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針穴写真4

印画紙カメラ3

2浴現像法

現像液の作成2浴現像を試すオリジナルの現像液

1.2浴現像法

 調べてみると写真の現像というものは奥の深いもので、目的に応じて様々なテクニックが存在する。ここでは問題提起の意味で2浴現像法を紹介する。2浴現像法はフィルムと印画紙のそれぞれにあるようであるが、印画紙の2浴現像法に関する資料は探しても見つからなかった。ここではフィルムの2浴現像法を試した。
 表4−1に「暗室百科」写真工業出版社から引用したライツ2浴現像液の処方を示す。A液には現像主薬メトールと主薬の酸化を防ぐ亜硫酸ナトリウム、B液にはアルカリ剤が溶かされている。

表4−1 ライツ2浴現像液の処方
「暗室百科」写真工業出版社による。

A液
メトール 5g
無水亜硫酸ナトリウム 100g
水を加えて総量 1000ml
B液
無水炭酸ナトリウム 15g
無水亜硫酸ナトリウム 6g
水を加えて総量 1000ml

 2浴現像ではまずA液で現像主薬を乳剤層に染み込ませ、そのままB液に移しアルカリ雰囲気中で現像を進行させる。この方法だと染み込んだ主薬が消費された時点で現像が止まるためハイライト部では現像が抑制され、一方主薬の消費が少ないシャドウ部では十分な現像が行われる。
 ここでネガの調子を左右するのはA液に浸す時間であり、B液ではすぐに現像が飽和して像が安定するので時間の管理は多少ルーズでもかまわない。フィルム現像では18℃においてA液で4〜6分、B液で3分が標準の現像時間とのことである。なお停止、定着は通常の現像と同じである。


2.現像液の作成

 現像液の自家調合に関しては苅尾さんのサイト「tokyo-photo.net」を一度ご覧いただきたい。A液の作成はこれに従い、薬剤の秤量後まず約50℃の水を700〜800ml程度用意し、これにひとつまみの無水亜硫酸ナトリウムを溶かしてからメトールを全量投入して溶かし、最後に残りの無水亜硫酸ナトリウムを入れて溶かしてから水を加えて全量を1000mlに合わせた。
 他方B液の薬剤は量も少なく溶けにくい物ではないので、順番など考えずに水に溶かして作れば十分である。


3.2浴現像を試す

 これまでと同様ISO0.6相当で露出して撮影した写真を現像した。推奨の液温は18℃であるが、たまたま気温が高くて液温が下がらず、やむなく24℃で行うこととした。
 フィルムではA液に4〜6分間浸すことになっているが、実際にやってみると投入後30秒ほどでうっすらと像が現れ始める。「tokyo-photo.net」でも指摘されているように、A液も弱アルカリなのでゆっくりではあるが現像が進行する。前回のD-76を使った実験において、印画紙はフィルムに比べて4倍ほど現像が速く進行すると書いたが、印画紙では乳剤への薬剤の浸透速度が速く、フィルムの4〜5倍ほどのスピードで染み込むと考えれば合点がゆく。ここではA液での滞在時間を大幅に短縮し15秒〜1分の範囲で変えて現像してみた。結果のネガとプリントを写真4−1に示す。

現像時間 ネガ プリント
15秒 395 x 295 395 x 295
30秒 395 x 295 395 x 295
45秒 395 x 295 395 x 295
60秒 395 x 295 395 x 295

写真4−1 2浴現像におけるA液の滞在時間とネガ及びプリント。
コンタクト時の光量はそれぞれ調節。

 A液からB液に移す際にはしっかり液を切らなければならず、A液が滴状に残っていると現像むらの原因になるようである。B液に投入後はすぐに像が現れ安定する。勝負が早いので気の短い人には合っているかもしれない。
 A液での現像が進行していない15秒と30秒ではほとんど調子が変わらないのに対し、A液中ではっきりと像が現れている45秒以降は濃度、コントラスト共に増している。「tokyo-photo.net」に書かれている通り、染み込ませた薬液のみによってB液中で現像するのでは軟調になりすぎるので、A液でもある程度現像を進行させてコントラストを高めるのがみそのようである。
 今回の結果では全体的にネガの濃度が高いが、恐らく印画紙では染み込む薬剤の量が多く、B液中での現像が過多になるのではないかと思われる。これにはベースが紙であることが影響しているかもしれない。やはり性質が異なるフィルムの現像液を使うことには限界があり、印画紙に合わせた処方が必要なのだろう。


4.オリジナルの現像液

 2浴現像は理屈が簡単なので素人でもある程度処方をいじれそうである。例えばネガの濃度を抑えるためにはA液中のメトールを減らせば良さそうであるし、A液での現像速度を下げたいのならば亜硫酸ナトリウムを減らしてpHを下げればよい。オリジナルの処方で現像液を自家調合することをいとわないのであれば、まさに選択肢は無限である。
 三回にわたって現像の話題を取り上げたが、今回でひとまず終わりとする。本音を言えば化学はあまり得意ではなく、できれば研究熱心な人か専門家に決定版の現像法を教えてもらいたいところである。まずは暗い話題はここまでとし、次は明るい話題を取り上げたい。


2浴現像法現像液の作成2浴現像を試す

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