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針穴写真25/ステレオ写真41

大人の科学 Vol.14

ステレオピンホールカメラ

パノラマ撮影自作パネルで撮影


1.ステレオピンホールカメラ

 昨年12月に発行された大人の科学 Vol.14のテーマはステレオピンホールカメラである。ふろくのカメラは組み立て式で、構造が良くわかるのでいろいろいじってみたい人には好都合だが、たまにうまく組み立てられなかったり、パーツを無くしてしまう人がいたりしないかちょっと心配でもある。幸い小生は無事に完成することができた。

 

写真25−1 大人の科学 Vol.14のステレオピンホールカメラ

 このカメラにはピンホールが三つあり、左右の二つがステレオ撮影用で、中央の一つはパノラマ撮影用になる。主な機能は名前の通りステレオ撮影のようで、ステレオ用の二つのピンホールにはシャッターが備わっている。

 晴天の日は適正露出時間が短く、ISO400だと1秒前後になるが、これだとシャッターの操作時にカメラが動きぶれが写ってしまう恐れがある。そんな時は感度が低いISO100のフィルムを使って露出時間を長目にとるのが良いと思う。またステレオベースは38mmなので、程良い視差を付けるためには2m以内に最も近い被写体が入るようにしたい。実際に撮影した例を以下に掲げる。

(L) (R)
(L) (R)
(L) (R)

写真25−2 ステレオ写真の撮影例 (露出4〜8秒, NEOPAN SS)

 露出時間は4秒以上で幸いぶれが原因と思われるようなボケは見られなかった。撮った写真をそのまま立体視すると左右のエッジがちらついて見にくいので、トリミングしてステレオウィンドウを整える必要がある。StereoPhotosJを使って撮影例をトリミングしたものを写真25−3に掲げるのでその効果を確認願いたい。

(L) (R)
(L) (R)
(L) (R)

写真25−3 撮影例をトリミングしたもの

 さらに同じ写真を赤−シアンのアナグリフにしたものを掲げておく。







写真25−4 撮影例のカラーアナグリフ




2.パノラマ撮影

 このカメラのもう一つの魅力は、中央のピンホールを使って二コマ分の面積にパノラマ写真を撮影できることにある。このフォーマットのパノラマ写真はコダックが始めたものと記憶するが、後でフジが製品化した一コマの上下を隠すパノラマ写真の方が消費者に広く受け入れられ、ほどなく消えてしまった。フィルムの有効面積の半分を捨ててしまうようなフォーマットがなぜ良いのか不思議だが、撮影枚数が半減するより好まれたということだろう。

 古い話はさておき、この横長フォーマットが使えるのは嬉しい。DPEでこのフォーマットをプリントしてもらえるか試してはいないが、フラットベッドイメージスキャナのフィルムスキャン機能を利用するなら問題はない(一部には出来ない機種もあるので注意されたい)。

 

写真25−5 中央のピンホールでパノラマ撮影ができる

 横長フォーマットでの撮影例を写真25−6に掲げた。撮影ネガはGT-9700Fでフィルムスキャンして画像を取り込んでいる。水平画角が90度を超える広角写真なので周辺の明るさが不足するのはやむを得ないが、これに加えて周辺に向かうほど放射状に流れるようなボケが強く、画質の低下も大きくなっている。



写真25−6 パノラマ写真の撮影例 (露出8秒 , NEOPAN SS)

 さらにカメラを90度傾け、縦長フォーマットで撮影した例を写真25−7に掲げる。


写真25−7 縦長写真の撮影例 (露出16秒 , ISO100)

 中央のピンホールにはシャッターが無く、キャップをシャッター代わりに使うが、これが結構面倒でトラブルの原因になる。実際キャップを取ったときピンホールを押さえる枠まで一緒に外してしまい、ピンホールを無くしてしまった。枠を接着しておけば良かったが、気付いたときにはすでに遅くピンホールは無い。そこで例によってアルミ缶を使ってピンホールを自作し、これを代わりに付けて見た。

 それを使って撮影したものを写真25−8に示す。なおピンホール径は0.3mmとやや大きめにした。





写真25−8 自作ピンホールを使った撮影例 (露出4秒, NEOPAN SS)

 中央付近の解像度は僅かに低下した感があるが、周辺の画質はオリジナルより優れていて光量の低下も少ない。付属する三つのピンホールにはステレオとパノラマの区別はなく、全て0.25mmであるが、どうやらパノラマ撮影には最適なものとは言い難いようである。パノラマでは周辺部の投影距離が大きくなるため、やや大きめ(>0.3mm)のものを作って付け替えた方が全体的な画質は良いかもしれない。





3.自作パネルで撮影

 ピンホールカメラを自作するとき、最も面倒なのはフィルム送り機構を含むフィルムホルダーの部分だろう。このカメラのボディをベースに使えばその問題は一気に解決する。ピンホールを含むパネルの部分を自作して、オリジナルのパネルと交換すればよい。ここでは針穴ならではのパノラマカメラを作るために、三つのピンホールを有するパネルを自作し、取り付けた例を紹介する。

 ピンホールカメラのボディからは前面のパネルとしきり板を外しておく。組み立て手順を参考にすれば分解は難しくない。この改造では部品を破損するようなことはしないため、外した部品を無くさなければ元通りに組み立てることができる。

 

写真25−9 カメラから前面のパネルとしきり板を外す

 まず2.5mmと4mmのMDFを図25−1に示すようにカットしてパーツを作った。ピンホールは2.5mm厚の板に付けるが、超広角でもケラレを生じないように矩形の穴を大きめに開け、左右の穴ではピンホールの位置を内側にずらして付ける。



図25−1 厚さ2.5mmと4mmのMDFでパネルのパーツを作成

 シャッターはミューズボードで作る。主要なパーツを下図に示した。図中の点線は他のパーツを貼り付ける部分を表している。



図25−2 厚さ1mmのミューズボードでシャッターのパーツを作成

 MDFとミューズボードで作ったパーツを以下のように組み立てる。図25−1,図25−2に示していない小さなパーツも含んでいる。パネルの内側に貼るMDFの小片は、しきり板の取り付け部に空いた空間を埋めるもので、漏光を心配して加えることにした。



図25−3 パーツを貼り合わせてパネルを作る

 図25−3のように組み立てた後、暗箱の内側に当たる部分を黒く塗装し、アルミ缶で作った三つのピンホールを貼り付けて完成となる。ピンホール径は0.3mmとやや大きめにした。


写真25−10 三つのピンホールを付けた自作パネル 外側(左)と内側(右)

 制作したパネルはオリジナルのパネルと同様ボディにネジ止めする。出来上がったカメラを写真25−11に示した。

 

写真25−11 自作パネルを取り付けたピンホールカメラ

 以下自作(改造)カメラの撮影例を説明する。まず中央のピンホールではオリジナルと同様のパノラマ写真が撮影できる。

 

写真25−12 中央のピンホールで通常のパノラマ写真を撮る

 撮影例を以下に掲げたが、写真25−8と変わらないパノラマ写真になる。



写真25−13 中央のピンホールで撮影したパノラマ写真 (露出4秒, ISO100)

 本カメラの特徴は左右のピンホールにある。カメラを三脚に固定し、写真25−14に示したように左右のピンホールで一枚ずつ撮影する。


写真25−14 左右のピンホールでそれぞれパノラマ撮影を行う

 すると写真25−15のような写真が撮れる。オリジナルのパネルにもステレオ用に左右のピンホールが付いているが、イメージサークルが小さいため、しきり板なしで撮ってもこのようにはならない。わざわざパネルを自作した理由はここにある。





写真25−15 左のピンホールで撮影した写真(上)と右のピンホールで撮影した写真(下) (露出4秒, ISO100)

 写真25−15の二枚をフォトレタッチのPhotomerge機能を使ってつなげると、写真25−16のパノラマ写真が完成する。写真25−13と比べて、幅が二倍弱の超広角パノラマで、つなぎ目もあまり目立たないきれいな写真になっている。



写真25−16 二枚の写真をPhotomergeでつないだ連結パノラマ写真

 同様の作例二つを、中央のピンホールで撮影した通常のパノラマ写真とともに加えておく。何しろ他のカメラでは撮れないものを撮ることは、自作ピンホールカメラの楽しみの一つだろう。





写真25−17 通常のパノラマ(中央のピンホール)と連結パノラマの比較1 (露出4秒, ISO100)






写真25−18 通常のパノラマ(中央のピンホール)と連結パノラマの比較2 (露出4秒, NEOPAN SS)

 さらに本カメラを縦長フォーマットで使えばピンホールの位置2で紹介したような写真を撮ることが出来る。これには写真25−19のようにカメラを90度傾け、最も上に位置するピンホールを使って撮影すればよい。

 

写真25−19 カメラを縦位置にして最も上のピンホールで撮影

 この方法で撮影したものを以下に示した。背の高いビルが真っ直ぐ建っているのが特徴で、写真25−7右と見比べてみればその違いが良くわかる。こういった写真はピンホールでないと撮ることが難しいだろう。


写真25−20 縦位置での撮影例





ステレオピンホールカメラパノラマ撮影自作パネルで撮影

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