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レンチキュラー写真1

Nishika N8000

レンチキュラー立体写真の作り方

N8000で撮る下ごしらえフリーソフトでレンチキュラー写真を作成まとめ


1.レンチキュラー写真

 レンチキュラー写真の普及を狙って初歩のカメラにもこのコーナーをスタートすることとした。レンチキュラーレンズを使った立体写真は結構古くからあるようで、かつて三つ以上のレンズを備えた専用のカメラが何度か商品化されている。撮影した写真はDPEに注文してレンチキュラー写真に仕上げてもらうのだが、現在こういったサービスは行っていないようなので、一時は昔の3Dカメラはもう役に立たないとも思われた。
 ところがPCと高画質プリンターの普及で事情は変わった。写真の加工が個人でできるようになったため、レンチキュラー写真を自分で作る時代になったわけである。ここでは比較的入手しやすい3Dカメラとフリーソフトを使って、実際にレンチキュラー写真を作成する手順を紹介する。



2.N8000で撮る

 Nishika N8000は比較的入手しやすい3Dカメラで、よくオークションに出品されている(写真1−1)。4連レンズは1.6m〜∞を深度とするパンフォーカスで写りはトイカメラ並だが、フィルム巻き上げはレバー式で、露出不足を警告するランプを備えるなど結構使いやすい。不思議なカメラである。

 

写真1−1 Nishika N8000

 N8000を使った撮影例を写真1−2に示した。ここではEPSON GT-8700に透過原稿ユニットを取り付け、ネガを1200dpiの解像度で読み取っている。

 

写真1−2 Nishika N8000の撮影例(ISO100)

 カメラの中ではこれを180度回転した倒立像が撮影されているので、写真1−2では最も左に位置するコマが最も右の視点像、最も右のコマが最も左の視点像である。

 この写真(データ)を使って実際にレンチキュラー写真を作成してゆく。




3.下ごしらえ

 写真1−2を四つのコマに分けたものを元画像とする(写真1−3)。Aが最も右の視点像で、Dが最も左の視点像になっている。

A B
C D

写真1−3 撮影例を四つのコマに分ける

 四つの元画像はそれぞれ適当に切り取ったものなのでサイズもまちまちである。これをトリミングして大きさの等しい四画像を作るのであるが、それにはまずその距離を表示面(ステレオウィンドウ)と一致させる基準点を決めなければならない。
 ステレオ写真ではステレオウィンドウを壊さないように、最も手前にある被写体を基準にしてトリミングを行ったが、レンチキュラー写真ではそのやりかたはうまくないようである。レンチキュラー写真では表示面(ステレオウィンドウ)の辺りにある被写体が最もクリアーに見え、これから離れるほどぼやけたり二重に見えたりしてはっきりしなくなる。このため最も大事な(綺麗に見せたい)被写体を表示面(ステレオウィンドウ)に置くべきであり、その被写体に基準点を置くのが良いようである。
 ここでは中ほどに写っているフラワーポッドの花びらの一つに基準点を置くことにした(写真1−4)。



写真1−4 フラワーポッドにある花びらを基準点にする(+で表示)

 各々のコマにおいて基準点の(左上を原点とした)座標を調べると表1−1のようになり、Aが(355 , 423)で最も小さい。x座標は常に最も右の視点像であるAが最小になるが、y座標は撮影時のカメラの傾きを反映しているので、逆に最も左の視点像Dが最小となることもあるし、カメラの水平が良くとれていれば全てのコマでほとんど変わらないこともある。y座標すなわち高さを揃えないとひどく見づらい写真になるので、左右だけでなくことらもきちんとトリミングしなければならない。

表1−1 トリミングによる座標と画像サイズの変化

元画像 記号 A B C D
画像サイズ 844×1040 843×1040 842×1042 840×1043
step 1 基準点の座標 (355 , 423) (361 , 428) (370 , 436) (378 , 442)
DX 0 6 15 23
DY 0 5 13 19
画像サイズ 844×1040 837×1035 827×1029 817×1024
step 2 画像サイズ 817×1024 817×1024 817×1024 817×1024

 x座標y座標共に最小値に揃えるため、図1−1のstep 1のように最小値との差だけ左と上を削って基準点の座標が全てのコマで一致するようにする。step 1の結果各コマの画像サイズの差が拡大し、最も多く削ったDが最小(Xf×Yf)となるが、あとはA〜Cの右と下を削って画像サイズを一致させる(図1−1 step 2)。

step 1 step 2

図1−1 step 1: まず基準点の座標を合わせ step 2: さらに画像サイズを揃える Xf×YfはここではDのサイズで817×1024

 トリミングして揃えた各コマを写真1−5に掲げる。これで準備が整った。

A B
C D

写真1−5 トリミングして整えた四コマの写真



4.フリーソフトでレンチキュラー写真を作成

 ここではフリーソフトを使って準備した写真からレンチキュラー写真を作る。使用するソフトは「striper」と「デジカメであそぼ立体写真」である。

striper

 (株)ティプスさん(今は株式会社ディスクロードグループと合併?)のソフトで、コンパクトで機能は単純であるが、使いこなせば様々なピッチとサイズのレンチキュラーレンズに対応できるので便利である。ただソフトに添付のマニュアルを見ただけですぐに使いこなせる人はあまり多くないと思われるので、ここで若干解説を加えたい。以下はあくまで小生の勝手な解釈であるので、多少間違っていたとしてもお許しいただきたい。

 striperは複数の画像から、図1−2のようにFドットずつ各画像の縦ラインを切り替えるように並べて合成画像を作る。生成される画像は元の単画像と同じサイズで、元画像の数をnとすると縦ラインは周期nで繰り返すが、この一周期がレンチキュラーレンズのピッチに相当する。



図1−2 striperでは元画像のデータを縦ラインに分けて並べる

 striperを起動すると図1−3のように合成パネルが開くので、これに必要事項を記入してレンチキュラー写真を生成する。まず左の「画像」の枠内に元画像のファイルを開く。縦ラインの並ぶ順番は指定した画像ファイルの順に一致するので、一周期の内で最も左に置きたい画像から画像ファイルを指定してゆく。最も左の縦ラインは最も右の角度から見えることになるため、最も右の視点像から順に指定すればよく、ここではA→Dの順になる。



図1−3 striperの操作画面

 右枠「合成」では、まず「レンズの方向(E)」は「縦ライン」を指定する。ちなみに「横ライン」にすると図1−2を90度回転したことになるが、元画像を90度寝かして用意すれば「横ライン」で合成することも可能である。
 「レンズあたりのピクセル数(F)」は図1−2のFを入れる。これは出来上がる写真の大きさに関係し、ここでは「1」とするが、それ以外の数値を入れれば写真の大きさが1/Fになると考えればよい。元画像のサイズが大きいときにはこれを利用して縮小する。
 「レンズの幅(L)」は(使用するレンチキュラーレンズのピッチ(lpi)×画像枚数)を入力する。ここではキヤノンの3Dフォトフレームを使うものとして(60(lpi)×4=)240とする。実のところこの値は生成する画像イメージには関係しないので、生成した画像をセーブして別のソフトで印刷するのであれば何を入れてもかまわない。例えばデフォルトの30のままにしておくと、生成した画像の解像度は(30×F=)30dpiとなるが、別のソフトで(使用するレンチキュラーレンズのピッチ(lpi)×画像枚数×F=)240dpiとして印刷すればよい。
 「画像の縦横比を保持(K)」はとりあえずチェックしておけばよい。チェックをはずしても生成する画像イメージには関係しないようである。試しにチェックをはずしてみると画像の解像度が縦横で一致しなくなるが、どういうアルゴリズムで決まるのかは不明である。まあ細かいことは気にしないでおこう。

 入力が終わったら「適用(A)」をクリックし、「画像」枠の(仕上がりイメージ)を指定してから「表示」をクリックすれば合成イメージができる。これを写真1−6に掲げた。

 

写真1−6 striperで合成したレンチキュラー写真

 レンチキュラー写真は解像度が命なので、当初データ圧縮をしないbmp形式のファイルで保存していたが、実際に試してみると圧縮率の低いjpg形式でも画質の劣化は思いの外少ない。ここではjpg形式で掲載している。
 写真1−6をダウンロードし、240dpiの画像として印刷すれば3Dフォトフレーム用のレンチキュラー写真となるので、もし3Dフォトフレームをお持ちであれば試して見ていただければと思う。


デジカメであそぼ立体写真

 このソフトは「むっちゃんの立体シリーズ」からダウンロードできるメールウェアで、作者にメールで知らせれば無料で長期使用することができる。

 前述のstriperとは対照的に多機能なソフトで、その機能の中に3Dフォトフレーム用のレンチキュラー写真を作成するものがある。用意した画像を自動的に拡大縮小して葉書サイズに揃えてくれるのはありがたいが、基本的に3Dフォトフレーム以外には対応していないので、色々試してみたい人にはstriperの方が向いているだろう。
 これもstriperと対照的であるが、「デジカメであそぼ立体写真」にはしっかりとしたヘルプが備わっているので、これを見れば追加説明がなくとも使うのはさほど難しくない。付け加えることがあるとすれば元画像ファイルの指定方法で、striperと同様に右視点の画像が先で、左視点が後になる順番で指定しなければならない。

 実際に写真1−5を元画像にして作ったレンチキュラー写真を以下に掲げる。

 

写真1−7 「デジカメであそぼ立体写真」で作成したレンチキュラー写真

 これも写真1−6と同様にダウンロードし、240dpiの画像として印刷すれば3Dフォトフレーム用のレンチキュラー写真ができる。



5.まとめ

 出来上がったレンチキュラー写真を3Dフォトフレームに入れて見ると、視差が少なく奥行き感がいまいちであるように思える。N8000のレンズ間隔は18mm程なので、これがステレオベースと考えれば被写体は1m以内に置きたいところであるが、レンズの撮影距離は1.6m以上であるのでそうもいかない。レンチキュラー写真では視差を少な目にした方が結果が良いということなのだろうか。
 ここで説明したようにレンチキュラー写真を作るのには結構手間がかかるし、元画像を丁寧に準備したか否かで出来栄えも違ってくる。かつてDPEに製作を依頼してレンチキュラー写真を作っていた時代には全てが人任せであった訳だが、もしもDPEでの仕事が機械的なものであったなら、しばしばそれはあまり出来栄えの良くないものであったかもしれない。やはり撮影した本人が手間を惜しまず仕上げた方が良いだろう。
 自分でもレンチキュラー写真を試してみたいと思われる方のために、ここで紹介したものを含めN8000で撮影した素材と、それを使って作成したレンチキュラー写真をYahoo!フォトに公開した。必要ならそちらからダウンロードして自由に使っていただきたい。
 以前は近くの家電量販店に3Dフォトフレームが置いてあったが最近見かけなくなった。ひょっとすると生産を終了しているのかもしれない。サイズは異なるものの同様のフォトフレームやその他のレンチキュラーレンズは有限会社アートナウさんからも購入できる。必要に応じてそちらも利用されたら良いと思う。



レンチキュラー写真N8000で撮る下ごしらえフリーソフトでレンチキュラー写真を作成

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