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レンチキュラー写真5

オーソドックスな方法

カメラを移動して撮影する

6コマ写真の撮影8コマ写真の撮影10コマ写真の撮影まとめと図面


1.カメラを横に移動して撮影する治具

 レンチキュラー写真を撮影する最もオーソドックスな方法は、カメラを横にスライドしつつ多コマの写真を撮る事かもしれない。



図4−1 一台のカメラを横に移動して撮影

 ここでは簡単な治具を作って、この方法を実践してみた。作成した治具はカメラを取り付けるカメラ台と、これを平行移動させるためのベースからなる(写真5−1)。



写真5−1 製作した治具 ベース(左)とスライドさせるカメラ台(右)

 ベースにカメラ台をセットした様子を写真5−2左に示す。ベースには1cm間隔の目盛りを付け、カメラの移動量を知る目安とし、底には写真5−2右のようにゴム足を付けて設置時の安定を図っている。


写真5−2 ベースにカメラ台を挿入(左) 底にはゴム足を付けた(右)

 カメラ台には高さの異なる三つの穴を開け、カメラはいずれかに三脚取り付けネジを使って取り付ける。カメラは縦位置で取り付ける事になるが、これは最終的に3Dフォトフレームに入れる事を考えると、縦長の写真を撮った方が好都合なためである。



2.6コマ写真の撮影

 6コマを合成して60lpiで4 inch幅のレンチキュラー写真を作る場合、横幅のドット数は6×60×4=1440となる。元の写真が768×1024(80万画素)であれば、画像サイズを2倍に拡大して幅が768×2=1536 dotとなり、トリミングで削られる分を考慮してちょうど良いサイズになる。
 少し古いカメラであるが、ここでは80万画素クラスのOlympus C-800Lを使って撮影することとした。このカメラと撮影治具に取り付けた様子を写真5−3に示す。


写真5−3 Olympus C-800L(左)と治具に取り付けた様子(右)

 撮影治具は出来るだけぐらつかないよう、コンクリートやアスファルトなどの硬い面を選んで置くのが好ましい。後で説明するように、カメラがぐらつくとトリミングの手間が増える。
 実際の撮影例を写真5−4に示す。ここではカメラを4cmづつずらして6コマの写真を撮影した。


写真5−4 4cmおきに撮影した6コマの写真(Olympus C-800L)
最も右の視点を1として順に番号を付けた

 写真5−5に示すように基準点を像の頭に置き、コマ番号1と6の座標を調べると、コマ1が(215, 401)、コマ6が(250, 408)であった。カメラは等間隔(4cm)に移動して撮っているので、横軸(x軸)のトリミングは機械的に行えば良く、コマ1のx座標をx1、コマ6のx座標をx6とすると、それぞれのコマの左辺を(x6−x1)×(コマ番号−1)/5 だけカットし、右辺を(x6−x1)×(6−コマ番号)/5 だけカットすればよい。ここではx6−x1=250−215=35であるから、各コマの左辺を(コマ番号−1)×7、右辺を(6−コマ番号)×7だけカットした。ここではたまたま小数点以下を生じなかったが、答えが整数にならない時は適当に切り上げるか切り捨てればよく、1 dot程度の違いを気にする必要はない。



写真5−5 銅像に基準点()を置いた

 横軸(x軸)のトリミングは必須であるが、縦軸(y軸)のトリミングは必ずしも必要ではない。各コマの画像が縦にずれる原因はカメラの傾斜とぐらつきであるが、傾斜によるずれは規則的なので、トリミングは横軸と同様の方法で行えばよい。一方ぐらつきによるずれは不規則なため、レンチキュラー写真1で説明したようにきちんと手間をかけてやらなければならない。
 幸いにも写真5−4の写真にはぐらつきによるずれはほとんどないので、(y6−y1)/5=7/5=1.4 から、上辺を(コマ番号−1) だけカットし、下辺を(6−コマ番号) だけカットした。ここでは念のため縦もトリミングを行ったが、カットする量は少ないため省いても大差ないだろう。トリミング後の画像を写真5−6に示した。


写真5−6 トリミング後の6コマ写真

 トリミング後の画像サイズは733×1019で、横幅を2倍すると733×2=1466となり目標の1440に近い値になった。写真5−6の6コマの画像から、前回の手順2に従ってレンチキュラー写真を作成したものを写真5−7に掲げた。

 

写真5−7 striperで合成したレンチキュラー写真

 生の画像データはサイズが大きくなるため、撮影写真と作成したレンチキュラー写真はYahoo!フォトに納めた。レンチキュラー写真は360dpiで印刷して3Dフォトフレーム用の立体写真となる。




3.8コマ写真の撮影

 8コマを合成して60lpiで4 inch幅のレンチキュラー写真を作る場合、横幅のドット数は8×60×4=1920となる。元の写真が960×1280(130万画素)であれば、画像サイズを2倍に拡大して幅が960×2=1920 dotとなりちょうど良い。ただ実際にはトリミングで削られるので少し小さめになり、余白が出来るかもしれないがまあ良いだろう。
 ここでは130万画素のOlympus C-840Lを使って撮影した。このカメラと撮影治具に取り付けた様子を写真5−8に示す。


写真5−8 Olympus C-840L(左)と治具に取り付けた様子(右)

 作成した治具では最大30cmまでカメラを移動させることが出来る。単位移動量を3cmとすれば、8コマの画像を撮る移動量は3×7=21cmと十分な余裕がある。実際に3cmずつずらして撮影した8コマの画像を写真5−9に示す。


写真5−9 3cmおきに撮影した8コマの写真(Olympus C-840L)
最も右の視点を1として順に番号を付けた

 ここで6コマ写真で説明したトリミング法を、他のコマ数に適用できるよう一般化しておく。あらかじめ各コマには最も右の視点を1として順に番号を付けるものとする。
 まず各コマの座標を一致させる基準点を選び、コマ1と最後のコマでのx座標をそれぞれx1、xfとすると、各コマの左辺を(xf−x1)×(コマ番号−1)/(全コマ数−1) だけカットし、右辺を(xf−x1)×(全コマ数−コマ番号)/(全コマ数−1) だけカットする。
 一方縦のトリミングは既に説明したとおり必須ではないが、カメラの傾きやぐらつきによっては必要となる。ぐらつきによるランダムなずれが無ければ、横のトリミングに準じて、カット量をコマ番号に比例させれば良いが、ぐらつきが影響しているようであればレンチキュラー写真1に説明した方法で行う。
 残念ながら写真5−9の写真にはぐらつきによるランダムなずれがあり、具体的な数値は省くがトリミングにはかなりの手間がかかった。基準点を手前の青い鯨に置いてトリミングした結果、画像サイズは897×1260となり、さらに前回の手順2に従って作成したレンチキュラー写真は1794×2520となった。これを写真5−10に掲げる。

 

写真5−10 striperで合成したレンチキュラー写真

 以上の撮影写真と作成したレンチキュラー写真は同様にYahoo!フォトに納めた。レンチキュラー写真は480dpiで印刷して3Dフォトフレーム用の立体写真となる。



4.10コマ写真の撮影

 10コマを合成して60lpiで4 inch幅のレンチキュラー写真を作る場合、横幅のドット数は10×60×4=2400となる。元の写真が1200×1600(約200万画素)であれば、画像サイズを2倍に拡大して幅は1200×2=2400 dotとなりちょうど良い。先程同様、実際にはトリミングで削られるので、多少の余白が出来るが良しとする。
 カメラは200万画素クラスのOlympus C-2000Zを使った。このカメラと撮影治具に取り付けた様子を写真5−11に示す。


写真5−11 Olympus C-2000Z(左)と治具に取り付けた様子(右)

 この状態でズーム位置は最も広角とし、2cmずつずらして10コマの写真を撮影した。この画像を写真5−12に示す。



写真5−12 2cmおきに撮影した10コマの写真(Olympus C-2000Z)
最も右の視点を1として順に番号を付けた

 若干ではあるが、これらにもぐらつきによるランダムな縦位置のずれがあり、トリミングには結構手間がかかった。コマ数が増えると立体写真の見栄えは良くなるが、トリミングなどの手間も増えるのが玉に瑕である。銅像の台の縁に基準点を置いてトリミングした結果、画像サイズは1101×1588となり、さらに前回の手順2に従って作成したレンチキュラー写真は2202×3176となった。これを写真5−13に掲げる。

 

写真5−13 striperで合成したレンチキュラー写真

 これについても撮影写真と作成したレンチキュラー写真は同様にYahoo!フォトに納めた。レンチキュラー写真は600dpiで印刷して3Dフォトフレーム用の立体写真となる。



5.まとめと図面

 この方法は静止物の撮影にしか使えず、人影など動くものが入るとちらつきの原因になるので気を付けなければならない。一方で前回の「回転台を使った撮影」同様、元画像のコマ数を多くすることが容易なので、画の飛びが少なく見やすいレンチキュラー写真を製作することができる。
 ただトリミングは必要なので、コマ数が増えただけ手間はかかる。写真5−13のように10コマ使えばさすがに見やすい立体写真になるが、8コマ(写真5−10)や6コマ(写真5−7)でもそこそこ綺麗である。質と手間を秤にかけて、実際に撮影するコマ数を決めればよいだろう。

 最後にここで制作・使用した治具の図面を以下に掲げる。まず全体の外観を図5−1に示した。



図5−1 撮影治具の外観

 次にベースとカメラ台に分けた状態を図5−2に示す。



図5−2 ベース(左)とスライドさせるカメラ台(右)

 更にベースの分解図を図5−3に示した。材料は全て厚さ4mmのMDFで、最も上になる細板の一方には目盛りを貼り付けたが、目盛りはもちろん板に書いても良い。



図5−3 ベースの分解図

 最後にカメラ台を図5−4に表した。こちらも全て厚さ4mmのMDFを使っている。



図5−4 カメラ台の分解図




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