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ステレオ写真29

PENTAX zoom105R(Super) × 2

インターフェースを作る

接続方法と治具の製作zoom105R×2での撮影zoom90×2での撮影zoom105Super+zoom90での撮影


1.PENTAX zoom105R(Super)

 zoom105R(Super)はzoom90の後継機だと思われるが、このカメラにも同じ形状のリモート端子がある。発売当時の定価は105Rが59,800円と高価で、決して安物のコンパクトカメラではない。写真29−1に外観を示すが105Rと105Superはほとんど同じカメラで、マニュアルを見る限り、違いは105Rに赤目現象を軽減するためのプリ発光機能が加えられていることぐらいである。

 

写真29−1 PENTAX zoom105Super(左)と105R(右) レンズは38〜105mm F4.0〜7.8

 多重露出やインターバル撮影などあまり使いそうもない機能まで付いている機能満載のカメラで、ズームレバーを押すごとに焦点距離が38 , 46 , 55 , 70 , 85 , 105mmととびとびに変化するステップズーム機能は、ステレオ撮影で左右のズーム位置を精度良く合わせるのに役立ちそうである。是非とも使ってみたいカメラではあるが、実際にやってみるとzoom90のように簡単には行かない。ちなみにこのカメラもネットオークションで安く入手することができた。




2.接続方法と治具の製作

 写真28−2に示すようにリモート端子はzoom90と同じく左側面にあり、前述したようにコネクター形状も同じである。


写真29−2 zoom90と同じくカメラの側面(左)にリモート端子がある(右)

 もちろんケーブルスイッチFをつないでレリーズを制御することも同じで、zoom90と同様に図29−1のように記述できる。



図29−1 ケーブルスイッチFでレリーズを制御する

 ならばこれまでと同様に二台のリモート端子を直結して使えそうだが、実際にやってみるとそうはいかない。電源を入れてつなぐだけで二台のカメラのシャッターが繰り返し切られ、切り離すまで電源スイッチを切ることも出来なくなる。どうやらつなげるだけでレリーズボタンが押された状態になるようである。

 接続しない状態でリモート端子にかかる電圧波形を見ると、図29−2のような矩形波になっている。



図29−2 リモート端子の電圧波形

 zoom90の矩形波はhighの期間がlowより圧倒的に長かったが、こちらはhighの期間が短い。この短いhighの期間で電圧をチェックし、しきい値より低ければONとみなすのだろうが、つないだもう一方端子も同じ波形で、かつ同期していないのであれば当然lowの電圧を感知することになり、その結果ほとんど常時ONになると推測される。

 このようにこのカメラに限っては、リモート端子同士を直結するという単純な方法は通用しない。ならばカメラ間に何らかの電気回路を加えることでシャッターの同期を実現したいが、作り易さや使い勝手を考えるとできるだけ簡単で新たな電源を必要としない回路にしたい。このような条件を満たすように考えたものが図29−3である。



図29−3 カメラ(A)から(B)を制御するためのインターフェース

 この回路はFETをアナログスイッチとして使いカメラ(B)を制御するもので、(A)のレリーズが押されていない状態では端子電圧(図29−2)をダイオードとコンデンサーによる整流回路に通して図29−4のように成形し、これでPチャンネルのFETを非導通状態にして(B)のOFF状態を維持する。一方(A)のレリーズが押されると、C(0.047μF)に貯まった荷電がR(1MΩ)を通じて放電し、電圧が下がってFETが導通状態になって(B)のレリーズもONになる。



図29−4 点Pの電圧波形

 この回路では(B)のタイミングに時定数(CR)分の遅れを生じ、上記の回路定数では1/20秒ほどの遅延になる。このため特に動きの速い被写体では左右像に時間差を生じる可能性がある。もちろんCRを小さくすれば遅延も小さくなるが、図29−4のリップルが大きくなってゲート・ソース間遮断電圧:VGS(OFF)を切るようになるとFETの非導通状態が不安定になる。2SJ45のVGS(OFF)は最大1.5VなのでC=0.022μFくらいまで小さくしても大丈夫とは思うが、ここでは安全を見てC=0.047μFとした。

 なおダイオードには順方向電圧の小さいショットキ・バリアを使う。ここでは1SS242を使用した。

 FET(2SJ45)のドレイン・ソース間が逆電圧になるのが気になるが、試してみた限りではこれでほとんど問題なく動作するようである。ただ(A)のズーム操作によって電圧が下がると(B)のシャッターがあやまって切られてしまう現象は依然として残るので、必要な時に接続を切れるようにスイッチを設ける必要がある。

 この回路は簡単で部品も少なく小さくまとめられるので、写真29−3のように容易に治具の内部に納めることが出来る。

 

写真29−3 撮影治具に内蔵されているインターフェース回路

 インターフェース回路を内蔵し、完成した撮影治具を写真29−4に示した。コネクターは2.5φのステレオミニジャックとし、前々回製作したアダプターを使ってカメラにつなぐものとした。


写真29−4 製作した撮影治具の上面(左)と下面(右)

 言うまでもないがカメラを構えたとき(A)が右、(B)が左に位置するように作ってある。カメラ側面にプラグを差し込むスペースが必要なため取り付け間隔が大きくなり、ステレオベースは190mmになった。




3.zoom105R×2での撮影

 二台のzoom105Rを撮影治具に取り付け、コードを接続した様子を写真29−5に示す。

 

写真29−5 治具に二台のzoom105Rを取り付けた様子

 左のカメラ(B)のシャッターが右の(A)より1/20秒程遅れることは既に説明したが、シャッター音を聞く限りほとんど同時で区別は付かない。機械式のシャッターではメカの動作時間にある程度のばらつきがあるだろうから、電気的な遅延を減らすことにこだわってもどれほど意味があるかは疑問である。

 最広角の38mmと最望遠の105mmで撮影したものを写真29−5に示した。トリミングは済ませてある。


写真29−6 ズーム位置38 , 105 mmでの撮影例(AF , プログラムAE , ISO100, トリミング済み)
38 mm ( , ) , 105 mm ( , )

 105mmは被写体からかなり離れて撮影しており、通常は立体感が希薄になる条件ではあるが、ステレオベースが190mmと長いため奥行き感は残っている。

 もちろんステップズームを使えば、6種類の焦点距離を選択して撮影することができる。




4.zoom90×2での撮影

 この撮影治具はzoom105R(Super)用に作ったものであるが、図29−3の回路は汎用性が高くzoom90にも問題なく使うことが出来る。二台のzoom90を撮影治具に取り付け、コードを接続した様子を写真29−7に示す。



写真29−7 治具に二台のzoom90を取り付けた様子

 これを使い、最広角の38mmと最望遠の90mmで撮影したものを写真29−8に示した。


写真29−8 ズーム位置35 mm , 90 mmでの撮影例(AF , プログラムAE , ISO400, トリミング済み)
38 mm ( , ) , 90 mm ( , )

 90mmの方は視差が大きすぎて少し見づらい写真になってしまった。ステレオベースが190mmと大きいため、10m近く離れて撮るべきだった。




5.zoom105Super+zoom90での撮影

 撮影治具の汎用性を生かし、異なるカメラの組み合わせも試してみた。zoom105R(Super)とzoom90は取り付けネジの位置がほぼ同じで、ジオメトリーの互換性があり都合がよい。写真29−9はzoom105Superを(A)に、zoom90を(B)に使う例であるが、もちろんzoom90を(A)に使っても全く問題はない。



写真29−9 治具にzoom105Superとzoom90を取り付けた様子

 焦点距離38mmと90mmの撮影例を写真29−10に示す。38mmは両カメラの最広角なので合わせ易いが、105Superの90 mmは中途半端な位置でステップズームも使えない。連続ズームで合わせてみたがあまり精度は期待できないだろう。


写真29−10 ズーム位置38 mm , 90 mmでの撮影例(AF , プログラムAE , ISO100, トリミング済み)
38 mm ( , ) , 90 mm ( , )

 機種が違っても38mmでは左右の倍率に目立った違いは見られず、これらのカメラが精度良く作られていることがわかる。一方90mmでは右(105Super)の倍率が明らかに高く、液晶表示を頼りに連続ズームで焦点距離を合わせるのでは、やはり十分な精度を期待できないことがわかる。

 最広角や最望遠などを使って正確に焦点距離を合わせられるようであれば、異なる機種を並べたステレオ撮影も可能と言えるだろう。




PENTAX zoom105R(Super)接続方法と治具の製作zoom105R×2での撮影zoom90×2での撮影zoom105Super+zoom90での撮影

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