撮影例を写真4−4に示す。バリミラージュの取り付けに際しては55→49mmのステップダウンリングを加えている。



写真4−4 バリミラージュを使って撮影した写真。

 さらにトリミングしたものが写真4−5であるが、これは2セクションを使った写真4−3と同程度の幅になっている。バリミラージュでは中央に第3の像が重なりトリミングする部分が増えると説明したが、トーインが強い写真ではこの欠点がほとんど目立たなくなるようである。


写真4−5 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。



2.標準レンズ+テレプラス(2×)の例2

 オートフォーカスが標準となった現在では、フルマニュアルの一眼レフを新品で入手するのは困難になりつつある。そこで注目されるのがロシア製や中国製のカメラである。
 ここで使用するZenit 122Bは、リーズナブルな価格で手に入れることが出来るロシアカメラである。カメラはほとんど中古を買う小生にはめずらしく、新品を購入したが、一年余りですでに露出計の動作が不安定になってしまった。買い得なカメラかと言えばやや疑問があるが、多少の問題があっても使いこなす自信のある人には良いかもしれない。
 このカメラのレンズマウントはM42であるので、PENTAX製の古いレンズなども使える。標準で付いてきたレンズ、ZENITAR-M2s 50mm/F2は最短撮影距離が35cmと短く、たまたまタムロン製のTELECONVERTER 2Xを入手できたのでステレオ写真を試す条件が整った。このレンズのフィルター径は46mmなので、46→49と49→55のステップアップリングを使って2セクションを取り付ける。

TELECONVERTER 2X, ZENIT 122B
46→49, 49→55ステップアップリング
と2セクション
組み上げた様子

写真4−6 ZENIT 122BとTELECONVERTER 2Xを使った接写カメラ

 これで撮影したものを写真4−7に示すが、例1の写真よりさらにトーインの影響が強く現れたものとなった。撮影距離は約35cmである。焦点距離は先程と同様に100mm相当であるが、レンズが違えば写り方もずいぶんと違うようである。



写真4−7 2セクションを使って撮影した写真。

 これをトリミングして左右像を作ったものが写真4−8であるが、これほど幅の狭い写真となっては問題である。


写真4−8 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 ステレオ写真の写り方にはトーイン、ステレオベース、撮影距離が関係していることはすでに説明したとおりである。単焦点レンズではトーインの調整は無理であるから、ステレオベースあるいは撮影距離でこの問題の解決を図ることとする。
 図4−1左で現状を説明する。トーインが強くステレオベースが小さい状態では、左右像の撮影範囲が重なる撮影枠Aが被写体よりカメラに近い位置に形成され、被写体の位置では撮影範囲が交差するようにずれるため、被写体は左右像の中心より外側にずれた位置に写る。
 従ってもし被写体を撮影枠Aの位置まで接近させることが出来れば、被写体は左右像の中心に写るようになるが、すでに被写体は最短撮影距離にあり、撮影枠Aの位置ではピントが合わない。このように撮影枠Aが撮影不可な距離にある場合には、撮影距離の変更で問題を解決することができない。

現状では撮影枠Aが最短撮影
距離より近い位置にある
ステレオベースの拡大で撮影
枠Aを遠方に移動する

図4−1 撮影距離やステレオベースと写り方の関係

 残された手段はステレオベースの変更である。図4−1右のようにプリズムフィルターをレンズから遠ざければステレオベースを広げることが出来るが、ステレオベースが広がることで撮影枠Aは遠方に移動する。もし最短撮影距離まで撮影枠Aを遠方に移動することが出来れば、そこに被写体を置けば良いことになる。写真4−6の状態でステレオベースは9mmであったので、まだ10mm近くは広げる余地があるだろう。

百円ショップで購入したサムターンバリア ステップアップリングとステップダウンリング
を加えて組み立てた治具

図4−2 ステレオベースを拡大する治具の作成

 ここでは百円ショップで購入したサムターンバリア(図4−2左)に、55→46のステップダウンリングと52→55のステップアップリングを図4−2右のように取り付け治具を作成した。ステップアップリングの取り付けには2.5mm厚のMDFをリング状にカットしたもの二枚を使っている。
 治具は46→49と49→55のステップアップリングを使ってレンズに取り付け、さらに2セクションを取り付ける。治具の写真と取り付けた様子を写真4−9に示す。

製作した治具 治具を使って2セクションを取り付けた様子

写真4−9 製作した治具とこれを使った接写カメラ

 治具によってレンズとプリズムフィルターの距離は約50mm長くなるが、これによってステレオベースも約10mm広がり19mm程になる。
 これで写真4−7と同じ被写体を撮影したものを写真4−10に示す。




写真4−10 ステレオベース拡大治具を使って撮影した写真。

 外側に離れていた被写体の左右像が中に移動し、ねらい通りの効果が得られていることがわかる。さらにトリミングした写真4−11をみれば、左右像の幅が広く取れておりこの点では満足できる写真になった。


写真4−11 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 ただ実際にこの写真を立体視してみると、視差が大きく妙に目が疲れやすいように感じられる。ステレオベースが19mmなら好ましい撮影距離は57cmであるのに、撮影距離が35cmと短いために視差が大きくなりすぎたためである。ステレオベースの拡大で被写体の写る位置の問題は解決したように思えたが、一方で視差の問題を生じ、実際にはそれほど容易ではなかったようである。

 単焦点レンズでは画角の調整が出来ないので、このように良い写真が撮れないケースがあることは承知しておかなければならない。


3.CHINON GENESIS

 CHINON GENESISはレンズ交換の出来ない一眼レフで、いわゆるブリッジカメラと呼ばれるものである。あまり売れなかったようであるが、小生はこのデザインを気に入っており、ネットオークションで入手していたので試しに使ってみた。
 このカメラのズーム範囲は35〜80mmであるが、TELECONVERTER X1.3を使えば104mmまでズームできる。マクロモードでは固定焦点になり0.5m〜0.85m の距離にピントが合う(被写界深度)とのことで、接写機能も十分使えそうである。なおマクロ時はズームが効かないので、実質的には単焦点レンズと変わらない。
 プリズムフィルターは62→55ステップダウンリングを使ってTELECONVERTERに取り付ける。写真4−12に使ったパーツ一式を示す。


写真4−12 TELECONVERTER X1.3, CHINON GENESIS
62→55ステップダウンリングと2セクション

 これらのパーツは写真4−13左のように組み上げられる。ズーム位置は同右に示す通りマクロポジションにセットする。

組み上げた様子 マクロポジションにセット

写真4−13 組み上げた様子とマクロポジション

 この種のカメラは全てカメラにおまかせのAEで、絞りもシャッター速度も設定できない。ISO200のフィルムを使ったが明るさが足りないようで、結果的にフッラシュを使った撮影となった。撮影例を写真4−14に示す。



写真4−14 2セクションを使って撮影した写真。

 さらにトリミングしたものを写真4−15に示したが、幸運なことにトーインもちょうど良く画面サイズを無駄なく使えている。
 ステレオベースは15mm程で、理想的な撮影距離は45cmとなり、撮影可能距離0.5m〜0.85mはやや遠目であるがそう悪くはないだろう。


写真4−15 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。

 次に2セクションをバリミラージュに変えた撮影例を写真4−16に示す。バリミラージュの取り付けには55→49mmのステップダウンリングを加えている。



写真4−16 バリミラージュを使って撮影した写真。

 写真4−17にトリミングして並べたものを示す。中央に薄く写っている第3の像のせいで削る部分が増え、2セクションに比べて幅の狭い写真となるが、バリミラージュを使う以上やむを得ないところだろう。


写真4−17 トリミングして並べた二枚の写真(平行法の配置)。



標準レンズ+テレプラス(2×)の例1標準レンズ+テレプラス(2×)の例2

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