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ステレオ写真30

異機種使用の問題点

異なるメーカーのカメラをつなぐ

治具の製作実際の撮影可能性と限界


1.EOS kiss とSFX をつなぐ

 ステレオ写真27では同じケーブルスイッチFを使うZ-10 とZ-50pをつなぎ、異なるカメラであってもステレオカメラを構成することができる場合があることを示した。この考え方をさらに進めれば、たとえメーカーが異なっても同じ原理のリモート端子を持つカメラであれば、これを利用してシャッターを同期させることが可能ではないかということになる。

 すでに説明したとおりキヤノンのリモートスイッチRS-60EとペンタックスのケーブルスイッチFは、端子形状などは違っても電気的には同等の機能を持っている。またEOS kiss とSFX , SF7 , Z-10 , Z-50p , Z-70pなどのリモート端子電圧は直流で、zoom90やzoom105R(Super)のような交流波形ではないから、どれも端子電圧を下げてレリーズをONにする単純な動作であると推測できる。ならばEOS kiss とSFXなどのキヤノン−ペンタックスの組み合わせなら十分出来そうである。

 異機種のリモート端子をつなぐ上で気になるのは端子電圧の違いで、Z-10(4.2V)とZ-50p(3.9V)では電位差が0.3Vと小さかったが、kissは端子電圧が5.3〜5.5V(実測)とさらに高く、SFX(2.8〜2.9V)の倍近くなるため直接つなぐのにはやはり抵抗を感じる。ここでは端子電圧の高いkissを制御する側に使い、図30−1のように端子間をダイオードでつなぐことにした。



図30−1 EOS kissとSFXのリモート端子同士をダイオードでつなぐ

 図でkiss→SFXはダイオードの逆方向になるためkiss側の電圧が高くても電流は流れず、端子電圧が下がることはない。一方でkissのレリーズボタンを押して端子を接地すれば、SFX→kissは順方向であるためSFXの端子電圧も同時に下げられ両カメラのAF及びシャッターが動作する。

 ただこの場合、kissのレリーズボタンを押したときのSFXの端子電圧はダイオードの順方向電圧となり、0Vまで下げられるわけではないため、もしSFXの動作電圧(しきい値)がこれより低いと動作しないことになるが、実際にやってみると順方向電圧が0.6〜0.7Vのシリコンダイオードで十分動作する。ただ他の機種ではうまく動作しないこともあるようなので、その場合にはショットキ・バリア(順方向電圧=〜0.3V)のダイオードを使ってみると良いだろう。




2.治具の製作

 外形はステレオ写真26で製作したものと同じで、ダイオードを付けた基板を備え、SFXにも使えるようにコードの位置を変えた治具を製作した。

 MDF(4mm)のカット形状を下図に示したが、図26−4(ステレオ写真26)とはABが異なる。



図30−2 厚さ4mmのMDFをカットしてパーツを作る

 これら四枚(三層)を図30−3のように重ねて木工用ボンドで接着するが、このときリモート端子をつなぐコード(2芯のシールド線か3芯)を図のように通しておく。



図30−3 コードを通すようにパーツを重ねて接着する

 コードの端には2.5φのステレオミニプラグを付けるが、プラグ付きのコードを使えば手間が省ける。組み立てた状態を図30−4に示す。



図30−4 パーツを接着した状態

 裏返して下面に空いた穴からコードを引き出し、ダイオード(二本)を付けたプリント基板に半田付けして図30−1のように配線してからスペースに入れ、図30−4に示すように蓋をネジ止めすれば完成となる。



図30−5 ダイオードを取り付けた基板を入れて蓋をネジ止めする

 実際に基板を入れた様子を写真30−1に示した。基板にはユニバーサル基板をカットしたものを使い、これにシリコンダイオード1N4148を二本取り付けた。固定のためには2.5mm厚のMDFの小片を貼り付けて台を作り、ネジ止めしている。


写真30−1 基板を取り付けた治具(左)と基板上のダイオード(右)

 蓋をして完成した状態を写真30−2に示した。接続コードはカメラの前面やや右から出るようにしており、kissとSFX(他ペンタックスの一眼レフ)のどちらでも使える(コードがとどく)ようにしてある。


写真30−2 蓋をした底面(左)と上面から見た治具(右)





3.実際の撮影

 治具にkissとSFXを取り付けた様子を写真30−3に示した。SFXとの接続にはステレオ写真27で製作したアダプターを使っている。カメラを構えたときにkissが右側に位置し、kissのレリーズボタンで両カメラのシャッターを切るようにする。実際にこれでほとんど問題なく動作する。

 

写真30−3 EOS kiss+EF 35-80mm 1:4-5.6とSFX+PENTAX F ZOOM 35-80mm 1:4-5.6を治具に取り付けた様子

 レンズはそれぞれEF 35-80mmとPENTAX F ZOOM 35-80mmで、ズーム域が等しいものを取り付けた。表示されている焦点距離が同一の基準で決められているなら、メーカーが異なっても画角は一致するはずである。最広角と最望遠の35mmと80mmで実際に撮影したものを以下に掲げた。


写真30−4 ズーム位置35 , 80 mmでの撮影例 右がEOS kissで左がSFX(AF , プログラムAE , ISO100)
右(EOS)の画角に合わせて左(SFX)の倍率を調整したものを(adj)で表した

35 mm ( L (SFX) , R (EOS) ) , 80 mm ( L (SFX) , R (EOS) )

 35mmと80mmのいずれもkiss(右)の撮影倍率が高く画角が狭い。どうやら焦点距離の基準はメーカーによって若干異なるようだ。SFX(左)の写真を拡大して画角を合わせたものを(adj)として加えた通り、この程度の倍率の違いであればレタッチソフトで拡大縮小して合わせれば問題無いが、余計な一手間がかかることは決して好ましいことではない。

 さらに問題なのは35mmの写真(電車)に見られる時間(タイミング)のずれで、SFX(左)のシャッターがkiss(右)に対して僅かに遅れている。これがより顕著に現れている撮影例を写真30−5に示した。


写真30−5 時間のずれが顕著な写真(80mm , AF , プログラムAE , ISO100)  右がEOS kissで左がSFX

 この撮影例では飛び立つ鳥の姿勢が異なり時間のずれ明確になっている。一眼レフではレリーズボタンが押された後、ミラーをアップしてからフォーカルプレーンシャッターが走るため動作にはコンマ数秒程の時間が掛かる。この遅延時間の違いがタイミングのずれにつながったと思われるが、特に軽量なkissと重いSFXでは、ミラーアップなどのメカの動作速度に結構な違いがあるものと推測される。





4.可能性と限界

 例えメーカーが違っても同じ原理でレリーズをコントロールするカメラであれば、二台をつないでステレオカメラを構成することが出来ることがわかった。端子電圧の違いは高い方を制御側に使い、ダイオードを通してリモート端子をつなげばシャッターの連動に障害は起こらない。

 他方同じ焦点距離のレンズでもメーカーが違えば画角は微妙に異なるため、撮影後にレタッチソフト等を使って拡大縮小し、画角の調整をしなければならないことや、シャッターの反応速度の違いが左右像の時間のずれを引き起こすなど、カメラの仕様の違いに基づく問題は避けがたい。

 やはり同じカメラを二台並べるのが原則ではあるが、やむを得ない場合に次善策として異なる機種を使うのも可能という程度に考えれば良いだろう。




EOS kiss とSFX をつなぐ治具の製作実際の撮影

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