Made in Thailand な「病は気から」

Chapter 1. ドクター・ミラーボール登場


ロビンソンもマクドナルドもないタイのディープな田舎での事。
体調崩してお医者さんへ行った。

まず、びびったのがマニアックな入口。
ドアも無いふきっさらしの桟敷でクイティオ食堂みたいな感じ。
食堂と違うのは、テーブルがないこと。
看板らしきものも小さく出てるけど、そのすぐ横に目印のつもりか
直径20cmほどのミラーボールが。
小さくたってミラーボールはミラーボール。
なんで医者がミラーボールで客引くんだよ。

三谷幸喜みたいな顔のとぼけたにいちゃんが、桟敷のつきあたりに座ってる。
あのお、風邪ひいちゃったんですけど。

一応、名前と年齢をメモ帳みたいな紙切れに書かされ、
中2階に続く木のはしご段を上るように言われる。
そうか。先生のいる診察室は上の部屋なんだな。

中2階の部屋に行くと、四畳半ほどのスペースに木の机1つ、椅子2つ。
とりあえず、刑務所にあるようなベッドもある。
だけど肝心の医療器具が見当たらない。
普通、白い戸棚ぐらいないか?
いや、それ以前にクーラーないの?
なんか余計、具合悪くなってきたぞ。

ぼんやり座って待ってると、さっきの三谷幸喜がさっそうとはしご段を上ってくる。
目の前の椅子に座った。

あんた、もしかして、受付兼ドクター?

「今日はどうなさいました?」

・・・・・・さっき下で言ったじゃないか。風邪だよ、風邪。ペンワット。

でも問診は丁寧だし、聴診器だってちゃんとあててくれる。
しかし、看護婦さんがいないお医者さんなんて、
海老団子の入ってないタイスキ鍋のようなものだ。
これではなんのために体調を崩したのか分らない。

あ、口にいきなり・・・そんなご無体な。
舌下型に見えない体温計。
消毒もしてない感じだし、前の患者が腋の下にはさんだやつじゃあるまいな。

トタン屋根に塗ったくるペンキみたいな色した錠剤、
それ、もしかして飲まなきゃいけないんですか?

抗生物質と熱冷ましと咳止め。
どぎつい色の薬3種類もらって150バーツ也。
なんか丸い数字なのが気になる。料金を計算してるそぶりもなかったし。

まあいいか。僕は病気なのだ。


Chapter 2. デラックスなハイテク大病院

やれやれ、全然治らない。
しょうがない、バンコクさ行って、一流のケアを受けるっぺ。

泣く子もはしゃぐバンコクのB病院。ここで口直しだ。
気のいいドクターミラーボールを信用してないわけじゃないんだけど、
やっぱり病気の時くらい豪勢にキメたい。

堂々としたエントランスには、制服のドアマン。
ドゥシタニホテル並の広々としたロビー。
クリスマスには、リージェントも顔負けのツリーが登場。
館内にはイタリアンレストランに和食レストラン、
スターバックスコーヒーもマクドナルドもある。
90,000uの施設に、ベッド数554。
病室の中にはもちろん、ロイヤルスイートも。
フルタイムとコンサルタント合わせて600人の臨床医師。
14の臨床分野に100を越える診察室。
19の手術室、54の集中強化治療用ベッド。
がん治療センター、心臓専門センター、婦人センターも併設。
屋上にはもちろんEmergencyヘリポート。

そう。
ここは、東南アジアでも屈指、世界的水準の私立総合病院。
「メディカル・シティ」のキャッチフレーズにも思わずナットクだ。
赤字経営だって噂なんか、きっと根も葉も・・・あるのかな?

それにつけても、ありがたいのは、海外旅行傷害保険。
家がビンボーでも、こんな立派な病院で診てもらえる。
初診時のアプリに署名欄とかあるけど、
保険証書のコピーで受付されるから・・・
(MIT法律顧問の教育的指導により、以下181文字削除)
運が良ければ、夢のようなキャッシュレス治療が。

英語、中国語、日本語その他、通訳さんもカウンターにずらり。
うわあ、看護婦さんもいっぱい。
制服が何種類かあるのは、役割が違うのかな。
熱があるのに、なんかウキウキしてきた。
オレンジジュースやお茶なんかもさりげなく館内随所に置いてある。
タ、タダなのかな?
飲んじゃお。
これでスコーンとかオープンサンドがあったら、
わざわざオリエンタルのオーサーズラウンジまでハイティーしに行く必要ないぞ。

お医者さんは皆、机上のパソコンを操作しつつ診療を進める。
DELLの液晶フラット画面に打ち込まれていくMY DATA。
電子カルテはネットワークで集中管理。
受診歴から既往症まで一目瞭然。

「B型肝炎の感染痕がありますね。」

・・・・・・ほっといてくれ。

診療後リアルタイムで、キャッシャーと薬剤セクションにDATAが届く。
うーん、ハ・イ・テ・ク。
昨日の三谷幸喜が見たら、きっとびっくらこいて倒れるな。

PFIZER製薬の抗生物質、やっぱり得体の知れないペンキ色のやつとは安心感が違う。
ドクターフィー500バーツと薬代950バーツで、計1450バーツ。
ドクター・ミラーボールんとこの十倍モード。
保険がきかなかったら、走って逃げだしたくなるような金額だ。
でも、このクスリ、なんかものすごく効きそうな気がする。

そう、僕は素晴らしい病院で素晴らしい治療を受けた病人なのだ。



Chapter 3. クスリ袋対決


右側がB病院の薬袋。www.bumrungrad.comのURLが表示され、アポイントメントはE-Mailでどうぞって印刷してある。うーん、かっこいい。HPにアクセスすれば、所属医の顔写真と専門分野やプロフィールまで見えちゃうぞ。その下には光り輝く ISO9002 Certified の文字も。

左側がドクター・ミラーボールのとこのクスリ袋。なんだこれは。屋台でパイナップル買うと入れてくれるへニャへニャのビニール袋じゃないか。フォーク替わりに使う木の串が入ってたら、そのまんま、フルーツ屋台のお持ち帰り袋だぞ。




Chapter 4. 結局これが一番



しかし、いつまでたっても治んないなあ。どこか根本的に壊れてるんだろうか、この体...結局これか?戦う真っ赤な牡牛マークの「クラッティンデン」。スタミナドリンクのトップブランド。白鮫マークの「チャラーム」や保安官バッチみたいなマークの「ロイハーシップ」は、タイの人に言わせると「マイコイディー(あんまり良くない)」とか。リポビタンは、も少しサラリとしたイメージ。購買層もかすかにカーストアップ。どれも10バーツ位だけど、タイの男性は「あっちの方」に効果テキメンと信じてる。

とりあえず、腰に手をあて一気飲み。
そう、「病は気から」なのだ。


(2000年12月追記)
最近発売された新パッケージの缶入「クラッティンデン」
かなり効くよ。いや、まじで。


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