ある日のS君との会話


S君はバンコクのど真ん中にあるミッション系のアサンプション大学出身、現在は某外資系企業で購買関係を担当する20代後半の青年です。チューレン(※)はティー。これは中国系のタイ男性に多いニックネームのようです。サトゥプラディットの豪邸に家族と住み、年1回は必ず家族連れで海外旅行を楽しみます。半年前に長男誕生。奥さんはプルンチットのイギリス大使館に勤務。夫婦そろって英語ペラペラ。こう言ってはなんですが、ある種のエリートタイ青年ですね。内緒ですが、最近すごい勢いでバンコクのあちこちに出店している日本風駄菓子屋「あき子」の経営にも一枚かんでいます。

夜遊びのパターンとしては、「2ヶ月前にオープンしたばかりのチョンノンシにある大人気ビアハウス・タワンダンブルワリー → プルンチットの音楽パブ・チャ-コールグレイ → ラチャダピセークの某カクテルラウンジ 」といった一夜三段逆スライド方式です。子供が生まれたこともあって、RCAとかはあまり行ってないようです。

1軒目2軒目ですでにヘロヘロに酔っ払ったS君が、携帯で友人と連絡をとりつつ、すさまじいワイルドドライビングでラチャダのサウサウユッユッな3軒目のお店に向けて愛車のシビックを駆る姿には鬼気迫るものがあります。写真はカラオケで盛り上がるS君の勇姿。前半戦から手加減せず飛ばしまくる姿がいさぎよいですね。




【新ミレニアムを前にしたある日のS君との会話】

  私「タイ語でイカ(squid)ってなんて言うの?」
  S「プラームック。」
  私「じゃあタコ(octopus)は?」
  S「タコ(octopus)って?」
  私「ぐにゃぐにゃして足が8本あるやつ。」
  S「プラームック。」
  私「それはイカでしょ。足が8本の方だよ。」
  S「どちらも同じだよ。プラームック。」
  私「なんで?違う生き物だよ。完全に。
    頭が丸くて足が8本(round head with 8 legs)なのがタコ。
    頭が三角で足が10本(triangle head with 10 legs)なのはイカ。」
  S「足の数、決まってるの?」
  私「決まってる。タコは8本。イカは10本。」
  S「嘘だ。」
  私「本当だよ。」
  S「本当に足の数はみんな同じなの?」
  私「タコは8本。イカは10本。全部そうなってるの。」
  S「普通のタイ人は、そんな事知らないよ。」
  私「へ?」
  S「だから、どっちも名前は同じ。プラームックでいいの。」
  私「だって、不便じゃない。名前が同じだと。
    あっそうか。タイの人、イカはよく食べるけど、タコは食べないんだ。」
  S「どっちも食べるよ。」
  私「じゃあなんでまた...。」
  S「同じようなもんだから。」
  私「へ?」
  S「似たようなものだから名前はひとつでいいんだよ。」

S君以外のタイ人にも何人か訊いてみましたが、同じような返事がかえってきました。どうやらタイ語には、本当にタコとイカの区別はないみたいです。辞書で引いてみたら、「プラ-」は「魚」、「ムック」は「インク」と載ってました。そうか、墨(インク)を吐くやつは、なんでも「プラームック」って呼んじゃうんだな。ふむふむ。

...新しいミレニアムの幕開けを前に、しょーもない話題で申し訳なし。
では皆さん、良い2000年を。




※おまけ

「チューレン」というのはニックネームのようなもので、タイの人はみんな持ってます。日本人のあだなと違うのは、生まれた時に、普通の名前とは別に、親につけられるという点です。思い付くまま例をあげると...

大きな赤ちゃんだったから「ヤイ」(大きい)
2人目の子供だったから「ソン」(数字の2)
カエルみたいな顔だったから「コッブ」(蛙)

こんな感じで、たいていはなんも考えずに決められちゃうみたいです。一生ついてまわるものなのに、かなりイージー且つ直線的です。ダイエットに悩むお年頃の女性が「ヤイ(でかい)」などと呼ばれるのはどんなもんなんでしょう。また、ソムキッドだったら「キッド」みたいに、本当の名前のおしり部分を切り取ったパターンや、なぜか西洋風の「ビー」「マリー」などのチューレンもあります。タイ人の姓名は、やたら長くてめんどくさいのが普通なので、家庭はもちろん学校や職場でもチューレンで呼び合うのが普通なんですね。同じ職場で毎日顔を合わせていても、チューレンは知ってるけど本名は知らないなんてケースもあったりして。ウォータービジネスに従事する女性も、お店での名前にチューレンをそのまま使ってしまっているようです。




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