後藤竜二「キャプテンシリーズ」

後藤竜二さんは1943年生まれ。「12歳たちの伝説」シリーズ、「1ねん1くみ1ばん」シリーズなど多くの本を書いています。生き生きした少年少女たちがみりょくです。「12歳たちの伝説」はこちら。

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キャプテンはつらいぜ キャプテン、らくに行こうぜ キャプテンがんばる


キャプテンはつらいぜ

絵:杉浦範茂 講談社 4年生から 1979年

「キャプテンはつらいぜ」は、少年野球チーム、ブラック=キャットのキャプテンになった長谷川勇(はせがわゆう)の奮闘の物語である。

夏休みに入ったばかりだというのに、弱小チーム、ブラック=キャットに危機がおとずれる。六年生が次々にやめ、エースの吉野くんも、進学塾の夏期合宿に参加するため、チームをやめてしまった。あとに残ったのは、六年生のガンちゃんと、野球は大好きだけど下手な四、五年生だけだった。五年生の勇は、やめていった六年生のかわりに、キャプテンを引き受けた。

キャプテンの勇は、チームを立て直そうとする。チームの存続と、強くなることを願い、みんなを引っぱっていく。しかし、四年生のあまりの下手さ、五年生のたよりなさ、ピッチャーがいないこと等、ブラック=キャットがかかえた課題の多さになやんだり、投げ出したくなったりする。

そんな勇を支えたのは、おさななじみのハーコ、麦塾のゴロさん、おっちゃんや町内の大人たちだった。ハーコやゴロさんにはげまされて、勇は、不良の秀治をピッチャーとしてスカウトする。はじめのうち、勇は秀治をさけていた。三年のころは友達だったのだが、秀治が万引き事件を起こしてから、つき合いがとだえていたのだ。しかし、秀治と、チームのみんなを納得させる方法で、ブラック=キャットのピッチャーにむかえた。

勇は、ひとつひとつ困難を乗りこえ、キャプテンとして成長していく。そして、チームのみんなの思いに気づくことができるようになる。みんなは、野球とブラック=キャットが大好きで、うまくなるために努力を重ねていたのだ。試合で大負けしていたブラック=キャットは、少しずつ力をつけていく。

この本は、1979年に刊行されている。30年も前の作品なので、昭和時代の社会やくらしぶり、言い回し等、今の子どもたちにはわかりにくい部分もある。しかし、勇をはじめ少年たちのいっしょうけんめいさ、明るさ、友達に対する思いは、色あせることはない。

ブラック=キャットを取りまく大人たちの関わり方もよい。ゴロさんやおっちゃんは、キャプテンとして苦労する勇に対して、口や手を出しすぎず、勇が自分で解決できるよう、さりげなくフォローしている。

スポーツものの児童書のなかで、管理人が最も好きな一冊である。 07.12.22

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キャプテン、らくにいこうぜ

絵:杉浦範茂 講談社 4年生から 1981年

不良だった秀治は、ブラック=キャットのエースとして、真剣に練習にはげみ、チームのことを考えるようになった。チーム強化を目指すのは、キャプテンの勇も同じだった。秀治の提案で、ブラック=キャットは大会前に合宿をすることを決める。

そんな中、銀杏塾の夏期合宿に参加するため、ブラック=キャットをやめていた吉野くんが復帰する。勇は、秀治と吉野くんがぶつからないか、チームのみんなが吉野くんに対して反感を持たないか、心配していた。しかし、吉野くんの復帰テストのような、吉野くん対チームのみんなの対決を経て、受け入れられていく。秀治も、吉野くんを認めるようになる。

ブラック=キャットの一員になった秀治とは対照的に、ケンは夜の町をうろつくようになり、不良の中学生とのつき合いがもどってしまう。ケンのことに無関心だった勇は、ハーコから責められ、ゴロさんやチームのみんなといっしょに、ケンを連れもどすために、夜の町をさがしまわる。勇や秀治たちは、ケンのさびしさと弱さに気づく。そして、ゴロさんが、子どもたちととことんつき合い、めんどうを見てくれていることにも。

勇は、前作「キャプテンはつらいぜ」のころより、キャプテンらしくなっている。ブラック=キャットのごたごたを自分たちで解決し、チームワークもひとりひとりの実力も上がるように、がんばっている。合宿も、勇が中心となって計画し、実行にうつした。ライバルであるスネイクスの試合でも、みんなを指揮している。キャプテンとして、主体性と責任感を持ち、チームのみんなをまとめていく。

大人達――特にゴロさんの、子どもたちを見つめるまなざしは温かい。ゴロさんは、よけいな手出しをせずに、ブラック=キャットのみんなを見守るが、いざという時には前面に出て、子どもたちを守ったり、指導したりする。ハーコやケンもふくめた、ブラック=キャットの子どもたちの間、子どもたちと大人との間に、信頼関係がしっかり築かれている。 07.12.24

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キャプテンがんばる

絵:杉浦範茂 講談社 4年生から 1995年

作者の後藤竜二さんは、登場人物ひとりひとりを大切にしている。主人公の勇、ヒロインのハーコ、ブラック=キャットの主力選手である秀治や吉野くんだけでなく、洋太くん、誠やニカちゃんたちの成長や、それぞれの良さをきちんと書いている。また、勇たちは、野球だけでなく、勉強もおろそかにしない。勉強が苦手な秀治やケンも、苦手なことからにげずに、がんばろうという気持ちを持つようになる。

前作「キャプテン、らくにいこうぜ」で、大変な問題を抱えていたケンは、ゴロさんや母親、ブラック=キャットのみんなに支えられて、よい方向に向かっていく。野球ができないケンは、ベースコーチとして、チームに貢献するようになる。また、前作で、夜の町をたむろしていた油井智恵のことも、ゴロさんやハーコたちは(何より作者の後藤竜二さんが)、なんとか救い出そうとする。

ハーコの良さは、キャプテン・シリーズ三作のなかで一番光っていた。自分も、家庭のことで苦労しているのに、そんなそぶりも見せない、明るい子だ。友達に対してわけへだてせず、誰に対してもとことん親身になるハーコだった。

「キャプテンがんばる」は、キャプテン・シリーズ最終巻だ。夏休みも終わりに近づき、準々決勝で、レッド=リバーズと対戦する。レッド=リバーズもスネイクス同様、強豪チームだったが、監督も選手も、ブラック=キャットをなめきって、だらけていた。点のとりあいになり、きん差で勝つ。

準決勝の相手は、ザ=ライオンズだった。このチームには、ブラック=キャットを脱退した六年生の岸さんがいた。勇は、先発は秀治でいくことを決める。吉野くんは、リリーフに出たがったが、勇はピッチャーを代えなかった。この日、吉野くんなりの事情と決意があったことを、勇は後で知る。

対ザ=ライオンズ戦では、ミス・ジャッジへの勇の抗議という問題が起こる。勇は、なかまに助けられて、自分の主張をつらぬき、そして、岸さんの潔さを知る。

対レッド=リバーズ戦、対ザ=ライオンズ戦ともに、試合の盛り上がりがわかるように、ていねいに書かれていておもしろい。 08.1.7

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