エミリー・ロッダ2

エミリー・ロッダさん作「デルトラ・クエスト」のあらすじや登場人物の紹介文を書いています。エミリー・ロッダさんの「リンの谷のローワンシリーズ」についての感想・紹介文は別ページです。

「山椒のこつぶっこ」トップ読書ノート*外国児童文学>エミリー・ロッダ2 Emily Rodda



デルトラ・クエスト1

あらすじを書いていますので、ネタばれありです。

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2002年 高学年から

DELTORA QUEST 2000

第一部 秘宝のベルト

デルトラ王国には、国を守るとされているベルトがありました。

このベルトには、七つの宝石がはめこまれていました。誠実の象徴トパーズ、真実をつかさどるアメジスト、純潔と力の象徴ダイヤモンド、名誉をあらわすエメラルド、神力の象徴ラピスラズリ、幸福のしるしルビー、希望の象徴オパールです。

そのむかし、これらの宝石は、それぞれ七つの部族が所有していました。それを英雄アディンが集めて、ベルトにおさめたのです。

影の大王がデルトラを攻撃したとき、アディンは、このベルトを身につけて、七つの部族をたばね、影の大王を撃退したのです。アディンが、デルトラの初代王となってからは、ベルトは代々王族に引き継がれていました。ベルトの力を発揮できるのは、王族だけだったのです。

デルトラ城で、前王が亡くなったために、年若いエンドンが王となりました。エンドンの幼なじみジャードは、儀式だけにベルトが用いられるのを見て、疑問を感じます。いつ、影の大王がせめてくるかわからないのに、ベルトを眠らせておいて良いのか、と。

ジャードは、「デルトラの書」を読み、真実を知りました。――ベルトは、王族が肌身はなさず身につけておくべきものであること。主席顧問官が、代々の王をおきてによってしばり、骨ぬきにしてきたこと。影の大王は、狡猾で、あきらめてはいないこと。――このままでは、デルトラが危機に陥ってしまうことがわかったのです。

ジャードは、主席顧問官プランディンに追いつめられ、かろうじてデルトラ城を抜け出しました。

ジャードは、王には知らされていなかったデルの町の窮乏を知りました。それから、王が国民から信頼されていないことも。

王位継承から7年目のばん、ジャードは、エンドンと再会することになります。そのころ、ジャードは、鍛冶屋の娘アンナと結婚し、庶民として生きていました。

ジャードが7年ぶりに訪れた城に、デルトラのベルトはありませんでした。主席顧問官プランディンによって、七つの宝石は、だれにも見つからない場所にかくされてしまったのです。王妃の機転によって、主席顧問官プランディンは滅びたものの、宝石のゆくえはわかりませんでした。

国を守るベルトをなくしたデルトラは、影の大王から支配されることになったのです。

第二部 影の世界

ジャードとアンナの息子リーフは、16歳になっていました。デルトラのベルトから宝石がぬすまれた年に生まれた子でした。

リーフは、両親から、宝石がなくなったベルトを見せられ、エンドン王の子が生きていることを知らさせ、宝石をさがす危険な旅に出ることを決心しました。

両親がリーフに持たせたのは、宝石がかくされているであろう場所をしるした地図、父がきたえた剣、母が織ったマント、水と食糧でした。

もと衛兵だったバルダも、リーフといっしょに旅をすることになりました。もともとは、バルダひとりで旅をするはずだったのです。力強い大人のバルダは、少年リーフと同行することを快く思ってはいません。

ふたりは、はじめに、「沈黙の森」をめざしました。

沈黙の森に到達する前に、リーフとバルダは命の危機に陥りました。ウェン・デルの道で、ウェンたちの毒で体が動かなくなったのです。夜になると、ウェンバーに食べられてしまいます。

リーフとバルダを救ったのは、少女ジャスミンでした。

ジャスミンは、両親を影の憲兵団に連れ去られていました。それ以来、森でたったひとりで生きてきたのです。彼女の友は、カラスのクリーと、目の大きな小動物フィリだけでした。

ジャスミンは、リーフには家族がいるから助けたのです。ジャスミンは、家族の温かさを知っていました。しかし、憲兵団には家族がいませんでした。リーフは、憲兵団ではないことと、自分と同じく家族の愛情を知っていることが、ジャスミンにはわかったのでしょう。

ジャスミンに案内されて、リーフとバルダは、沈黙の森に入っていきました。

そこで、宝石を守る番人と対決することになります。番人は巨大な騎士ゴールでした。

ゴールは、永遠の命をもたらすという「命の百合」に執着していました。命の百合の花蜜をひとりじめにしたいがために、つたで百合をおおい、木々や小鳥を苦しめ、何百という動物や人を殺してきたのです。

ゴールを倒したのは、ジャスミンに説得された木でした。クリーやフィリを愛し、木々と話すことができるジャスミンは、自然そのもののような子でした。

リーフは、ゴールが守っていたトパーズを手に入れました。ジャスミンは命の百合の蜜を採取しました。

屈強なバルダは、リーフやジャスミンが旅の道連れであることに感謝します。無力だと思っていたリーフやジャスミンを仲間として認めたのでしょう。 

主な登場人物

ジャード…王エンドンの幼なじみ。正義感が強く、真にデルトラ王国とエンドンのことをうれえている。身分が高い家臣の子だったが、城を脱出してからは、鍛冶屋の娘アンナと結婚し、庶民として生きている。息子リーフが10歳の時、足をいためた。

アンナ…ジャードの妻、リーフの母。影の大王からデルトラを取り戻そうとするジャードと志を同じくする。織物の腕は確か。

エンドン王…父王の突然の死により、若くして即位する。きまじめで、おきてにしばられた王。国民の信頼がなく、デルトラのベルトを失ったふがいない王と噂されている。

シャーン王妃…一見世間知らずのようだが、知恵がまわり、機転がきく、勇気ある女性。ベルトが失われた年、子どもを身ごもっていた。

主席顧問官プランディン…デルトラ王国の高官だが、実は影の大王の家来。エンドンの父を殺し、エンドンをおきてでしばり、ジャードを殺そうとした。デルトラのベルトの宝石をうばい、かくした。シャーンによって命を落とす。

リーフ…ジャードとアンナの子。幼い頃から、両親に英才教育を受けさせられた。勇気があるが、まだ実力がともなわない。足が不自由な父にかわって、デルトラのベルトに施されていた七つの宝石をさがす旅にでる。

バルダ…エンドンとジャードの乳母ミンの子。衛兵だったが、ミンが殺されてから城を捨てた。乞食に扮して、宝石をさがす旅に出る日を待っていた。ジャードやアンナの同志。リーフの随行者。

ジャスミン…両親が憲兵団に連れ去られ、ひとりで生きてきた。生きぬく強さと生き物を愛する優しさを持った子。カラスのクリーと、目の大きな小動物フィリをかわいがっている。木々の気持ちがわかり、木々と話すことができる。   05.10.10

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デルトラ・クエスト2 嘆きの湖

あらすじを書いていますので、ネタばれありです。

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2002年 高学年から

DELTORA QUEST 2000

リーフ、バルダ、ジャスミンは、「嘆きの湖」を目指して旅を続けていました。そこに、ふたつ目の宝石があることは確かでした。

「嘆きの湖」に行くには、魔女テーガンが支配する土地を通らなければなりません。ジャスミンは、魔女テーガンをさけ、遠回りすべきだと主張しました。しかし、リーフとバルダは聞き入れませんでした。

リーフとバルダは、ジャスミンの手助けがあったからこそ、ゴールを倒し、トパーズを手に入れることができました。しかし、リーフとバルダは、ジャスミンとの意見の違いから、うちとけ合えず、気まずくなっていました。

三人は、旅の途中で、影の憲兵団に護送されていたララド族の男を救います。ララド族の男は腕のいい大工の種族でしたが、魔女テーガンから魔法をかけられ、声を失っていました。

リーフたちは、ララド族の男を連れ、影の憲兵団から逃げているうちに、ニジとドッジの家にたどりつきました。ニジとドッジは、善良そうな老人の男女でした。彼らは、底なしぬまに引き込まれそうになったリーフ、バルダ、ジャスミンを救い、家にまねいてもてなしてくれたのです。

しかし、それはわなでした。ニジとドッジの正体は、魔女テーガンの醜悪(しゅうあく)な子どもでした。彼らは、リーフたちをとらえて食べようとしたのです。彼らの正体を見破ることができたのは、リーフが身につけたトパーズの力のおかげでした。トパーズは、精神を強め、心の目を洗い清めることができる力を持っていました。

ジニとジッド(ニジとドッジの本名)のすみかは、四方を底なしぬまに囲まれていました。脱出は困難でした。

そのピンチを救ったのは、ララド族の男でした。ララド族の男は、口がきけませんでしたが、リーフたちに底なしぬまをわたる方法を伝えようとします。リーフたちは知恵を働かせ、ニジとジッドのすみかからのがれ、ニジとジッドをたおすことに成功しました。

本書「嘆きの湖」は、「リンの谷のローワン」シリーズのような、ことばのなぞを解くおもしろさがあります。ララド族の男が示したぬま渡りの方法、ニジとジッドの立て札と会話、つり橋を守る巨人のなぞなぞ等です。リーフたちは、知恵を働かせ、真実を見ぬき、危機をきりぬけていきます。

ララド族の男はマナスと名乗ります。かつてジニとジッドにとらわれていましたが、にげ出したところを影の憲兵団につかまったのでした。

ララド族は、影の大王に抵抗していました。マナスは、ララド族の代表としてデルにおもむき、レジスタンスの仲間に助けを求めるはずでした。その道中で、ジニとジッド、影の憲兵団にとらえられたのでした。

マナスは、影の憲兵団によって全滅させられていたと思っていた故郷が無事だったことを知ります。ララド族の人々は、知恵を働かせ、したたかに憲兵団の目をあざむいていたのです。

リーフたちは、マナスの案内により、「嘆きの湖」に向かいました。そこは、かつて「箱庭のように美しい」といわれた街ドールでしたが、魔女テーガンの呪いによって、無惨な土地に変えられていました。

「嘆きの湖」を守るのは、怪物ソルディーンでした。リーフたちはソルディーンと戦いますが、ダメージを与えることすらできませんでした。

ソルディーンは、デルトラのルビーを持っていました。さびしい土地でくらすなぐさめにしていたのです。ルビーを欲しがるリーフに、「マナスを引き渡せば、ルビーをやる」という取引をもちかけます。ルビーの代わりに、マナスがかなでる笛の音をなぐさめにしたかったのです。マナスは、笛の名手でした。

おそろしい怪物でありながら、ソルディーンからは、孤独の苦しみが感じられます。

リーフは、取引に応じませんでした。ルビーのために友達を犠牲にすることを拒みました。

ソルディーンは、リーフの友達を思う行動や、トパーズの力によって、真実をかいま見ます。トパーズは、ソルディーンにかけられたテーガンの呪いを弱めたのです。ついに、ソルディーンは、ルビーをリーフに渡すことを決意します。

このことを知った魔女テーガンは、リーフたちの前に姿を現しました。テーガンは、美しいものをねたみ、美しいものを呪いによっておとしめていました。魔女テーガンには、自分の子を殺され、縄張り(なわばり)に侵入されたうらみと怒りが満ちていました。邪悪で強力な魔法を持ったテーガンでしたが、ジャスミンのカラス、クリーによって滅ぼされてしまいます。

ジャスミンが家族同然に愛していたクリーでした。最初のうち、クリーは、バルダやリーフからは「動物」としか見なされていませんでした。ジャスミンがどれほどクリーやフィリを大切に思い、クリーもまたジャスミンを慕っているか、また、小さなクリーが大魔女を倒してしまう逆転のおもしろさが感じられるエピソードでした。

テーガンの死によって、ララド族の人々は、声をとりもどし、ドールの街もよみがえりました。リーフは、ルビーと仲間マナスを得ました。

主な登場人物

クリー…ジャスミンが家族同然に思っているカラス。

フィリ…毛むくじゃらの小動物。

ニジとドッジ…善良そうな男女の老人。しかし、その正体は、魔女テーガンの醜悪でおろかな子。

マナス…大工の民、ララド族の男。笛が得意。リーフたちに助けられる。

ソルディーン…「嘆きの湖」の主の怪物。デルトラのルビーを所有していた。

テーガン…邪悪な魔女。  05.12.4

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デルトラ・クエスト3 ネズミの街

あらすじを書いていますので、ネタばれありです。

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2002年 高学年から

DELTORA QUEST 5:City of the Rats 2000

リーフ、バルダ、ジャスミンはネズミの街を目指していました。そこは危険な街でしたが、デルトラの宝石がかくされていることは確かでした。

旅の途中、リーフたちは、旅行用品ならば何でも売っているTOMという店に立ちよります。何でもそろうけれども、法外な値段をふっかける店であり、影の大王に抵抗する者を助ける店でもありました。リーフたちがここで手に入れた物は、旅の終盤になって役立つことになります。

リーフたちの目的地はネズミの街でしたが、思いがけずチュルナイという街に立ちよることになります。チュルナイは豊かで、清潔な街でしたが、奇妙な法と習慣を持っていました。この街では、大量の料理が作られ、大量に捨てられていたのです。デルでは、食べ物が不足して、多くの人びとがうえていたのに。

また、チュルナイの人びと、特にネズヌクと呼ばれる指導者たちは、不潔なものを病的なまでに恐れていました。ジャスミンが家族同様に思っているフィリをいみきらい、チュルナイにフィリを持ち込んだジャスミンたちを処刑しようとします。

命からがら、チュルナイから脱出したリーフたちでした。チュルナイを外から見ることになったリーフたちは、恐るべき真実を知ります。チュルナイで捨てられたはずの食べ物は、デル城に運ばれていたのです。影の大王がデルを支配する以前から、何百年も前から、行われてきたことでした。リーフはいきどおります。「人びとのうえをよそに、ぜいたくな食べ物を運ばせていた王家のために、デルトラの宝石を取り戻すのか?」これは、リーフがつきあたった問題でした。

リーフの怒りは、デルの王家や貴族の代わりにごちそうを受け取る影の大王ら、チュルナイの人びとをあざむいて料理を作らせていたネズヌク、影の憲兵団とも通じていたTOMの主人にも向けられます。

しかし、リーフは、バルダに説得されて怒りをおさえ、当初の目的であったネズミの街に向かって出発しました。旅のとちゅうで発生した問題は、TOMの店で手に入れたアイテムで解決しました。

ネズミの街には、何万ものネズミが生息していました。リーフたちは、ネズヌクからうばった服がネズミをよせつけないこと、ネズヌクの正体、チュルナイとネズミの街とのつながりに気づきます。

ネズミの街には、大蛇がすんでいました。大蛇は、影の大王の手下となったネズミとりたちによって育てられたのです。かつて、ネズミの街のネズミは、ネズミとりたちによって増え、街の人びとは、街を捨て、チュルナイに移り住んだのでした。そして、ネズミとりはネズヌクとして、チュルナイの人びとをしたがえていたのです。

リーフが感じていた「人びとの苦しみに気づかなかった王家のためにデルトラの宝石を取りもどすのか」という疑問の答えを、リーフは自分で見つけ出します。「デルトラの国土と国民のためにやっているのだ」と。

リーフは、バルダとジャスミンの手をかりて大蛇をたおし、未来を見通すオパールを手に入れました。

旅と戦いを通して、リーフとジャスミンは、少しずつわかりあい、歩みよります。初めのうち、ひとりで生きてきたジャスミンの考え方や習慣、気持ちがわからずにいたリーフでした。それが物語のラストには、「このさき、何がおころうとも、ぼくたちはうけてたつ。三人、力を合わせて」と言えるようになります。 06.12.27

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デルトラ・クエスト4 うごめく砂

あらすじを書いていますので、ネタばれありです。

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2002年 高学年から

DELTORA QUEST 4:The Shifting Sands 2000

リーフたちは、「うごめく砂」を目指していました。しかし、どうすればそこにたどり着くのか、わかりませんでした。しかも、リーフたちには、お金も、食べ物も、旅に必要な日用品もありませんでした。

そこで、彼らはリスメアとという町に立ちよることにしました。

リスメアでは、近々競技大会が開かれることになっていました。優勝すれば金貨千枚、本戦に残るだけでも百枚もらえるといいます。大会出場者であれば、格安でとまれる食事付きの宿もありました。旅に必要な物がないリーフたちにとって、大会出場は、お金と必要な品々、休息を得る絶好の機会でした。

何の競技大会なのか知らずに出場を決めたリーフたちは、それが命の危険をともなう戦いの競技大会であったことを知ります。しかも、出場をとり消すことはできないのです。また、だれかがリーフたちが競技大会に出ることと、大会で勝つことを阻止しようとしていました。

宿屋のおかみは、リーフたちに「だれも信じてはいけない」と忠告します。大会出場のうらには不吉なかげがつきまとっていました。

この「うごめく砂」の物語は、たくさんとなぞと不気味さをもって展開していきます。

大会に出場し、優勝した者が、だれひとりとして故郷に帰っていないということも、気になります。

大会自体は、まるで少年マンガのように軽快に展開します。ひとむかし前の少年マンガの格闘技トーナメントによく似ています。ルールなし、何でもありの格闘技大会。出場者はひとくせもふたくせもある者ばかりでした。

エミリー・ロッダさんは、物語のあちこちに伏線をはることが多いです。「うごめく砂」でも、女王バチのアップルドリンクが伏線アイテムとなっています。影の憲兵団の力をつけるアップルドリンクは、格闘技大会出場者にもふるまわれます。そのうえ、格闘技の観戦者にも売られているのです。エネルギーをあまり使わない見物人がアップルドリンクを飲む必要はないはずです。アップルドリンクを飲んで、血なまぐさい試合を求める見物人たちからは、この大会を仕組んだ者の悪意が感じられます。

ジャスミンは大会で優勝しますが、われをわすれて戦ったことと、相手を傷つけた自分に自己嫌悪を感じていました。ジャスミンをたたえるおかみの陽気さと対照的です。

優勝賞金を持って町を出るとき、リーフたちは、大会そのものがわなだったこと、おかみさえも影の憲兵団の味方だったこと、大会の真の目的を知りました。大会で優勝した強い選手は、影の王国に連れ去られ、死ぬまで戦わされることになっていたのでした。

影の憲兵団から逃げているうちに、リーフたちはついに「うごめく砂」に到着しました。

「うごめく砂」に住む巨大な肉食怪物は、人間をも食べてしまいます。リーフたちを追っていた憲兵も食べられてしまいました。いつ、リーフたちがおそわれるかもわからないのです。しかも、怪物は何匹もいるらしいのです。

しかし、ジャスミンには、怪物は『うごめく砂』の番人ではなく、砂漠に住む生物の一種にすぎないことがわかっていました。

「うごめく砂」で、デルトラの宝石を守るもの、来訪者を「うごめく砂」の中心部に引き寄せてとらえ、財宝を奪い取ってしまうものが真の番人でした。

番人が何者なのか、また、何のために来訪者をのみ込もうとするのか、リーフはつきとめました。「うごめく砂」の番人は、悪意に満ちた怪物というより、自然の摂理にしたがっている生き物でした。その正体は、何百万匹ものハチでした。ハチの大軍が砂を動かし、「うごめく砂」を訪れた者から、朽ちにくい物を奪って巨大な巣を作っていたのです。リーフたちが求めるデルトラの宝石ラピスラズリも、巣に取りこまれていたのです。

リーフは、ハチをさけつつ、ラピスラズリを取り戻しました。

この物語「うごめく砂」には、小物が効果的にちりばめられています。ハチ、女王バチのアップルドリンク、ジャスミンの木彫りの小鳥、ジャスミンの父の形見の短剣などがエピソードを構成する重要な要素となっています。   06.3.20

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デルトラ・クエスト5 恐怖の山

あらすじを書いていますので、ネタばれありです。

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2002年 高学年から

DELTORA QUEST 5: Dread Mountain 2000

本書5巻「恐怖の山」は、リーフたちが危険な旅をしつつ、命がけでデルトラの宝石を入手することは、1巻から4巻までの物語と同じです。しかし、ほっとなごむ温かさが感じられます。羽を持つ伝説の動物キンの子どもプリンが登場するからでしょう。

エミリー・ロッダさんは、作中、なぞめいた詩や、物語の展開の伏線ともなるアイテムを効果的に使っています。この「恐怖の山」もそうです。「心正しき者は飲むがよい 心悪しき者は報いをうけよ」という標識がある「夢の泉」の水が、物語のカギとなっています。

「夢の泉」は、みたいもの、会いたい人を念じながら飲むと、夢の中で出会えるといいます。

キンたちは、泉の近くに住み、ふるさとのブーロンの森をなつかしんでいました。その山は、リーフたちが目指す恐怖の山だったのです。

恐怖の山は、キンたちのふるさとブーロンの森でした。しかし、キンたちを狩ろうとする小人族、怪物ブラールらによって、キンたちはふるさとを追われたのです。キンの子は、ブーロンの森でしか生まれることができませんでした。子どものキンはプリンだけでした。

リーフたちは、旅路を急いでいました。リーフたちがデルトラの宝石を集めていることが、いつ、影の大王に気づかれるかわからなかったのです。それに、リーフが夢見た両親の安否も気になりました。バルダは、キンに乗せてもらって、恐怖の山まで飛んでいこうと提案します。

恐怖の山に着いたリーフたちを待っていたのは、小人族の襲撃でした。プリンは毒矢に射られてしまいます。「命の百合」の花蜜でプリンの命をとりとめたものの、今度は怪物ブラールにおそわれました。ブラールは、影の憲兵団が、ブーロンの森に連れてきたのでした。

リーフやプリンたちは、小人族が毒矢を用い、キンたちの脅威となったわけと、デルトラの宝石のあかりを知ります。小人族は、怪物ゲリックにこきつかわれて、ハエの養殖をしていました。また、ゲリックの毒を採取して、火ぶくれ弾をつくっていました。小人族は、影の大王や憲兵団から守ってもらうかわりに、ゲリックの言うことを聞く、という取引をしていたのです。

リーフは、小人族を説得します。小人族が自由になるためには、ゲリックをたおさなければならないのです。リーフたちには、小人族の協力が必要でした。

リーフは、ゲリックと戦って打ち勝ち、デルトラの宝石エメラルドを手に入れました。リーフがゲリックに勝てたのは、物語の序盤に出てきた「夢の泉」の水があったからでした。

小人族に「影の大王から守ってやる」と約束したゲリックでしたが、実は、ゲリックも影の大王の手下にすぎなかったのです。

「デルトラ・クエスト」の物語では、影の大王につながる悪が、いつもリーフたちの前に立ちはだかり、その悪に苦しめられた人々が影の大王にも抵抗し、リーフたちを助けます。

キンたちは、ブーロンの森にもどり、小人族は、毒矢を使わないことを約束します。火ぶくれ弾の材料となる毒のかわりにブーロンの樹液をつめることにした小人族の抵抗も、リーフたちの戦いの助力となることでしょう。  06.3.22

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デルトラ・クエスト6 魔物の洞窟

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2002年 高学年から

DELTORA QUEST 6 : The maze of the Beast 2000

リーフ達は、少年デインと知り合います。何にでも姿を変えられる白い化け物オルにおそわれた時、デインがリーフ達を助けたことがきっかけでした。

オルはその能力によって、AからCまでランクづけられています。Cオルは、化ける力も戦闘能力もあまり優れておらず、2匹がペアになって行動します。Aオルになると、正体を見破ることは難しく、生物だけでなく、無機物にも化けることができるといいます。

リーフ達は、出会った人びとや生きものを「オルではないか」と疑いながら旅をしなくてはなりませんでした。だれを信じればよいのかわからず、オルの急襲にそなえ、つねに張りつめた気持ちでいました。この「オルの恐怖」は、物語が完結する8巻まで続くことになります。

「信じること」は、リーフ達が直面した課題でもありました。

旅を続けるうちに、リーフ、バルダ、ジャスミンは、たがいにうち解け合い、仲間意識を持つようになりました。

しかし、6巻では、リーフ達とジャスミンは別行動をとるようになります。「男ひとり、少年ひとり、カラスを連れた野育ちの少女ひとり」というパーティは敵に発見されやすいので、ジャスミンは単独で行動し、後でおちあうことにしたのです。リーフは、ジャスミンと別れた後、考え直します。「みんなの安全のために別れる」と割り切ることより、危険であってもいっしょに行動すべきだったのではないか、と。

また、オルが仲間(ネタばれ→バルダ)に変身するという事件も起きました。しかし、仲間の性質を知りぬいていたリーフ達は、オルにだまされることはありませんでした。

リーフ達は、王家に忠実だった町トーラに行きたいというデインと旅をします。とちゅう、欲深く残酷な海賊におそわれたり、オルと戦ったりしながら、トパーズがかくされた魔物の洞窟にたどりつきました。

洞窟には、怪物グルーがいました。目が見えず、動きに反応し、獲物を糸でからめとる生きものです。リーフはトパーズを見つけ出し、一行はグルーをやりすごして、洞窟脱出に成功します。 07.2.4

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デルトラ・クエスト7 いましめの谷

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2003年 高学年から

DELTORA QUEST 7 : The Valley of the Lost 2000

7巻は、デルトラの最後の宝石、ダイアモンドをさがす旅です。

リーフ達とデインは、王家に忠実だった美しい都トーラに行きます。そこには、デインの両親がいるはずでした。

しかし、トーラはもぬけのからで、だれもいませんでした。トーラの人びとがデルトラ王家に忠誠をちかった炎の大岩からは炎が消え、岩はひび割れていました。それは、ちかいが破られたことを意味していました。町で見つかった王の手紙から、影の大王におそわれ、トーラにかくまってほしいという王の願いがトーラの人びとによって、拒絶されたことがわかりました。

トーラの人びとはどこに行ったのか、王家はどこにかくれているのか、なぞでした。

リーフがさがし求めたデルトラの宝石が残りひとつとなった7巻で、新たな問題がうかびあがります。それは、ベルトを身につける王家の跡継ぎをさがすというものでした。リーフ達が命がけでデルトラのベルトを完成させても、それを身につける者がいなければ、デルトラ王国は救われないのです。

7巻では、トーラの近くで合流したジョーカーの秘密が明らかになります。4巻で初登場し、時々リーフ達の前に現れては、手助けをしたり、助言したりしていたジョーカーですが、信頼できる人物なのか不明でした。それが、今まで語らなかった過去をぽつぽつと話したのです。

トーラの町で、ジョーカー、デインと別れたリーフ達は、「いましめの谷」に向かいました。

いましめの谷は、生き物の命の脈動が感じられないところでした。そこには、ゆうれいのようにさまよう人びとがいました。

谷の宮殿では、番人が、ダイアモンドを守っていました。番人は、「ワルヂエ」「ヨクバリ」「シット」「ウヌボレ」という名の化け物をペットにしていました。

番人は、リーフ達にゲームをもちかけます。そのゲームに勝てばダイアモンドをわたし、負ければ、ゆうれいのような民と同じ「いましめの谷」の一部となるのです。そのゲームとは、番人の名前を当てるというものでした。

ダイアモンドは純潔と力の象徴であり、暴力と不正をきらいます。リーフは、ダイアモンドを不正に得たいという誘惑に勝ち、番人の名前をさぐりあてました。その名とは、驚くべきものでした。(ネタばれ→番人の名は、なんとエンドン、つまりデルトラの先代王だというのです。

ゲームに勝てばダイアモンドをわたすという約束を破った番人は、4匹の怪物に喰われそうになり、リーフによって助けられます。(ネタばれ→4匹の怪物はペットではなく、番人の心の一部だったのです。

番人は、影の大王の魔力から自由になり、いましめの谷の民も本来の姿を取りもどします。(ネタばれ→彼らはトーラの人びとでした。また、番人はエンドン国王ではなく、ファーディープという名でした。

デルトラの宝石を全て取りもどしたリーフは、ベルトを身につける王家の世継ぎをさがすことになります。 07.2.4

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デルトラ・クエスト8 帰還

訳:岡田好恵 絵:はけたれいこ 岩崎書店 2003年 高学年から

DELTORA QUEST 8 : Return to Del 2000

デルトラ・クエスト最後の巻は、エミリー・ロッダさんお得意のどんでん返しが何度もしかけられていて、MORIにとっては、一番おもしろかったです。

デルトラのベルトを完成させたリーフの次の課題は、ベルトを身につける王家の世継ぎをさがしだすことでした。ベルトを身につけるのは、国をほろぼす元となったエンドン国王ではなく、国王の子でした。

旅のとちゅう、「ガブリ草原」の近くで、リーフは、エンドン国王とその家族らしい人骨を発見します。国王の遺書を見たジャスミンは、自分勝手でめめしい王となじり、怒ります。王家が絶えた今となっては、デルトラのベルトは意味を持ちません。リーフは打ちひしがれました。しかし、それは、影の大王らの策略でした。バルダによって、遺書も人骨もにせものだということが判明します。

デルトラの書を読み返したリーフは考えます。デルトラの世継ぎをさがすことに加え、デルトラ7つの民族が、王家に忠誠をちかい直すことが必要なのではないか、と。

7つの部族の代表は、すぐにそろいました。しかし、安心はできませんでした。代表か、レジスタンスのなかに、影の大王のスパイがまぎれこんでいるのは確かでした。スパイがだれなのか、またはオルが変身したものなのか、リーフ達にも、ジョーカーにもわかりませんでした。

7つの部族の代表がちかいを立てたとき、リーフは、デインが王家の世継ぎだと確信します。ベルトの力によって、ごく近くに世継ぎがいることがわかったからです。けれども、デインは、イカボットによってさらわれてしまいました。

リーフ達は、デインが連れ去られたデルの町を目指します。リーフは、デインの短剣を持っていたはずなのに、なくしてしまいました。

リーフは、デインが処刑される直前に、デインを救い出そうとします。しかし、リーフはわなにかかってしまったのでした。リーフは、Aオルと戦うことになります。(ネタばれ→デインはAオルだったのです。しかも、さらわれたと見せかけ、短剣に化けて、リーフ達の行動を全て監視していたのです。Aオルは、ファローにとって代わり、デルを手に入れようとたくらんでいました。4巻から登場し、6巻以降は、重要な登場人物のひとりであったデイン。読者に「エンドン国王の息子かも」と思わせます。MORIもまんまとだまされていました(苦笑)。

リーフをとらえたAオルをたおそうとして、頭を打ったジョーカーは記憶を取りもどします。(ネタばれ→ジョーカーはジャスミンの実の父親だったのです。しかも、ジョーカーのうわごとから、ジョーカーの正体はエンドン国王であることがわかりました。デルトラの世継ぎはジャスミンだったのです。リーフは、ジャスミンにベルトをつけさせますが、ベルトは輝きませんでした。

デルトラのベルトが本来の力を取りもどすためには、7つの宝石がそろうこと、7つの民が忠誠をちかうことの他に、まだ、なすべきことがあったのです。リーフは、デルトラの書に書かれている文から、それを推察します。(ネタばれ→7つの宝石のならび順を変えることだったのです。

リーフには、危機がせまっていました。リーフの両親と、7つの部族の代表、ジャスミンとバルダがとらえられたのです。彼らは、今にも処刑されようとしていました。(ネタばれ→ジャスミンにベルトをつけさせようと、リーフはたったひとりで、処刑台に向かいます。ベルトと剣を持った両手をあけるために、ベルトを身につけたリーフは、驚くべき真実を知りました。デルトラの世継ぎは、ジャスミンではなく、リーフ自身だったのです。

デルトラの民の苦しみを知らず、デルトラのベルトを守る義務もおこたり、宮殿の奥で安逸な生活をむさぼり、影の大王につけこまれ、国を失ったエンドン国王。リーフは、そんな王家のためにベルトをとりもどすのか、と悩んだこともありました。しかし、デルトラの世継ぎは、市民の生活と願いを知る、デルトラ王国を治めるのにふさわしい人物でした。(ネタばれ→デルの町を脱出せず、デルの一市民として生きたリーフの両親こそが、エンドン国王と王妃シャーンでした。リーフは、国民と直にふれあい、国民の生活を知り、冒険の旅をして、自分の手でデルトラの宝石をとりもどしたのです。王も世継ぎも、ベルトがもどるまで、かくれて待つのではなく、能動的に行動しているのがいいですね。デルトラの世継ぎがだれか、最後までハラハラさせられる展開でした。) 07.2.4

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