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ステレオ写真36

アナグリフの問題

StereoViewerJ 1.0

ビュアーソフト彩度の調節二色アナグリフの三色目StereoPhotosJ 1.1


1.カラーアナグリフのちらつき

 左右の画像を色成分に分離し重ねて合成するカラーアナグリフでは、色彩まで表現できるという利点がある一方、原色に近い被写体が入るとちらつきが大きくなって見にくいという問題がある。例として真紅の花(チューリップ)が写ったステレオペア(写真36−1)をカラーアナグリフにしてみた。


写真36−1 アナグリフを作成するステレオ写真 SAMURAI ×3.0 , 25mm , ISO100(平行法の配置)

 最も一般的な赤−シアンのカラーアナグリフを写真36−2に掲げる。これを(赤−シアンの)アナグリフメガネで見てみると、恐らく個人差はあるだろうが赤いチューリップの花がうまく重ならずちらついて見えるだろう。これではうまく立体感を感じることができない。



写真36−2 写真36−1から作ったカラーアナグリフ(赤−シアン)

 この原因は左右の目に見える像を分解してみるとよく分かる。写真36−2を赤(左画像)とシアン(右画像)に分けて並べたものが写真36−3であるが、左右で赤い花の明るさが極端に違う。立体視では左右一方の画像にあるものが他方には無いというような違いがあるときちらつきを感じるが、左右の画像でこれほど極端に明るさが違う部分があれば、これと同じ理由でちらつくということだろう。


写真36−3 アナグリフ(写真36−2)を左右(赤とシアン)に分離したもの

 もちろんこういった問題はモノクロアナグリフでは起こらない。同じ写真をモノクロアナグリフにしたものを写真36−4に掲げるが、カラーアナグリフのようなちらつきはなく良好な立体視が出来る。



写真36−4 写真36−1から作ったモノクロアナグリフ(赤−シアン)

 このようなカラーアナグリフ特有の問題は、特に赤い被写体について気になることが多いが、もちろん赤に限らず緑や青の被写体でも原色に近いものがあれば同様に起こりうる。この種の被写体はカラーアナグリフには不向きと割り切り、モノクロアナグリフにして楽しむというのも一つではあるが、せっかくの色を捨ててしまうのももったいない。なんとか色彩を残すことはできないものだろうか。




2.ビュアーソフト

 アナグリフの検討に使用したソフトを紹介する。ステレオ写真を観察するビュアーソフトで、左右画像(ステレオペア)を読み込んで三種類の表示法(平行法、交差法、アナグリフ)で表示することができる。

 Delphi 6 で作ったフリーソフトで、以下のアイコンをクリックしてダウンロードし、適当なフォルダに解凍すれば使用することが出来る。

 
StereoViewerJ.exe
312KB圧縮ファイル(lzh)

 解凍した実行ファイルのアイコンをダブルクリックして起動すると以下のウィンドウが現れる。

 

図36−1 StereoViewerJ1.0の起動画面

 使用法は簡単で、左上の「左画像」と「右画像」のボタンをクリックして画像を読込み(メニューバーの[ファイル (F)]→[左画像の読込 (L)]と[ファイル (F)]→[右画像の読込 (R)]を使っても良い)、「表示法」のラジオグループで「平行法」、「交差法」、「アナグリフ」のいずれかを選択すればよい。当然ながらここでは「アナグリフ」を選択する。

 

図36−2 表示法でアナグリフを選択

 StereoViewerJで扱えるファイル形式は.bmpと.jpgに限られる。「表示法」以下のパネルは全てアナグリフの設定に関するもので、今回の検討では特に最も下にある二つのトラックバーを使用する。

 表示されているアナグリフは[ファイル (F)]→[アナグリフの保存(W)]でファイルに保存することが出来る。




3.彩度の調節

 カラーアナグリフではちらつきで立体視が難しく(写真36−2)、かといってモノクロアナグリフにしては色彩が無くなってつまらない(写真36−4)。ならばこれらの間をとったらどうかと考えて見た。具体的に言うと赤の成分(Rt)を左画像のRGBを使って以下の式で求め、緑(G)と青(B)を右画像のRGBから同様に求める。


 この式の第2項はモノクロ画像にしたときの明るさであり、これと各色の平均を重み t を付けて求める訳である。StereoViewerJでは以下のトラックバーで t を変えることが出来、Colorの側いっぱいにすると t=1 、Monoの側では t=0 となる。



Color - Mono トラックバー

 これによって得られる効果は元の画像の彩度を下げることに相当する。いちいちレタッチソフトで彩度を下げてからアナグリフを作るのではさすがに面倒だが、このソフトを使えばアナグリフという結果を見ながら彩度を調整できる。

 実際に写真36−1のアナグリフを、t を変えて作成したものを写真36−5に掲げる。


t = 0.7


t = 0.5


t = 0.3

写真36−5 トラックバーでカラーアナグリフとモノクロアナグリフの混合比 t を変化させた

 これらをアナグリフメガネで見てみると、いずれも写真36−2よりちらつきは抑えられているもののt=0.7では不十分で、t=0.5ではかなり良くなっているように思われる。ただ同時に色彩も減少するので痛し痒しである。もちろんこういった感覚には個人差もあるのでどれが良いとは言い切れない。

 カラーアナグリフにおいて色彩の鮮やかさと見易さはトレードオフの関係にあり、彩度の調整でバランスをとることは一つの対処療法ではあるが、これを解決法と言うには程遠い。もっと積極的な解決法はないか、今後も引き続き問題意識は持ち続けて行きたい。




4.二色アナグリフの三色目

 StereoViewerJでは「色設定」を「各色指定」にして赤−青や赤−緑のような二色のアナグリフも作ることが出来るが、そこで困ったのが使わないもう一色の明るさをどうするかである。例えば赤−青のアナグリフの場合、残った緑のレベルは0にすべきか、あるいは最大にすべきだろうか。

 赤−青のアナグリフメガネを通してみるとき、緑は見えないはずなのでそのレベル(明るさ)はどうであろうと関係ない。ならばアナグリフの機能とは直接関係ない理由で決めれば良いことになる。例えばアナグリフを印刷して楽しむ場合、緑のレベルは最大にすることがインクの節約になる。またアナグリフメガネのフィルター性能が悪く、緑の光を十分カットしきれない場合には、緑の光がコントラストを低下させることのないようレベルを0にした方が良いかもしれない。

 こういった事情を考慮し、StereoViewerJでは三色目のレベルを設定するトラックバーを設けている。



三色目のレベル(明るさ)調整トラックバー

 この機能を使って二色アナグリフにおける三色目の意味を調べてみよう。検討に使用するステレオペアを以下に掲げる。


写真36−6 アナグリフを作成するステレオ写真 SAMURAI ×3.0 , 25mm , ISO100(平行法の配置)

 これを元にStereoViewerJで赤−青のモノクロアナグリフを作り(「色設定」を「各色指定」にして Red を L 、 Green を X 、 Blue を R 、Color - Mono トラックバーを Mono 側にする)、左下のトラックバーで三色目を 0, Max/2 , Max と変えた結果を写真36−7に示した。


G = 0


G = Max / 2


G = Max

写真36−7 三色目(G:緑)のレベルを変えたモノクロ二色(赤−青)アナグリフ

 当然ながら緑(三色目)のレベルを下げると全体の色合いはマゼンダになり、逆に上げる(Max)と色合いは緑になる。一方半分(Max/2)ではグレーに近い色合いになっていることから、全体の色をグレーに近付けたいと考えるなら、三色目の調整機能は役に立つことになる。

 試しに赤−シアンのアナグリフメガネで見てみると、やはり緑(三色目)のレベルが低いほどコントラストは高い。ただマゼンダに着色した画像を見るよりは、若干コントラストは下がるものの、緑のレベルを調整してグレーに近い色合いにした方が良いと感じる人もいるかもしれない。

 もちろんこういった問題は三色を左右に振り分けるアナグリフでは起こらない。同じ写真から作ったカラーアナグリフとモノクロアナグリフ(いずれも赤−シアン)を以下に示すが、こちらを使えば何も二色アナグリフにこだわる必要はないように思われる。





図36−8 赤−シアンのモノクロアナグリフ(上)とカラーアナグリフ(下)

 二色アナグリフの必要性については甚だ疑問はあるが、様々な実験をしてみたい人には一見役に立たない機能が必要になることもあるだろう。こんなものでも役に立つようなことがあれば幸いである。





5.StereoPhotosJ 1.1

 StereoPhotosJ にも Color - Mono トラックバーを備えたバージョン(Ver. 1.1)を用意した。以下のアイコンをクリックしてダウンロードすることができる。

 
StereoPhotosJ.exe
334KB圧縮ファイル(lzh)
単純二重像とポジ−ネガモードのバグに対処しました(07/4/16)

 操作画面を以下に示すが、「アナグリフの設定」パネルにあるトラックバーに注目されたい。ラジオグループがトラックバーに変わった以外は旧バージョン(Ver. 1.0)と全く同じである。

 

図36−3 StereoPhotosJ1.1の操作画面でアナグリフを作成




カラーアナグリフのちらつきビュアーソフト彩度の調節二色アナグリフの三色目

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